Django の "settings.PASSWORD_HASHERS" 設定:詳細解説とサンプルコード


settings.PASSWORD_HASHERS は、Django フレームワークにおけるパスワードのハッシュ化アルゴリズムを定義する設定項目です。この設定により、ユーザーパスワードの安全性を確保し、不正アクセスを防ぐことができます。

設定内容

settings.PASSWORD_HASHERS は、以下の形式で設定されます。

PASSWORD_HASHERS = [
    'django.contrib.auth.hashers.PBKDF2PasswordHasher',
    'django.contrib.auth.hashers.PBKDF2SHA1PasswordHasher',
    'django.contrib.auth.hashers.Argon2PasswordHasher',
]

この例では、以下の 3 つのハッシュ化アルゴリズムが使用されています。

  • Argon2PasswordHasher: 最新の Argon2 アルゴリズムに基づいています。
  • PBKDF2SHA1PasswordHasher: PBKDF2 アルゴリズムと SHA-1 ハッシュ関数を組み合わせたものです。
  • PBKDF2PasswordHasher: 従来の PBKDF2 アルゴリズムに基づいています。

デフォルト設定

Django のデフォルト設定では、上記の 3 つのハッシュ化アルゴリズムが使用されます。

PASSWORD_HASHERS = [
    'django.contrib.auth.hashers.Argon2PasswordHasher',
    'django.contrib.auth.hashers.PBKDF2PasswordHasher',
    'django.contrib.auth.hashers.PBKDF2SHA1PasswordHasher',
]

このデフォルト設定は、セキュリティと互換性のバランスを考慮して選択されています。

推奨設定

現在のベストプラクティスでは、以下の設定が推奨されています。

PASSWORD_HASHERS = [
    'django.contrib.auth.hashers.Argon2PasswordHasher',
]

この設定は、最新の Argon2 アルゴリズムのみを使用し、最も高いセキュリティレベルを提供します。

設定変更の注意点

settings.PASSWORD_HASHERS 設定を変更する場合は、以下の点に注意する必要があります。

  • すべてのユーザーパスワードを定期的に更新することを推奨します。
  • 古いアルゴリズムを使用するパスワードは、新しいアルゴリズムよりも脆弱になる可能性があります。
  • 既存のパスワードハッシュは、新しいアルゴリズムで再ハッシュ化されません。

settings.PASSWORD_HASHERS 設定の詳細については、以下の公式ドキュメントを参照してください。

  • パスワード管理には、強固なパスワードポリシーと定期的なパスワード更新が重要です。
  • Django は、パスワードハッシュ化アルゴリズムを定期的に更新しています。最新の情報については、公式ドキュメントを参照してください。


デフォルト設定

PASSWORD_HASHERS = [
    'django.contrib.auth.hashers.Argon2PasswordHasher',
    'django.contrib.auth.hashers.PBKDF2PasswordHasher',
    'django.contrib.auth.hashers.PBKDF2SHA1PasswordHasher',
]

Argon2 アルゴリズムのみを使用する設定

PASSWORD_HASHERS = [
    'django.contrib.auth.hashers.Argon2PasswordHasher',
]
from django.contrib.auth.hashers import (
    PBKDF2PasswordHasher,
    PBKDF2SHA1PasswordHasher,
    Argon2PasswordHasher,
)

class MyCustomPasswordHasher(PBKDF2PasswordHasher):
    algorithm = 'my-custom-algorithm'
    iterations = 10000
    salt_length = 16

PASSWORD_HASHERS = [
    MyCustomPasswordHasher(),
    Argon2PasswordHasher(),
]
  • 既存のパスワードハッシュとの互換性を考慮する必要があります。
  • 独自のハッシュ化アルゴリズムを実装する場合は、セキュリティ上のリスクを十分に考慮する必要があります。


課題と代替案

複雑な設定と管理

settings.PASSWORD_HASHERS 設定には、複数のハッシュ化アルゴリズムをリストする必要があります。それぞれのアルゴリズムには、セキュリティレベル、処理速度、互換性などの特性があり、適切な組み合わせを選択する必要があります。これは、特に複雑なプロジェクトや、セキュリティ要件が厳しい場合に、設定と管理が難しくなります。

代替案

  • パスワードハッシュ化サービスの利用
    クラウドベースのパスワードハッシュ化サービスを利用することで、設定と管理の負担を軽減できます。
  • 単一の強力なハッシュ化アルゴリズムの使用
    最新の Argon2 アルゴリズムなど、高いセキュリティレベルと処理速度を備えた単一のハッシュ化アルゴリズムのみを使用するシンプルな設定を検討できます。
  • パスワードポリシーの強化
    強固なパスワードポリシーを制定することで、パスワード自体の強度を高め、ハッシュ化アルゴリズムへの依存度を下げることができます。

既存パスワードとの互換性

settings.PASSWORD_HASHERS 設定を変更すると、既存のパスワードハッシュが新しいアルゴリズムで再ハッシュ化されません。そのため、古いアルゴリズムを使用するパスワードは、新しいアルゴリズムよりも脆弱になる可能性があります。これは、特に古いプロジェクトや、大規模なユーザーベースを持つ場合に問題となります。

代替案

  • パスワードハッシュ化の変換ツール
    既存のパスワードハッシュを新しいアルゴリズムに変換するためのツールを使用することができます。
  • パスワードの定期的な更新
    すべてのユーザーに定期的にパスワードの更新を促すことで、古いアルゴリズムを使用するパスワードの数を減らすことができます。
  • 段階的な移行
    新しいハッシュ化アルゴリズムを段階的に導入することで、既存のパスワードとの互換性を維持しながら、セキュリティレベルを向上させることができます。

処理速度への影響

強力なハッシュ化アルゴリズムは、処理速度が遅くなる傾向があります。これは、特に大規模なユーザーベースを持つ場合や、パフォーマンスが重要なアプリケーションにおいて問題となります。

代替案

  • 軽量なハッシュ化アルゴリズムの検討
    処理速度が速く、ある程度のセキュリティレベルを確保できる軽量なハッシュ化アルゴリズムを検討することができます。
  • 並行処理の利用
    並行処理技術を活用することで、ハッシュ化処理にかかる時間を短縮することができます。
  • ハードウェアの強化
    より強力なハードウェアを使用することで、処理速度を向上させることができます。

settings.PASSWORD_HASHERS 設定は、パスワードのセキュリティにとって重要な役割を果たしますが、課題もあります。状況に応じて、上記の代替方法を検討することで、より適切なパスワード管理を実現することができます。

  • パスワード管理には、強固なパスワードポリシーと定期的なパスワード更新が重要です。
  • 最新のセキュリティ情報に常に注意し、必要に応じて設定を更新することが重要です。
  • どの代替方法を選択するかは、プロジェクトの要件や状況に応じて慎重に判断する必要があります。