【Django チュートリアル】 `db.models.CursorWrapper.callproc()` でストアドプロシージャを使いこなす
Django の "django.db.models" モジュールには、db.models.CursorWrapper.callproc()
関数と呼ばれる、データベースのストアドプロシージャを実行するための機能を提供します。この関数は、ストアドプロシージャへの入力パラメータの設定、出力パラメータの取得、結果セットの処理など、ストアドプロシージャとのやり取りを包括的にサポートします。
機能
db.models.CursorWrapper.callproc()
関数は、以下の機能を提供します。
- ストアドプロシージャからの戻り値の取得
- 結果セットの処理
- 出力パラメータの値の取得
- 入力パラメータの値の設定
- ストアドプロシージャの名前とオプションのパラメータの指定
構文
db_cursor.callproc(procname, [params], kparams=kwparams)
引数
kwparams
: ストアドプロシージャへの出力パラメータを指定するための辞書。出力パラメータは、(param_name, param_type)
の形式のタプルである必要があります。kparams
: ストアドプロシージャへの入力パラメータをキー名と値のペアで指定するための辞書。params
: ストアドプロシージャへの入力パラメータのリスト。各パラメータは、(param_type, param_value)
の形式のタプルである必要があります。procname
: 実行するストアドプロシージャの名前
戻り値
- ストアドプロシージャからの戻り値。戻り値は、ストアドプロシージャによって返される値の種類によって異なります。
- ストアドプロシージャからの結果セット。結果セットは、
django.db.models.Cursor
オブジェクトとして返されます。
例
# ストアドプロシージャ 'get_customer_details' を実行し、顧客 ID 1 の顧客情報を取得する
from django.db import connection
with connection.cursor() as cursor:
# 入力パラメータを設定
params = [(2, 'customer_id')]
# ストアドプロシージャを実行
cursor.callproc('get_customer_details', params)
# 結果セットを処理
result_set = cursor.fetchall()
# 顧客情報を表示
for row in result_set:
print(f"顧客 ID: {row[0]}")
print(f"顧客名: {row[1]}")
print(f"メールアドレス: {row[2]}")
- ストアドプロシージャからの戻り値は、ストアドプロシージャによって返される値の種類によって異なります。
- ストアドプロシージャへの入力パラメータと出力パラメータは、ストアドプロシージャの定義に従って指定する必要があります。
db.models.CursorWrapper.callproc()
関数は、ストアドプロシージャを実行するためにデータベース接続を使用します。したがって、この関数を呼び出す前に、データベース接続を確立する必要があります。
from django.db import connection
with connection.cursor() as cursor:
# 入力パラメータを設定
params = [(2, 1)] # 顧客 ID: 1
# ストアドプロシージャを実行
cursor.callproc('get_customer_details', params)
# 結果セットを処理
result_set = cursor.fetchall()
# 顧客情報を表示
for row in result_set:
print(f"顧客 ID: {row[0]}")
print(f"顧客名: {row[1]}")
print(f"メールアドレス: {row[2]}")
print(f"住所: {row[3]}")
例 2: ストアドプロシージャを使用して新しい顧客を追加する
この例では、add_customer
という名前のストアドプロシージャを使用して、新しい顧客を追加します。ストアドプロシージャは、顧客名、メールアドレス、住所などの情報をパラメータとして受け取り、新しい顧客レコードをデータベースに挿入します。
from django.db import connection
with connection.cursor() as cursor:
# 入力パラメータを設定
params = [
(3, '田中 太郎'),
(3, '[email protected]'),
(3, '東京都渋谷区道玄坂1-1-1'),
]
# ストアドプロシージャを実行
cursor.callproc('add_customer', params)
例 3: ストアドプロシージャを使用して顧客情報を更新する
この例では、update_customer
という名前のストアドプロシージャを使用して、顧客情報を更新します。ストアドプロシージャは、顧客 ID、顧客名、メールアドレス、住所などの情報をパラメータとして受け取り、既存の顧客レコードを更新します。
from django.db import connection
with connection.cursor() as cursor:
# 入力パラメータを設定
params = [
(2, 1), # 顧客 ID: 1
(3, '田中 花子'),
(3, '[email protected]'),
(3, '東京都港区赤坂1-1-1'),
]
# ストアドプロシージャを実行
cursor.callproc('update_customer', params)
例 4: ストアドプロシージャを使用して顧客を削除する
この例では、delete_customer
という名前のストアドプロシージャを使用して、顧客を削除します。ストアドプロシージャは、顧客 ID をパラメータとして受け取り、既存の顧客レコードを削除します。
from django.db import connection
with connection.cursor() as cursor:
# 入力パラメータを設定
params = [(2, 1)] # 顧客 ID: 1
# ストアドプロシージャを実行
cursor.callproc('delete_customer', params)
- ストアドプロシージャは、データベースアクセスを制御し、セキュリティを強化するために使用できます。
- ストアドプロシージャは、複雑なSQLクエリをカプセル化し、アプリケーションコードを簡潔にすることができます。
- ストアドプロシージャは、データベースサーバー側で実行されるため、クライアント側の処理速度を向上させることができます。
代替方法
django.db.backends.signals.connection_created
シグナルを使用する
この方法は、ストアドプロシージャを実行する前に、データベース接続が確立されたことを確認するために使用できます。connection_created
シグナルは、新しいデータベース接続が作成されたときに送信されます。このシグナルハンドラで、db.models.CursorWrapper.callproc()
関数を使用してストアドプロシージャを実行することができます。
from django.db import connection
from django.db.backends.signals import connection_created
def call_stored_proc(sender, **kwargs):
with connection.cursor() as cursor:
# ストアドプロシージャを実行
cursor.callproc('my_stored_proc')
connection_created.connect(call_stored_proc)
django.db.transaction.atomic
デコレータを使用する
この方法は、ストアドプロシージャの実行中にトランザクションを開始およびコミットするために使用できます。atomic
デコレータは、デコレータで修飾された関数が例外を発生させずに正常に完了した場合にのみ、トランザクションをコミットします。
from django.db import transaction
@transaction.atomic
def call_stored_proc():
with connection.cursor() as cursor:
# ストアドプロシージャを実行
cursor.callproc('my_stored_proc')
django.db.models.signals.pre_save
およびpost_save
シグナルを使用する
この方法は、モデルの保存前または保存後にストアドプロシージャを実行するために使用できます。pre_save
シグナルは、モデルが保存される前に送信されます。post_save
シグナルは、モデルが保存された後に送信されます。これらのシグナルハンドラで、db.models.CursorWrapper.callproc()
関数を使用してストアドプロシージャを実行することができます。
from django.db import connection
from django.db.models.signals import pre_save, post_save
def call_stored_proc_before_save(sender, instance, **kwargs):
if instance.is_new:
with connection.cursor() as cursor:
# ストアドプロシージャを実行
cursor.callproc('my_stored_proc', (instance.id,))
pre_save.connect(call_stored_proc_before_save)
def call_stored_proc_after_save(sender, instance, **kwargs):
with connection.cursor() as cursor:
# ストアドプロシージャを実行
cursor.callproc('my_stored_proc', (instance.id,))
post_save.connect(call_stored_proc_after_save)
それぞれの方法の比較
方法 | 機能 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|---|
connection_created シグナル | データベース接続が確立されたことを確認する | ストアドプロシージャの実行前にデータベース接続が確立されていることを保証する | シグナルハンドラを実装する必要がある |
atomic デコレータ | トランザクションを開始およびコミットする | ストアドプロシージャの実行中にトランザクションの整合性を保つ | デコレータを使用する必要がある |
pre_save および post_save シグナル | モデルの保存前または保存後にストアドプロシージャを実行する | モデルの保存タイミングに合わせてストアドプロシージャを実行できる | シグナルハンドラを実装する必要がある |
db.models.CursorWrapper.callproc()
関数以外にも、ストアドプロシージャを実行するための代替方法がいくつか用意されています。それぞれの方法には異なる機能や利点があります。状況に応じて、最適な方法を選択してください。
- Django ドキュメント -
django.db.transaction.atomic
デコレータ [無効な URL を削除