初心者でも安心!Qt GUIでクリップボード操作を始めるためのチュートリアル:QClipboard::Modeの使い方
QClipboard::Mode
は、Qt GUIライブラリにおけるQClipboard
クラスで使用される列挙型です。この型は、システムクリップボードのどの部分にアクセスするかを制御するために使用されます。
定数
QClipboard::Mode
には以下の3つの定数が定義されています。
- FindBuffer: 検索バッファを指します。これは、macOSで使用される特殊なクリップボードで、検索文字列を一時的に保存するために使用されます。
- Selection: グローバルマウス選択を指します。これは、テキストや画像を強調表示したときに選択した部分を表します。すべてのシステムがこのモードをサポートしているわけではありません。
- Clipboard: グローバルクリップボードを指します。これは、最も一般的なクリップボードであり、多くのアプリケーションで使用されます。
使用方法
QClipboard::Mode
は、QClipboard
クラスの以下の関数で使用されます。
clear()
: クリップボードの内容をクリアします。image()
: クリップボードの画像を取得します。text()
: クリップボードのテキストを取得します。setMimeData()
: クリップボードに内容を設定します。mimeData()
: クリップボードの内容を取得します。
これらの関数の引数としてQClipboard::Mode
の定数を渡すことで、アクセスするクリップボードの部分を指定することができます。
例
以下のコードは、グローバルクリップボードのテキストを取得し、コンソールに出力します。
#include <QClipboard>
int main() {
QClipboard clipboard;
QString text = clipboard.text(QClipboard::Clipboard);
std::cout << text.toStdString() << std::endl;
return 0;
}
以下のコードは、グローバルマウス選択の画像を取得し、ファイルに保存します。
#include <QClipboard>
#include <QImage>
int main() {
QClipboard clipboard;
QImage image = clipboard.image(QClipboard::Selection);
image.save("selection.png");
return 0;
}
- macOSでは、
QClipboard::findBufferChanged()
シグナルは、検索バッファの内容が変更されたときに発生します。 QClipboard::changed()
シグナルは、クリップボードの内容が変更されたときに発生します。QClipboard::supportsSelection()
関数を使用して、システムがグローバルマウス選択をサポートしているかどうかを確認できます。
#include <QClipboard>
int main() {
// QClipboardオブジェクトを作成
QClipboard clipboard;
// グローバルクリップボードのテキストを取得
QString text = clipboard.text(QClipboard::Clipboard);
// コンソールに出力
std::cout << text.toStdString() << std::endl;
return 0;
}
例2:グローバルマウス選択の画像を取得してファイルに保存する
#include <QClipboard>
#include <QImage>
int main() {
// QClipboardオブジェクトを作成
QClipboard clipboard;
// グローバルマウス選択の画像を取得
QImage image = clipboard.image(QClipboard::Selection);
// ファイルに保存
image.save("selection.png");
return 0;
}
例3:検索バッファのテキストを取得してコンソールに出力する(macOSのみ)
#include <QClipboard>
int main() {
// QClipboardオブジェクトを作成
QClipboard clipboard;
// 検索バッファのテキストを取得
QString text = clipboard.text(QClipboard::FindBuffer);
// コンソールに出力
std::cout << text.toStdString() << std::endl;
return 0;
}
#include <QClipboard>
void onClipboardChanged() {
// クリップボードの内容を取得
QString text = clipboard.text(QClipboard::Clipboard);
// 処理を実行
std::cout << "Clipboard content changed: " << text.toStdString() << std::endl;
}
int main() {
// QClipboardオブジェクトを作成
QClipboard clipboard;
// シグナルを接続
QObject::connect(&clipboard, &QClipboard::changed, this, &onClipboardChanged);
// ...
return 0;
}
- Qt GUIライブラリの詳細については、Qtドキュメントを参照してください。
しかし、状況によってはQClipboard::Mode
を使用せずにクリップボードにアクセスすることも可能です。以下に、いくつかの代替方法をご紹介します。
プラットフォーム固有のAPIを使用する
各オペレーティングシステムには、クリップボードにアクセスするための独自APIが用意されています。これらのAPIを使用すれば、QClipboard::Mode
を使用するよりも、より直接的にクリップボードを操作することができます。
例:Windows
Windowsでは、OpenClipboard()
、GetClipboardData()
、EmptyClipboard()
などの関数を使用してクリップボードにアクセスすることができます。
例:macOS
macOSでは、NSPasteboard
クラスを使用してクリップボードにアクセスすることができます。
QApplication::clipboard()関数を使用する
QApplication::clipboard()
関数は、現在のアプリケーションで使用されているクリップボードオブジェクトを取得します。このオブジェクトを使用して、クリップボードの内容を取得したり設定したりすることができます。
例
#include <QApplication>
int main() {
// QClipboardオブジェクトを取得
QClipboard* clipboard = QApplication::clipboard();
// グローバルクリップボードのテキストを取得
QString text = clipboard->text();
// コンソールに出力
std::cout << text.toStdString() << std::endl;
return 0;
}
QMimeDataクラスを使用する
QMimeData
クラスは、クリップボードの内容を表すデータ構造体です。このクラスを使用して、クリップボードの内容を取得したり設定したりすることができます。
例
#include <QMimeData>
int main() {
// QClipboardオブジェクトを取得
QClipboard* clipboard = QApplication::clipboard();
// クリップボードの内容を取得
const QMimeData* mimeData = clipboard->mimeData();
// テキストデータを取得
QString text = mimeData->text();
// コンソールに出力
std::cout << text.toStdString() << std::endl;
return 0;
}
QMimeData
クラスを使用してクリップボードの内容を取得するには、クリップボードにテキストデータが含まれていることを確認する必要があります。QApplication::clipboard()
関数は、現在のアプリケーションで使用されているクリップボードオブジェクトを取得します。他のアプリケーションが使用しているクリップボードオブジェクトを取得するには、QClipboard
クラスのコンストラクタを使用して新しいクリップボードオブジェクトを作成する必要があります。- プラットフォーム固有のAPIを使用する場合は、そのプラットフォームでのみ動作することを確認する必要があります。