Qtフォント設定マスターガイド：斜体（イタリック）表示のすべて

2025-06-06

QFont クラスは、Qtアプリケーションでテキストを表示する際に使用するフォントの属性（フォントファミリー、サイズ、太さなど）を定義するためのクラスです。その中の setItalic() 関数は、フォントのスタイルを斜体にするかどうかを切り替えるために使われます。

関数のシグネチャ

void QFont::setItalic(bool enable)

引数

enable (bool):
- true を指定すると、フォントは斜体になります。
- false を指定すると、フォントは標準の（斜体ではない）スタイルになります。

動作

この関数を呼び出すことで、QFont オブジェクトが表すフォントが斜体で描画されるように設定されます。実際に描画されるフォントが斜体に対応しているかどうかは、システムにインストールされているフォントに依存します。もし、選択されたフォントが斜体スタイルを提供していない場合、Qtは可能な限り近い代替フォントや、標準のグリフを傾ける「オブリーク」スタイルを使用して、斜体に近い表現を試みます。

使用例

あるウィジェット（例えば QLabel や QPushButton）のテキストを斜体にしたい場合、以下のように使用します。

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QFont>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    QLabel label("Hello, Qt!"); // QLabelを作成
    QFont font = label.font(); // 現在のフォントを取得

    font.setItalic(true); // フォントを斜体に設定

    label.setFont(font); // 設定したフォントをQLabelに適用
    label.show();

    return app.exec();
}

このコードでは、QLabel のデフォルトフォントを取得し、そのフォントに対して setItalic(true) を呼び出すことで、テキストを斜体にしています。

フォントが斜体にならない、または期待通りの斜体ではない

これは最もよくある問題です。 setItalic(true) を呼び出しても、フォントがまったく斜体にならない、あるいは単に傾いているだけでデザインされたイタリック体ではないように見えることがあります。

原因

QFont オブジェクトが適用されていない
setItalic() を呼び出した QFont オブジェクトが、実際に表示するウィジェット（QLabel や QTextEdit など）に設定されていない場合があります。
フォントファミリーの指定ミス
QFont オブジェクトに設定しているフォントファミリー名が間違っているか、システムにインストールされていない場合、Qtは代替フォントを使用します。その代替フォントに斜体がない可能性があります。
Qtの「合成斜体」
フォントにネイティブな斜体バージョンがない場合、Qtは自動的に元のフォントのグリフ（文字の形）を傾けて「合成斜体（Synthesized Italic）」を生成しようとします。これは「オブリーク体（Oblique）」とも呼ばれ、デザインされたイタリック体とは異なり、単に傾いているだけなので、見た目が不自然になることがあります。
フォント自体に斜体バージョンがない
多くのフォントは、"Regular" (標準)、"Bold" (太字)、"Italic" (斜体) など、複数のスタイルを持っています。しかし、すべてのフォントがそれぞれのスタイルを提供しているわけではありません。特に、あまり一般的ではないフォントや、ごくシンプルなフォントの場合、斜体バージョンが存在しないことがあります。

トラブルシューティング

フォントの適用を確認
- setItalic() を呼び出した QFont オブジェクトが、最終的に QWidget::setFont() や QApplication::setFont() などを使って、目的のウィジェットやアプリケーション全体に正しく適用されているか確認します。
```
QLabel* myLabel = new QLabel("Some text");
QFont labelFont = myLabel->font(); // 現在のフォントを取得
labelFont.setItalic(true);        // 斜体に設定
myLabel->setFont(labelFont);      // 変更を適用
```
- Qt Stylesheet (QSS) との競合
  ウィジェットにQtスタイルシートが適用されている場合、スタイルシートがフォント設定を上書きしている可能性があります。その場合、スタイルシート内でフォントのスタイルも指定する必要があります。
```
QLabel {
    font-family: "Arial";
    font-size: 14pt;
    font-style: italic; /* スタイルシートでイタリックを指定 */
}
```

QFontInfo の使用

QFontInfo クラスを使って、実際に使用されているフォントの情報を取得します。

QFont font;
font.setFamily("My Custom Font");
font.setItalic(true);

QFontInfo fontInfo(font);
qDebug() << "Actual Font Family:" << fontInfo.family();
qDebug() << "Is Italic:" << fontInfo.italic();
qDebug() << "Style Name:" << fontInfo.styleName(); // "Italic", "Oblique", "Regular" など

fontInfo.italic() が false を返したり、fontInfo.styleName() が "Oblique" を返す場合、望む斜体フォントが使用されていない可能性があります。

QFont::style() の確認
- QFont::setItalic(true) を呼び出した後、QFont::style() を呼び出して、フォントのスタイルが QFont::StyleItalic になっているか確認します。
- QFont::StyleOblique になっている場合、Qtが合成斜体を使用していることを意味します。この場合、ネイティブな斜体フォントをシステムにインストールするか、別のフォントを使用することを検討します。
使用するフォントの確認
- そのフォントファミリーが実際に斜体スタイルを提供しているかを確認します。フォントビューアやシステムのフォント設定で確認できます。
- 可能であれば、"Times New Roman Italic" や "Arial Italic" のように、明示的に斜体バージョンを持つフォントファミリー名を指定してみます。

斜体にしたテキストのレイアウトが崩れる

特に QPainter でテキストを直接描画する際や、カスタムウィジェットでレイアウトを計算する際に発生しやすい問題です。斜体フォントは文字が傾くため、文字のバウンディングボックス（描画領域）が標準フォントよりも広くなることがあります。

原因

QFontMetrics の不正確な使用
QFontMetrics を使ってテキストの幅や高さを計算する場合、フォントの斜体化を考慮せずに計算すると、テキストが描画領域からはみ出したり、隣接するテキストと重なったりすることがあります。特に boundingRect() や width() は、斜体によって実際の表示幅と異なる場合があります。

トラブルシューティング

QFontMetrics::leftBearing() と rightBearing()
斜体フォントの描画の際には、leftBearing() や rightBearing() を使って、文字の傾きによって発生する余白を考慮に入れると、より正確なレイアウトが可能です。
QFontMetrics::boundingRect() の理解
boundingRect() は、斜体フォントの場合、左側や右側に余白を含むことがあります。テキストの描画位置を調整する必要があるかもしれません。

QFontMetrics の使用順序
QFontMetrics オブジェクトを作成する前に、必ず QFont オブジェクトの setItalic() を呼び出して、フォントが斜体になっている状態の QFont を QFontMetrics のコンストラクタに渡すようにします。

QFont font("Times New Roman", 12);
font.setItalic(true); // まず斜体に設定

QFontMetrics fm(font); // 斜体になったフォントでQFontMetricsを作成
QString text = "Hello World";
int textWidth = fm.horizontalAdvance(text); // 正しい幅を取得

実行環境によるフォントの表示差異

特定のOS（Windows、macOS、Linux）やQtのバージョンによって、同じコードでも斜体の表示が微妙に異なることがあります。

原因

フォントのインストール状況
ターゲットシステムに特定のフォントがインストールされていない場合、Qtは代替フォントを使用するため、見た目が変わります。
OSのフォントレンダリングエンジンの違い
各OSは独自のフォントレンダリングエンジンを使用しており、斜体の合成方法や描画方法が異なる場合があります。

トラブルシューティング

フォントの埋め込み
アプリケーションにカスタムフォントを埋め込むことで、どの環境でも同じフォントが使用されるようにできます。これは QFontDatabase::addApplicationFont() を使用して行います。
```
int id = QFontDatabase::addApplicationFont(":/fonts/MyCustomFont-Italic.ttf");
QString family = QFontDatabase::applicationFontFamilies(id).at(0);
QFont font(family);
font.setItalic(true); // 埋め込んだフォントのイタリックを指定
```
一般的なフォントの使用
システム間で普遍的に利用できる、より一般的なフォント（Arial, Times New Roman, DejaVu Sans など）を使用することを検討します。
複数の環境でテスト
開発環境だけでなく、実際にアプリケーションを使用するターゲット環境で表示を確認することが重要です。

QFont オブジェクトのコピーと変更の誤解

QFont は暗黙的に共有される（Implicitly Shared）クラスですが、コピーした QFont オブジェクトを変更しても元のオブジェクトには影響しません。

原因

ウィジェットから取得した QFont オブジェクトをコピーし、そのコピーを変更したにもかかわらず、その変更を元のウィジェットに適用し忘れる。

変更後の QFont オブジェクトを必ず再設定する
```
QLabel* myLabel = new QLabel("Test");
QFont currentFont = myLabel->font(); // 現在のフォントを取得
currentFont.setItalic(true);         // コピーを変更
myLabel->setFont(currentFont);       // 変更されたフォントをウィジェットに再設定！
```
よくある間違いは、myLabel->font().setItalic(true); のように直接 font() の戻り値に対して setItalic() を呼び出してしまうことです。font() は QFont のコピーを返すため、この操作ではウィジェットのフォントは変更されません。必ず一時変数にコピーを受け取り、変更後に setFont() で再設定する必要があります。

QLabel のテキストを斜体にする基本的な例

最も基本的な例として、QLabel ウィジェットに表示されるテキストを斜体にする方法です。

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QFont>
#include <QVBoxLayout>
#include <QWidget>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    // メインウィンドウとして使用するウィジェット
    QWidget window;
    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(&window);

    // 通常のテキストを表示するQLabel
    QLabel *normalLabel = new QLabel("これは通常のテキストです。", &window);
    layout->addWidget(normalLabel);

    // 斜体テキストを表示するQLabel
    QLabel *italicLabel = new QLabel("これは斜体テキストです。", &window);
    QFont font = italicLabel->font(); // 現在のフォントを取得
    font.setItalic(true);             // フォントを斜体に設定
    italicLabel->setFont(font);       // 設定したフォントをQLabelに適用
    layout->addWidget(italicLabel);

    window.setWindowTitle("QFont::setItalic() 例");
    window.show();

    return app.exec();
}

解説

QLabel *italicLabel = new QLabel("これは斜体テキストです。", &window); で QLabel を作成します。
QFont font = italicLabel->font(); で、italicLabel が現在使用しているフォントのコピーを取得します。これは非常に重要です。font() メソッドは QFont オブジェクトのコピーを返すため、このコピーを変更しても元の QLabel のフォントは変わりません。
font.setItalic(true); で、取得した QFont オブジェクトの斜体属性を true に設定します。
italicLabel->setFont(font); で、変更した QFont オブジェクトを italicLabel に再度設定することで、ウィジェットの表示に反映させます。

QPushButton のテキストを斜体にする例

ボタンのテキストを斜体にする例です。考え方は QLabel と同じです。

#include <QApplication>
#include <QPushButton>
#include <QFont>
#include <QVBoxLayout>
#include <QWidget>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    QWidget window;
    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(&window);

    // 通常のボタン
    QPushButton *normalButton = new QPushButton("通常のボタン", &window);
    layout->addWidget(normalButton);

    // 斜体テキストのボタン
    QPushButton *italicButton = new QPushButton("斜体のボタン", &window);
    QFont font = italicButton->font(); // 現在のフォントを取得
    font.setItalic(true);             // 斜体に設定
    italicButton->setFont(font);      // 適用
    layout->addWidget(italicButton);

    window.setWindowTitle("QPushButtonの斜体例");
    window.show();

    return app.exec();
}

フォントファミリーと斜体を組み合わせる例

特定のフォントファミリー（例: Arial）と斜体を組み合わせて設定する例です。

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QFont>
#include <QVBoxLayout>
#include <QWidget>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    QWidget window;
    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(&window);

    QLabel *label1 = new QLabel("標準のArialテキスト", &window);
    QFont font1("Arial", 14); // Arial, 14pt
    label1->setFont(font1);
    layout->addWidget(label1);

    QLabel *label2 = new QLabel("斜体のArialテキスト", &window);
    QFont font2("Arial", 14); // Arial, 14pt
    font2.setItalic(true);    // 斜体に設定
    label2->setFont(font2);
    layout->addWidget(label2);

    window.setWindowTitle("フォントファミリーと斜体");
    window.show();

    return app.exec();
}

前述のトラブルシューティングセクションでも触れたように、指定したフォントが実際に斜体になっているか、または合成斜体が使われているかを確認するには QFontInfo が役立ちます。

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QFont>
#include <QFontInfo>
#include <QVBoxLayout>
#include <QWidget>
#include <QDebug> // デバッグ出力用

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    QWidget window;
    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(&window);

    QLabel *label = new QLabel("イタリック体にしたいテキスト", &window);
    layout->addWidget(label);

    QFont desiredFont("Times New Roman", 16); // 試したいフォントファミリーとサイズ
    desiredFont.setItalic(true);               // 斜体に設定
    label->setFont(desiredFont);               // ラベルに適用

    // 実際に適用されたフォント情報を取得
    QFontInfo fontInfo(label->font()); // **重要: label->font() で取得したフォントを渡す**

    qDebug() << "要求されたフォントファミリー:" << desiredFont.family();
    qDebug() << "要求された斜体設定:" << desiredFont.italic();
    qDebug() << "-----------------------------------";
    qDebug() << "実際に適用されたフォントファミリー:" << fontInfo.family();
    qDebug() << "実際に斜体か:" << fontInfo.italic();
    qDebug() << "スタイル名:" << fontInfo.styleName(); // "Italic" or "Oblique" or "Regular"
    qDebug() << "正確に一致したか:" << fontInfo.exactMatch();

    window.setWindowTitle("QFontInfoでの確認例");
    window.show();

    return app.exec();
}

実行結果の例 (環境によって異なる可能性があります)

要求されたフォントファミリー: "Times New Roman"
要求された斜体設定: true
-----------------------------------
実際に適用されたフォントファミリー: "Times New Roman"
実際に斜体か: true
スタイル名: "Italic"
正確に一致したか: true

もし styleName() が "Oblique" と表示された場合、システムに「Times New Roman Italic」のような専用の斜体フォントがないため、Qtが通常のTimes New Romanを傾けて表示していることを意味します。

QFont::setItalic() はフォントを斜体にするための最も直接的な方法ですが、Qtには同じ目的を達成するための他のプログラミングアプローチもいくつかあります。これらの代替方法を理解することは、より柔軟なフォント設定や、特定のユースケースに対応するために役立ちます。

Qt Style Sheets (QSS) を使用する

Qt Style Sheets (QSS) は、CSSに似た構文でウィジェットの見た目をカスタマイズするための強力なメカニズムです。フォントの斜体化もQSSで行うことができます。これは、特にUIのデザインとコードの分離を行いたい場合に非常に便利です。

特徴

広範囲な適用
特定のウィジェット、特定の型のウィジェット、またはアプリケーション全体にスタイルを適用できます。
動的な変更
アプリケーションの実行中にスタイルシートを簡単に変更できます。
デザインとコードの分離
UIの見た目をC++コードから切り離して管理できます。

使用例

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QPushButton>
#include <QVBoxLayout>
#include <QWidget>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    QWidget window;
    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(&window);

    // QLabelにスタイルシートで斜体を適用
    QLabel *label = new QLabel("スタイルシートで斜体にしたテキスト");
    // QSSで font-style: italic; を指定
    label->setStyleSheet("font-family: 'Arial'; font-size: 16pt; font-style: italic;");
    layout->addWidget(label);

    // QPushButtonにスタイルシートで斜体を適用
    QPushButton *button = new QPushButton("スタイルシートで斜体にしたボタン");
    button->setStyleSheet("font-family: 'Times New Roman'; font-size: 14pt; font-style: italic;");
    layout->addWidget(button);

    window.setWindowTitle("QSSによる斜体");
    window.show();

    return app.exec();
}

解説
setStyleSheet() メソッドに文字列としてCSSライクなフォントスタイルを渡します。font-style: italic; がフォントを斜体にする部分です。この方法は、特にUIの見た目を柔軟に制御したい場合に非常に強力です。

QFont コンストラクタでスタイルを指定する

特徴

可読性
フォントの全属性がコンストラクタで明確に定義されます。
簡潔な初期化
QFont オブジェクトを一度に完全に設定できます。

使用例

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QFont>
#include <QVBoxLayout>
#include <QWidget>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    QWidget window;
    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(&window);

    // QFontコンストラクタで直接イタリック体を指定
    // QFont(const QString &family, int pointSize = -1, int weight = -1, bool italic = false)
    QLabel *label = new QLabel("コンストラクタで斜体にしたテキスト");
    QFont font("Verdana", 16, QFont::Normal, true); // family, pointSize, weight, italic
    label->setFont(font);
    layout->addWidget(label);

    window.setWindowTitle("QFontコンストラクタによる斜体");
    window.show();

    return app.exec();
}

解説
QFont コンストラクタの最後の引数 bool italic を true に設定することで、フォントが斜体として初期化されます。これは、新しい QFont オブジェクトを作成する際に特に便利です。

リッチテキスト（HTML）を直接使用する (一部のウィジェット)

QLabel や QTextEdit のような一部のウィジェットは、テキストをHTML形式で表示する機能をサポートしています。これを利用して、HTMLの <em> (em: emphasis) タグや <i> (i: italic) タグを使ってテキストを斜体にすることができます。

特徴

コードの簡素化
フォントオブジェクトを直接操作することなく、文字列としてスタイルを埋め込めます。
柔軟なテキスト整形
テキストの一部だけを斜体にしたり、他のHTMLタグと組み合わせて複雑な整形を行ったりできます。

使用例

#include <QApplication>
#include <QLabel>
#include <QTextEdit>
#include <QVBoxLayout>
#include <QWidget>

int main(int argc, char *argv[])
{
    QApplication app(argc, argv);

    QWidget window;
    QVBoxLayout *layout = new QVBoxLayout(&window);

    // QLabelでHTMLタグを使用
    QLabel *htmlLabel = new QLabel("これは <em>斜体</em> のテキストです。");
    // または <i>斜体</i>
    htmlLabel->setTextFormat(Qt::RichText); // リッチテキスト形式を有効にする（デフォルトで有効な場合が多い）
    layout->addWidget(htmlLabel);

    // QTextEditでHTMLタグを使用
    QTextEdit *textEdit = new QTextEdit();
    textEdit->setHtml("テキストの一部を <em>斜体</em> にできます。<br>別の行も <i>斜体</i> です。");
    layout->addWidget(textEdit);

    window.setWindowTitle("リッチテキストによる斜体");
    window.show();

    return app.exec();
}

解説
QLabel の setText() や QTextEdit の setHtml() にHTML形式の文字列を渡すことで、<em> または <i> タグで囲まれた部分が斜体になります。この方法は、特にテキストブロック内の特定の単語やフレーズを斜体にしたい場合に非常に効果的です。

QFont::setItalic() はフォントを斜体にするための基本かつ直接的な方法ですが、上記のような代替方法も存在します。

リッチテキスト（HTML）
テキストコンテンツ内で部分的にスタイルを適用したい場合や、複雑なテキスト整形を行いたい場合に強力です。
QFont コンストラクタ
新しい QFont オブジェクトを複数の属性で一度に初期化したい場合に便利です。
QSS
UIの見た目をコードから分離し、柔軟にスタイルを管理したい場合に最適です。

【Qt】QFont::StyleHintで実現する洗練されたUIデザイン - フォント選びのヒント

StyleHintには、以下のようないくつかの値があります。それぞれの値は、フォントの一般的な特性を表しており、Qtはこれらのヒントに基づいて最適なフォントを選択しようとします。QFont::Monospace: 等幅フォントを優先します。Typewriterと似ていますが、より一般的な等幅フォントを指す場合があります。

QFont::StyleStrategy によるフォントの外観とパフォーマンスの調整

Qt プログラミングにおける QFont::StyleStrategy は、フォントのレンダリング戦略を指定する列挙型です。この戦略は、特に異なるフォントサイズやスタイルを使用する場合に、フォントの外観を最適化するために使用されます。列挙型の値と意味

Qt でフォントの太さをカスタマイズする

Qt プログラミングにおける QFont::Weight は、フォントの太さを表す列挙型です。この列挙型を使うことで、フォントの太さを細かく指定することができます。主な列挙値QFont::Black 極太QFont::ExtraBold 超太字

QtプログラミングにおけるQFont::bold()は、QFontオブジェクトが現在、太字の設定になっているかどうかを調べるための関数です。具体的には、以下の特徴があります。関連関数: setBold(bool enable): フォントを太字にするか、通常（太字ではない）にするかを設定します。enableがtrueの場合、フォントのウェイトはQFont::Boldに設定され、falseの場合はQFont::Normalに設定されます。 weight(): フォントのウェイト（太さ）を数値で取得します。QFont::bold()はこのweight()の値がQFont::Normalより大きいかどうかをチェックして結果を返します。 QFontInfo::bold(): 実際に表示されるフォントが太字かどうかを調べたい場合は、QFontInfoクラスのbold()関数を使用します。QFontオブジェクトに設定した太字設定が、システムにインストールされているフォントで実際に適用されるかどうかは、QFontInfoで確認できます。