Octave 3Dプロット:camtargetで視点を操るプログラミング講座

2025-05-27

"camtarget"とは?

Octaveのcamtargetは、3Dプロット(例えばplot3surfなど)を表示する際に、カメラが注視する点の座標を設定する関数です。つまり、カメラがどこを見ているかを指定します。

詳細な説明

3Dプロットにおいて、カメラの位置や向きは、表示されるオブジェクトの見え方を大きく左右します。camtargetは、そのカメラが注視する対象の座標を指定することで、表示されるオブジェクトのどの部分を中心に表示するかを制御します。

使い方

camtarget関数は、3つの引数(x座標、y座標、z座標)または3要素のベクトルを受け取ります。

  • 3要素のベクトル

    camtarget([x, y, z]);
    

    これも同様に、[x, y, z]は注視点の座標ベクトルです。

  • 3つの引数

    camtarget(x, y, z);
    

    ここで、x, y, zはそれぞれ注視点の座標です。


% 3Dプロットを作成
[X, Y] = meshgrid(-5:0.5:5);
Z = sin(sqrt(X.^2 + Y.^2));
surf(X, Y, Z);

% カメラの注視点を原点に設定
camtarget(0, 0, 0);

% カメラの注視点を(2, 2, 1)に設定
%camtarget([2, 2, 1]);

解説

  1. meshgridsurfを使って3D表面プロットを作成します。
  2. camtarget(0, 0, 0)は、カメラの注視点を原点(0, 0, 0)に設定します。これにより、プロットされた表面が原点を中心に見えるようになります。
  3. コメントアウトされたcamtarget([2, 2, 1])を有効にすると、カメラの注視点が(2, 2, 1)に移動し、プロットされた表面がその点を中心に見えるようになります。
  • camtargetを使用すると、3Dプロットの回転やズーム操作を行った際に、指定した注視点を中心に操作が行われます。
  • camtargetcampos(カメラの位置を設定する関数)やcamva(視野角を設定する関数)を組み合わせることで、3Dプロットの表示をより細かく制御できます。
  • camtargetは、カメラの位置自体を変更するのではなく、カメラが注視する対象の点を変更します。


一般的なエラーとトラブルシューティング

    • エラー
      camtargetは通常、3つの引数(x, y, z)または3要素のベクトルを受け取ります。引数の数が異なる場合、エラーが発生します。
    • トラブルシューティング
      camtarget(x, y, z)またはcamtarget([x, y, z])の形式で正しい引数を使用しているか確認してください。

    • camtarget(1, 2); % エラー: 引数が足りない
      camtarget(1, 2, 3, 4); % エラー: 引数が多すぎる
      
  1. 引数の型が間違っている

    • エラー
      camtargetの引数は数値である必要があります。文字列や他のデータ型を渡すとエラーが発生します。
    • トラブルシューティング
      引数が数値であることを確認してください。

    • camtarget("hello", "world", "!"); % エラー: 文字列が渡された
      
  2. プロットが表示されない、または期待通りに表示されない

    • エラー
      camtargetを設定しても、プロットが期待通りに表示されない場合があります。これは、カメラの位置(campos)や視野角(camva)の設定と矛盾している場合に発生することがあります。
    • トラブルシューティング
      • camposcamvaの設定を確認し、camtargetと矛盾していないか確認してください。
      • プロットの範囲が非常に大きい、または非常に小さい場合、カメラの注視点が適切でない可能性があります。プロットの範囲に合わせてcamtargetを調整してください。
      • axisコマンドを使用して軸の範囲を調整し、プロット全体が表示されるようにしてください。
      • viewコマンドを使用して、カメラの視点を調整してみてください。

    • % プロット範囲が非常に大きい場合
      [X, Y] = meshgrid(-1000:100:1000);
      Z = sin(sqrt(X.^2 + Y.^2));
      surf(X, Y, Z);
      
      % カメラの注視点が原点だと、プロット全体が見えない場合がある
      camtarget(0,0,0);
      
  3. プロットの回転やズーム操作が期待通りに動作しない

    • エラー
      camtargetを設定しても、マウス操作によるプロットの回転やズームが期待通りに動作しない場合があります。
    • トラブルシューティング
      • camtargetが適切に設定されているか確認してください。
      • axisコマンドを使用して軸の範囲を適切に設定してください。
      • rotate3dコマンドを使用して、回転操作を有効にしてみてください。
      • zoomコマンドを使用して、ズーム操作を調整してみてください。
  4. 3Dプロットが表示されない

    • エラー
      そもそも3Dプロットが表示されない場合、surfplot3などの3Dプロット関数が正しく実行されていない可能性があります。
    • トラブルシューティング
      • 3Dプロット関数が正しく記述されているか確認してください。
      • プロットに必要なデータが正しく生成されているか確認してください。
      • グラフィックドライバーの問題である可能性も考慮し、ドライバーを更新してみてください。

デバッグのヒント

  • Octaveのドキュメントやオンラインフォーラムを参照し、同様の問題が発生していないか確認してください。
  • clfコマンドを使用して、プロットをクリアし、再度プロットしてみてください。
  • get(gca, 'CameraTarget')を使用して、現在のカメラの注視点の座標を取得し、期待通りの値になっているか確認してください。
  • dispコマンドを使用して、camtargetに渡す変数の値を確認してください。


% 3Dプロットの作成
[X, Y] = meshgrid(-5:0.5:5);
Z = sin(sqrt(X.^2 + Y.^2));
surf(X, Y, Z);

% カメラの注視点を原点に設定
camtarget(0, 0, 0);

% タイトルと軸ラベルの設定
title("sin(sqrt(x^2 + y^2))");
xlabel("X軸");
ylabel("Y軸");
zlabel("Z軸");

解説

  1. meshgridsurfを使用して、3D表面プロットを作成します。
  2. camtarget(0, 0, 0)で、カメラの注視点を原点(0, 0, 0)に設定します。これにより、プロットされた表面が原点を中心に表示されます。
  3. title, xlabel, ylabel, zlabelで、プロットのタイトルと軸ラベルを設定します。
% 3Dプロットの作成
[X, Y] = meshgrid(-5:0.5:5);
Z = X.*exp(-X.^2 - Y.^2);
surf(X, Y, Z);

% 初期注視点を設定
camtarget(0, 0, 0);

% 注視点を変更する
camtarget([2, 1, 0.5]); % または camtarget(2, 1, 0.5);

% タイトルと軸ラベルの設定
title("X.*exp(-X.^2 - Y.^2)");
xlabel("X軸");
ylabel("Y軸");
zlabel("Z軸");

解説

  1. meshgridsurfを使用して、別の3D表面プロットを作成します。
  2. 最初にcamtarget(0, 0, 0)で初期注視点を原点に設定します。
  3. 次にcamtarget([2, 1, 0.5])(またはcamtarget(2, 1, 0.5))で注視点を(2, 1, 0.5)に変更します。これにより、プロットされた表面がこの点を中心に表示されます。
% 3Dプロットの作成
[X, Y] = meshgrid(-5:0.5:5);
Z = sin(sqrt(X.^2 + Y.^2));
h = surf(X, Y, Z);

% アニメーションループ
for t = 0:0.1:2*pi
  % 注視点を時間に応じて変更
  camtarget(3*cos(t), 3*sin(t), 0);
  drawnow;
  pause(0.1);
end

% タイトルと軸ラベルの設定
title("sin(sqrt(x^2 + y^2)) アニメーション");
xlabel("X軸");
ylabel("Y軸");
zlabel("Z軸");

解説

  1. meshgridsurfを使用して、3D表面プロットを作成し、ハンドルhに保存します。
  2. forループを使用して、アニメーションを作成します。
  3. ループ内で、camtarget(3*cos(t), 3*sin(t), 0)を使用して、注視点を時間tに応じて円周上に移動させます。
  4. drawnowでプロットを更新し、pause(0.1)で一時停止します。
  5. これにより、カメラの注視点が円周上を移動するアニメーションが作成されます。
% 3Dプロットの作成
[X, Y] = meshgrid(-5:0.5:5);
Z = X.*exp(-X.^2 - Y.^2);
surf(X,Y,Z);

% カメラの位置、注視点、視野角を設定
campos([10, 10, 10]);
camtarget([0, 0, 0]);
camva(45);

% タイトルと軸ラベルの設定
title("campos, camtarget, camvaの組み合わせ");
xlabel("X軸");
ylabel("Y軸");
zlabel("Z軸");
  1. 3Dプロットを作成します。
  2. campos([10, 10, 10])でカメラの位置を(10, 10, 10)に設定します。
  3. camtarget([0, 0, 0])でカメラの注視点を原点(0, 0, 0)に設定します。
  4. camva(45)でカメラの視野角を45度に設定します。
  5. これらの関数を組み合わせることで、3Dプロットの表示を細かく制御できます。


  1. "view"関数を使用する

    • view関数は、カメラの視点を設定するための強力な関数です。viewを使用すると、カメラの仰角と方位角を直接指定することで、視点を制御できます。
    • camtargetのように特定の点を注視するわけではありませんが、視点を調整することで、同様の効果を得ることができます。

    • [X, Y] = meshgrid(-5:0.5:5);
      Z = sin(sqrt(X.^2 + Y.^2));
      surf(X, Y, Z);
      
      % 方位角と仰角を設定
      view(45, 30); % 方位角45度、仰角30度
      
    • viewは、カメラの回転や傾斜を制御するのに適しています。
  2. "campos"と"camup"を組み合わせる

    • camposはカメラの位置を、camupはカメラの上方向ベクトルを設定します。
    • これらの関数を組み合わせることで、camtargetと同様に、表示されるオブジェクトのどの部分を中心に表示するかを制御できます。

    • [X, Y] = meshgrid(-5:0.5:5);
      Z = sin(sqrt(X.^2 + Y.^2));
      surf(X, Y, Z);
      
      % カメラの位置と上方向ベクトルを設定
      campos([10, 10, 10]);
      camup([0, 0, 1]); % Z軸を上方向にする
      
    • camposcamupは、カメラの位置と向きをより詳細に制御するのに適しています。
  3. 変換行列を使用する

    • 変換行列(回転、平行移動、拡大縮小など)を使用して、3Dオブジェクトの座標を直接変換することで、表示されるオブジェクトの視点を制御できます。
    • これはより高度なテクニックですが、複雑な視点制御やアニメーションを作成する際に役立ちます。

    • [X, Y] = meshgrid(-5:0.5:5);
      Z = sin(sqrt(X.^2 + Y.^2));
      surf(X, Y, Z);
      
      % 回転行列を作成
      theta = pi/4; % 45度回転
      R = [cos(theta), -sin(theta), 0;
           sin(theta), cos(theta), 0;
           0, 0, 1];
      
      % 座標を回転
      V = [X(:), Y(:), Z(:)]';
      V_rotated = R * V;
      X_rotated = reshape(V_rotated(1,:), size(X));
      Y_rotated = reshape(V_rotated(2,:), size(Y));
      Z_rotated = reshape(V_rotated(3,:), size(Z));
      surf(X_rotated, Y_rotated, Z_rotated);
      
  4. "rotate3d"関数とマウス操作

    • rotate3d関数を有効にすると、マウスを使用して3Dプロットをインタラクティブに回転できます。
    • これは、特定の点を注視するわけではありませんが、マウス操作で視点を自由に調整できます。

    • [X, Y] = meshgrid(-5:0.5:5);
      Z = sin(sqrt(X.^2 + Y.^2));
      surf(X, Y, Z);
      
      % 回転操作を有効にする
      rotate3d on;
      
  5. "axis"関数で表示範囲を調整する

    • axis関数を使用すると、3Dプロットの表示範囲を調整できます。
    • これは、直接的にカメラの注視点を変更するわけではありませんが、表示範囲を調整することで、特定の領域に注目する効果を得ることができます。

    • [X, Y] = meshgrid(-5:0.5:5);
      Z = sin(sqrt(X.^2 + Y.^2));
      surf(X, Y, Z);
      
      % 表示範囲を調整
      axis([-2, 2, -2, 2, -1, 1]); % [xmin, xmax, ymin, ymax, zmin, zmax]