Qt GUIにおける論理ピクセルと物理ピクセルのギャップを埋める：QPaintDevice::devicePixelRatioF()が導く解決策

QPaintDevice::devicePixelRatioF()関数は、Qt GUIにおいて、デバイスピクセル比率を浮動小数点型で取得するために使用されます。デバイスピクセル比率とは、物理ピクセルと論理ピクセルの間の比率を表す値であり、高DPIディスプレイなど、画面解像度の高いデバイスで重要な役割を果たします。

関数詳細

qreal QPaintDevice::devicePixelRatioF() const;

この関数は、デバイスピクセル比率をqreal型で返します。qreal型は、浮動小数点数の数値表現に使用されるデータ型です。

戻り値

デバイスピクセル比率：物理ピクセルと論理ピクセルの間の比率を表す浮動小数点数値

QPaintDevice *device = ...; // ペイントデバイスを取得

qreal devicePixelRatio = device->devicePixelRatioF();

// 例：デバイスピクセル比率を使用して、論理ピクセルから物理ピクセルに変換
int physicalX = logicalX * devicePixelRatio;
int physicalY = logicalY * devicePixelRatio;

デバイスピクセル比率は、Qtのウィジェットやレイアウトシステムによって自動的にスケーリングされます。
高DPIディスプレイの場合、デバイスピクセル比率は1よりも大きくなります。
関連関数：QPaintDevice::devicePixelRatio()：デバイスピクセル比率を整数型で取得します。

#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QPainter>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QWidget widget;
  widget.show();

  QPaintDevice *device = widget.window()->graphicsDevice();
  qreal devicePixelRatio = device->devicePixelRatioF();

  qDebug() << "Device pixel ratio:" << devicePixelRatio;

  return app.exec();
}

例2：デバイスピクセル比率を使用して、論理ピクセルから物理ピクセルに変換する

#include <QApplication>
#include <QWidget>
#include <QPainter>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QWidget widget;
  widget.show();

  QPaintDevice *device = widget.window()->graphicsDevice();
  qreal devicePixelRatio = device->devicePixelRatioF();

  int logicalX = 100;
  int logicalY = 50;

  int physicalX = logicalX * devicePixelRatio;
  int physicalY = logicalY * devicePixelRatio;

  qDebug() << "Logical pixel: (" << logicalX << "," << logicalY << ")";
  qDebug() << "Physical pixel: (" << physicalX << "," << physicalY << ")";

  return app.exec();
}

#include <QApplication>
#include <QLabel>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QLabel label("Hello, World!");
  label.show();

  QPaintDevice *device = label.window()->graphicsDevice();
  qreal devicePixelRatio = device->devicePixelRatioF();

  QFont font = label.font();
  font.setPointSize(font.pointSize() * devicePixelRatio);
  label.setFont(font);

  return app.exec();
}

QScreen::devicePixelRatioF()関数を使用する

QScreen::devicePixelRatioF()関数は、指定されたスクリーンのデバイスピクセル比率を浮動小数点型で取得します。この関数は、ウィジェットに関連付けられていないデバイスピクセル比率を取得する場合に役立ちます。

利点

ウィジェットに関連付けられていないデバイスピクセル比率を取得できる

欠点

対象とするスクリーンを明示的に指定する必要がある

例

QScreen *screen = QGuiApplication::primaryScreen();
qreal devicePixelRatio = screen->devicePixelRatioF();

QApplication::primaryScreen()->devicePixelRatioF()関数を使用する

QApplication::primaryScreen()->devicePixelRatioF()関数は、プライマリスクリーンのデバイスピクセル比率を浮動小数点型で取得します。この関数は、最も一般的なユースケースで使用されることが多いです。

利点

プライマリスクリーンのデバイスピクセル比率を簡単に取得できる

欠点

対象とするスクリーンがプライマリスクリーンであることを前提としている

例

qreal devicePixelRatio = QApplication::primaryScreen()->devicePixelRatioF();

カスタムロジックを使用する

デバイスピクセル比率を取得するカスタムロジックを実装することもできます。これは、複雑な要件がある場合に役立ちます。

利点

アプリケーション固有の要件に合わせたロジックを実装できる

欠点

複雑なロジックを実装する必要がある

例

qreal devicePixelRatio = calculateDevicePixelRatio();

// calculateDevicePixelRatio()関数は、アプリケーション固有のロジックを使用してデバイスピクセル比率を計算します

最適な代替方法の選択

最適な代替方法は、アプリケーションの要件によって異なります。一般的には、QApplication::primaryScreen()->devicePixelRatioF()関数が最も簡単で汎用性の高い方法です。しかし、ウィジェットに関連付けられていないデバイスピクセル比率を取得する必要がある場合や、複雑な要件がある場合は、他の方法の方が適切な場合があります。

デバイスピクセル比率は、Qtのウィジェットやレイアウトシステムによって自動的にスケーリングされます。アプリケーション側で明示的にスケーリングする必要はありません。
Qt 5.14以降では、QPaintDevice::devicePixelRatioScaled()関数を使用することもできます。この関数は、QPaintDevice::devicePixelRatioF()関数と似ていますが、デバイスのスケーリングファクタを考慮した値を返します。