Make コマンドのオプションを使いこなす: `--silent` オプションと `--no-print-directory` オプションの違い


--no-print-directory オプションは、make コマンドが実行中に処理しているディレクトリを出力しないように設定します。これは、ビルドプロセスを簡潔にし、必要な情報のみを表示したい場合に役立ちます。

使い方

--no-print-directory オプションは、make コマンドを実行する際にコマンドラインオプションとして指定します。

make --no-print-directory

動作

--no-print-directory オプションが指定されると、make コマンドは処理しているディレクトリに関する以下のメッセージを出力しません。

  • ディレクトリを処理し終えた際のメッセージ
  • ディレクトリに移動する際のメッセージ

以下の例では、--no-print-directory オプションを使用して、Makefile を実行します。

make --no-print-directory

このコマンドを実行すると、make コマンドは処理しているディレクトリに関するメッセージを出力せずに、Makefile を実行します。

  • --no-print-directory オプションは、サブディレクトリに再帰的に呼び出された make コマンドにも適用されます。
  • --no-print-directory オプションは、Makefile 内の V=1 などの変数設定よりも優先されます。
  • --no-print-directory オプションは、-w オプションの逆の動作をします。

利点

  • 複数のサブディレクトリを処理する場合に、出力を整理する
  • 必要な情報のみを表示する
  • ビルドプロセスの出力を簡潔にする

欠点

  • エラーが発生した場合、原因を特定しにくくなる
  • ビルドプロセスがどこで進行しているのか分かりにくくなる

--no-print-directory オプションは、make コマンドの出力情報を制御する便利なオプションです。ビルドプロセスの出力を簡潔にしたい場合や、必要な情報のみを表示したい場合に役立ちます。

--no-print-directory オプションは、主にビルドスクリプトで使用されます。例えば、以下のシナリオで役立ちます。

  • ビルドプロセスの進行状況を GUI で表示する場合
  • ビルドプロセスの出力をログファイルに記録する場合
  • 複数のサブディレクトリを含む大規模なプロジェクトをビルドする場合

これらのシナリオでは、--no-print-directory オプションを使用することで、ビルドプロセスの出力を簡潔にし、必要な情報のみを表示することができます。

以下の例では、--no-print-directory オプションを使用して、複数のサブディレクトリを含むプロジェクトをビルドするスクリプトを示します。

#!/bin/bash

make --no-print-directory

if [ $? -ne 0 ]; then
  echo "Build failed!"
  exit 1
fi

echo "Build successful!"

このスクリプトは、make コマンドを --no-print-directory オプション付きで実行し、ビルドが成功したかどうかを確認します。ビルドが失敗した場合は、エラーメッセージを出力して終了します。



#!/bin/bash

make --no-print-directory

if [ $? -ne 0 ]; then
  echo "Build failed!"
  exit 1
fi

echo "Build successful!"

説明

このスクリプトは、--no-print-directory オプションを使用して、make コマンドを実行し、ビルドが成功したかどうかを確認します。ビルドが失敗した場合は、エラーメッセージを出力して終了します。

例 2: ビルドプロセスの出力をログファイルに記録するスクリプト

#!/bin/bash

make --no-print-directory > build.log

if [ $? -ne 0 ]; then
  echo "Build failed!"
  exit 1
fi

echo "Build successful!"

説明

このスクリプトは、--no-print-directory オプションと > リダイレクト演算子を使用して、make コマンドの出力を build.log という名前のログファイルに記録します。ビルドが失敗した場合は、エラーメッセージを出力して終了します。

例 3: ビルドプロセスの進行状況を GUI で表示するスクリプト

import subprocess

def build_progress():
    process = subprocess.Popen(['make', '--no-print-directory'], stdout=subprocess.PIPE)
    for line in process.stdout:
        # ビルドプロセスの進行状況を GUI で表示する処理
        pass

if __name__ == '__main__':
    build_progress()

説明

このスクリプトは、subprocess モジュールを使用して、make コマンドを --no-print-directory オプション付きで実行します。make コマンドの出力を stdout パイプに取得し、for ループを使用して各行を処理します。各行はビルドプロセスの進行状況に関する情報を含んでいるため、この情報を GUI で表示することができます。

  • --no-print-directory オプションは、サブディレクトリに再帰的に呼び出された make コマンドにも適用されます。これは、複数のサブディレクトリを含むプロジェクトをビルドする場合に注意する必要があります。
  • --no-print-directory オプションは、デバッグ目的で使用する場合には役立ちません。デバッグを行う場合は、-v などの詳細な出力オプションを使用する必要があります。


サブプロセスモジュールを使用する

Pythonなどのプログラミング言語を使用している場合は、subprocess モジュールを使用して make コマンドを実行し、その出力を制御することができます。この方法では、--no-print-directory オプションを使用するよりも、出力情報の処理方法をより細かく制御することができます。


import subprocess

def build_project():
    process = subprocess.Popen(['make'], stdout=subprocess.PIPE)
    for line in process.stdout:
        # 必要に応じて出力を処理する
        pass

if __name__ == '__main__':
    build_project()

内部変数を使用する

make コマンドには、MAKE という内部変数があり、この変数を使用してコマンドラインオプションを指定することができます。--no-print-directory オプションと同じ効果を得るには、以下のコマンドを使用します。

make 'MAKE=-w'

Makefile 内の変数を使用する

Makefile 内で V という変数を設定することで、make コマンドの出力情報量を制御することができます。V 変数の値を 0 に設定すると、--no-print-directory オプションと同じ効果になります。

V=0

all:
    make $(MAKEDIRS)
    make -n

サイレントモードを使用する

make コマンドには、-s または --silent オプションがあり、このオプションを使用すると、コマンドの実行中にメッセージを出力せずに、静かに処理を進めることができます。ただし、このオプションは --no-print-directory オプションとは異なり、エラーメッセージも出力されません。

カスタム出力ロジックを実装する

上記の方法で解決できない場合は、独自のロジックを実装して、make コマンドの出力を制御することができます。これは、複雑なプロジェクトや、特定のニーズに合わせた出力を必要とする場合に役立ちます。

方法利点欠点
サブプロセスモジュールを使用する出力情報の処理を細かく制御できるプログラミング言語の知識が必要
内部変数を使用するシンプルでわかりやすいオプション名が分かりにくい
Makefile 内の変数を使用するMakefile を編集するだけで設定できる複雑なプロジェクトでは設定が煩雑になる
サイレントモードを使用するシンプルでわかりやすいエラーメッセージも出力されない
カスタム出力ロジックを実装する柔軟性が高い複雑なロジックを記述する必要がある
  • 特定の状況に最適な方法は、個々のニーズによって異なります。
  • 上記以外にも、make コマンドの出力情報を制御する方法があります。詳細については、make コマンドのマニュアルを参照してください。