Makefileのデバッグに役立つ--dry-runオプションとは?


--dry-run オプションは、実際にコマンドを実行せずに、Makeが実行するであろうコマンドを表示するものです。これは、Makeファイルの動作をデバッグしたり、潜在的な問題を特定したりするのに役立ちます。

使用方法

--dry-run オプションは、Makeコマンドラインに渡します。

make --dry-run [ターゲット]

例:

make --dry-run all

このコマンドは、all ターゲットに必要なすべてのレシピを表示しますが、実際に実行はしません。

動作

--dry-run オプションを使用すると、Makeは以下の処理を行います。

  1. 依存関係を分析し、更新が必要なターゲットを特定します。
  2. 各ターゲットに必要なレシピを特定します。
  3. 各レシピのコマンドを表示します。
  4. 実際にコマンドを実行しません。

出力

--dry-run オプションを使用すると、以下のような出力が表示されます。

<recipe1>
<recipe2>
...
<recipeN>

各レシピは、以下のような形式で表示されます。

<ターゲット>: <依存関係>
  <コマンド1>
  <コマンド2>
  ...
  <コマンドN>

利点

--dry-run オプションを使用する利点は次のとおりです。

  • 実際にコマンドを実行せずに、Makeファイルがどのように動作するかを確認するのに役立ちます。
  • 潜在的な問題を特定するのに役立ちます。
  • Makeファイルの動作をデバッグするのに役立ちます。

注意点

--dry-run オプションを使用する際の注意点は以下のとおりです。

  • 実際にファイルが更新されないため、Makeファイルでファイル更新を想定している処理は動作しません。
  • 実際にコマンドは実行されないため、Makeファイルでエラーが発生しても検出されません。

--dry-run オプションは、Makeファイルの動作をデバッグしたり、潜在的な問題を特定したりするのに役立つ便利なオプションです。Makeファイルの動作を理解したい開発者にとって、貴重なツールと言えるでしょう。

  • -v オプションを使用すると、Makeはより詳細な出力を表示します。
  • -p オプションを使用すると、Makeは実行するコマンドの詳細な出力を表示します。
  • -n オプションは --dry-run オプションの短縮形です。


Makefile

# ターゲット all を定義します
all: main.o

# main.o をビルドします
main.o: main.c
    gcc -c main.c -o main.o

# main.c が更新されたら main.o を再ビルドします
main.o: main.c

使用方法

このMakefileを使用して、以下のコマンドを実行します。

make --dry-run all

出力

gcc -c main.c -o main.o

この出力は、all ターゲットをビルドするために必要なコマンドを示しています。しかし、実際にコマンドは実行されません。

説明

このMakefileは、以下の処理を行います。

  1. all ターゲットを指定します。
  2. all ターゲットをビルドするには main.o が必要であることを認識します。
  3. main.o が存在しないため、main.c からビルドする必要があります。
  4. gcc コマンドを使用して main.c をコンパイルし、main.o を作成するコマンドを表示します。
  5. 実際に gcc コマンドは実行しません。


-print-data オプションを使用する

-print-data オプションを使用すると、Makeは実行するコマンドの詳細な出力を表示します。これは、--dry-run オプションよりも多くの情報を提供するため、Makeファイルの動作をより深く理解するのに役立ちます。

make -print-data all

-v オプションを使用する

-v オプションを使用すると、Makeはより詳細な出力を表示します。これには、Makeが実行する各ステップの詳細な情報が含まれます。

make -v all

シェルスクリプトを使用する

シェルスクリプトを使用して、Makeファイルの動作をシミュレートすることもできます。これは、Makeファイルのロジックをより詳細に制御したい場合に役立ちます。

以下の例は、all ターゲットをビルドするシェルスクリプトを示しています。

#!/bin/bash

# ターゲット all を定義します
all: main.o

# main.o をビルドします
main.o: main.c
    echo "gcc -c main.c -o main.o"

# main.c が更新されたら main.o を再ビルドします
main.o: main.c

# 依存関係を分析します
deps

# main.o が存在しない場合は、main.c からビルドします
if [ ! -f main.o ]; then
    echo "Building main.o..."
    gcc -c main.c -o main.o
fi

# all ターゲットが完了しました
echo "Done."

このスクリプトは、gcc コマンドを実際に実行する前に、そのコマンドを表示します。

デバッガーを使用する

Makeには、Makeファイルの動作をステップバイステップでデバッグできるデバッガーが組み込まれています。これは、複雑なMakeファイルの動作を理解したい場合に役立ちます。

--dry-run オプション以外にも、Makeファイルの動作をシミュレートしたり、潜在的な問題を特定したりする方法がいくつかあります。どの方法が最適かは、個々のニーズによって異なります。