もう迷わない！importlib.metadata関数APIを使ったPythonプログラミング例

2025-05-31

importlib.metadataモジュールは、Pythonのパッケージに関するメタデータ（情報）にアクセスするための標準ライブラリです。特に、インストールされているサードパーティ製パッケージ（pipなどでインストールされたもの）のバージョン、作者、説明、依存関係、提供ファイルなどの情報をプログラムから取得できます。

このモジュールには主に2つのAPIスタイルがあります。1つはDistributionオブジェクトを扱うオブジェクト指向API、もう1つが今回ご説明する「Functional API（関数API）」です。

Functional APIは、特定の情報を取得するためのシンプルな関数群を提供します。オブジェクトをインスタンス化することなく、必要な情報を直接関数呼び出しで取得できるため、手軽に利用できます。

Functional APIの主な関数

importlib.metadataのFunctional APIで提供される主な関数は以下の通りです。

version(distribution_name):
- 指定されたパッケージの名前（例: 'requests'）を受け取り、そのパッケージのバージョン文字列を返します。
- 最も頻繁に使われる関数の一つです。
- 例
```
from importlib.metadata import version
print(version('setuptools')) # 例: '68.2.2'
```
metadata(distribution_name):
- 指定されたパッケージの名前を受け取り、そのパッケージのすべてのメタデータを含むPackageMetadataオブジェクトを返します。
- PackageMetadataオブジェクトは辞書のように振る舞い、'Author', 'Summary', 'Requires-Python'などのキーでメタデータフィールドにアクセスできます。
- 例
```
from importlib.metadata import metadata
requests_meta = metadata('requests')
print(requests_meta['Author'])
print(requests_meta['Summary'])
```
files(distribution_name):
- 指定されたパッケージによってインストールされたすべてのファイル（パス）のリストを返します。
- 返される各要素はPathオブジェクトに似たPackagePathオブジェクトで、ファイルのサイズやハッシュなどの追加情報を持つことができます。
- この関数は、パッケージがどのように構成されているか、どのファイルがどこにインストールされているかを調べるのに役立ちます。
- ファイルリストのメタデータ（RECORDやSOURCES.txt）が存在しない場合はNoneを返すことがあります。
- 例
```
from importlib.metadata import files
for f in files('requests'):
    if 'README.md' in str(f):
        print(f)
```
requires(distribution_name):
- 指定されたパッケージの依存関係（要件）のリストを返します。
- 各依存関係はPEP 508形式の文字列で表されます（例: "colorama ; sys_platform == 'win32'"）。
- 例
```
from importlib.metadata import requires
print(requires('numpy'))
```
entry_points(group=None):
- インストールされているすべてのエントリポイント、または指定されたグループのエントリポイントを辞書形式で返します。
- エントリポイントは、パッケージが他のアプリケーションやフレームワークに機能を提供するための仕組みです（例: コマンドラインツール、プラグインなど）。
- 返される辞書のキーはエントリポイントのグループ名（例: 'console_scripts'）、値はEntryPointオブジェクトのリストです。
- EntryPointオブジェクトは、name、group、value（実際のオブジェクトへのパス）、そしてload()メソッド（実際のオブジェクトをロードする）などの属性を持ちます。
- 例
```
from importlib.metadata import entry_points
# すべてのエントリポイントを取得
all_eps = entry_points()
# 特定のグループのエントリポイントを取得
console_scripts = entry_points(group='console_scripts')
if 'pip' in console_scripts:
    pip_entry = [ep for ep in console_scripts['pip'] if ep.name == 'pip'][0]
    print(f"pipのエントリポイント: {pip_entry.value}")
```

Functional APIの利点

手軽さ: オブジェクト指向APIのようにDistributionオブジェクトを明示的に取得する必要がないため、ちょっとした情報を調べたい場合に便利です。
シンプルさ: 必要な情報を直接関数呼び出しで取得できるため、コードが簡潔になります。

注意点

Python 3.8以降で標準ライブラリとして導入されました。それ以前のPythonバージョンでは、importlib-metadataというPyPIパッケージをインストールして使用する必要があります（ただし、最新の機能は標準ライブラリ版の方が充実していることが多いです）。
importlib.metadataは、主にpipなどの標準的なツールによってインストールされたパッケージのメタデータにアクセスすることを想定しています。直接sys.pathに追加されただけのモジュールや、Python標準ライブラリのモジュールの一部には適用できない場合があります。

PackageNotFoundError

最も一般的なエラーです。指定したパッケージが見つからない場合に発生します。

エラーメッセージ例

importlib.metadata.PackageNotFoundError: No distribution at 'non_existent_package'

原因

非標準的なインストール
pipを使わずに手動でファイルを配置した場合など、importlib.metadataがメタデータを検出できないことがあります。
開発モードのパッケージ
pip install -e .などで開発モードでインストールされたパッケージの場合、メタデータの検出方法が異なることがあります。しかし、通常はimportlib.metadataで検出可能です。
仮想環境の違い
異なる仮想環境にパッケージがインストールされている可能性があります。現在アクティブな仮想環境を確認してください。
パッケージ名のスペルミス
大文字・小文字を含め、正確なパッケージ名を使用しているか確認してください。Pythonのパッケージ名は、インストールされているディレクトリ名やpip listで表示される名前と一致する必要があります。
パッケージがインストールされていない
最も多い原因です。pip install package_nameでインストールする必要があります。

トラブルシューティング

パッケージのインストール確認
- pip listを実行して、対象のパッケージが一覧に表示されるか確認します。
- 表示されない場合は、pip install package_nameでインストールします。
パッケージ名の正確性
- pip show package_nameを実行して、Name:フィールドに表示される名前とコードで指定した名前が完全に一致するか確認します。
仮想環境の確認
- which pythonまたはwhere pythonを実行し、現在使用しているPythonインタプリタが目的の仮想環境のものであることを確認します。必要であれば、適切な仮想環境をアクティベートし直します。
キャッシュの問題（まれに）
- 非常にまれですが、Python環境のキャッシュが古い情報を持っている場合があります。Pythonインタプリタを再起動したり、仮想環境を再構築したりすることで解決することがあります。

AttributeError: module 'importlib' has no attribute 'metadata'

importlib.metadataを正しくインポートできていない場合に発生します。

エラーメッセージ例

AttributeError: module 'importlib' has no attribute 'metadata'

原因

Pythonのバージョン
importlib.metadataはPython 3.8で標準ライブラリとして追加されました。それ以前のバージョンを使用している場合、このモジュールは存在しません。
誤ったインポート
import importlibだけを行い、importlib.metadataを使おうとしている。importlibモジュール自体にはmetadataという属性はありません。

トラブルシューティング

正しいインポート文
- from importlib.metadata import versionのように、必要な関数を直接インポートするか、import importlib.metadataとしてimportlib.metadata.version()のように使用してください。
Pythonバージョンの確認
- python --versionを実行して、Python 3.8以上を使用しているか確認します。
- Python 3.7以前を使用している場合は、pip install importlib-metadataでバックポート版をインストールし、代わりにそれを使用します。
```
try:
    from importlib.metadata import version
except ImportError:
    # Python 3.7以前の場合のフォールバック
    from importlib_metadata import version

print(version('requests'))
```

TypeError または KeyError （metadata()関数使用時）

metadata()関数が返すPackageMetadataオブジェクトからの情報取得に関する問題です。

エラーメッセージ例

KeyError: 'Author'

TypeError: 'NoneType' object is not subscriptable

原因

metadata()がNoneを返す場合（非常に稀）
特定の状況下で、パッケージが検出されたにもかかわらず、そのメタデータファイルが見つからない場合にmetadata()がNoneを返すことがあります。これは通常、インストールが破損しているか、非標準的なパッケージ構造の場合に限られます。

トラブルシューティング

メタデータフィールドの確認
- metadata(package_name).keys()で、利用可能なすべてのメタデータフィールドを確認します。
- または、print(metadata(package_name))で生データを表示し、どのようなフィールドが存在するかを確認します。
- 存在しないフィールドにアクセスする場合は、get()メソッドを使用してデフォルト値を指定するか、KeyErrorを捕捉して処理します。
```
from importlib.metadata import metadata
pkg_meta = metadata('requests')
author = pkg_meta.get('Author', 'Unknown') # 存在しない場合は'Unknown'を返す
print(author)
```

Noneチェック

metadata()の呼び出し結果がNoneでないことを確認してから、その属性にアクセスするようにします。

from importlib.metadata import metadata
pkg_meta = metadata('some_package')
if pkg_meta:
    print(pkg_meta.get('Summary', 'No summary available.'))
else:
    print("Metadata not found or incomplete.")

files()関数がNoneを返す

files()関数は、パッケージに関連するファイルリストが見つからない場合にNoneを返すことがあります。

原因

メタデータ不足
パッケージのインストール時に、ファイルのリストを含むメタデータ（通常は.dist-infoディレクトリ内のRECORDファイルなど）が生成されなかった場合。これは、非常に古いパッケージや非標準的なインストール方法の場合に起こりえます。

トラブルシューティング

Noneチェック

files()の戻り値がNoneである可能性を考慮して、コードで処理します。

from importlib.metadata import files
pkg_files = files('requests')
if pkg_files:
    for f in pkg_files:
        print(f)
else:
    print("Files metadata not available for this package.")

パッケージの再インストール
- パッケージをアンインストールし、再度pip installでインストールすることで、メタデータが正しく生成される場合があります。

インストール後の情報の不更新

pip installやpip uninstallを行った後でも、importlib.metadataが古い情報を返すように見えることがあります。

原因

Pythonインタプリタのキャッシュ
importlib.metadataはPythonのインポートシステムを通じてメタデータを探索するため、Pythonインタプリタがモジュールやメタデータをキャッシュしている場合があります。特に、同じPythonセッション内でパッケージのインストール/アンインストールとimportlib.metadataの呼び出しを連続して行う場合に発生しやすいです。

Pythonインタプリタの再起動
- 最も確実な方法は、Pythonスクリプトを実行し直すか、インタラクティブシェルを終了して再起動することです。これにより、キャッシュがクリアされ、最新のパッケージ情報が読み込まれます。
（高度な使い方）importlib.metadata.invalidate_caches()
- 特定の状況で、プログラム実行中にメタデータのキャッシュを強制的に無効化したい場合にimportlib.metadata.invalidate_caches()を呼び出すことができます。ただし、これは通常は必要なく、乱用するとパフォーマンスに影響を与える可能性があります。

準備: パッケージのインストール

以下の例を実行する前に、いくつか一般的なパッケージがインストールされていることを確認してください。もしインストールされていなければ、pip install requests numpy pyyamlなどでインストールしてください。

# Python 3.8以降で標準ライブラリとして利用可能
# Python 3.7以前の場合は、pip install importlib-metadata でインストールが必要です

# 例を実行するために、requests, numpy, PyYAML がインストールされていると仮定します。
# もしインストールされていなければ、以下のコマンドでインストールしてください。
# pip install requests numpy pyyaml

パッケージのバージョンを取得する (version())

最も頻繁に使われる機能の一つです。

from importlib.metadata import version, PackageNotFoundError

def get_package_version(package_name):
    """
    指定されたパッケージのバージョンを取得します。
    パッケージが見つからない場合はエラーメッセージを返します。
    """
    try:
        ver = version(package_name)
        print(f"パッケージ '{package_name}' のバージョン: {ver}")
    except PackageNotFoundError:
        print(f"エラー: パッケージ '{package_name}' が見つかりません。")

print("--- 1. パッケージのバージョンを取得する ---")
get_package_version('requests')
get_package_version('numpy')
get_package_version('non_existent_package_xyz') # 存在しないパッケージの例
print("-" * 30 + "\n")

出力例

--- 1. パッケージのバージョンを取得する ---
パッケージ 'requests' のバージョン: 2.31.0  # 環境によってバージョンは異なります
パッケージ 'numpy' のバージョン: 1.26.4   # 環境によってバージョンは異なります
エラー: パッケージ 'non_existent_package_xyz' が見つかりません。
------------------------------

パッケージの全てのメタデータを取得する (metadata())

パッケージに関する詳細な情報を辞書ライクなオブジェクトとして取得します。

from importlib.metadata import metadata, PackageNotFoundError

def get_package_metadata(package_name):
    """
    指定されたパッケージの全てのメタデータを表示します。
    """
    try:
        pkg_meta = metadata(package_name)
        print(f"--- パッケージ '{package_name}' のメタデータ ---")
        for key, value in pkg_meta.items():
            # 長い値は省略して表示
            display_value = value if len(value) < 100 else value[:97] + "..."
            print(f"  {key}: {display_value}")
        print("-" * 30)
    except PackageNotFoundError:
        print(f"エラー: パッケージ '{package_name}' が見つかりません。")

print("--- 2. パッケージの全てのメタデータを取得する ---")
get_package_metadata('requests')
get_package_metadata('pyyaml')
print("-" * 30 + "\n")

出力例

--- 2. パッケージの全てのメタデータを取得する ---
--- パッケージ 'requests' のメタデータ ---
  Metadata-Version: 2.1
  Name: requests
  Version: 2.31.0
  Summary: Python HTTP for Humans.
  Home-page: https://requests.readthedocs.io
  Author: Kenneth Reitz
  Author-email: [email protected]
  License: Apache-2.0
  Keywords:
  Platform:
  Classifier: License :: OSI Approved :: Apache Software License
  Classifier: Programming Language :: Python
  Classifier: Programming Language :: Python :: 3
  Classifier: Programming Language :: Python :: 3.8
  Classifier: Programming Language :: Python :: 3.9
  Classifier: Programming Language :: Python :: 3.10
  Classifier: Programming Language :: Python :: 3.11
  Classifier: Programming Language :: Python :: 3.12
  Requires-Python: >=3.8
  Provides-Extra: security
  Provides-Extra: socks
  Requires-Dist: charset-normalizer>=2,<4
  Requires-Dist: idna>=2.5,<4
  Requires-Dist: urllib3>=1.21.1,<3
  Requires-Dist: certifi>=2017.4.17
  Requires-Dist: pyOpenSSL>=0.14 ; extra == 'security'
  Requires-Dist: cryptography>=1.3.4 ; extra == 'security'
  Requires-Dist: ... # 続きは省略
------------------------------
--- パッケージ 'pyyaml' のメタデータ ---
  Metadata-Version: 2.1
  Name: PyYAML
  Version: 6.0.1
  Summary: YAML parser and emitter for Python.
  Home-page: https://pyyaml.org/
  Author: Kirill Simonov
  Author-email: [email protected]
  License: MIT
  Project-URL: Documentation, https://pyyaml.org/wiki/PyYAMLDocumentation
  Project-URL: Source, https://github.com/yaml/pyyaml
  Project-URL: Changelog, https://github.com/yaml/pyyaml/wiki/CHANGES
  Keywords: yaml, parser, emitter
  Platform: UNKNOWN
  Classifier: Development Status :: 5 - Production/Stable
  Classifier: Intended Audience :: Developers
  Classifier: License :: OSI Approved :: MIT License
  Classifier: Operating System :: OS Independent
  Classifier: Programming Language :: Python
  Classifier: Programming Language :: Python :: 3
  Classifier: Programming Language :: Python :: 3.7
  Classifier: Programming Language :: Python :: 3.8
  Classifier: Programming Language :: Python :: 3.9
  Classifier: Programming Language :: Python :: 3.10
  Classifier: Programming Language :: Python :: 3.11
  Classifier: Programming Language :: Python :: 3.12
  Classifier: Programming Language :: Python :: Implementation :: CPython
  Classifier: Programming Language :: Python :: Implementation :: PyPy
  Requires-Python: >=3.7
------------------------------
------------------------------

パッケージの依存関係を取得する (requires())

パッケージが依存している他のパッケージのリストを取得します。

from importlib.metadata import requires, PackageNotFoundError

def get_package_requirements(package_name):
    """
    指定されたパッケージの依存関係を表示します。
    """
    try:
        reqs = requires(package_name)
        if reqs:
            print(f"--- パッケージ '{package_name}' の依存関係 ---")
            for req in reqs:
                print(f"  - {req}")
            print("-" * 30)
        else:
            print(f"パッケージ '{package_name}' には明示的な依存関係がありません。")
    except PackageNotFoundError:
        print(f"エラー: パッケージ '{package_name}' が見つかりません。")

print("--- 3. パッケージの依存関係を取得する ---")
get_package_requirements('requests')
get_package_requirements('pyyaml')
get_package_requirements('setuptools') # 多くの依存関係を持つ可能性のあるパッケージ
print("-" * 30 + "\n")

出力例

--- 3. パッケージの依存関係を取得する ---
--- パッケージ 'requests' の依存関係 ---
  - charset-normalizer>=2,<4
  - idna>=2.5,<4
  - urllib3>=1.21.1,<3
  - certifi>=2017.4.17
  - pyOpenSSL>=0.14 ; extra == 'security'
  - cryptography>=1.3.4 ; extra == 'security'
  - PySocks!=1.5.7,>=1.5.6 ; extra == 'socks'
------------------------------
パッケージ 'pyyaml' には明示的な依存関係がありません。
--- パッケージ 'setuptools' の依存関係 ---
  - importlib-resources>=1.0; python_version < "3.9"
  - importlib-metadata>=4.6; python_version < "3.10"
  - distlib>=0.3.6
  - packaging>=20.9
  - filelock>=3.4.1
  - typing-extensions>=4.6.0; python_version < "3.10"
------------------------------
------------------------------

パッケージがインストールするファイルを取得する (files())

パッケージによってインストールされたファイルの一覧を取得します。これは、パッケージがどのように構成されているかを理解するのに役立ちます。

from importlib.metadata import files, PackageNotFoundError

def get_package_files(package_name, limit=5):
    """
    指定されたパッケージがインストールするファイルの一部を表示します。
    """
    try:
        pkg_files = files(package_name)
        if pkg_files:
            print(f"--- パッケージ '{package_name}' のファイル (最初の{limit}件) ---")
            for i, f in enumerate(pkg_files):
                if i >= limit:
                    break
                print(f"  - {f}")
            if len(pkg_files) > limit:
                print(f"  ...他 {len(pkg_files) - limit} ファイル")
            print("-" * 30)
        else:
            print(f"パッケージ '{package_name}' のファイル情報は利用できません。")
    except PackageNotFoundError:
        print(f"エラー: パッケージ '{package_name}' が見つかりません。")

print("--- 4. パッケージがインストールするファイルを取得する ---")
get_package_files('requests')
get_package_files('numpy', limit=10) # numpyは非常に多くのファイルを持つ
get_package_files('pyyaml', limit=3)
print("-" * 30 + "\n")

出力例

--- 4. パッケージがインストールするファイルを取得する ---
--- パッケージ 'requests' のファイル (最初の5件) ---
  - requests/__init__.py
  - requests/__pycache__/__init__.cpython-310.pyc
  - requests/__pycache__/__version__.cpython-310.pyc
  - requests/__version__.py
  - requests/_internal_utils.py
  ...他 139 ファイル  # ファイル数は環境によって異なります
------------------------------
--- パッケージ 'numpy' のファイル (最初の10件) ---
  - numpy/__init__.py
  - numpy/__pycache__/__init__.cpython-310.pyc
  - numpy/_distributor_init.py
  - numpy/__pycache__/_distributor_init.cpython-310.pyc
  - numpy/_globals.py
  - numpy/__pycache__/_globals.cpython-310.pyc
  - numpy/setup.py
  - numpy/LICENSE.txt
  - numpy/doc/README.rst
  - numpy/lib/tests/test_lib.py
  ...他 6259 ファイル # ファイル数は環境によって大きく異なります
------------------------------
--- パッケージ 'pyyaml' のファイル (最初の3件) ---
  - PyYAML-6.0.1.dist-info/METADATA
  - PyYAML-6.0.1.dist-info/WHEEL
  - PyYAML-6.0.1.dist-info/licenses/LICENSE
  ...他 30 ファイル
------------------------------
------------------------------

エントリポイントを取得する (entry_points())

エントリポイントは、パッケージがコマンドラインツールやプラグインなど、特定の「グループ」で機能を提供するために使用されます。

from importlib.metadata import entry_points

def get_console_scripts():
    """
    'console_scripts' グループのエントリポイントを表示します。
    これらは通常、コマンドラインから実行できるスクリプトです。
    """
    print("--- 5. エントリポイントを取得する ('console_scripts') ---")
    eps = entry_points(group='console_scripts')
    if eps:
        print("利用可能なコンソールスクリプト:")
        for ep in eps:
            print(f"  - 名前: {ep.name}, 値: {ep.value}, グループ: {ep.group}")
            try:
                # エントリポイントが解決できるか試す
                loaded_func = ep.load()
                print(f"    ロード可能: {loaded_func}")
            except Exception as e:
                print(f"    ロード失敗: {e}")
    else:
        print("'console_scripts' グループのエントリポイントは見つかりませんでした。")
    print("-" * 30 + "\n")

def get_all_entry_points_groups():
    """
    全てのエントリポイントグループを表示します。
    """
    print("--- 5. 全てのエントリポイントグループを取得する ---")
    all_eps = entry_points()
    print("全てのエントリポイントグループ:")
    for group_name in sorted(all_eps.groups):
        print(f"  - {group_name}")
    print("-" * 30 + "\n")


print("--- 5. エントリポイントを取得する ---")
get_console_scripts()
get_all_entry_points_groups()
print("-" * 30 + "\n")

--- 5. エントリポイントを取得する ---
--- 5. エントリポイントを取得する ('console_scripts') ---
利用可能なコンソールスクリプト:
  - 名前: pip, 値: pip._internal.cli.main:main, グループ: console_scripts
    ロード可能: <function main at 0x...>
  - 名前: pip3, 値: pip._internal.cli.main:main, グループ: console_scripts
    ロード可能: <function main at 0x...>
  - 名前: wheel, 値: wheel.cli:main, グループ: console_scripts
    ロード可能: <function main at 0x...>
  # 他にもインストールされているパッケージによって多くのエントリポイントが表示されます
------------------------------

--- 5. 全てのエントリポイントグループを取得する ---
全てのエントリポイントグループ:
  - console_scripts
  - distutils.commands
  - distutils.setup_keywords
  - egg_info.writers
  - pbr.hookspec
  - setuptools.installation
  # 他にもインストールされているパッケージによって多くのグループが表示されます
------------------------------
------------------------------

pkg_resources (setuptoolsの一部)

pkg_resourcesは、setuptoolsパッケージに含まれるモジュールで、Pythonのパッケージリソースとメタデータへのアクセスを提供してきました。かつてはパッケージのメタデータにアクセスする主要な方法でしたが、現在は非推奨とされており、新規コードでの使用は避けるべきです。

利点

一部のレガシーなプロジェクトではまだ使用されています。
Pythonの古いバージョン（Python 3.7以前）でも利用可能。

欠点

依存関係
setuptoolsに依存するため、最小限の依存関係で済ませたい場合に不向きです。
複雑性
広範な機能を持つため、シンプルなメタデータ取得には過剰です。
パフォーマンス
importlib.metadataに比べて起動が遅く、オーバーヘッドが大きいとされています。
非推奨
今後、setuptoolsから削除される可能性があります。

使用例 (非推奨)

import pkg_resources

try:
    # パッケージのバージョンを取得
    distribution = pkg_resources.get_distribution('requests')
    print(f"pkg_resources: パッケージ 'requests' のバージョン: {distribution.version}")

    # メタデータを取得
    print(f"pkg_resources: パッケージ 'requests' の要約: {distribution.summary}")

    # エントリポイントの取得
    print("\npkg_resources: 'console_scripts' エントリポイント:")
    for entry_point in pkg_resources.iter_entry_points(group='console_scripts', name='pip'):
        print(f"  - 名前: {entry_point.name}, 値: {entry_point.resolve()}")

except pkg_resources.DistributionNotFound:
    print("pkg_resources: エラー: パッケージ 'requests' が見つかりません。")

except Exception as e:
    print(f"pkg_resources: その他のエラー: {e}")

pip show コマンドの呼び出し (subprocessモジュール経由)

pip show <package_name>コマンドをシステムコマンドとして実行し、その出力を解析する方法です。

利点

pipの機能と直接連携するため、pipが提供する情報に完全にアクセスできます。
インストールされているすべてのPython環境で動作します（pipが利用可能であれば）。

欠点

非推奨
pipはプログラムから直接利用することを推奨していません。
エラーハンドリング
コマンドの終了コードや標準エラー出力を適切に処理する必要があります。
セキュリティ
シェルインジェクションのリスク（shell=Trueを使用する場合）や、予期しないシステム環境への影響を考慮する必要があります。
オーバーヘッド
外部プロセスを起動するため、パフォーマンスのオーバーヘッドがあります。
信頼性
コマンドの出力形式が将来的に変更される可能性があり、解析コードが壊れるリスクがあります。

使用例

import subprocess
import json

def get_package_info_from_pip_show(package_name):
    """
    pip show コマンドを subprocess 経由で実行し、パッケージ情報を取得します。
    （非推奨な方法であり、出力形式の変更に注意が必要です）
    """
    try:
        # pip show は通常、人間が読みやすい形式で出力されるため、
        # プログラムで扱いやすい --json オプションを使用するのが安全です。
        # 古いpipでは --json オプションがない場合がある点に注意。
        result = subprocess.run(
            ['python', '-m', 'pip', 'show', '--json', package_name],
            capture_output=True,
            text=True,
            check=True # コマンドがエラー終了した場合に例外を発生させる
        )
        # JSON出力を解析
        data = json.loads(result.stdout)
        if data:
            info = data[0] # pip show --json はリストを返す
            print(f"pip show: パッケージ '{package_name}' のバージョン: {info.get('version', 'N/A')}")
            print(f"pip show: パッケージ '{package_name}' の場所: {info.get('location', 'N/A')}")
            print(f"pip show: パッケージ '{package_name}' の要件: {info.get('requires', 'N/A')}")
        else:
            print(f"pip show: パッケージ '{package_name}' の情報が見つかりませんでした。")
    except subprocess.CalledProcessError as e:
        # パッケージが見つからない場合など
        print(f"pip show: エラー: {e.stderr.strip()}")
    except FileNotFoundError:
        print("pip show: エラー: 'python' または 'pip' コマンドが見つかりません。")
    except json.JSONDecodeError:
        print("pip show: エラー: pip のJSON出力を解析できませんでした。")
    except Exception as e:
        print(f"pip show: その他のエラー: {e}")

print("--- 2. `pip show` コマンドの呼び出し ---")
get_package_info_from_pip_show('requests')
get_package_info_from_pip_show('non_existent_package_xyz')
print("-" * 30 + "\n")

多くのパッケージは、バージョン情報などを自身のモジュール内に__version__などの特殊な属性としてハードコードしています。

利点

外部依存がありません。
対象のパッケージをインポートするだけで簡単にアクセスできます。

欠点

パッケージのロード
パッケージをインポートするため、そのパッケージが持つ全ての副作用（設定ファイルの読み込み、初期化コードの実行など）が発生します。
限定された情報
バージョン以外の情報（作者、ライセンス、依存関係など）は通常取得できません。
一貫性がない
全てのパッケージがこの規約に従っているわけではありません。__version__という属性が存在しない、または別の名前である場合があります。

使用例

def get_version_from_dunder_attribute(package_name):
    """
    パッケージをインポートして __version__ 属性からバージョンを取得します。
    全てのパッケージでこの方法が使えるわけではありません。
    """
    try:
        # パッケージ名をモジュール名としてインポートを試みる
        module = __import__(package_name)
        version = getattr(module, '__version__', 'N/A')
        print(f"__version__: パッケージ '{package_name}' のバージョン: {version}")
    except ImportError:
        print(f"__version__: エラー: パッケージ '{package_name}' をインポートできませんでした。")
    except Exception as e:
        print(f"__version__: その他のエラー: {e}")

print("--- 3. `__version__` 属性からの取得 ---")
get_version_from_dunder_attribute('requests')
get_version_from_dunder_attribute('numpy')
get_version_from_dunder_attribute('sys') # 標準ライブラリの例
get_version_from_dunder_attribute('os') # __version__ を持たない可能性のある標準ライブラリ
print("-" * 30 + "\n")

--- 3. `__version__` 属性からの取得 ---
__version__: パッケージ 'requests' のバージョン: 2.31.0
__version__: パッケージ 'numpy' のバージョン: 1.26.4
__version__: パッケージ 'sys' のバージョン: N/A  # sysモジュールには__version__がない
__version__: パッケージ 'os' のバージョン: N/A  # osモジュールにも__version__がない
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方法	利点	欠点
`importlib.metadata`	標準的で推奨される方法、効率的、Python 3.8+で組み込み	Python 3.7以前ではバックポート版が必要。
`pkg_resources`	古いPythonバージョンで利用可能。	非推奨、パフォーマンスが悪い、複雑、setuptoolsへの依存。
`pip show` (subprocess)	`pip`の機能に直接アクセス、広範な情報。	信頼性に欠ける（出力形式の変更）、オーバーヘッド、セキュリティリスク、非推奨（pipがプログラム利用を推奨しない）。
`__version__`属性	非常にシンプル、外部依存なし。	一貫性がない、限定された情報、パッケージのロードによる副作用。