Python Turtle: setposition()徹底解説！基本から応用まで
2025-06-06
使い方
基本的な使い方は以下の通りです。
import turtle
# タートルオブジェクトを作成
t = turtle.Turtle()
# タートルを座標 (x, y) に移動させる
# 例: x=100, y=50 の位置に移動
t.setposition(100, 50)
# あるいは、ベクトルとして渡すことも可能
# t.setposition((100, 50))
引数
setposition() メソッドは、以下の引数を取ります。
y: 移動先のY座標。x: 移動先のX座標。
これらの引数は、個別に渡すことも、(x, y) のようなタプルとして渡すこともできます。
動作
setposition() が呼び出されると、タートルは現在の位置から指定された (x, y) 座標へ「ジャンプ」します。この移動中、線は描画されません。線を引かずにタートルの位置を変更したい場合に非常に便利です。もし移動中に線を描画したい場合は、turtle.goto() メソッドを使用します。
turtle.goto() との違い
setposition() と turtle.goto() はどちらもタートルを移動させるメソッドですが、重要な違いがあります。
turtle.goto(x, y): タートルを(x, y)に移動させ、その間に線を引きます。これは「ペンを下ろしたまま移動する」のと同じ効果です。turtle.setposition(x, y): タートルを(x, y)に移動させますが、線を引かないで移動します。これは「ペンを上げて移動する」のと同じ効果です。
import turtle
# スクリーンとタートルをセットアップ
screen = turtle.Screen()
screen.setup(width=600, height=400) # スクリーンのサイズを設定
t = turtle.Turtle()
t.speed(1) # 描画速度を遅くする
# 最初の位置から線を引く
t.forward(50) # 前に50進む (線を引く)
# setposition() を使ってペンを上げずに移動 (線を引かない)
# タートルを(100, 100)に移動させるが、線は引かれない
t.setposition(100, 100)
# 新しい位置から再び線を引く
t.color("red") # 色を赤に変える
t.forward(50) # 前に50進む (線を引く)
# goto() を使ってペンを下ろしたまま移動 (線を引く)
# タートルを(-100, -50)に移動させ、線が引かれる
t.color("blue") # 色を青に変える
t.goto(-100, -50)
screen.mainloop() # ウィンドウを開いたままにする
NameError: name 'setposition' is not defined または AttributeError: 'Turtle' object has no attribute 'setposition'
エラーの原因
- スペルミス。
from turtle import *のようにワイルドカードインポートを使用していない場合（推奨されないスタイル）。setposition()メソッドを呼び出す際に、タートルオブジェクトを介して呼び出していない場合。
例
import turtle
# エラー: setposition() を直接呼び出している
# setposition(100, 100)
# 正しい: タートルオブジェクトのメソッドとして呼び出す
t = turtle.Turtle()
t.setposition(100, 100)
トラブルシューティング
- スペルミスがないか確認してください。
import turtleを使用している場合は、必ずturtle.setposition()ではなくt.setposition()(ここでtはタートルオブジェクト) のようにプレフィックスを付ける必要があります。turtle.Turtle()オブジェクトを作成し、そのオブジェクトに対してメソッドを呼び出していることを確認してください。 例:my_turtle = turtle.Turtle()の後、my_turtle.setposition(x, y)と記述する。
引数の型が間違っている (TypeError)
エラーの原因
- 引数の数が間違っている場合（例えば、1つだけ渡すなど）。ただし、タプル
(x, y)として1つの引数で渡すことは可能です。
例
import turtle
t = turtle.Turtle()
# エラー: 文字列を渡している
# t.setposition("100", "50")
# エラー: 引数が足りない（タプルで渡す場合はOK）
# t.setposition(100)
# 正しい
t.setposition(100, 50)
t.setposition((100, 50)) # タプルでもOK
トラブルシューティング
- X座標とY座標の両方を個別に、またはタプルとして正確に渡していることを確認してください。
- 引数が数値（整数または浮動小数点数）であることを確認してください。
タートルが描画されていない、または予期せぬ線が描画される
エラーの原因
- 逆に、線を引かせたいのに引かれていない場合は、
setposition()の代わりにgoto()を使うべきです。 setposition()はデフォルトで線を引かずに移動します。もし線が引かれている場合は、penup()を呼び出す前にsetposition()を呼び出している可能性があります。
例
import turtle
t = turtle.Turtle()
# 意図せず線が引かれてしまう例
t.pendown() # ペンを下ろす
t.forward(50)
t.setposition(100, 100) # ここで線が引かれる (goto() のように動作する)
t.forward(50)
# 正しい使い方 (線を引かずに移動)
t.penup() # ペンを上げる
t.setposition(-100, -100) # 線を引かずに移動
t.pendown() # ペンを下ろす
t.forward(50)
トラブルシューティング
- 移動中に線を描画したい場合
setposition()の代わりにt.goto(x, y)を使用してください。goto()はペンが下がっている状態であれば線を引きます。 - 線を引かずに移動したい場合
setposition()を呼び出す前に必ずt.penup()を呼び出し、移動後にt.pendown()を呼び出して描画を再開してください。
タートルが画面外に消えてしまう
エラーの原因
- 指定した座標がタートルグラフィックスのウィンドウの範囲外にある場合。デフォルトの座標系は、中心が (0,0) で、X軸は左右、Y軸は上下に広がっています。
例
import turtle
screen = turtle.Screen()
t = turtle.Turtle()
# 非常に大きな座標を指定すると、タートルが画面外に出てしまう可能性がある
t.setposition(1000, 1000)
トラブルシューティング
- 画面全体を表示したい場合は、
screen.tracer(0)とscreen.update()を組み合わせてアニメーションを高速化し、描画を一度に行うことで、描画過程での画面外移動を視覚的に無視することもできます。 t.home()を使うと、タートルを原点 (0,0) に戻すことができます。- タートルの現在の位置を確認するには
t.position()またはt.pos()を使用できます。 turtle.Screen().setup(width, height)を使ってウィンドウのサイズを確認し、適切な座標範囲内でsetposition()を使用してください。
turtle.setposition() の後にタートルの向きが変わらない
エラーの原因
setposition()はタートルの位置を変更しますが、タートルの向き（heading）は変更しません。タートルの向きを変えるには、別のメソッドを使用する必要があります。
- タートルの向きを変更したい場合は、
t.setheading(angle)、t.left(angle)、t.right(angle)などのメソッドを使用してください。
- インデント
Pythonではインデント（字下げ）が重要です。関数やループ内でsetposition()を使用している場合、正しいインデントがされているか確認してください。 - screen.mainloop() または turtle.done()
コードの最後に必ずscreen.mainloop()またはturtle.done()を記述してください。これにより、タートルグラフィックスウィンドウが開いたままになり、描画結果を確認できます。これらがないと、プログラムがすぐに終了し、ウィンドウがすぐに閉じてしまうことがあります。 - デバッグ
プログラムの途中でprint(t.position())を挿入して、タートルの現在の位置を確認すると、問題の特定に役立ちます。
turtle.setposition() は、タートル（描画するカメのアイコン）を特定の座標にジャンプさせる（線を描かずに移動する）際に使用します。
例1：ペンを上げて図形を描く
この例では、setposition() を使って、ペンを上げた状態でタートルを移動させ、複数の独立した図形を描きます。
import turtle
# スクリーンとタートルの設定
screen = turtle.Screen()
screen.setup(width=600, height=400) # ウィンドウサイズの設定
t = turtle.Turtle()
t.speed(3) # 描画速度 (1:最も遅い, 10:速い, 0:最も速い)
# 四角形を描く
t.penup() # ① ペンを上げる (線を引かないようにする)
t.setposition(-150, 50) # ② (-150, 50) の位置に移動 (線は引かれない)
t.pendown() # ③ ペンを下ろす (ここから線が引かれる)
t.color("blue") # 色を青に設定
for _ in range(4): # 四角形を描くループ
t.forward(100) # 前に進む
t.right(90) # 右に90度回転
# 円を描く
t.penup() # ④ ペンを上げる
t.setposition(100, 0) # ⑤ (100, 0) の位置に移動 (線は引かれない)
t.pendown() # ⑥ ペンを下ろす
t.color("red") # 色を赤に設定
t.circle(50) # 半径50の円を描く
# 三角形を描く
t.penup() # ⑦ ペンを上げる
t.setposition(-50, -100) # ⑧ (-50, -100) の位置に移動 (線は引かれない)
t.pendown() # ⑨ ペンを下ろす
t.color("green") # 色を緑に設定
for _ in range(3): # 三角形を描くループ
t.forward(100) # 前に進む
t.left(120) # 左に120度回転
# ウィンドウを閉じるまで待機
screen.mainloop()
解説
t.penup()とt.pendown()をt.setposition()の前後で適切に使うことで、移動中に線が引かれるのを防ぎ、図形を描きたい場所からのみ線が引かれるようにしています。t.setposition(x, y)は、タートルを(x, y)座標に「瞬間移動」させます。タートルの向きは変わりません。
例2：特定の座標に点を打つ
この例では、setposition() を使って複数の指定された座標に移動し、それぞれ異なる色の点を打ちます。
import turtle
screen = turtle.Screen()
screen.setup(width=500, height=500)
t = turtle.Turtle()
t.speed(0) # 最速で描画
t.penup() # 点を打つ前にペンを上げておく (移動中に線を引かないため)
t.hideturtle() # タートルアイコンを非表示にする (点だけを見せるため)
# 点の座標と色をリストで定義
points = [
(100, 100, "blue"),
(-150, 50, "red"),
(0, -100, "green"),
(200, -50, "purple"),
(-50, 150, "orange")
]
# 各点に移動して描画
for x, y, color in points:
t.setposition(x, y) # 指定された座標に移動
t.dot(10, color) # 直径10ピクセルの点を指定された色で描画
screen.mainloop()
解説
t.penup()を最初に呼び出すことで、すべての移動中に線が引かれるのを防いでいます。t.hideturtle()でタートルのアイコンを非表示にすることで、描画される点に集中できます。t.dot(size, color)は、現在の位置に点を描画する便利なメソッドです。setposition()で移動した後に呼び出しています。
例3：座標軸を描いてから図形を描く
この例では、最初に setposition() を使って原点 (0,0) を基準に座標軸を描画し、その後別の図形を描きます。
import turtle
screen = turtle.Screen()
screen.setup(width=600, height=600)
t = turtle.Turtle()
t.speed(0) # 最速
# 座標軸を描く
t.penup()
t.goto(-screen.window_width() / 2 + 20, 0) # 左端近くに移動
t.pendown()
t.forward(screen.window_width() - 40) # X軸を描く
t.write("X軸", align="left", font=("Arial", 10, "normal"))
t.penup()
t.goto(0, -screen.window_height() / 2 + 20) # 下端近くに移動
t.pendown()
t.setheading(90) # 上を向く
t.forward(screen.window_height() - 40) # Y軸を描く
t.write("Y軸", align="left", font=("Arial", 10, "normal"))
# 原点 (0,0) に戻る
t.penup()
t.setposition(0, 0) # 原点に移動 (線は引かない)
t.pendown()
t.dot(5, "black") # 原点に黒い点を打つ
t.write("(0,0)", align="left", font=("Arial", 8, "normal"))
# 図形を描く (原点を基準に)
t.penup()
t.setposition(50, 50) # 右上に移動
t.pendown()
t.color("purple")
t.circle(30) # 半径30の円を描く
t.penup()
t.setposition(-100, -80) # 左下に移動
t.pendown()
t.color("brown")
t.begin_fill() # 塗りつぶしの開始
for _ in range(5): # 五角形を描く
t.forward(60)
t.left(72)
t.end_fill() # 塗りつぶしの終了
screen.mainloop()
screen.window_width()とscreen.window_height()を使って、スクリーンの幅と高さを動的に取得し、座標軸の長さを調整しています。- X軸とY軸を描画するために
setposition()を使って開始点に移動し、setheading()で向きを調整しています。 - 最後に
setposition(0,0)で原点に戻り、そこから別の図形を描き始めています。
turtle.setposition() はタートルを特定の絶対座標に「ジャンプ」させるメソッドですが、Pythonの turtle モジュールには他にもタートルを移動させるための様々なメソッドがあります。これらのメソッドは、目的や移動方法に応じて使い分けられます。
turtle.goto(x, y) または turtle.goto((x, y))
説明
これが setposition() の最も直接的な代替であり、かつ最も一般的に使用される移動メソッドです。goto() は、タートルを現在の位置から指定された絶対座標 (x, y) へ移動させます。
setposition() との主な違い
goto()は、タートルがペンを下ろしている状態（pendown()）であれば、移動中に線を描画します。ペンが上がっている状態（penup()）であれば、setposition()と同じように線を描かずに移動します。setposition()は常に線を引かずに移動します（penup()の状態と同じ）。
使用例
import turtle
t = turtle.Turtle()
t.speed(1)
# 線を引かずに移動したい場合 (goto を setposition のように使う)
t.penup()
t.goto(100, 50) # 線を引かずに (100, 50) へ移動
t.pendown()
t.circle(20)
# 線を引きながら移動したい場合
t.goto(-100, -50) # 現在の位置から (-100, -50) まで線を引く
turtle.setx(x) と turtle.sety(y)
説明
これらのメソッドは、タートルのX座標またはY座標のみを変更します。もう一方の座標はそのまま維持されます。
使用例
import turtle
t = turtle.Turtle()
t.speed(1)
t.forward(50) # (0,0) から (50,0) へ移動し線を描く
# X座標のみを変更 (Y座標は0のまま)
t.setx(150) # (50,0) から (150,0) へ移動し線を描く (ペンが下がっているため)
# Y座標のみを変更 (X座標は150のまま)
t.sety(100) # (150,0) から (150,100) へ移動し線を描く
t.penup()
t.setx(-100) # 線を引かずに X 座標のみ変更
t.pendown()
t.circle(30)
用途
特定の軸に沿ってのみタートルを移動させたい場合に便利です。goto() と同様に、ペンが下がっていれば線を描画します。
turtle.forward(distance) / turtle.fd(distance) と turtle.backward(distance) / turtle.bk(distance) / turtle.back(distance)
説明
これらはタートルの「現在の向き」に対して相対的に移動します。forward() はタートルの向いている方向に、backward() はその反対方向に、指定された距離だけ移動します。
setposition() との主な違い
- これらのメソッドは、ペンが下がっていれば移動中に線を描画します。
setposition()は絶対座標への移動ですが、これらは相対的な移動です。
使用例
import turtle
t = turtle.Turtle()
t.speed(1)
t.forward(100) # 現在の向き (右) へ100移動
t.left(90) # 左に90度回転 (上を向く)
t.forward(50) # 上へ50移動
t.setposition(-50, -50) # 線を引かずに絶対座標へ移動 (タートルの向きは変わらない)
t.backward(30) # 新しい位置から、現在の向き (上を向いたまま) の逆方向 (下) へ30移動
用途
直線的な動きや、図形の一部を現在の向きに基づいて描画する場合に非常に適しています。
turtle.circle(radius, extent=None, steps=None)
説明
円弧や円を描画するためのメソッドです。これは直接的な移動メソッドではありませんが、タートルの位置と向きを円形に変化させます。
setposition() との主な違い
circle()は常に線を描画します（塗りつぶしの設定によっては塗りつぶしも行われます）。setposition()は瞬間移動ですが、circle()は連続的に動きながら円弧を描画します。
使用例
import turtle
t = turtle.Turtle()
t.speed(1)
t.setposition(-100, 0) # 線を引かずに左に移動
t.circle(50) # 半径50の円を描く
t.setposition(100, 0) # 線を引かずに右に移動
t.circle(50, 180) # 半径50で180度の円弧を描く
用途
円形のアートや曲線を描く際に使用します。
| メソッド | 移動方法 | 線を描くか？ (pendown() 時) | 主な用途 |
|---|---|---|---|
turtle.setposition(x, y) | 絶対座標へのジャンプ | いいえ (常に) | 線を引かずに特定の場所へ移動したい場合。 |
turtle.goto(x, y) | 絶対座標への移動 | はい | 線を引きながら特定の場所へ移動したい場合。 |
turtle.setx(x) | X座標のみ変更 | はい | X軸に沿って移動したい場合。 |
turtle.sety(y) | Y座標のみ変更 | はい | Y軸に沿って移動したい場合。 |
turtle.forward(dist) | 相対的な前方移動 | はい | 現在の向きに基づいて直進したい場合。 |
turtle.backward(dist) | 相対的な後方移動 | はい | 現在の向きに基づいて後退したい場合。 |
turtle.circle(...) | 円弧の描画 | はい | 円や曲線を描きたい場合。 |