Qt QPlainTextEdit マウスイベントコンテキストメニュー

2025-04-26

QPlainTextEdit::contextMenuEvent() は、Qt プログラミングにおいて、QPlainTextEdit ウィジェット上で右クリックなどのコンテキストメニューを表示するイベントが発生した際に呼び出されるイベントハンドラーです。

役割

このイベントハンドラーの主な役割は以下の通りです。

コンテキストメニューのカスタマイズ
デフォルトのコンテキストメニュー（コピー、貼り付けなど）に独自のメニュー項目を追加したり、既存の項目を削除したりすることができます。これにより、ユーザーのニーズに合わせてコンテキストメニューをカスタマイズできます。
特定の条件に基づくメニュー表示の制御
特定の状況（例えば、選択範囲がない場合や、特定の種類のデータが選択されている場合など）に応じて、コンテキストメニューの表示内容を動的に変更できます。
カスタムアクションの実行
独自のメニュー項目が選択された際に実行するカスタムアクションを定義できます。

仕組み

QPlainTextEdit ウィジェット上で右クリックなどのコンテキストメニューを表示するトリガーが発生すると、Qt はこのイベントをウィジェットに送信します。QPlainTextEdit クラスはデフォルトでこのイベントを処理し、一般的な編集操作（コピー、貼り付けなど）を含むデフォルトのコンテキストメニューを表示します。

QPlainTextEdit をサブクラス化して独自の振る舞いを実装する場合や、デフォルトのコンテキストメニューをカスタマイズしたい場合は、このイベントハンドラーを再実装（オーバーライド）します。

再実装の方法

QPlainTextEdit をサブクラス化し、contextMenuEvent() メソッドをオーバーライドして、独自の処理を実装します。

#include <QPlainTextEdit>
#include <QMenu>
#include <QAction>
#include <QContextMenuEvent>

class CustomPlainTextEdit : public QPlainTextEdit
{
    Q_OBJECT

public:
    CustomPlainTextEdit(QWidget *parent = nullptr) : QPlainTextEdit(parent) {}

protected:
    void contextMenuEvent(QContextMenuEvent *event) override
    {
        // 既存のコンテキストメニューを取得（デフォルトのメニューを保持したい場合）
        QMenu *menu = this->createStandardContextMenu();

        // 独自のメニュー項目を作成
        QAction *customAction = new QAction(tr("カスタムアクション"), this);
        connect(customAction, &QAction::triggered, this, &CustomPlainTextEdit::onCustomActionTriggered);

        // メニューに独自の項目を追加
        menu->addAction(customAction);

        // メニューを表示
        menu->exec(event->globalPos());

        // イベントを処理済みとしてマーク
        event->accept();
    }

private slots:
    void onCustomActionTriggered()
    {
        // カスタムアクションが選択されたときの処理
        appendPlainText("カスタムアクションが実行されました\n");
    }
};

上記の例では、CustomPlainTextEdit クラスを定義し、contextMenuEvent() メソッドをオーバーライドしています。

createStandardContextMenu() を使用して、デフォルトのコンテキストメニューを取得しています。これにより、コピー、貼り付けなどの基本的な機能はそのまま保持されます。
独自の QAction を作成し、triggered シグナルをカスタムスロット (onCustomActionTriggered()) に接続しています。
作成した QAction を QMenu に追加しています。
menu->exec(event->globalPos()) を呼び出して、マウスのグローバル位置にメニューを表示します。
event->accept() を呼び出して、イベントが処理されたことを Qt に通知します。

メモリリークを防ぐために、動的に作成した QAction オブジェクトなどは適切に管理する必要があります（親を設定するなど）。
メニューを表示する前に、特定の条件に基づいてメニュー項目を追加または削除するロジックを実装できます。
デフォルトのコンテキストメニューを完全に置き換えたい場合は、createStandardContextMenu() を呼び出す必要はありません。
QContextMenuEvent オブジェクトには、コンテキストメニューが発生したマウスのグローバル位置などの情報が含まれています。

QPlainTextEdit::contextMenuEvent() は、QPlainTextEdit ウィジェットのコンテキストメニュー（右クリックメニューなど）をカスタマイズするために使用される重要なイベントハンドラーです。ここでは、このイベントハンドラーを使用する際に遭遇する可能性のある一般的なエラーと、それらのトラブルシューティング方法について説明します。

コンテキストメニューが表示されない

エラー
contextMenuEvent() をオーバーライドしたが、コンテキストメニューが全く表示されない。

原因

イベントの無視
何らかの条件でコンテキストメニューを表示しないようにするために、event->ignore() を誤って呼び出している可能性があります。
メニューの表示
QMenu オブジェクトを作成し、exec() メソッドを呼び出してメニューを表示する必要があります。exec() を呼び忘れている可能性があります。
event->accept() の忘れ
contextMenuEvent() 内でイベントを処理したことを Qt に通知するために、最後に event->accept() を呼び出す必要があります。これを忘れると、Qt はイベントを他のハンドラーに伝播し、最終的にデフォルトのメニューが表示されなくなる可能性があります。

トラブルシューティング

event->accept() の確認
contextMenuEvent() の最後に event->accept() が確実に呼び出されているか確認します。
QMenu::exec() の確認
QMenu オブジェクトを作成した後、exec(event->globalPos()) を呼び出してメニューを表示しているか確認します。globalPos() はコンテキストメニューが表示されるべきマウスの座標を渡します。
event->ignore() の確認
contextMenuEvent() 内で event->ignore() が意図せず呼び出されていないか確認します。
イベントの接続
QAction の triggered シグナルを適切なスロットに接続しているか確認します。

デフォルトのコンテキストメニューが消える

エラー
独自のコンテキストメニューは表示されるが、コピー、貼り付けなどのデフォルトの項目が表示されない。

原因

メニューの完全な再作成
createStandardContextMenu() を使用せずに、QMenu オブジェクトを最初から完全に作成している場合、デフォルトの項目は含まれません。
createStandardContextMenu() の呼び出し忘れ
デフォルトのコンテキストメニューを保持したい場合、contextMenuEvent() の最初に createStandardContextMenu() を呼び出し、取得したメニューに独自の項目を追加する必要があります。

トラブルシューティング

createStandardContextMenu() の使用
デフォルトのメニューも表示したい場合は、contextMenuEvent() の最初に QMenu *menu = this->createStandardContextMenu(); のように呼び出しているか確認します。
メニューへの追加
独自のメニュー項目を、取得した標準メニュー (menu) に追加しているか確認します。

メニュー項目が正しく動作しない

エラー
追加したカスタムメニュー項目をクリックしても、対応するアクションが実行されない。

原因

QAction の所有権
QAction オブジェクトの所有権が適切に管理されていない場合、スコープを抜けた後に破棄され、シグナルが発せられなくなる可能性があります。
スロットの定義
接続先のスロットが正しく定義されていないか、実装されていない可能性があります。
シグナルとスロットの接続
QAction の triggered シグナルを、適切なスロット（処理を行う関数）に正しく接続していない可能性があります。

トラブルシューティング

接続の確認
connect() 関数を使用して、QAction の triggered シグナルを正しいスロットに接続しているか確認します。接続の構文が正しいか、シグナルとスロットのシグネチャが一致しているかを確認します。
スロットの実装
接続先のスロット関数が正しく定義され、必要な処理が実装されているか確認します。
QAction の親
QAction オブジェクトを QMenu に追加する際に、QMenu を親として設定しているか、または QAction が適切なスコープで管理されているか確認します。例えば、QMenu のメンバー変数として保持するなど。

メニューの表示位置がずれる

エラー
コンテキストメニューがマウスカーソルの位置からずれた場所に表示される。

原因

相対座標の使用
ウィジェットのローカル座標系での位置を使用しようとしている可能性があります。
event->globalPos() の使用
メニューを表示する際に、event->globalPos() を正しく使用していない可能性があります。これは、マウスのグローバル（画面全体）座標を返します。

トラブルシューティング

globalPos() の使用
メニューを表示する際に、menu->exec(event->globalPos()); のように、event->globalPos() を使用しているか確認します。

特定の条件でメニュー項目が表示されない

エラー
特定の状況下（例えば、選択範囲がない場合など）で特定のメニュー項目が表示されないようにしたいが、正しく動作しない。

原因

メニュー項目の追加位置
条件判定よりも前にメニュー項目を追加してしまっている可能性があります。
条件判定の誤り
メニュー項目を追加する前に、条件を正しく判定するロジックが実装されていないか、誤っている可能性があります。

トラブルシューティング

条件判定の確認
メニュー項目を追加する前に、目的の条件が正しく判定されているか確認します。
条件分岐の配置
条件に基づいてメニュー項目を追加するコードを、QMenu を作成した後、exec() を呼び出す前に配置しているか確認します。

メモリリーク

エラー
アプリケーションを実行していると、メモリ使用量が徐々に増加する。

原因

メニューの再作成
コンテキストメニューが表示されるたびに新しい QMenu を作成し、以前のメニューが適切に破棄されていない可能性があります。
QAction の動的生成と管理
contextMenuEvent() 内で QAction オブジェクトを動的に作成しているが、適切に削除されていない可能性があります。

QAction の親設定
QAction オブジェクトを作成する際に、QMenu を親として設定するか、QMenu のメンバー変数として保持するなどして、自動的に管理されるようにします。
メニューの再利用
可能な場合は、QMenu オブジェクトをメンバー変数として保持し、必要に応じて内容をクリアして再利用することを検討します。

コードの確認
contextMenuEvent() の実装を注意深く確認し、上記のエラーの原因に該当する箇所がないか探します。
デバッグ出力
必要に応じて、コンソールにデバッグ出力を追加して、コードの実行状況や変数の値を追跡します。例えば、メニューが作成されているか、triggered シグナルが発せられているかなどを確認できます。
最小限の再現コード
問題を再現する最小限のコードを作成し、問題の原因を特定しやすくします。
Qt のドキュメント参照
Qt の公式ドキュメントを参照し、QPlainTextEdit::contextMenuEvent() および関連するクラス（QMenu, QAction, QContextMenuEvent など）の動作を再確認します。
Qt のバージョン
使用している Qt のバージョンが最新かどうかを確認し、必要であればアップデートを検討します。特定のバージョンのバグである可能性もあります。

例1：基本的なコンテキストメニューのカスタマイズ

この例では、QPlainTextEdit のデフォルトのコンテキストメニューに、独自の「挨拶」アクションを追加します。

#include <QApplication>
#include <QPlainTextEdit>
#include <QMenu>
#include <QAction>
#include <QContextMenuEvent>
#include <QDebug>

class CustomPlainTextEdit : public QPlainTextEdit
{
    Q_OBJECT

public:
    CustomPlainTextEdit(QWidget *parent = nullptr) : QPlainTextEdit(parent) {}

protected:
    void contextMenuEvent(QContextMenuEvent *event) override
    {
        // デフォルトのコンテキストメニューを取得
        QMenu *menu = this->createStandardContextMenu();

        // 独自の「挨拶」アクションを作成
        QAction *greetAction = new QAction(tr("挨拶"), this);
        connect(greetAction, &QAction::triggered, this, &CustomPlainTextEdit::greet);

        // メニューにアクションを追加
        menu->addAction(greetAction);

        // メニューを表示
        menu->exec(event->globalPos());

        // イベントを処理済みとしてマーク
        event->accept();
    }

private slots:
    void greet()
    {
        appendPlainText("こんにちは！\n");
        qDebug() << "挨拶アクションが実行されました";
    }
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    CustomPlainTextEdit plainTextEdit;
    plainTextEdit.setPlainText("右クリックしてコンテキストメニューを表示してください。");
    plainTextEdit.show();

    return a.exec();
}

解説

CustomPlainTextEdit クラスの定義
QPlainTextEdit を継承した CustomPlainTextEdit クラスを作成します。
contextMenuEvent() のオーバーライド
contextMenuEvent() メソッドをオーバーライドして、独自のコンテキストメニュー処理を実装します。
createStandardContextMenu()
デフォルトのコンテキストメニュー（コピー、貼り付けなど）を取得するために使用します。これにより、既存の機能を保持しつつ、独自の項目を追加できます。
QAction の作成
独自のメニュー項目を表す QAction オブジェクトを作成します。ここでは「挨拶」というラベルを設定しています。
シグナルとスロットの接続
greetAction の triggered シグナル（アクションが選択されたときに発生するシグナル）を、CustomPlainTextEdit クラスの greet() スロットに接続します。
addAction()
作成した greetAction を QMenu に追加します。
exec()
menu->exec(event->globalPos()) を呼び出して、マウスのグローバル位置にコンテキストメニューを表示します。
event->accept()
イベントが処理されたことを Qt に通知します。
greet() スロット
「挨拶」アクションが選択されたときに呼び出されるスロットで、QPlainTextEdit に「こんにちは！」というテキストを追加します。

例2：選択範囲がない場合に特定のメニュー項目を非表示にする

この例では、選択範囲がない場合に「選択範囲を大文字にする」というメニュー項目を非表示にします。

#include <QApplication>
#include <QPlainTextEdit>
#include <QMenu>
#include <QAction>
#include <QContextMenuEvent>
#include <QTextCursor>
#include <QDebug>

class CustomPlainTextEdit : public QPlainTextEdit
{
    Q_OBJECT

public:
    CustomPlainTextEdit(QWidget *parent = nullptr) : QPlainTextEdit(parent) {}

protected:
    void contextMenuEvent(QContextMenuEvent *event) override
    {
        QMenu *menu = this->createStandardContextMenu();

        QAction *upperCaseAction = new QAction(tr("選択範囲を大文字にする"), this);
        connect(upperCaseAction, &QAction::triggered, this, &CustomPlainTextEdit::convertToUpperCase);

        // 選択範囲がある場合にのみアクションを追加
        if (this->textCursor().hasSelection()) {
            menu->addAction(upperCaseAction);
        } else {
            delete upperCaseAction; // 選択範囲がない場合はアクションを削除
        }

        menu->exec(event->globalPos());
        event->accept();
    }

private slots:
    void convertToUpperCase()
    {
        QTextCursor cursor = this->textCursor();
        QString selectedText = cursor.selectedText();
        if (!selectedText.isEmpty()) {
            cursor.insertText(selectedText.toUpper());
        }
    }
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    CustomPlainTextEdit plainTextEdit;
    plainTextEdit.setPlainText("このテキストの一部を選択して右クリックしてください。");
    plainTextEdit.show();

    return a.exec();
}

解説

textCursor()
QPlainTextEdit の現在のテキストカーソルを取得します。
hasSelection()
テキストカーソルに選択範囲があるかどうかをチェックします。
条件付きでのアクション追加
選択範囲がある場合にのみ upperCaseAction をメニューに追加します。選択範囲がない場合は、delete upperCaseAction; で QAction オブジェクトを削除します。
convertToUpperCase() スロット
選択されたテキストを大文字に変換して挿入するスロットです。

この例では、選択されたテキストが特定のキーワードを含む場合に、別のメニュー項目を表示します。

#include <QApplication>
#include <QPlainTextEdit>
#include <QMenu>
#include <QAction>
#include <QContextMenuEvent>
#include <QTextCursor>
#include <QString>
#include <QDebug>

class CustomPlainTextEdit : public QPlainTextEdit
{
    Q_OBJECT

public:
    CustomPlainTextEdit(QWidget *parent = nullptr) : QPlainTextEdit(parent) {}

protected:
    void contextMenuEvent(QContextMenuEvent *event) override
    {
        QMenu *menu = this->createStandardContextMenu();

        QAction *specialAction = nullptr;
        QString selectedText = this->textCursor().selectedText();

        if (selectedText.contains("重要")) {
            specialAction = new QAction(tr("重要マークを削除"), this);
            connect(specialAction, &QAction::triggered, this, &CustomPlainTextEdit::removeImportantMark);
        } else if (!selectedText.isEmpty()) {
            specialAction = new QAction(tr("詳細を表示"), this);
            connect(specialAction, &QAction::triggered, this, &CustomPlainTextEdit::showDetails);
        }

        if (specialAction) {
            menu->addAction(specialAction);
        }

        menu->exec(event->globalPos());
        event->accept();
    }

private slots:
    void removeImportantMark()
    {
        QTextCursor cursor = this->textCursor();
        QString selectedText = cursor.selectedText();
        if (selectedText.contains("重要")) {
            cursor.insertText(selectedText.replace("重要", ""));
        }
    }

    void showDetails()
    {
        QString selectedText = this->textCursor().selectedText();
        qDebug() << "詳細：" << selectedText;
        // ここで詳細情報を表示する処理などを実装
    }
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    CustomPlainTextEdit plainTextEdit;
    plainTextEdit.setPlainText("これは重要な情報です。他のテキストもあります。");
    plainTextEdit.show();

    return a.exec();
}

選択テキストの取得
this->textCursor().selectedText() を使用して、選択されたテキストを取得します。
条件分岐
選択されたテキストの内容に基づいて、表示する QAction を決定します。
動的なアクション作成
条件に応じて異なる QAction を作成し、接続します。
アクションの追加
条件を満たす場合にのみ、作成した specialAction をメニューに追加します。
スロットの実装
それぞれのアクションに対応するスロットで、具体的な処理を実行します。

QPlainTextEdit の customContextMenuRequested() シグナルを使用する

QPlainTextEdit には、コンテキストメニューが表示される直前に発せられる customContextMenuRequested(const QPoint &pos) シグナルがあります。このシグナルを接続することで、コンテキストメニューの作成と表示をより柔軟に制御できます。

特徴

より直感的
特定の条件に基づいてメニューを動的に構築する場合など、イベントハンドラーを直接オーバーライドするよりも、シグナル/スロットのメカニズムを利用する方がコードが読みやすくなる場合があります。
メニューの完全な制御
このシグナルを接続したスロット内で QMenu を作成し、必要なアクションを追加して表示することができます。
イベントハンドラーよりも後
contextMenuEvent() が呼ばれる前にこのシグナルが発せられます。

#include <QApplication>
#include <QPlainTextEdit>
#include <QMenu>
#include <QAction>
#include <QContextMenuEvent>
#include <QDebug>

class CustomPlainTextEdit : public QPlainTextEdit
{
    Q_OBJECT

public:
    CustomPlainTextEdit(QWidget *parent = nullptr) : QPlainTextEdit(parent)
    {
        connect(this, &QPlainTextEdit::customContextMenuRequested,
                this, &CustomPlainTextEdit::showCustomContextMenu);
    }

private slots:
    void showCustomContextMenu(const QPoint &pos)
    {
        QMenu menu(this);

        QAction *action1 = menu.addAction(tr("アクション1"));
        QAction *action2 = menu.addAction(tr("アクション2"));

        connect(action1, &QAction::triggered, this, [](){
            qDebug() << "アクション1が実行されました";
        });
        connect(action2, &QAction::triggered, this, [](){
            qDebug() << "アクション2が実行されました";
        });

        menu.exec(mapToGlobal(pos)); // マウス座標をグローバル座標に変換して表示
    }
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    CustomPlainTextEdit plainTextEdit;
    plainTextEdit.setPlainText("右クリックしてカスタムメニューを表示してください。");
    plainTextEdit.show();

    return a.exec();
}

解説

customContextMenuRequested シグナルの接続
コンストラクタで、QPlainTextEdit の customContextMenuRequested シグナルを showCustomContextMenu() スロットに接続しています。
showCustomContextMenu() スロット
このスロット内で QMenu オブジェクトを作成し、addAction() でメニュー項目を追加しています。
exec()
menu.exec(mapToGlobal(pos)) を使用して、マウスがクリックされたローカル座標 pos をグローバル座標に変換し、メニューを表示しています。

メリット

より柔軟なメニューの構築が可能です。
シグナル/スロットの分離により、コードの可読性が向上することがあります。

デメリット

contextMenuEvent() をオーバーライドする場合と比較して、少し手順が増えます。

QAction を使用してツールバーやメニューを作成し、それをコンテキストメニューとして表示する

QAction オブジェクトを独立して作成し、それらを QMenu に追加して、QMenu::exec() を使用して表示する方法は、contextMenuEvent() 内で行う場合と基本的には同じですが、QAction の管理をより組織的に行うことができます。

特徴

QAction の再利用
複数の場所（ツールバー、メニューバー、コンテキストメニューなど）で同じアクションを再利用できます。

#include <QApplication>
#include <QPlainTextEdit>
#include <QMenu>
#include <QAction>
#include <QContextMenuEvent>
#include <QDebug>

class CustomPlainTextEdit : public QPlainTextEdit
{
    Q_OBJECT

public:
    CustomPlainTextEdit(QWidget *parent = nullptr) : QPlainTextEdit(parent)
    {
        greetAction = new QAction(tr("挨拶"), this);
        connect(greetAction, &QAction::triggered, this, &CustomPlainTextEdit::greet);
    }

protected:
    void contextMenuEvent(QContextMenuEvent *event) override
    {
        QMenu menu(this);
        menu.addAction(greetAction);
        menu.exec(event->globalPos());
        event->accept();
    }

private slots:
    void greet()
    {
        appendPlainText("こんにちは！\n");
        qDebug() << "挨拶アクションが実行されました";
    }

private:
    QAction *greetAction;
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    CustomPlainTextEdit plainTextEdit;
    plainTextEdit.setPlainText("右クリックしてコンテキストメニューを表示してください。");
    plainTextEdit.show();

    return a.exec();
}

解説

greetAction をコンストラクタで作成し、contextMenuEvent() 内で再利用しています。

メリット

UI 全体でアクションを共有する場合に有効です。
アクションを独立して管理できるため、コードの構造が整理されます。

デメリット

単純なコンテキストメニューのカスタマイズの場合は、少し冗長になる可能性があります。

QMenu を直接作成し、QWidget の mousePressEvent() や mouseReleaseEvent() などで表示する

右クリック以外のマウスイベントでコンテキストメニューを表示したい場合など、contextMenuEvent() 以外のイベントハンドラーで QMenu を作成し、表示することも可能です。

特徴

より柔軟なトリガー
右クリック以外のマウス操作や、特定のキー操作などに基づいてコンテキストメニューを表示できます。

#include <QApplication>
#include <QPlainTextEdit>
#include <QMenu>
#include <QAction>
#include <QMouseEvent>
#include <QDebug>

class CustomPlainTextEdit : public QPlainTextEdit
{
    Q_OBJECT

public:
    CustomPlainTextEdit(QWidget *parent = nullptr) : QPlainTextEdit(parent)
    {
        greetAction = new QAction(tr("挨拶"), this);
        connect(greetAction, &QAction::triggered, this, &CustomPlainTextEdit::greet);
    }

protected:
    void mousePressEvent(QMouseEvent *event) override
    {
        if (event->button() == Qt::RightButton) {
            QMenu menu(this);
            menu.addAction(greetAction);
            menu.exec(event->globalPos());
            event->accept();
        }
        QPlainTextEdit::mousePressEvent(event); // デフォルトの処理も行う
    }

private slots:
    void greet()
    {
        appendPlainText("こんにちは！\n");
        qDebug() << "挨拶アクションが実行されました";
    }

private:
    QAction *greetAction;
};

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication a(argc, argv);

    CustomPlainTextEdit plainTextEdit;
    plainTextEdit.setPlainText("右クリックで挨拶メニューを表示してください。");
    plainTextEdit.show();

    return a.exec();
}

解説

QPlainTextEdit::mousePressEvent(event) を呼び出して、デフォルトのマウスプレスイベントの処理も行っています。
右クリックが検出された場合に QMenu を作成し、exec() で表示しています。
mousePressEvent() をオーバーライドし、event->button() == Qt::RightButton の条件で右クリックを検知しています。

メリット

コンテキストメニューの表示条件を自由に設定できます。

デメリット

contextMenuEvent() を使用する場合よりも、イベント処理の管理が複雑になる可能性があります。

非標準のトリガー
右クリック以外のマウス操作やキー操作でコンテキストメニューを表示したい場合は、他のマウスイベントやキーイベントハンドラーを使用する必要があります。
アクションの再利用
複数の場所で同じアクションを使用する場合は、QAction を独立して管理する方法が有効です。
より柔軟な制御
特定の条件に基づいてメニューを動的に構築したり、シグナル/スロットのメカニズムを活用したい場合は、customContextMenuRequested() シグナルを使用する方がコードが整理されやすい場合があります。
基本的なカスタマイズ
デフォルトのメニューに少し項目を追加する程度であれば、contextMenuEvent() をオーバーライドするのが最もシンプルで一般的です。

状況に応じて、最も適切で読みやすい方法を選択することが重要です。

Qt QPlainTextEdit マウスイベント コンテキストメニュー

役割

仕組み

再実装の方法

コンテキストメニューが表示されない

デフォルトのコンテキストメニューが消える

メニュー項目が正しく動作しない

メニューの表示位置がずれる

特定の条件でメニュー項目が表示されない

メモリリーク

例1：基本的なコンテキストメニューのカスタマイズ

例2：選択範囲がない場合に特定のメニュー項目を非表示にする

QPlainTextEdit の customContextMenuRequested() シグナルを使用する

QAction を使用してツールバーやメニューを作成し、それをコンテキストメニューとして表示する

QMenu を直接作成し、QWidget の mousePressEvent() や mouseReleaseEvent() などで表示する

Qt QPlainTextEdit マウスイベントコンテキストメニュー