Pythonグラフィックス入門:タートルからPygame, Tkinterまで代替手法を解説

2025-06-06

Pythonの「turtle」モジュールは、教育目的で広く使われているグラフィックスライブラリです。これは、仮想的な「タートル(亀)」が画面上を移動しながら線を描画するという、シンプルで直感的な方法で図形を描くことができます。まるで、紙の上にペンを持った亀が歩き回るようなイメージです。

以下に、主要な機能と概念を説明します。

基本的な考え方 (基本的な考え方)

  • 状態 (State)
    タートルは、その位置、向き、ペンの色、ペンの太さ、ペンの上げ下げなど、様々な状態を持っています。
  • キャンバス (Canvas)
    タートルが描画を行う領域です。通常、Pythonのウィンドウ全体がキャンバスとなります。
  • タートル (Turtle)
    画面上に表示される三角形や亀の形をしたカーソルです。このタートルが移動することで線が描かれます。

タートルの作成と表示 (タートルの作成と表示)

タートルグラフィックスを始めるには、まずタートルオブジェクトを作成します。

import turtle

# タートルオブジェクトの作成
my_turtle = turtle.Turtle()

タートルの移動と描画 (タートルの移動と描画)

タートルの動きは、主に以下のコマンドで行います。

  • goto(x, y) / setposition(x, y) / setpos(x, y)
    タートルを指定された座標 (x, y) に移動させます。ペンが下がっていれば線が描かれます。
    my_turtle.goto(0, 0) # 原点に移動
    
  • left(angle) / lt(angle)
    タートルを反時計回りに指定された角度だけ回転させます。
    my_turtle.left(45) # 45度左に回転
    
  • right(angle) / rt(angle)
    タートルを時計回りに指定された角度だけ回転させます。
    my_turtle.right(90) # 90度右に回転
    
  • backward(distance) / bk(distance) / back(distance)
    タートルが現在向いている方向とは逆方向に指定された距離だけ後退し、線を描きます。
    my_turtle.backward(50) # 50ピクセル後退
    
  • forward(distance) / fd(distance)
    タートルが現在向いている方向に指定された距離だけ前進し、線を描きます。
    my_turtle.forward(100) # 100ピクセル前進
    

ペンの制御 (ペンの制御)

タートルが線を描くかどうかは、ペンの状態によって決まります。

  • end_fill()
    塗りつぶしを終了し、begin_fill() 以降に描かれた図形を塗りつぶします。
    my_turtle.end_fill()
    
  • begin_fill()
    塗りつぶしを開始する合図です。このコマンド以降に描かれた閉じられた図形が塗りつぶしの対象となります。
    my_turtle.begin_fill()
    
  • fillcolor(colorstring)
    図形を塗りつぶす際の色を設定します。
    my_turtle.fillcolor("blue") # 塗りつぶしの色を青に設定
    
  • pencolor(colorstring)
    ペンの色を設定します。色の名前(例: "red", "blue")やRGB値で指定できます。
    my_turtle.pencolor("red") # ペンの色を赤に設定
    
  • pensize(width) / width(width)
    ペンの太さを設定します。
    my_turtle.pensize(3) # ペンの太さを3ピクセルに設定
    
  • pendown() / pd()
    ペンを下げます。この後タートルが移動すると線が描かれます。
    my_turtle.pendown()
    
  • penup() / pu()
    ペンを上げます。この後タートルが移動しても線は描かれません。
    my_turtle.penup()
    

画面の制御 (画面の制御)

  • turtle.done() / screen.mainloop() / screen.exitonclick()
    グラフィックスウィンドウを開いたままにするための重要なコマンドです。これが呼び出されないと、スクリプトの実行が終了すると同時にウィンドウが閉じてしまいます。exitonclick() は、ウィンドウがクリックされるまで待機します。
    turtle.done()
    # または
    # screen.mainloop()
    # または
    # screen.exitonclick()
    
  • screen.setup(width, height, startx, starty)
    画面のサイズと位置を設定します。
    screen.setup(width=600, height=400)
    
  • screen.title(titlestring)
    画面のタイトルバーに表示されるテキストを設定します。
    screen.title("私のタートルグラフィックス")
    
  • screen.bgcolor(colorstring)
    画面の背景色を設定します。
    screen.bgcolor("lightblue") # 背景を水色に設定
    
  • turtle.Screen()
    描画が行われる画面オブジェクトを取得します。
    screen = turtle.Screen()
    
  • clear()
    画面上の描画をクリアしますが、タートルの状態は変更しません。
    my_turtle.clear()
    
  • reset()
    タートルの状態を初期値に戻し、画面をクリアします。
    my_turtle.reset()
    
  • showturtle() / st()
    タートルを表示します。
    my_turtle.showturtle()
    
  • hideturtle() / ht()
    タートルを非表示にします。
    my_turtle.hideturtle()
    
  • speed(speed)
    タートルの描画速度を設定します。0(最速)から10(最遅)までの整数値、または"fastest" (0), "fast" (10), "normal" (6), "slow" (3), "slowest" (1) の文字列で指定できます。
    my_turtle.speed(0) # 最速で描画
    
  • write(arg, move=False, align="left", font=("Arial", 8, "normal"))
    現在のタートルの位置にテキストを書き込みます。
    my_turtle.write("こんにちは!", font=("Arial", 16, "normal"))
    
  • dot(size=None, *color)
    現在のタートルの位置に点(ドット)を描きます。
    my_turtle.dot(10, "green") # 緑色の直径10のドットを描く
    
  • circle(radius, extent=None, steps=None)
    円を描きます。radius は半径、extent は描画する角度(デフォルトは360度)、steps は円を近似する多角形の辺の数です。
    my_turtle.circle(50) # 半径50の円を描く
    

イベント処理 (イベント処理)

turtle モジュールは、キーボードイベントやマウスクリックイベントを処理する機能も提供しています。

  • screen.onclick(fun, btn=1, add=None)
    マウスがクリックされたときに fun 関数を実行します。
  • screen.onkey(fun, key)
    指定されたキーが押されたときに fun 関数を実行します。

これらの機能を使うことで、インタラクティブな描画アプリケーションを作成することができます。



ウィンドウがすぐに閉じてしまう (ウィンドウがすぐに閉じてしまう)

これは最もよくある問題です。スクリプトが終了すると同時にタートルグラフィックスのウィンドウも閉じてしまいます。

  • 解決策
    スクリプトの最後に以下のいずれかの行を追加します。

    • turtle.done()
    • turtle.mainloop()
    • screen.mainloop() (もし screen = turtle.Screen() でScreenオブジェクトを作成した場合)
    • screen.exitonclick() (ウィンドウをクリックするまで閉じないようにする場合)


    import turtle
    
    my_turtle = turtle.Turtle()
    my_turtle.forward(100)
    
    turtle.done() # これを追加することでウィンドウが開いたままになります
    
  • 原因
    タートルグラフィックスのウィンドウは、明示的に閉じない限り開いたままにしておくためのループが必要だからです。

  • エラー/問題の症状
    プログラムを実行しても、一瞬だけウィンドウが表示されてすぐに消えてしまう。

NameError: name 'turtle' is not defined (NameError: 'turtle' が定義されていません)

  • 解決策
    スクリプトの冒頭で import turtle と記述しているか確認してください。もし from turtle import * のようにインポートしている場合は、turtle.forward() の代わりに forward() のように直接関数名を呼び出す必要があります。混乱を避けるため、通常は import turtle の形式が推奨されます。


    import turtle # これが抜けていないか確認
    
    my_turtle = turtle.Turtle()
    my_turtle.forward(100)
    turtle.done()
    
  • 原因
    turtleモジュールが正しくインポートされていないか、モジュールの名前を間違えている。

  • エラー/問題の症状
    turtleの関数(例: turtle.forward()) を呼び出したときにこのエラーが出る。

AttributeError: 'Turtle' object has no attribute 'some_method' (AttributeError: 'Turtle' オブジェクトに 'some_method' という属性がありません)

  • 解決策
    Pythonのエラーメッセージは非常に役立ちます。some_method の部分に表示されているメソッド名を確認し、スペルミスがないか、またはそのメソッドが実際に存在するかどうかをturtleモジュールのドキュメントで確認してください。

    例 (間違い)

    import turtle
    my_turtle = turtle.Turtle()
    my_turtle.forword(100) # ここが間違い
    turtle.done()
    

    例 (正しい)

    import turtle
    my_turtle = turtle.Turtle()
    my_turtle.forward(100) # 正しいスペル
    turtle.done()
    
  • 原因
    メソッドの名前を打ち間違えている(例: forwardforword と記述)。

  • エラー/問題の症状
    my_turtle.forword(100) のように、タートルオブジェクトのメソッドを呼び出したときにエラーが出る。

タートルが何も描画しない (タートルが何も描画しない)

  • 解決策
    線を描画したい場所で pendown() を呼び出しているか確認してください。


    import turtle
    
    my_turtle = turtle.Turtle()
    my_turtle.penup()    # ペンを上げた状態
    my_turtle.forward(50) # ここでは描画されない
    my_turtle.pendown()  # ペンを下げる
    my_turtle.forward(50) # ここで描画される
    turtle.done()
    
  • 原因
    ペンが上がっている(penup() が呼び出されている)状態になっている。

  • エラー/問題の症状
    タートルが移動しているように見えるが、線が描かれない。

画面が真っ白で何も表示されない (画面が真っ白で何も表示されない)

  • 解決策

    1. タートルの初期位置(通常は中央の (0,0))から始めて、描画される範囲を意識する。my_turtle.home() で原点に戻すことができます。
    2. my_turtle.speed(1) のように速度を落としてみる。speed(0) は最速ですが、表示が速すぎて見えない場合もあります。
    3. my_turtle.pencolor("black")screen.bgcolor("white") のように、ペンや背景の色を明示的に指定してみる。


    import turtle
    
    screen = turtle.Screen()
    screen.bgcolor("white") # 背景色を白に設定
    my_turtle = turtle.Turtle()
    my_turtle.pencolor("black") # ペンの色を黒に設定
    my_turtle.speed(3) # 描画速度を少し遅くする
    
    my_turtle.forward(100)
    turtle.done()
    
  • 原因

    1. タートルが画面の外に移動してしまっている。
    2. 描画速度が非常に速く、一瞬で終わってしまっている(特に複雑な図形の場合)。
    3. タートルや描画された図形の色が背景色と同じになっている。
  • エラー/問題の症状
    ウィンドウは開くが、タートルも図形も何も表示されない。

コードが思った通りに動かない/論理エラー (コードが思った通りに動かない/論理エラー)

  • 解決策

    1. 段階的な実行とデバッグ
      コードを少しずつ実行し、各ステップでタートルの位置と向きがどうなっているかを頭の中で追跡するか、簡単な図に書いてみる。
    2. print() デバッグ
      タートルの現在の位置 (my_turtle.pos()) や向き (my_turtle.heading()) を print() 関数で出力して確認する。
    3. コメントアウト
      問題のあると思われる部分を一時的にコメントアウトして、どこから問題が発生しているか特定する。
    4. 図形の性質を再確認
      描画したい図形の角度や辺の長さの性質を再確認する(例: 正三角形の内角は60度だが、タートルが回転するのは外角なので120度回す必要がある)。

    例 (正三角形の例)

    import turtle
    my_turtle = turtle.Turtle()
    my_turtle.speed(1)
    
    # 正三角形を描く(外角は120度)
    for _ in range(3):
        my_turtle.forward(100)
        my_turtle.right(120) # ここで120度回転
    
    turtle.done()
    
  • 原因

    1. 角度の計算ミス(例: 正方形を描くのに90度ではなく、別の角度で回転させている)。
    2. ループの回数や範囲が間違っている。
    3. 座標の指定ミス。
    4. penup()pendown() の呼び出しが間違っている。
  • エラー/問題の症状
    エラーメッセージは出ないが、描画される図形が期待したものと異なる。

環境に依存する問題 (環境に依存する問題)

  • 解決策
    1. IDEの設定確認
      使用しているIDEがTkinterベースのGUIを正しく表示できる設定になっているか確認する。
    2. Pythonの再インストール(特にLinuxの場合)
      Linuxディストリビューションによっては、TkinterがPythonの標準インストールに含まれていない場合があります。その際は、sudo apt-get install python3-tk (Debian/Ubuntu系) や sudo dnf install python3-tkinter (Fedora系) のように、Tkinterライブラリを別途インストールする必要があるかもしれません。
    3. 異なる実行方法を試す
      IDEでうまくいかない場合、コマンドラインから直接Pythonスクリプトを実行してみる(例: python your_script.py)。
  • 原因
    1. IDEの環境設定(Tkinterの互換性など)。
    2. PythonのインストールにTkinter(turtleが依存するGUIライブラリ)が含まれていない場合。
  • エラー/問題の症状
    特定のIDE(PyCharm, VS Codeなど)やOSでturtleがうまく動作しない、またはエラーが出る。


基本的な四角形を描く (基本的な四角形を描く)

最も基本的な例として、単純な四角形を描いてみましょう。

import turtle # turtleモジュールをインポート

# スクリーンオブジェクトとタートルオブジェクトを作成
screen = turtle.Screen()
my_turtle = turtle.Turtle()

# タートルを少し早くする (オプション)
my_turtle.speed(1) # 1 (最も遅い) から 10 (速い), 0 (最速)

# 四角形を描く
for _ in range(4): # 4回繰り返す
    my_turtle.forward(100) # 100ピクセル前進
    my_turtle.right(90)    # 90度右に回転

# ウィンドウがすぐに閉じないようにする
turtle.done()

解説

  • turtle.done(): これがないと、プログラムが終了すると同時にウィンドウも閉じてしまいます。この行があることで、ウィンドウが開いたままになり、描画結果を確認できます。
  • my_turtle.right(90): タートルを右に90度回転させます。これにより、次の辺を描く準備ができます。
  • my_turtle.forward(100): タートルが向いている方向に100ピクセル進みます。ペンが下りている状態なので、線が描かれます。
  • for _ in range(4):: 四角形には4つの辺があるので、このループを4回繰り返します。_はループ変数を使わない場合に慣習的に使われます。
  • my_turtle.speed(1): タートルの動きの速さを設定します。数字が小さいほど遅く、大きいほど速くなります。0は最速です。
  • my_turtle = turtle.Turtle(): 描画を行う「タートル」オブジェクトを作成します。これが画面上を動き回ります。
  • screen = turtle.Screen(): 描画を行う画面(ウィンドウ)オブジェクトを作成します。背景色の設定など、画面全体の操作に使います。
  • import turtle: turtleモジュールを使用するために必須です。

星形を描く (星形を描く)

少し複雑な図形として、星形を描いてみましょう。星形は、同じ角度で回転と前進を繰り返すことで描けます。

import turtle

screen = turtle.Screen()
screen.bgcolor("skyblue") # 背景を水色に

star_turtle = turtle.Turtle()
star_turtle.speed(0) # 最速で描画
star_turtle.pencolor("red") # ペンの色を赤に
star_turtle.pensize(2) # ペンの太さを2に

# 星形を描く
for _ in range(5): # 5つの角を持つ星
    star_turtle.forward(150) # 150ピクセル前進
    star_turtle.right(144)   # 144度右に回転 (360 / 5 * 2 の計算から)

turtle.done()

解説

  • star_turtle.right(144): 5つの角を持つ星形を描く場合、タートルは毎回144度回転します。これは、星の内角から導かれる外角の計算に基づいています。
  • star_turtle.pensize(2): ペンの太さを2ピクセルに設定しています。
  • star_turtle.pencolor("red"): ペンの色を"red"に設定しています。色の名前は多数使用できます(例: "blue", "green", "purple"など)。
  • screen.bgcolor("skyblue"): 画面の背景色を"skyblue"に設定しています。

塗りつぶされた円とテキスト (塗りつぶされた円とテキスト)

色を塗りつぶした図形を描き、その上にテキストを表示する例です。

import turtle

screen = turtle.Screen()
screen.bgcolor("lightgray") # 背景を薄い灰色に

circle_turtle = turtle.Turtle()
circle_turtle.speed(1)
circle_turtle.pencolor("darkgreen") # ペンの色を濃い緑に
circle_turtle.fillcolor("lightgreen") # 塗りつぶし色を薄い緑に

circle_turtle.penup() # 線を描かずに移動
circle_turtle.goto(-50, 0) # 円を描き始める位置に移動
circle_turtle.pendown() # ペンを下げる

# 円を描いて塗りつぶす
circle_turtle.begin_fill() # 塗りつぶし開始
circle_turtle.circle(70) # 半径70の円を描く
circle_turtle.end_fill() # 塗りつぶし終了

# テキストを書き込む
circle_turtle.penup() # 線を描かずに移動
circle_turtle.goto(-100, -100) # テキストの開始位置に移動
circle_turtle.pencolor("navy") # テキストの色を紺色に
circle_turtle.write("こんにちは、タートル!", font=("Arial", 16, "normal")) # テキストの表示

turtle.done()

解説

  • circle_turtle.write("こんにちは、タートル!", font=("Arial", 16, "normal")): 現在のタートルの位置にテキストを書き込みます。font引数でフォントの種類、サイズ、スタイルを指定できます。
  • circle_turtle.circle(70): 半径70の円を描きます。タートルの向きによって、円が描かれる方向が変わります。
  • circle_turtle.begin_fill(): これ以降に描かれる図形が、end_fill() が呼ばれたときにfillcolorで指定された色で塗りつぶされます。
  • circle_turtle.goto(-50, 0): タートルを画面上の特定の座標に移動させます。
  • circle_turtle.penup() / circle_turtle.pendown(): penup() を呼ぶとペンが上がり、タートルが移動しても線が描かれません。pendown() でペンが下がり、再び線が描かれるようになります。これで、描画せずにタートルの位置を調整できます。
  • circle_turtle.fillcolor("lightgreen"): begin_fill()end_fill() の間で描かれた図形を塗りつぶす色を設定します。

関数とランダムな描画 (関数とランダムな描画)

プログラミングの重要な概念である「関数」を使い、ランダムな動きで線を引く例です。

import turtle
import random # ランダムな数値を生成するためにインポート

screen = turtle.Screen()
screen.setup(width=600, height=600) # 画面サイズを設定
screen.bgcolor("black")

random_turtle = turtle.Turtle()
random_turtle.speed(0)
random_turtle.pensize(1)

# ランダムな色を生成する関数
def get_random_color():
    r = random.random() # 0.0から1.0までの浮動小数点数を生成
    g = random.random()
    b = random.random()
    return (r, g, b) # RGB値のタプルを返す

# タートルグラフィックスはデフォルトで0から255のRGB値を使うが、
# random.random()は0から1なので、カラーモードを変更する
screen.colormode(1.0) # カラーモードを0-1の浮動小数点数に設定

for _ in range(200): # 200回繰り返す
    random_turtle.pencolor(get_random_color()) # ランダムな色を設定
    random_turtle.forward(random.randint(50, 150)) # 50から150ピクセル前進
    random_turtle.right(random.randint(0, 360))   # 0から360度ランダムに回転

turtle.done()

解説

  • random.randint(0, 360): 0から360までのランダムな整数を生成し、タートルの回転角度に使います。
  • random.randint(50, 150): 50から150までのランダムな整数を生成します。
  • screen.colormode(1.0): デフォルトではturtleの色の指定は0-255の整数値ですが、colormode(1.0)とすることで、0.0から1.0までの浮動小数点数で色を指定できるようになります。これにより、random.random()の出力をそのまま色として使えます。
  • get_random_color(): 独自の関数を定義しています。この関数は、赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれにランダムな値を生成し、色のタプルとして返します。
  • screen.setup(width=600, height=600): 画面の幅と高さをピクセル単位で設定します。
  • import random: randomモジュールをインポートすることで、ランダムな数値を生成する関数(例: random.random(), random.randint()) を使えるようになります。

イベント処理(クリックでタートルが動く) (イベント処理(クリックでタートルが動く))

ユーザーからの入力(イベント)に応じてタートルを動かす例です。

import turtle

screen = turtle.Screen()
screen.setup(width=600, height=400)
screen.title("クリックでタートルを移動")
screen.bgcolor("lightyellow")

event_turtle = turtle.Turtle()
event_turtle.shape("turtle") # タートルの形を亀にする
event_turtle.color("blue")
event_turtle.speed(0)
event_turtle.penup() # 線を描かずに移動

# マウスクリック時に実行する関数
def move_to_click(x, y):
    event_turtle.goto(x, y) # クリックされた座標にタートルを移動
    event_turtle.pendown()  # ペンを下ろして描画開始
    event_turtle.dot(5, "red") # 移動先に赤い点を打つ
    event_turtle.penup()    # 再びペンを上げる

# スクリーンにクリックイベントを登録
screen.onclick(move_to_click) # screen.onclick(関数名) で関数を登録

# キーボードイベントの例(スペースキーでホームに戻る)
def go_home():
    event_turtle.penup()
    event_turtle.home() # 原点 (0,0) に戻る
    event_turtle.pendown()

screen.onkey(go_home, "space") # スペースキーが押されたらgo_home関数を実行
screen.listen() # キーボード入力を受け付けるようにする

turtle.done()
  • screen.listen(): キーボードイベントを有効にするために、この行を呼び出す必要があります。
  • screen.onkey(go_home, "space"): screenオブジェクトのonkeyメソッドを使って、スペースキーが押されたときにgo_home関数を実行するように設定しています。
  • event_turtle.dot(5, "red"): 現在のタートルの位置に、直径5ピクセルの赤い点を描画します。
  • screen.onclick(move_to_click): screenオブジェクトのonclickメソッドを使って、move_to_click関数をマウスクリックイベントに紐付けます。これにより、画面がクリックされるたびにこの関数が実行されます。
  • def move_to_click(x, y):: マウスクリックイベントが発生したときに呼び出される関数を定義します。この関数には、クリックされた座標 xy が自動的に渡されます。
  • event_turtle.shape("turtle"): タートルの形状をデフォルトの矢印から「亀」に変更しています。他にも"arrow", "circle", "square", "triangle", "classic"などがあります。


Pythonのturtleモジュールは、教育用途やシンプルなグラフィックス描画に非常に優れていますが、より高度なグラフィックス、ゲーム開発、GUIアプリケーションなどを目指す場合、他のライブラリやフレームワークに目を向けることになります。

ここでは、turtleの代替としてよく使われる、または知っておくと良いプログラミング方法をいくつかご紹介します。

tkinter (ティキンター)

turtleモジュール自体がtkinterというPythonの標準GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)ライブラリの上に構築されています。つまり、turtleの裏側ではtkinterが動いています。

  • 用途
    シンプルなGUIアプリケーション、カスタマイズされた描画ツール、turtleでは実現できないような細かなグラフィック制御。
  • turtleとの比較
    turtleは「亀が動く」という抽象化されたモデルを提供しますが、tkinterはもっと直接的に「この座標に線を描く」「この場所にボタンを配置する」といった操作を行います。より自由度が高いですが、その分コードは複雑になる傾向があります。
  • 特徴
    • Pythonの標準ライブラリなので、追加インストールが不要。
    • ボタン、テキストボックス、ラベルなどのGUIウィジェットを作成できる。
    • キャンバスウィジェットを使って、turtleよりも低レベルで図形(線、円、四角形など)を直接描画できる。
    • イベント駆動型プログラミング(クリック、キー入力など)が可能。

簡単なコード例 (tkinterで四角形を描く)

import tkinter as tk

root = tk.Tk()
root.title("Tkinter 四角形")

# キャンバスを作成
canvas = tk.Canvas(root, width=300, height=200, bg="white")
canvas.pack()

# 四角形を描画 (x1, y1, x2, y2, オプション)
canvas.create_rectangle(50, 50, 250, 150, outline="blue", fill="lightblue", width=2)

root.mainloop() # ウィンドウを閉じるまで待機

Pygame (パイゲーム)

ゲーム開発に特化した非常に人気のあるライブラリです。

  • 用途
    2Dゲーム開発、インタラクティブなシミュレーション、物理演算の可視化。
  • turtleとの比較
    turtleが静的な図形描画やシンプルなアニメーションに向いているのに対し、Pygameはキャラクターの動き、ユーザーとのインタラクション、BGMや効果音など、本格的なゲーム体験を構築できます。学習コストはturtleより高いですが、その分できることも格段に増えます。
  • 特徴
    • 2Dゲーム開発に最適化されている。
    • 画像(スプライト)、音声、イベント処理、衝突判定など、ゲームに必要な機能が豊富。
    • アニメーションやリアルタイムなグラフィックス描画が得意。
    • クロスプラットフォーム(Windows, macOS, Linuxなど)。

簡単なコード例 (Pygameで円を描く)

import pygame

# Pygameの初期化
pygame.init()

# 画面の幅と高さを設定
screen_width = 800
screen_height = 600
screen = pygame.display.set_mode((screen_width, screen_height))
pygame.display.set_caption("Pygame 円")

running = True
while running:
    for event in pygame.event.get():
        if event.type == pygame.QUIT:
            running = False

    # 画面を白で塗りつぶす
    screen.fill((255, 255, 255)) # RGB (白)

    # 円を描画 (サーフェス, 色, 中心座標, 半径, 太さ)
    pygame.draw.circle(screen, (255, 0, 0), (screen_width // 2, screen_height // 2), 50, 0) # 赤い塗りつぶされた円

    # 画面を更新
    pygame.display.flip()

pygame.quit()

Pyglet (パイグレット)

OpenGLをベースにした、強力なグラフィックス・マルチメディアライブラリです。

  • 用途
    3Dゲーム、高度なグラフィックスを必要とするアプリケーション、リアルタイムレンダリング。
  • Pygameとの比較
    Pygletはより低レベルのグラフィックス制御が可能で、特に3D描画や複雑な2DエフェクトにはPygameよりも向いています。Pygameよりも学習曲線は少し急になるかもしれませんが、柔軟性は高いです。
  • 特徴
    • OpenGLを直接利用するため、高い描画性能を持つ。
    • ゲームやマルチメディアアプリケーションの開発に適している。
    • イベント処理、画像、音声、ビデオの再生に対応。
    • よりモダンなAPIデザイン。

Kivy (キヴィ)

マルチタッチアプリケーションの開発に特化したオープンソースライブラリです。

  • 用途
    モバイルアプリ、組み込みシステム向けUI、独自のルック&フィールを持つデスクトップアプリ。
  • tkinterとの比較
    tkinterが主にデスクトップアプリケーション向けでOSのネイティブウィジェットに似た見た目になるのに対し、Kivyは独自のレンダリングエンジンを持ち、どのプラットフォームでも同じ見た目のアプリケーションを作成できます。
  • 特徴
    • デスクトップだけでなく、iOS、Android、Raspberry Piなど様々なプラットフォームで動作する。
    • 独自UI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)を持つアプリケーションの作成に適している。
    • 宣言型UI(KV言語)とPythonコードを組み合わせてUIを構築。

Matplotlib (マットプロットリブ)

主にデータ可視化のためのライブラリですが、シンプルな図形描画も可能です。

  • 用途
    データサイエンス、科学技術計算、統計グラフ、アルゴリズムの可視化。
  • turtleとの比較
    Matplotlibは「データの表現」に重きを置いており、インタラクティブな描画やゲームのようなものは得意ではありません。しかし、幾何学的なパターンやフラクタル図形を生成し、その結果を画像として保存するといった用途では非常に有用です。
  • 特徴
    • 科学技術計算の結果をグラフ(折れ線、棒グラフ、散布図など)で可視化するのに非常に強力。
    • 2Dプロットが中心だが、3Dプロットも可能。
    • 高品質な図を生成でき、論文やプレゼンテーションでの使用に適している。
import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np

fig, ax = plt.subplots() # 図と軸を作成

# 四角形を描画
rectangle = plt.Rectangle((0.1, 0.1), 0.5, 0.4, fc='skyblue', ec='blue', lw=2) # (x, y), width, height
ax.add_patch(rectangle)

# 円を描画
circle = plt.Circle((0.7, 0.7), 0.1, fc='lightcoral', ec='red', lw=2) # (x, y), radius
ax.add_patch(circle)

ax.set_xlim(0, 1) # x軸の範囲
ax.set_ylim(0, 1) # y軸の範囲
ax.set_aspect('equal', adjustable='box') # アスペクト比を保つ

plt.title("Matplotlib で図形描画")
plt.grid(True)
plt.show() # 図を表示
ライブラリ主な用途turtleからの移行難易度特徴
tkinterGUIアプリケーション、低レベルなグラフィックスPython標準、軽量、ボタンなどのウィジェットも作成可能
Pygame2Dゲーム開発、リアルタイム描画中~高ゲーム特化、スプライト、音、衝突判定など機能豊富
Pyglet3D/高度な2Dグラフィックス、マルチメディアOpenGLベース、高性能、柔軟性が高い
KivyマルチプラットフォームUI、モバイルアプリ独自のUI、タッチ操作、モバイル対応
Matplotlibデータ可視化、科学技術グラフ低~中グラフ作成が得意、静的な図形描画も可、データ表現向き