save_header_format_string
-
テキスト形式での保存時にのみ適用:
save -text filename variables
のように、テキスト形式でデータを保存する場合にのみ、このヘッダーコメントが生成されます。バイナリ形式 (-binary
など) や MATLAB 形式 (-mat7-binary
など) で保存する場合は適用されません。 -
コメント行のカスタマイズ: この変数に設定する文字列は、
strftime
関数(日付と時刻をフォーマットするC言語由来の関数)に渡されます。これにより、保存日時、Octaveのバージョン、ユーザー名、ホスト名など、動的な情報をヘッダーに含めることができます。 -
フォーマット文字列のルール:
- 文字列は
#
で始まる必要があります。これは、コメント行であることを示すためです。 - 改行文字を含めることはできません。
strftime
のフォーマットコード(例:%Y
で年、%m
で月、%d
で日など)を使用できます。
- 文字列は
-
デフォルト値: デフォルトでは、以下のようになっています。
"# Created by Octave VERSION, %a %b %d %H:%M:%S %Y %Z <USER@HOST>"
これは、例えば以下のようなコメント行を生成します。
# Created by Octave 8.4.0, Fri Jun 07 04:03:00 2025 PDT <your_user@your_host>
-
設定方法:
- 現在の値を参照:
save_header_format_string
- 新しい値を設定:
save_header_format_string(new_value)
- 関数内でローカルに変更:
save_header_format_string(new_value, "local")
- 現在の値を参照:
-
ヘッダーコメントを省略する:
save_header_format_string("")
のように、空の文字列を設定すると、ヘッダーコメントはファイルに書き込まれません。
使用例:
例えば、ヘッダーに日付だけをシンプルに含めたい場合、以下のように設定できます。
% 現在のヘッダーフォーマットを確認
disp(save_header_format_string);
% 新しいヘッダーフォーマットを設定(日付と時刻のみ)
save_header_format_string("# Date: %Y-%m-%d %H:%M:%S");
% 変数を保存
data = [1 2 3; 4 5 6];
save('my_data.txt', 'data', '-text');
% 元のフォーマットに戻す(または、Octaveを再起動する)
% save_header_format_string("# Created by Octave VERSION, %a %b %d %H:%M:%S %Y %Z <USER@HOST>");
上記のコードを実行すると、my_data.txt
の内容は以下のようなヘッダーで始まるでしょう(日付と時刻は実行時のもの)。
# Date: 2025-06-07 04:03:00
# name: data
# type: matrix
# rows: 2
# columns: 3
1 2 3
4 5 6
save_header_format_string
に関連する一般的なエラーとトラブルシューティング
ヘッダーコメントが全く出力されない
考えられる原因
- Octave のバージョンが古い
非常に古いバージョンのOctaveでは、この機能が利用できない、または動作が異なる可能性があります。 - save_header_format_string が空文字列になっている
save_header_format_string("")
と設定している場合、意図的にヘッダーコメントを非表示にしています。 - テキスト形式で保存していない
save_header_format_string
は、save -text
のようにテキスト形式で保存する場合にのみ適用されます。-binary
や-mat7-binary
などのバイナリ形式で保存している場合は、ヘッダーコメントは出力されません。
トラブルシューティング
- もし問題が解決しない場合は、使用しているOctaveのバージョンを確認し、最新版にアップデートすることを検討してください。
save_header_format_string
の現在の値を確認してください。
もし出力が空文字列なら、希望するフォーマット文字列を設定し直してください。save_header_format_string
save_header_format_string("# Created by Octave VERSION, %a %b %d %H:%M:%S %Y %Z <USER@HOST>");
save
コマンドに-text
オプションが正しく指定されているか確認してください。 例:save('myfile.txt', 'myvar', '-text');
ヘッダーコメントの内容が期待通りにならない(フォーマットコードが機能しないなど)
考えられる原因
- VERSION, USER, HOST などのプレースホルダーが機能しない
これらの特殊なプレースホルダーは、Octaveが自動的に置き換えるものです。もしこれらがそのまま出力されてしまう場合は、Octaveがそれらを正しく認識できていない可能性があります(非常に稀なケースですが)。 - 改行文字が含まれている
save_header_format_string
は1行の文字列である必要があり、改行文字 (\n
) を含めることはできません。含めてしまうと、意図しない挙動になる可能性があります。 - # で始まっていない
ヘッダー文字列は#
で始まる必要があります。これにより、Octaveはそれがコメント行であると認識します。 - strftime フォーマットコードの誤り
save_header_format_string
は内部的にstrftime
関数を使用します。strftime
のフォーマットコード(例:%Y
,%m
,%d
,%H
など)のスペルミスや、サポートされていないコードを使用している可能性があります。
トラブルシューティング
- 特殊なプレースホルダーの問題
もしVERSION
などが置き換わらない場合、Octaveのインストールに問題があるか、非常に稀なバグの可能性があります。Octaveを再インストールするか、version
コマンドでバージョン情報を取得し、それを直接文字列に埋め込むなどの回避策を検討してください。 - 改行文字の確認
設定する文字列に\n
が含まれていないか確認してください。もし複数行のコメントが必要な場合は、save
コマンドの前にdisp
などで出力するか、別の方法を検討してください。save_header_format_string
は1行のヘッダーコメント専用です。 - # の確認
設定している文字列が必ず#
で始まっているか確認してください。 例:save_header_format_string("Date: %Y-%m-%d");
は誤り。save_header_format_string("# Date: %Y-%m-%d");
が正しい。 - strftime フォーマットコードの確認
Octaveのドキュメントや、strftime
関数の一般的なリファレンスを参照し、使用しているフォーマットコードが正しいか確認してください。 例: 年は%Y
、月は%m
、日は%d
など。
設定した値が永続化しない、またはスクリプト実行中に意図せずリセットされる
考えられる原因
- 関数内でのローカルな変更
save_header_format_string(new_value, "local")
のように"local"
オプションを使って関数内で値を変更した場合、その変更はその関数内でのみ有効で、関数が終了すると元の値に戻ります。 - startup.m や他のスクリプトで上書きされている
Octave起動時に自動実行されるstartup.m
ファイルや、ロードされる他のスクリプトが、save_header_format_string
の値を上書きしている可能性があります。 - セッション終了によるリセット
save_header_format_string
の変更は、デフォルトでは現在のOctaveセッション内でのみ有効です。Octaveを終了して再起動すると、デフォルト値に戻ります。
トラブルシューティング
- ローカル変更の理解
関数内で一時的にヘッダーフォーマットを変更したい場合は"local"
オプションが便利ですが、その変更がグローバルなスコープに影響しないことを理解しておきましょう。 - 上書きの検出
startup.m
や、プロジェクトで使用している他のMファイルの中にsave_header_format_string
を設定している箇所がないか、grepなどで検索して確認してください。 - 永続化させたい場合
恒久的に設定を変更したい場合は、Octaveの起動スクリプト(通常はユーザーのホームディレクトリにある~/.octaverc
またはstartup.m
)にsave_header_format_string("your_desired_format");
の行を追加してください。
save_header_format_string
は、Octaveのsave
コマンドで出力されるテキストファイルのメタデータをカスタマイズするための便利なツールです。上記のエラーとトラブルシューティングのポイントを理解しておけば、問題発生時に効率的に対処できるでしょう。最も重要なのは、「テキスト形式で保存しているか」「#
で始まっているか」「strftime
のフォーマットコードが正しいか」の3点です。
Octaveのsave_header_format_string
に関する一般的なエラーとそのトラブルシューティングについて説明します。この変数は、save -text
コマンドでファイルに保存されるヘッダーコメントの書式を制御するため、通常、直接的なエラーメッセージが表示されることは少ないですが、意図しない出力になる、あるいはヘッダーが期待通りに表示されない、といった「問題」として現れることが多いです。
一般的な問題と原因
ヘッダーコメントが表示されない、または空になる
- 原因3:
save
コマンドで変数を指定していないsave('filename.txt')
のように変数名を指定せずに保存した場合、Octaveはすべてのワークスペース変数を保存しようとしますが、この場合もヘッダーコメントが省略されることがあります。通常はsave('filename.txt', 'var1', 'var2', '-text')
のように変数名を明示します。
- 原因2:
save_header_format_string
が空文字列に設定されているsave_header_format_string("")
のように設定すると、ヘッダーコメントが完全に省略されます。これは意図的にヘッダーを消したい場合に使う設定です。
- 原因1:
save -text
以外で保存しているsave_header_format_string
は、テキスト形式 (-text
オプション) で保存する場合にのみ適用されます。-binary
や-mat
(MATLAB互換形式) など、他の形式で保存した場合はヘッダーコメントは書き込まれません。
ヘッダーコメントの書式がおかしい、期待通りにならない
- 原因3: 改行文字が含まれている
- 文字列内に改行文字(
\n
)が含まれていると、Octaveは適切に処理できません。ヘッダーコメントは単一行でなければなりません。
- 文字列内に改行文字(
- 原因2: 文字列の先頭に
#
がない- Octaveのドキュメントに明記されているように、
save_header_format_string
に設定する文字列は必ず#
で始まる必要があります。これが無い場合、コメントとして認識されず、ファイルロード時にデータとして解釈されてしまう可能性があります。
- Octaveのドキュメントに明記されているように、
- 原因1:
strftime
のフォーマットコードの誤用save_header_format_string
に与える文字列は、C言語のstrftime
関数に渡されます。このフォーマットコード(例:%Y
、%m
、%H
など)に誤りがある場合、正しく変換されずにそのまま表示されたり、意図しない値が表示されたりします。- 例:
%y
(下2桁の年) と%Y
(4桁の年) の混同など。
設定したはずの値が元に戻っている
- 原因2: 関数内で
local
オプションなしで変更した- 関数内で
save_header_format_string(new_value)
のように変更すると、その変更はグローバルに適用されます。しかし、関数が終了すると、その関数が開始される前の値に「見える」場合があります(これはOctaveの変数スコープの挙動によるものです)。関数内で一時的に変更したい場合はsave_header_format_string(new_value, "local")
を使用し、関数終了時に元の値に戻るようにします。
- 関数内で
- 原因1: Octaveを再起動した
save_header_format_string
の設定は、現在のOctaveセッション限りで有効です。Octaveを終了して再起動すると、デフォルト値に戻ります。恒久的に設定を変えたい場合は、スタートアップファイル (~/.octaverc
または~/.octave_hist
) に設定コマンドを記述する必要があります。
現在の設定を確認する
- まずは、現在の
save_header_format_string
の値を確認しましょう。
またはsave_header_format_string
disp(save_header_format_string);
テキスト形式で保存されているか確認する
- 保存されたファイルをテキストエディタで開き、ヘッダーコメントが存在するか、そしてその内容が正しいか確認してください。
save
コマンドに必ず-text
オプションを追加しているか確認してください。my_var = [1 2; 3 4]; save('output.txt', 'my_var', '-text'); % <- これが重要
strftime のフォーマットをテストする
- 設定しようとしている
strftime
のフォーマット文字列が意図通りに機能するか、strftime
関数単体でテストしてみるのが非常に有効です。
このテストで期待通りの文字列が生成されるか確認し、それを% 現在の日時でテスト strftime("%Y年%m月%d日 %H時%M分%S秒", localtime(time())) % Octaveバージョンを含むテスト % Octaveのバージョン情報は strftime で直接取得できないため、結合する必要があります % このように結合する場合は、save_header_format_string への設定は工夫が必要です str = sprintf("# Octave %s, Date: %s", OCTAVE_VERSION, strftime("%Y-%m-%d", localtime(time()))); disp(str);
#
で始めるようにしてsave_header_format_string
に設定します。
# で始まり、改行文字が含まれていないか確認する
- 設定する文字列が
#
で始まっているか、また\n
などの改行文字が含まれていないか再確認してください。% ダメな例 (改行が含まれている) % save_header_format_string("# Line1\n# Line2"); % これだと正しく動作しない % 良い例 save_header_format_string("# My Custom Header %Y-%m-%d");
空文字列を設定してヘッダーを省略する
- もし意図的にヘッダーコメントを完全に不要とする場合は、空文字列を設定します。
これにより、ヘッダーコメントが一切出力されなくなります。save_header_format_string("");
スタートアップファイルで恒久化する
-
特定のヘッダーフォーマットを常に使用したい場合は、Octaveの起動時に自動的に実行されるスタートアップファイル (
~/.octaverc
) に設定コマンドを記述します。- Linux/macOSの場合:
~/.octaverc
- Windowsの場合: Octaveのインストールディレクトリ内、またはユーザープロファイル内の特定の場所 (
octave.ini
または.octaverc
となることが多いですが、Octaveのバージョンによって異なる場合があります。startup
コマンドで確認できます。)
ファイルに以下の行を追加します。
% ~/.octaverc の内容の例 save_header_format_string("# My Octave Data File, Saved on %Y-%m-%d %H:%M:%S");
これにより、Octaveを起動するたびにこの設定が自動的に適用されます。
- Linux/macOSの場合:
基本的な使用例:デフォルトヘッダーの確認とシンプルな変更
まず、デフォルトのヘッダーフォーマットがどのように表示されるかを確認し、次に非常にシンプルなフォーマットに変更してみましょう。
% 1. 現在のsave_header_format_stringの値を確認
printf('現在のヘッダーフォーマット: %s\n', save_header_format_string);
% 2. テスト用の変数を作成
my_data = [10 20 30; 40 50 60];
% 3. デフォルト設定でテキストファイルに保存
% ファイル名: default_header_output.txt
% 変数: my_data
% 形式: テキスト形式 (-text)
save('default_header_output.txt', 'my_data', '-text');
printf('デフォルトヘッダーで "default_header_output.txt" を保存しました。\n');
% 4. save_header_format_string を変更
% ヘッダーに日付と時刻のみを含めるように設定
% 注意: 文字列は必ず '#' で始める必要があります
save_header_format_string("# Date: %Y-%m-%d %H:%M:%S");
printf('ヘッダーフォーマットを "%s" に変更しました。\n', save_header_format_string);
% 5. 変更後の設定でテキストファイルに保存
% ファイル名: custom_header_output.txt
save('custom_header_output.txt', 'my_data', '-text');
printf('カスタムヘッダーで "custom_header_output.txt" を保存しました。\n');
% 6. ヘッダーフォーマットをデフォルトに戻す
% 通常、スクリプトの最後にこの設定を元に戻すのが良い習慣です
% デフォルトの文字列はOctaveのバージョンによって異なる場合がありますが、
% 一般的には以下のような形式です。
save_header_format_string("# Created by Octave VERSION, %a %b %d %H:%M:%S %Y %Z <USER@HOST>");
printf('ヘッダーフォーマットをデフォルトに戻しました。\n');
% 保存されたファイルの内容を確認するヒント:
% Octaveコマンドラインで以下を実行:
% system('cat default_header_output.txt');
% system('cat custom_header_output.txt');
解説:
- スクリプト内で一時的に変更した場合、スクリプトの最後に元の値に戻す(または
reset
コマンドを使う)のが良い習慣です。 - 文字列の先頭には必ず
#
を付けてください。これはファイルリーダーがコメント行として認識するために必要です。 - 設定する文字列は
strftime
関数(C言語の関数で日付と時刻をフォーマットする)のフォーマットコードを使用します。%Y
は4桁の年、%m
は月、%d
は日、%H
は時、%M
は分、%S
は秒を表します。 save
コマンドに必ず-text
オプションを付けてください。これを忘れると、save_header_format_string
の設定は適用されません。save_header_format_string
の値は、printf
やdisp
で確認できます。
ヘッダーコメントを完全に省略する例
ヘッダーコメントが全く不要な場合、save_header_format_string
を空文字列に設定します。
% 1. テスト用の変数を作成
my_simple_data = [1 2; 3 4];
% 2. ヘッダーコメントを無効にする
save_header_format_string("");
printf('ヘッダーフォーマットを空に設定しました (コメントなし)。\n');
% 3. データ保存
save('no_header_output.txt', 'my_simple_data', '-text');
printf('"no_header_output.txt" をヘッダーなしで保存しました。\n');
% 4. ヘッダーフォーマットをデフォルトに戻す
save_header_format_string("# Created by Octave VERSION, %a %b %d %H:%M:%S %Y %Z <USER@HOST>");
解説:
save_header_format_string("")
とすることで、以降のsave -text
コマンドではヘッダーコメントが出力されなくなります。これは、例えば後続のプログラムでパースしやすいように、純粋なデータのみのファイルを作成したい場合に便利です。
動的な情報をヘッダーに含める例(Octaveのバージョンなど)
strftime
以外のOctaveの組み込み変数(例: OCTAVE_VERSION
)をヘッダーに含めたい場合は、sprintf
関数を使って文字列を結合する必要があります。save_header_format_string
は直接 OCTAVE_VERSION
を参照できないため、以下のように動的にフォーマット文字列を生成します。
% 1. テスト用の変数
another_data = [7 8 9];
% 2. ヘッダー文字列を動的に生成
% Octaveのバージョンと保存日時を組み合わせる
% OCTAVE_VERSION は Octave のバージョン文字列を格納しています
current_header = sprintf("# Saved by Octave %s on %s", ...
OCTAVE_VERSION, ...
strftime("%Y-%m-%d %H:%M:%S", localtime(time())));
% 3. save_header_format_string に生成した文字列を設定
save_header_format_string(current_header);
printf('カスタム動的ヘッダー: "%s"\n', save_header_format_string);
% 4. データ保存
save('dynamic_header_output.txt', 'another_data', '-text');
printf('"dynamic_header_output.txt" を動的ヘッダーで保存しました。\n');
% 5. ヘッダーフォーマットをデフォルトに戻す
save_header_format_string("# Created by Octave VERSION, %a %b %d %H:%M:%S %Y %Z <USER@HOST>");
解説:
- 生成した文字列を
save_header_format_string
に設定することで、よりリッチなヘッダーコメントを作成できます。 localtime(time())
は現在の日時情報を構造体として返し、strftime
がその構造体を使って文字列をフォーマットします。sprintf
を使用して、OCTAVE_VERSION
とstrftime
でフォーマットした現在の日時を組み合わせた文字列を生成しています。
関数内で一時的に save_header_format_string
を変更し、その関数の実行が終了したときに元の設定に戻したい場合は、"local"
オプションを使用します。
function save_data_with_temp_header(filename, data_to_save)
% この関数の開始時の save_header_format_string の値を保存し、
% 関数終了時に自動的にその値に戻す
% 'local' オプションが重要
old_header_format = save_header_format_string("# Temporary Header from Function: %Y-%m-%d", "local");
printf('関数内でヘッダーフォーマットを "%s" に設定しました。\n', save_header_format_string);
save(filename, 'data_to_save', '-text');
printf('ファイルを "%s" に保存しました。\n', filename);
% 関数が終了すると、save_header_format_string は
% この関数が呼び出される前の値に戻ります
endfunction
% メインスクリプト
% 1. 現在のグローバルなヘッダー設定を確認
printf('関数呼び出し前のグローバルヘッダー: %s\n', save_header_format_string);
% 2. グローバルなヘッダーをデフォルトから少し変更しておく
save_header_format_string("# Global Custom Header: %a %H:%M");
printf('グローバルヘッダーを "%s" に設定しました。\n', save_header_format_string);
% 3. 関数を呼び出す
test_data = [11 22];
save_data_with_temp_header('temp_header_file.txt', test_data);
% 4. 関数呼び出し後のグローバルなヘッダー設定を確認
% 関数が終了した後、グローバルな設定が元の ('# Global Custom Header...') に戻っているはず
printf('関数呼び出し後のグローバルヘッダー: %s\n', save_header_format_string);
% 5. グローバルなヘッダーをデフォルトに戻す
save_header_format_string("# Created by Octave VERSION, %a %b %d %H:%M:%S %Y %Z <USER@HOST>");
解説:
old_header_format = save_header_format_string(...)
のように、戻り値を受け取ることで、元の値を明示的に保持することもできますが、"local"
オプションを使えばその必要はありません。save_header_format_string(new_value, "local")
とすることで、その関数のスコープ内で一時的にsave_header_format_string
の値を変更し、関数が終了すると自動的に呼び出し前の値に戻ります。これは、関数がグローバルな設定に副作用を与えないようにするために非常に重要です。
ここでは、save_header_format_string
の代替となるプログラミング手法をいくつか紹介します。
fprintf を使用して手動でヘッダーとデータを書き込む
これは最も柔軟な方法で、ファイルの書き込みを完全に制御できます。ヘッダーの行数、フォーマット、データ形式などを自由に定義できます。
利点:
save
コマンドが生成する標準的なヘッダー(変数名、タイプ、サイズなど)が不要な場合に最適。- データ部分のフォーマットも細かく制御できる。
- 完全にカスタマイズ可能なヘッダー(任意のテキスト、複数行、区切り文字など)。
欠点:
- 行列を保存する場合、ループ処理が必要になることがある(
dlmwrite
やcsvwrite
を使えば簡略化できる)。 - データの書き込みロジックを自分で実装する必要がある。
コード例:
% 1. 保存するデータ
data_matrix = [1.1 2.2 3.3; 4.4 5.5 6.6; 7.7 8.8 9.9];
column_headers = {"ColA", "ColB", "ColC"};
file_name = "manual_output.csv";
% 2. ファイルを開く ('w' は書き込みモード、ファイルが存在すれば上書き)
fid = fopen(file_name, 'w');
% 3. カスタムヘッダーを書き込む
fprintf(fid, '# This is a custom data file created by Octave.\n');
fprintf(fid, '# Date: %s\n', datestr(now, 'yyyy-mm-dd HH:MM:SS')); % 現在の日時
fprintf(fid, '# Project: My Data Analysis\n');
% 4. CSV形式のヘッダー行を書き込む (例: カンマ区切り)
% cellstr_to_csv_line という補助関数を定義すると便利
header_line = strjoin(column_headers, ',');
fprintf(fid, '%s\n', header_line);
% 5. データを書き込む
% 行列の各行をループして書き込む
for i = 1:rows(data_matrix)
fprintf(fid, '%.1f,%.1f,%.1f\n', data_matrix(i, :));
end
% 6. ファイルを閉じる
fclose(fid);
printf('"%s" をカスタムヘッダーとデータで保存しました。\n', file_name);
% ヒント: 生成されたファイルの内容を確認
% system(['cat ', file_name]);
dlmwrite または csvwrite と system コマンドを組み合わせる
dlmwrite
(区切り文字付きファイル書き込み) や csvwrite
(CSVファイル書き込み) は、行列データを簡単にテキストファイルに保存できます。これらの関数はヘッダーを直接書き込む機能を持っていませんが、save_header_format_string
が不要なデータ部分の出力には最適です。ヘッダーは別に用意し、シェルコマンドで結合します。
利点:
save_header_format_string
の制約を受けない。- CSV/TSVなどの標準的な区切り文字形式に簡単に対応。
- データ部分の書き込みが非常に簡単。
欠点:
- OSのシェルコマンド (
cat
やtype
) に依存するため、プラットフォーム非依存性が低下する可能性がある。 - 一時ファイルが必要になることがある。
コード例:
% 1. 保存するデータ
my_numeric_data = [100 200; 300 400];
file_name_data = "temp_data.txt"; % データ用の一時ファイル
final_output_file = "combined_output.txt";
% 2. カスタムヘッダーを文字列として準備
header_lines = sprintf('# My Octave Report\n# Generated on %s\n# --- Data Below ---\n', datestr(now, 'yyyy-mm-dd HH:MM:SS'));
% 3. ヘッダーをファイルに書き込む
fid_header = fopen(final_output_file, 'w');
fprintf(fid_header, '%s', header_lines);
fclose(fid_header);
% 4. dlmwrite でデータを一時ファイルに保存 (ヘッダーなし)
% save_header_format_stringの影響を受けないように、dlmwriteを使用
dlmwrite(file_name_data, my_numeric_data, ' '); % スペース区切りで保存
% 5. ヘッダーファイルにデータファイルを追記する (OSコマンドを使用)
% Linux/macOSの場合:
system(['cat ', file_name_data, ' >> ', final_output_file]);
% Windowsの場合:
% system(['type ', file_name_data, ' >> ', final_output_file]);
% 6. 一時ファイルを削除
delete(file_name_data);
printf('"%s" をヘッダーとデータで結合して保存しました。\n', final_output_file);
% ヒント: 生成されたファイルの内容を確認
% system(['cat ', final_output_file]);
save -ascii
は、Octave独自のヘッダー情報(変数名、タイプ、サイズなど)を一切含まず、純粋な数値データのみをテキスト形式で出力します。ただし、save_header_format_string
が生成するコメントヘッダーも出力されません。そのため、ヘッダーを後から追加する場合は、上記の方法と同様に手動でファイルの結合が必要になります。
利点:
- 数値データのみのシンプルな出力を望む場合に便利。
欠点:
- 結局、手動でのヘッダー追加が必要になる。
save_header_format_string
の直接的な代替にはならない(ヘッダー機能がないため)。
コード例:
% 1. 保存するデータ
data_for_ascii = [1 2 3; 4 5 6];
ascii_file_name = "ascii_output.txt";
% 2. ヘッダー文字列を準備
header_info = sprintf('# ASCII Data Export\n# Timestamp: %s\n', datestr(now, 'yyyy-mm-dd HH:MM:SS'));
% 3. ヘッダーを一時的にファイルに書き込む
fid_temp_header = fopen(ascii_file_name, 'w');
fprintf(fid_temp_header, '%s', header_info);
fclose(fid_temp_header);
% 4. データを -ascii オプションで追記 (>> を使用して追記)
% Octaveのsaveコマンドはappendオプションを提供
save(ascii_file_name, 'data_for_ascii', '-ascii', '-append');
printf('"%s" を -ascii でヘッダーを付けて保存しました。\n', ascii_file_name);
% ヒント: 生成されたファイルの内容を確認
% system(['cat ', ascii_file_name]);
注意点: save -ascii
は、単一の行列データに対してのみ有効です。複数の変数を -ascii
で保存しようとするとエラーになるか、意図しない挙動になることがあります。
save_header_format_string
は特定の用途(Octaveが標準で付与するコメントを調整したい場合)には非常に便利ですが、より複雑なヘッダーやデータ形式の制御が必要な場合は、上記のような代替方法を検討するのが良いでしょう。- データ書き込みの簡便性を優先する場合:
dlmwrite
/csvwrite
でデータ部分を書き込み、fprintf
やシェルコマンドでヘッダーを前後に追加する。 - 最も柔軟性があり、推奨される方法:
fprintf
を使ってヘッダーとデータを手動でファイルに書き込む。これにより、出力のフォーマットを完全に制御できます。