なぜ「PackageNotFoundError」?Python importlib.metadataのエラーと解決策
importlib.metadata
は、Pythonのパッケージのメタデータ(バージョン、作者、説明、依存関係など)にアクセスするための標準ライブラリです。このモジュールは、特に「Distribution Discovery(ディストリビューションの発見)」という機能を提供します。
簡単に言うと、Python環境にインストールされているパッケージ(ディストリビューション)がどこにあって、どのような情報を持っているかをプログラム的に探し出すための機能です。
これまで、Pythonパッケージのメタデータへのアクセスにはpkg_resources
というサードパーティ製のライブラリがよく使われていましたが、importlib.metadata
はPython 3.8以降で標準ライブラリとして導入され、より効率的で現代的な代替手段として位置づけられています。
具体的にできること
importlib.metadata
を使うことで、以下のようなパッケージ情報を取得できます。
-
依存関係: そのパッケージが依存している他のパッケージのリストを取得できます。
from importlib.metadata import requires print(requires('requests'))
-
パッケージに含まれるファイル: パッケージがインストール時に展開したファイルの一覧を取得できます。
from importlib.metadata import files for f in files('requests'): print(f)
-
エントリーポイント: パッケージが提供する「エントリーポイント」情報を取得できます。エントリーポイントとは、そのパッケージが提供するコマンドラインツールやプラグインの拡張ポイントなど、他のアプリケーションから利用可能な特定機能への参照です。
from importlib.metadata import entry_points for ep in entry_points(group='console_scripts'): # コマンドラインスクリプトのエントリーポイントを取得 print(f"Name: {ep.name}, Value: {ep.value}")
-
パッケージのメタデータ: パッケージの作者、説明、ライセンス、ホームページなどの詳細なメタデータを取得できます。これは、通常、パッケージのインストール時に生成される
METADATA
ファイル(または古い形式のPKG-INFO
ファイル)の内容を読み取ります。from importlib.metadata import metadata requests_metadata = metadata('requests') print(requests_metadata['Author']) print(requests_metadata['License'])
-
パッケージのバージョン: 特定のパッケージがどのバージョンでインストールされているかを知ることができます。
from importlib.metadata import version print(version('requests')) # 例: 'requests' パッケージのバージョンを取得
ディストリビューションの発見の仕組み
importlib.metadata
は、Pythonのインポートシステム(sys.meta_path
にあるメタパスファインダー)と連携して機能します。通常、Pythonのパッケージはsite-packages
ディレクトリなどにインストールされ、その中に*.dist-info
や*.egg-info
といったディレクトリ(メタデータが格納されている)が存在します。importlib.metadata
はこれらのディレクトリを検索し、パッケージのメタデータを「発見」します。
また、このモジュールは検索アルゴリズムを拡張するメカニズムも提供しており、ファイルシステム以外の場所(例えば、カスタムのパッケージリポジトリや仮想環境など)に存在するパッケージのメタデータを発見することも可能です。
なぜ重要か?
pkg_resources
からの移行: 以前のpkg_resources
は、その機能の多さから起動が遅いといった問題がありましたが、importlib.metadata
はよりシンプルで効率的な代替として導入されました。- ツール開発: パッケージ管理ツール(pipのようなもの)や、パッケージを検査するツール、動的にプラグインをロードするアプリケーションなどの開発に利用されます。
- 依存関係管理: プロジェクトが依存するパッケージのバージョン確認や、依存関係の解決に役立ちます。
- 標準化: パッケージのメタデータへのアクセス方法が標準化されたことで、開発者は異なるツールやライブラリ間で一貫した方法でパッケージ情報を取得できるようになりました。
importlib.metadata
はPythonの標準ライブラリであり、通常は安定していますが、パッケージのインストール状態や環境設定によって問題が発生することがあります。
PackageNotFoundError (または Name not found のようなエラー)
エラーの内容
指定したパッケージのメタデータが見つからない場合に発生します。例えば、importlib.metadata.version('存在しないパッケージ名')
を実行した場合などです。
from importlib.metadata import version, PackageNotFoundError
try:
print(version('存在しないパッケージ'))
except PackageNotFoundError as e:
print(f"エラー: {e}")
# エラー: No package metadata found for 存在しないパッケージ
原因
- メタデータファイルの破損
ごく稀に、パッケージのインストール時に生成される.dist-info
ディレクトリ内のメタデータファイル(例:METADATA
、RECORD
)が破損している場合があります。 - 仮想環境の問題
仮想環境を使用している場合、目的のパッケージが現在の仮想環境にインストールされていない可能性があります。仮想環境が正しくアクティブになっているか確認してください。 - パッケージ名が間違っている
大文字・小文字の間違い、ハイフンとアンダースコアの間違いなど、正確なパッケージ名を使用しているか確認してください。PyPI(Python Package Index)で正しいパッケージ名を確認すると良いでしょう。 - パッケージがインストールされていない
最も一般的な原因です。pip list
などでパッケージが本当にインストールされているか確認してください。
トラブルシューティング
- キャッシュのクリア
pipのキャッシュが原因で古い情報が残っている可能性があるため、pip cache purge
を実行してから再試行します。 - 環境パスの確認
Pythonがパッケージを検索するパス(sys.path
)に問題がないか確認します。 - 仮想環境の確認と再インストール
仮想環境を使用している場合は、その環境がアクティブになっていることを確認し、もしなければアクティブにします。それでもだめなら、対象の仮想環境でパッケージを再インストール(pip install --upgrade --force-reinstall <パッケージ名>
)してみます。 - 正しいパッケージ名の使用
PyPIで正式なパッケージ名を確認し、大文字・小文字や記号が一致しているか確認します。 - パッケージの確認
pip show <パッケージ名>
を実行して、パッケージがインストールされているか、正しいパスにインストールされているかを確認します。
AttributeError: module 'importlib' has no attribute 'metadata'
エラーの内容
importlib.metadata
をインポートしようとしたときに、importlib
モジュールにmetadata
という属性がないというエラーが発生します。
原因
- importlib_metadata との混同
Python 3.8未満のバージョンでimportlib.metadata
と同様の機能を提供するために、importlib_metadata
というサードパーティ製パッケージが存在します。これをインストールして使用している場合、意図せず標準ライブラリの方と混同している可能性があります。 - import importlib のみで importlib.metadata をインポートしていない
importlib
だけをインポートし、その後にimportlib.metadata
を使用しようとするとこのエラーになります。サブモジュールは明示的にインポートする必要があります。 - Pythonのバージョンが古い
importlib.metadata
はPython 3.8で標準ライブラリとして追加されました。それ以前のPythonバージョン(例: Python 3.7以下)を使用している場合、このモジュールは存在しません。
トラブルシューティング
- importlib_metadataパッケージの検討 (Python 3.8未満の場合)
Python 3.8未満の環境でimportlib.metadata
と同様の機能が必要な場合は、以下のコマンドでimportlib_metadata
パッケージをインストールし、それを使用します。
そしてコードでは、以下のようにインポートします。pip install importlib_metadata
Python 3.8以上では、標準ライブラリのfrom importlib_metadata import version, PackageNotFoundError # ...
importlib.metadata
が優先されます。 - 正しいインポート文の記述
# 正しいインポート方法 from importlib import metadata # 必要な機能だけをインポートする場合 # または import importlib.metadata # モジュール全体をインポートする場合 # 間違いの例 # import importlib # print(importlib.metadata.version('requests')) # これだとAttributeErrorになる
- Pythonのバージョン確認
python --version
またはpython3 --version
を実行し、Pythonのバージョンが3.8以上であることを確認します。もし古い場合は、Pythonをアップグレードするか、後述のimportlib_metadata
パッケージを使用することを検討します。
意図しないパッケージ情報の取得 / パッケージ情報が更新されない
エラーの内容
パッケージをインストールまたはアンインストールしたにもかかわらず、importlib.metadata
が古い情報や誤った情報を返すことがあります。
原因
- sys.pathの不整合
Pythonがパッケージを検索するパス(sys.path
)が期待通りでない場合、別の場所にインストールされているパッケージのメタデータを読み込んでしまったり、新しいパッケージを見つけられなかったりすることがあります。 - 開発モードインストール (Editable Installs)
pip install -e .
のように開発モードでインストールされたパッケージは、ソースコードの変更が直接反映されるため、メタデータに不整合が生じることが稀にあります。 - Pythonプロセスのキャッシュ
Pythonインタープリタは、一度読み込んだパッケージのメタデータをキャッシュすることがあります。これにより、ファイルシステム上では変更が適用されていても、実行中のPythonプロセスからは古い情報が見えてしまうことがあります。
トラブルシューティング
- site.USER_SITE の問題 (特にWindows)
Windowsでpip install --user
を使用してパッケージをインストールした場合など、importlib.metadata.distributions()
が新しいパッケージを含まないことがあります。これは、site.USER_SITE
のパスがsys.path
に適切に追加されていない場合に発生する可能性があります。- 解決策として、プログラムの開始時に
site.USER_SITE
パスを明示的にsys.path
に追加することが考えられます。
import sys from pathlib import Path import site user_packages_path = Path(site.USER_SITE) if user_packages_path not in sys.path: sys.path.append(str(user_packages_path)) # これ以降で importlib.metadata を使用 from importlib.metadata import distributions for dist in distributions(): print(dist.metadata['Name'])
- 解決策として、プログラムの開始時に
- パッケージの再インストール
問題のあるパッケージをアンインストール(pip uninstall <パッケージ名>
)してから、再度インストール(pip install <パッケージ名>
)します。これにより、メタデータファイルが確実に再生成されます。 - sys.pathの確認
import sys; print(sys.path)
を実行して、Pythonが検索しているパスを確認し、そこに目的のパッケージの.dist-info
ディレクトリが存在する場所が含まれているか確認します。 - 仮想環境の再確認
複数の仮想環境やPythonのインストールがある場合、現在使用している環境と、パッケージをインストールした環境が一致しているか確認します。 - Pythonプロセスの再起動
最も簡単で効果的な解決策です。Pythonスクリプトを実行し直したり、REPL(対話型シェル)を再起動したりすることで、キャッシュがクリアされ、最新のパッケージ情報が読み込まれます。
FileNotFoundError や PermissionError (特にメタデータファイル関連)
エラーの内容
パッケージのメタデータファイル(.dist-info
内のファイル)にアクセスしようとしたときに、ファイルが見つからない、またはアクセス権がないというエラーが発生します。
原因
- 権限の問題
Pythonの実行ユーザーが、パッケージがインストールされているディレクトリ(通常はsite-packages
)への読み取り権限を持っていない。 - メタデータファイルの破損/欠損
インストール中に何らかの問題が発生し、メタデータファイルが正しく生成されなかったり、破損したりしている。
- ディスクの破損
ごく稀ですが、ファイルシステム自体の破損が原因である可能性もあります。 - 権限の確認
パッケージがインストールされているディレクトリの権限を確認し、必要に応じて修正します。特にDockerコンテナや共有環境などで発生することがあります。 - パッケージの再インストール
pip uninstall
とpip install
でパッケージを再インストールします。
特定のパッケージのバージョンを取得する
最も一般的な使い方です。パッケージ名を知っていれば、そのバージョンを簡単に取得できます。
from importlib.metadata import version, PackageNotFoundError
package_name = 'requests' # 調べたいパッケージ名
try:
pkg_version = version(package_name)
print(f"'{package_name}' のバージョン: {pkg_version}")
except PackageNotFoundError:
print(f"エラー: '{package_name}' はインストールされていません。")
package_name_nonexistent = '存在しないパッケージ名' # 存在しないパッケージの例
try:
pkg_version_nonexistent = version(package_name_nonexistent)
print(f"'{package_name_nonexistent}' のバージョン: {pkg_version_nonexistent}")
except PackageNotFoundError:
print(f"エラー: '{package_name_nonexistent}' はインストールされていません。")
解説
PackageNotFoundError
は、指定されたパッケージが見つからない場合に発生する例外です。version(package_name)
関数にパッケージ名を渡すことで、そのパッケージのバージョン文字列を返します。
metadata()
関数を使うと、パッケージのより詳細な情報を辞書のようなオブジェクト(PackageMetadata
)として取得できます。
from importlib.metadata import metadata, PackageNotFoundError
package_name = 'requests'
try:
pkg_metadata = metadata(package_name)
print(f"\n--- '{package_name}' のメタデータ ---")
print(f"Name: {pkg_metadata['Name']}")
print(f"Version: {pkg_metadata['Version']}")
print(f"Summary: {pkg_metadata['Summary']}")
print(f"Author: {pkg_metadata['Author']}")
print(f"License: {pkg_metadata['License']}")
print(f"Requires-Python: {pkg_metadata.get('Requires-Python', 'N/A')}") # 存在しない可能性があるので .get() を使う
print(f"Home-page: {pkg_metadata.get('Home-page', 'N/A')}")
# すべてのメタデータキーを列挙
print("\n--- 全てのメタデータキー ---")
for key in pkg_metadata:
print(f"- {key}: {pkg_metadata[key]}")
except PackageNotFoundError:
print(f"エラー: '{package_name}' はインストールされていません。")
解説
Requires-Python
など、すべてのパッケージが持つとは限らないフィールドもあります。pkg_metadata.get('キー名', 'デフォルト値')
を使うと、キーが存在しない場合にエラーではなくデフォルト値を返すため、より安全です。metadata(package_name)
はPackageMetadata
オブジェクトを返します。これは辞書のように振る舞い、pkg_metadata['キー名']
で各情報にアクセスできます。
すべてのインストール済みパッケージを列挙し、そのバージョンを表示する
環境にインストールされているすべてのパッケージを一度に確認したい場合に便利です。
from importlib.metadata import distributions
print("--- インストールされているすべてのパッケージとそのバージョン ---")
for dist in distributions():
# 各ディストリビューションは Distribution オブジェクト
print(f"- {dist.metadata['Name']} (バージョン: {dist.version})")
# もしくは、よりコンパクトに
# for dist in distributions():
# print(f"- {dist.name} (バージョン: {dist.version})")
解説
- 各
Distribution
オブジェクトは、そのパッケージのname
属性とversion
属性を直接持っています。また、metadata
属性を通じてより詳細な情報にアクセスできます。 distributions()
関数は、現在Python環境で「発見」されたすべてのDistribution
オブジェクトのイテレータを返します。
パッケージのエントリーポイントを取得する
エントリーポイントは、パッケージが外部に公開する機能や拡張ポイントを定義するメカニズムです。例えば、コマンドラインツールや、他のフレームワーク(例: Flaskのプラグイン)が利用する拡張機能などです。
from importlib.metadata import entry_points
print("\n--- 全てのエントリーポイント ---")
# Python 3.10以降では、select()メソッドを使ってグループや名前でフィルタリングできます。
# 古いバージョンでは、entry_points()が辞書を返し、手動でフィルタリングする必要があります。
eps = entry_points()
for group_name, group_entries in eps.items():
print(f"\nグループ: {group_name}")
for ep in group_entries:
print(f" - 名前: {ep.name}")
print(f" 値: {ep.value}") # エントリーポイントが指す文字列 (例: 'モジュール名:関数名')
print(f" モジュール: {ep.module}") # value から解析されたモジュール名
print(f" 属性: {ep.attr}") # value から解析された属性名 (通常は関数名)
try:
loaded_obj = ep.load() # 実際に対象をロードしてみる
print(f" ロードされたオブジェクト: {loaded_obj}")
except Exception as e:
print(f" オブジェクトのロードに失敗: {e}")
# 特定のグループのエントリーポイントのみを取得する例 (Python 3.10+)
# from importlib.metadata import entry_points
# console_scripts = entry_points(group='console_scripts')
# print("\n--- 'console_scripts' エントリーポイント ---")
# for ep in console_scripts:
# print(f"- 名前: {ep.name}, 値: {ep.value}")
解説
console_scripts
は、pipでインストールされたコマンドラインツールがよく登録されるグループです。EntryPoint
オブジェクトは、name
(エントリーポイントの名前)、group
(属するグループ)、value
(対象への参照文字列)、module
(モジュール名)、attr
(属性名)、load()
(実際にオブジェクトをロードするメソッド)などの属性を持ちます。entry_points()
は、すべてのエントリーポイントをグループごとに分類した辞書(EntryPoint
オブジェクトのリスト)を返します。
パッケージに含まれるファイルの一覧を取得する
特定のパッケージがインストール時にどのファイルを配置したかを確認できます。
from importlib.metadata import files, PackageNotFoundError
package_name = 'requests'
try:
pkg_files = files(package_name)
if pkg_files:
print(f"\n--- '{package_name}' に含まれるファイル ({len(pkg_files)}個) ---")
# 最初の10個だけ表示
for i, f in enumerate(pkg_files):
if i >= 10:
print(" ...(さらに多くのファイル)...")
break
print(f" - {f.name} (パス: {f.dist.locate_file(f.name)})") # f.dist.locate_file() で実際のパスを特定
# ファイルサイズやハッシュも取得可能
# print(f" サイズ: {f.size} バイト")
# if f.hash:
# print(f" ハッシュ ({f.hash.mode}): {f.hash.value}")
else:
print(f"'{package_name}' のファイル情報が見つかりませんでした。")
except PackageNotFoundError:
print(f"エラー: '{package_name}' はインストールされていません。")
解説
f.size
でファイルサイズ、f.hash
でハッシュ値(利用可能な場合)も取得できます。PackagePath
はpathlib.PurePath
を継承しており、パス操作が容易です。files(package_name)
は、パッケージ内のファイルを表すPackagePath
オブジェクトのリストを返します。
パッケージの依存関係を取得する
そのパッケージが動作するために必要とする他のパッケージのリストを取得します。
from importlib.metadata import requires, PackageNotFoundError
package_name = 'requests'
try:
pkg_requirements = requires(package_name)
if pkg_requirements:
print(f"\n--- '{package_name}' の依存関係 ---")
for req in pkg_requirements:
print(f"- {req}")
else:
print(f"'{package_name}' には明示的な依存関係がありません。")
except PackageNotFoundError:
print(f"エラー: '{package_name}' はインストールされていません。")
requires(package_name)
は、パッケージの依存関係を示す文字列のリストを返します。これらの文字列はPEP 508形式(例:charset_normalizer (>=2.0.0,<3)
)で記述されます。
importlib.metadata
が登場する以前、または特定の状況下で、Pythonパッケージの情報を取得するためのいくつかの方法がありました。
pkg_resources モジュール
長所
- 古いPythonバージョンでも利用可能。
- 非常に多機能で、
importlib.metadata
が提供する機能のほとんどをカバーしていた。
短所
- 今後非推奨となり、標準ライブラリからは削除されたため、新規プロジェクトでの利用は避けるべき。
- APIが複雑で学習コストが高い。
- 起動が遅い(特に多くのパッケージがインストールされている環境)。
使用例
# Python 3.12以降では setuptools をインストールしないと動作しません
# pip install setuptools
try:
import pkg_resources
print("\n--- pkg_resources を使ったバージョン取得 ---")
try:
dist = pkg_resources.get_distribution('requests')
print(f"'requests' のバージョン: {dist.version}")
except pkg_resources.DistributionNotFound:
print("エラー: 'requests' はインストールされていません。")
print("\n--- pkg_resources を使った全パッケージ列挙 ---")
for dist in pkg_resources.working_set:
print(f"- {dist.key} (バージョン: {dist.version})")
print("\n--- pkg_resources を使ったエントリーポイント取得 ---")
for entry_point in pkg_resources.iter_entry_points(group='console_scripts'):
print(f"- 名前: {entry_point.name}, 値: {entry_point.resolve()}")
except ImportError:
print("pkg_resources モジュールが見つかりません。setuptools がインストールされているか確認してください。")
トラブルシューティング/注意点
- 現在は
importlib.metadata
への移行が強く推奨されており、新規コードでpkg_resources
を使用することは避けるべきです。 pkg_resources.working_set
は現在アクティブなディストリビューションのセットを表します。pkg_resources.get_distribution()
はパッケージが見つからない場合にDistributionNotFound
例外を発生させます。
パッケージの __version__ 属性に直接アクセスする
長所
- 外部ライブラリへの依存がない。
- 非常にシンプルで分かりやすい。
短所
- パッケージがインストールされていない場合、
ModuleNotFoundError
が発生する。 - パッケージのバージョン以外のメタデータ(作者、ライセンス、依存関係など)は取得できない。
- すべてのパッケージが
__version__
属性を持つわけではない(特に古いパッケージやシンプルなスクリプト)。
使用例
print("\n--- __version__ 属性を使ったバージョン取得 ---")
try:
import requests
print(f"'requests' のバージョン: {requests.__version__}")
except ImportError:
print("エラー: 'requests' モジュールが見つかりません。")
except AttributeError:
print("エラー: 'requests' モジュールには __version__ 属性がありません。")
try:
import my_custom_module # 存在しないモジュールを仮定
print(f"'my_custom_module' のバージョン: {my_custom_module.__version__}")
except ImportError:
print("エラー: 'my_custom_module' モジュールが見つかりません。")
トラブルシューティング/注意点
AttributeError
が発生する場合、そのパッケージが__version__
属性を提供していないことを意味します。この場合、importlib.metadata
のようなより堅牢な方法が必要になります。ModuleNotFoundError
が発生する場合、パッケージがインストールされていないか、インポートパスにない可能性があります。
pip show コマンドを subprocess で実行する
長所
pip show
が対応していれば、多くの情報(バージョン、場所、依存関係など)を取得できる。pip
が提供する最新の情報にアクセスできる。
短所
- プラットフォーム依存の可能性がある(シェルコマンドの実行)。
- 出力のパース処理が必要で、エラーハンドリングが複雑になる。
- コマンドの出力形式が将来的に変更される可能性がある(パースロジックが壊れる可能性)。
- 外部プロセスを起動するため、オーバーヘッドがある。
使用例
import subprocess
import json
def get_package_info_from_pip_show(package_name):
try:
# pip show は --json オプションでJSON出力をサポート (pip 10.0.0以降)
result = subprocess.run(
['pip', 'show', '--json', package_name],
capture_output=True,
text=True,
check=True
)
return json.loads(result.stdout)
except subprocess.CalledProcessError as e:
print(f"エラー: '{package_name}' の情報取得に失敗しました。{e.stderr.strip()}")
return None
except FileNotFoundError:
print("エラー: 'pip' コマンドが見つかりません。pipがインストールされているか確認してください。")
return None
except json.JSONDecodeError:
print(f"エラー: 'pip show --json' の出力パースに失敗しました。'{package_name}' の出力形式が予期せぬものです。")
return None
print("\n--- pip show (subprocess) を使ったバージョン取得 ---")
info = get_package_info_from_pip_show('requests')
if info:
print(f"'requests' のバージョン: {info[0]['version']}")
print(f"'requests' の場所: {info[0]['location']}")
print(f"'requests' の依存関係: {info[0].get('requires', 'None')}")
info_nonexistent = get_package_info_from_pip_show('存在しないパッケージ')
if info_nonexistent:
print(f"'存在しないパッケージ' の情報: {info_nonexistent}")
トラブルシューティング/注意点
- セキュリティ上の理由から、ユーザー入力を含むコマンドを
subprocess.run()
に直接渡す際には注意が必要です。 check=True
を指定することで、pip
がエラーコードを返した場合にCalledProcessError
がスローされます。pip
のバージョンによって--json
オプションが利用できない場合があります。その場合、通常のテキスト出力を正規表現などでパースする必要があります。
importlib.util.find_spec を使ってモジュールの存在を確認する
長所
- 標準ライブラリの一部。
- 軽量で、モジュールが実際にロードされる前に存在を確認できる。
短所
- モジュールが見つかった場合でも、それが単一のファイルか、パッケージ全体かまではこれだけでは判断しにくい。
import importlib.util
print("\n--- importlib.util.find_spec を使ったモジュール存在確認 ---")
module_name = 'requests'
spec = importlib.util.find_spec(module_name)
if spec:
print(f"'{module_name}' モジュールは存在します。")
# ここからメタデータを取得するには importlib.metadata と組み合わせる
from importlib.metadata import version
try:
print(f" バージョン: {version(module_name)}")
except Exception:
pass # バージョン情報がない場合も考慮
else:
print(f"'{module_name}' モジュールは見つかりません。")
module_name_nonexistent = '本当に存在しないモジュール'
spec_nonexistent = importlib.util.find_spec(module_name_nonexistent)
if spec_nonexistent:
print(f"'{module_name_nonexistent}' モジュールは存在します。")
else:
print(f"'{module_name_nonexistent}' モジュールは見つかりません。")
方法 | 長所 | 短所 | 推奨度 |
---|---|---|---|
importlib.metadata | 標準、効率的、多機能 | Python 3.8未満ではバックポートが必要 | 最も推奨 (importlib_metadata 含む) |
pkg_resources | 多機能、古いバージョンでも利用可 | 重い、複雑、非推奨、Python 3.12+で標準外 | 非推奨 (レガシーコードの維持のみ) |
__version__ 属性 | シンプル、高速 | 全てのパッケージにあるわけではない、メタデータ限定 | 限定的な用途 (バージョン確認のみ) |
pip show (subprocess) | pip が提供する情報を取得できる | オーバーヘッド、出力形式の変更リスク、パースが必要、セキュリティリスク | 特定の用途 (pipと同じ情報を厳密に確認したい場合) |
importlib.util.find_spec | 軽量な存在確認 | メタデータは直接取得できない | 特定の用途 (ロードせずに存在だけ確認したい場合) |