MariaDBでST_BUFFERプログラミングを徹底解説!SQL文と構造を分かりやすく学ぶ
ST_BUFFER 関数は、MariaDB の空間データ型を扱う Spatial Analysis モジュールの一部です。この関数は、入力ジオメトリから指定された距離の範囲内にあるすべてのポイントを包含する新しいジオメトリを生成します。これは、バッファゾーンを作成したり、空間検索を実行したりするなどのさまざまな目的に使用できます。
構文
ST_BUFFER(geometry g, distance d)
引数
distance d
: バッファの半径 (メートル単位)geometry g
: バッファを作成する対象となる入力ジオメトリ
戻り値
入力ジオメトリと同じタイプの新しいジオメトリ。これは、ポイント、ラインストリング、ポリゴン、またはマルチジオメトリコレクションのいずれかになります。
例
次の SQL ステートメントは、ポイント POINT(4,5)
の周囲 1 キロメートル (1000 メートル) のバッファを作成します。
SELECT ST_BUFFER(POINT(4,5), 1000);
このステートメントは、次の結果を返します。
GEOMETRYCOLLECTION(POLYGON((3,4),(5,4),(5,6),(3,6),(3,4)))
この結果は、ポイント POINT(4,5)
を中心とする半径 1 キロメートルの円を表すポリゴンです。
使用例
ST_BUFFER 関数は、さまざまな目的に使用できます。次に、いくつかの例を示します。
- 空間データの分析: 空間データのパターンや傾向を分析できます。これは、人口統計分析、環境モニタリング、交通計画などのアプリケーションで使用できます。
- 空間検索の実行: 入力ジオメトリに近い他のジオメトリを検索できます。これは、顧客分析、配送計画、緊急対応などのアプリケーションで使用できます。
- バッファゾーンの作成: 特定の場所の周囲にバッファゾーンを作成できます。これは、土地利用計画、環境管理、リスク評価などのアプリケーションで使用できます。
- バッファの形状は、入力ジオメトリの形状によって異なります。
- バッファの半径は、メートル単位で指定する必要があります。
- ST_BUFFER 関数は、空間データ型のジオメトリのみを受け取ります。
例 1: ポイントのバッファを作成する
SELECT ST_BUFFER(POINT(4,5), 2000);
例 2: ラインストリングのバッファを作成する
次の SQL ステートメントは、ラインストリング LINESTRING(1,2,3,4)
の周囲 1 キロメートル (1000 メートル) のバッファを作成します。
SELECT ST_BUFFER(LINESTRING(1,2,3,4), 1000);
例 3: ポリゴンのバッファを作成する
次の SQL ステートメントは、ポリゴン POLYGON((0,0),(10,0),(10,10),(0,10),(0,0))
の周囲 500 メートルのバッファを作成します。
SELECT ST_BUFFER(POLYGON((0,0),(10,0),(10,10),(0,10),(0,0)), 500);
例 4: マルチジオメトリコレクションのバッファを作成する
次の SQL ステートメントは、マルチジオメトリコレクション GEOMETRYCOLLECTION(POINT(4,5),LINESTRING(1,2,3,4))
の周囲 1 キロメートル (1000 メートル) のバッファを作成します。
SELECT ST_BUFFER(GEOMETRYCOLLECTION(POINT(4,5),LINESTRING(1,2,3,4)), 1000);
例 5: 入力ジオメトリに近い他のジオメトリを検索する
次の SQL ステートメントは、ポイント POINT(4,5)
に近いすべてのポイントを検索します。
SELECT * FROM mytable WHERE ST_INTERSECTS(geometry, ST_BUFFER(POINT(4,5), 1000));
このステートメントは、mytable
テーブル内の geometry
列に格納されているすべてのジオメトリに対して実行されます。 ST_INTERSECTS
関数は、2 つのジオメトリが交差しているかどうかを判断します。
例 6: 空間データの分析
次の SQL ステートメントは、都市部のポリゴンデータセット内のポリゴンの平均面積を計算します。
SELECT AVG(ST_AREA(ST_BUFFER(geometry, 1000))) FROM city_polygons;
このステートメントは、city_polygons
テーブル内の geometry
列に格納されているすべてのポリゴンに対して実行されます。 ST_AREA
関数は、ジオメトリの面積を計算します。
これらの例は、ST_BUFFER 関数の使用方法を示すほんの一例です。この関数は、さまざまな目的に使用できます。詳細については、MariaDB Spatial Analysis モジュールのドキュメントを参照してください。
ST_BUFFER
関数は、MariaDB の Spatial Analysis モジュールの一部として提供される便利な関数ですが、状況によっては代替手段が必要になる場合があります。 以下に、いくつかの代替方法とその長所と短所をいくつか紹介します。
カスタム SQL クエリ
複雑な形状のバッファを作成したり、ST_BUFFER
関数ではサポートされていない追加処理を実行したりする場合、カスタム SQL クエリを作成することができます。
利点:
- 追加処理を実行できる
- 複雑な形状のバッファを作成できる
- 柔軟性と制御性に優れている
欠点:
- 性能が劣る場合がある
- バグが発生しやすい
- 開発とテストに時間がかかる
例
次のカスタム SQL クエリは、円形ではなく正方形のバッファを作成します。
SELECT
ST_MAKEPOLYGON(
ST_SETSRID(ST_MAKELINE(ARRAY[
ST_POINT(x0, y0),
ST_POINT(x1, y0),
ST_POINT(x1, y1),
ST_POINT(x0, y1)
]), srid),
2
)
FROM (
SELECT
x0 - d AS x0,
y0 - d AS y0,
x0 + d AS x1,
y0 + d AS y1
FROM geometry g, (
SELECT ST_X(ST_Centroid(g)) AS x,
ST_Y(ST_Centroid(g)) AS y,
ST_Buffer(g, d) AS buffer
) AS subquery
) AS subquery2;
このクエリは、geometry
テーブル内の各ジオメトリに対して実行されます。 ST_MAKELINE
関数は、指定された点のリストを使用してラインストリングを作成します。 ST_SETSRID
関数は、ジオメトリに SRID (空間参照系) を設定します。 ST_MAKEPOLYGON
関数は、ラインストリングを使用してポリゴンを作成します。
GEOS ライブラリ
GEOS は、C、C++、Python、Java などのさまざまなプログラミング言語で使用できるオープンソースの空間幾何ライブラリです。 GEOS は、ST_BUFFER
関数を含む、さまざまな空間幾何関数を提供します。
- さまざまな空間幾何関数を提供している
- 多くのプログラミング言語で利用可能
- 高性能
- アプリケーションに GEOS ライブラリを統合する必要がある
- MariaDB にネイティブで組み込まれていない
Shapely ライブラリ
Shapely は、Python で使用できるオープンソースの空間幾何ライブラリです。 Shapely は、ST_BUFFER
関数を含む、さまざまな空間幾何関数を提供します。
- 多くの空間幾何関数を提供している
- Python で使いやすい
- アプリケーションに Shapely ライブラリを統合する必要がある
- MariaDB にネイティブで組み込まれていない
PostGIS
PostGIS は、PostgreSQL データベース用のオープンソースの空間拡張機能です。 PostGIS は、ST_BUFFER
関数を含む、さまざまな空間幾何関数を提供します。
- 多くの空間幾何関数を提供している
- 豊富な機能を備えた強力な空間データベースシステム
- MariaDB とは別のデータベースシステム
Oracle Spatial
Oracle Spatial は、Oracle データベース用の商用空間拡張機能です。 Oracle Spatial は、ST_BUFFER
関数を含む、さまざまな空間幾何関数を提供します。
- 多くの空間幾何関数を提供している
- 豊富な機能を備えた強力な空間データベースシステム
- MariaDB とは別のデータベースシステム
- 商用ライセンスが必要
最適な代替手段の選択
最適な代替手段は、特定のニーズによって異なります。 複雑な形状のバッファを作成したり、追加処理を実行する必要がある場合は、カスタム SQL クエリまたは GEOS ライブラリが適している場合があります。 Python で作業している場合は、Shapely ライブラリが適している場合があります。 空間データベースシステムが必要な場合は、PostGIS または Oracle Spatial が適している場合があります。