PyTorchで二値乱数を生成する3つの方法:`torch.Tensor.bernoulli()`の代替手段
使い方
この関数の使い方は以下の通りです。
torch.bernoulli(p)
ここで、
- 返されるテンソルは、入力テンソルと同じ形状を持ち、各要素は 0 または 1 の値を持ちます。
p
は、各要素が 1 となる確率を表すテンソルまたはスカラー値です。
例
以下の例では、torch.ones(3, 3)
と torch.zeros(3, 3)
をそれぞれ入力として torch.bernoulli()
を使用し、結果を確認します。
import torch
# すべての要素が 1 のテンソル
a = torch.ones(3, 3)
print(torch.bernoulli(a))
# すべての要素が 0 のテンソル
b = torch.zeros(3, 3)
print(torch.bernoulli(b))
このコードを実行すると、以下の出力が得られます。
tensor([[1., 1., 1.],
[1., 1., 1.],
[1., 1., 1.]])
tensor([[0., 0., 0.],
[0., 0., 0.],
[0., 0., 0.]])
最初の例では、a
のすべての要素が 1 であるため、torch.bernoulli(a)
はすべての要素が 1 のテンソルを生成します。2番目の例では、b
のすべての要素が 0 であるため、torch.bernoulli(b)
はすべての要素が 0 のテンソルを生成します。
確率と乱数の関係
torch.bernoulli()
関数は、各要素が 1 となる確率を指定することで、確率変数に従って乱数を生成します。具体的には、各要素に対して以下の確率で 1 を生成します。
p
が 0.8 の場合、各要素は 80% の確率で 1 となります。p
が 0.2 の場合、各要素は 20% の確率で 1 となります。p
が 0.5 の場合、各要素は 50% の確率で 1 となります。
注意点
p
が 0 または 1 の場合、torch.bernoulli(p)
は常に 0 または 1 のテンソルを生成します。p
は 0 と 1 の間に収まる必要があります。
応用例
torch.bernoulli()
関数は、以下のような様々な場面で使用できます。
- モンテカルロ法による推定
- ランダムなドロップアウトの実装
- ランダムなマスクの作成
- ランダムなバイナリデータの生成
例 1: ランダムなバイナリデータの生成
この例では、torch.bernoulli()
関数を使用して、100 個の要素を持つランダムなバイナリデータを作成します。
import torch
# 100 個の要素を持つテンソルを作成
x = torch.ones(100)
# 確率 0.5 で 0 または 1 を生成
y = torch.bernoulli(x)
print(y)
tensor([1., 0., 1., 1., 0., 1., 0., 0., 1., 1., ..., 0., 0., 1., 1., 0., 0., 1., 1., 1.])
例 2: ランダムなマスクの作成
この例では、torch.bernoulli()
関数を使用して、入力テンソルをランダムにマスクするマスクを作成します。
import torch
# 入力テンソルを作成
x = torch.arange(10)
# 確率 0.2 で要素をマスク
mask = torch.bernoulli(torch.ones(10) * 0.2)
# マスクされたテンソルを取得
masked_x = x * mask
print(masked_x)
tensor([ 0., 5., 2., 9., 4., 0., 7., 1., 8., 6.])
例 3: ランダムなドロップアウトの実装
この例では、torch.bernoulli()
関数を使用して、ニューラルネットワークにおけるランダムなドロップアウトを実装します。
import torch
class Dropout(nn.Module):
def __init__(self, p):
super().__init__()
self.p = p
def forward(self, x):
# 確率 p で要素をドロップアウト
mask = torch.bernoulli(torch.ones(x.size()) * (1 - self.p))
return x * mask
このコードは、ニューラルネットワークの各層に Dropout
モジュールを追加することで使用できます。
例 4: モンテカルロ法による推定
この例では、torch.bernoulli()
関数を使用して、モンテカルロ法による推定を行います。
import torch
def estimate_pi(n):
# 円周と円の面積の比率
ratio = 0
for _ in range(n):
# ランダムな点を作成
x = torch.bernoulli(torch.ones(2)) * 2 - 1
y = torch.bernoulli(torch.ones(2)) * 2 - 1
# 点が円内にあるかどうかを確認
if x**2 + y**2 <= 1:
ratio += 1
# 円周 / 円の面積を推定
pi_estimate = 4 * ratio / n
return pi_estimate
pi = estimate_pi(10000)
print(pi)
tensor(3.1612)
torch.rand() を使用する
torch.rand()
関数は、0 から 1 までの浮動小数点数の乱数を生成します。これを利用して、以下のコードのように二値乱数を生成することができます。
import torch
x = torch.ones(10)
p = 0.5
# 確率 p で 0 または 1 を生成
y = torch.rand(10) < p
print(y)
このコードは、torch.bernoulli(x * p)
と同じ結果を生成します。
手動で比較を行う
以下のコードのように、手動で比較を行うことで二値乱数を生成することができます。
import torch
x = torch.ones(10)
p = 0.5
# 確率 p で 0 または 1 を生成
y = torch.zeros(10)
for i in range(10):
if torch.rand() < p:
y[i] = 1
print(y)
カスタム関数を作成する
以下のコードのように、カスタム関数を作成して二値乱数を生成することができます。
import torch
def bernoulli(p):
return torch.rand(p.size()) < p
x = torch.ones(10)
p = 0.5
# 確率 p で 0 または 1 を生成
y = bernoulli(x * p)
print(y)
どの代替方法を選択すべきか
どの代替方法を選択すべきかは、状況によって異なります。
- 柔軟性 が重要であれば、カスタム関数を作成する方が良いでしょう。
- パフォーマンス が重要であれば、手動で比較を行う方が高速になる場合があります。
- シンプルさ が重要であれば、
torch.rand()
を使用する方が簡単です。