PyTorchでテンソルにランダムな0/1を生成:torch.Tensor.bernoulli_()の解説とサンプルコード


torch.Tensor.bernoulli_() メソッドは、PyTorchにおけるテンソルに対して、ベルヌーイ分布に従ってランダムな値を生成し、その結果をテンソル内に書き込む処理を行います。

用途

このメソッドは、以下のような場面で使用されます。

  • ニューラルネットワークのトレーニング: ニューラルネットワークの重みとバイアスをランダムに初期化するために使用されます。
  • モンテカルロシミュレーション: ランダムなサンプリングに基づいて、確率的な計算を行う際に使用されます。
  • 確率モデルの構築: ランダムなバイナリデータの生成に使用できます。例えば、コイン投げやノイズの生成などです。

動作

torch.Tensor.bernoulli_() メソッドは、入力テンソル self の各要素に対して、以下の処理を行います。

  1. self の各要素 p に対して、0 または 1 のいずれかを確率 p でランダムにサンプリングします。
  2. サンプリングされた値を self の対応する要素に書き込みます。

引数

このメソッドは、以下の引数を取ることができます。

  • p (Tensor または float, optional)
    各要素のサンプリング確率を指定するテンソルまたはスカラー値です。デフォルトは 0.5 です。

戻り値

このメソッドは、入力テンソルと同じ形状のテンソルを返します。返されるテンソルの各要素は、0 または 1 の値になります。

以下のコードは、torch.Tensor.bernoulli_() メソッドを使用して、形状が (3, 3) のテンソルを作成し、その要素にランダムな 0 または 1 の値を生成する例です。

import torch

# ランダムなテンソルを作成
x = torch.randn(3, 3)

# 各要素をベルヌーイ分布に従ってサンプリング
x.bernoulli_()

print(x)

このコードを実行すると、以下の出力が得られます。

tensor([[ 0.,  1.,  1.],
       [ 1.,  0.,  0.],
       [ 0.,  1.,  1.]])
  • 引数 p は、0 から 1 までの範囲の値である必要があります。
  • torch.Tensor.bernoulli_() メソッドは、入力テンソルをinplaceで変更します。つまり、このメソッドを呼び出すと、入力テンソルの内容が書き換えられます。


例1:確率 0.5 でランダムな 0 または 1 を生成

この例では、形状が (3, 3) のテンソルを作成し、各要素を確率 0.5 でランダムな 0 または 1 に設定します。

import torch

# ランダムなテンソルを作成
x = torch.randn(3, 3)

# 各要素を確率 0.5 でベルヌーイ分布に従ってサンプリング
x.bernoulli_(p=0.5)

print(x)

例2:確率ベクトルに基づいてランダムな 0 または 1 を生成

この例では、形状が (3, 3) のテンソルを作成し、各要素を確率ベクトル p に基づいてランダムな 0 または 1 に設定します。

import torch

# ランダムなテンソルを作成
x = torch.randn(3, 3)

# 確率ベクトルを作成
p = torch.rand(3, 3)

# 各要素を確率ベクトル p に基づいてベルヌーイ分布に従ってサンプリング
x.bernoulli_(p)

print(x)

例3:固定値でテンソルを初期化

この例では、形状が (3, 3) のテンソルを作成し、すべての要素を 0 または 1 に設定します。

import torch

# 固定値でテンソルを作成
x = torch.zeros(3, 3)

# すべての要素を 0 に設定
x.bernoulli_(p=0.0)

print(x)

# 固定値でテンソルを作成
y = torch.ones(3, 3)

# すべての要素を 1 に設定
y.bernoulli_(p=1.0)

print(y)


torch.rand() メソッド

torch.rand() メソッドは、0 から 1 までの範囲のランダムな浮動小数点数を生成します。このメソッドを使用して、テンソルにランダムな値を生成し、その後、torch.floor() メソッドを使用して0 または 1 に丸めることができます。

import torch

# ランダムなテンソルを作成
x = torch.rand(3, 3)

# 各要素を 0 または 1 に丸める
x = torch.floor(x)

print(x)

利点

  • シンプルで分かりやすい

欠点

  • 0 と 1 の確率が必ずしも等しくならない可能性があります。
  • 浮動小数点演算を使用するため、torch.Tensor.bernoulli_() メソッドよりも精度が低くなる可能性があります。

torch.randint() メソッド

torch.randint() メソッドは、指定された範囲内のランダムな整数を生成します。このメソッドを使用して、0 または 1 の値を生成することができます。

import torch

# ランダムなテンソルを作成
x = torch.randint(0, 2, (3, 3))

print(x)

利点

  • 0 と 1 の確率が常に等しい

欠点

  • torch.Tensor.bernoulli_() メソッドよりも遅くなる可能性があります。

カスタムサンプリング関数

独自のサンプリング関数を作成することもできます。この方法は、より複雑な確率分布に従ってランダムな値を生成する場合に役立ちます。

import torch

def bernoulli_sample(p):
    """ベルヌーイ分布からランダムな値を生成する関数

    Args:
        p (float): サンプリング確率

    Returns:
        torch.Tensor: ランダムな値
    """
    if p < 0 or p > 1:
        raise ValueError("p must be between 0 and 1")
    return (torch.rand(p.shape) < p).float()

# ランダムなテンソルを作成
p = torch.rand(3, 3)

# 各要素をベルヌーイ分布に従ってサンプリング
x = bernoulli_sample(p)

print(x)

利点

  • 任意の確率分布に従ってサンプリングできる

欠点

  • コードが複雑になる