get_user_model() vs settings.AUTH_USER_MODEL: 状況に応じた使い分け


settings.AUTH_USER_MODEL は、Djangoの設定ファイル settings.py で定義される設定項目の一つです。この設定は、Djangoが認証システムにおいて使用するユーザーモデルを指定するために用いられます。デフォルトでは、Djangoは auth アプリケーションに含まれる User モデルを使用します。しかし、独自のカスタムユーザーモデルを作成した場合は、この設定を使用してそのモデルを指定することで、認証システムに組み込むことができます。

設定方法

settings.AUTH_USER_MODEL の設定方法は以下の通りです。

# settings.py

AUTH_USER_MODEL = 'myapp.MyUser'

上記の例では、myapp アプリケーションの MyUser モデルがユーザーモデルとして指定されています。

ポイント

  • 複数のアプリケーションで異なるユーザーモデルを使用する場合は、適切な設定を行う必要があります。
  • カスタムユーザーモデルを作成する場合は、AUTH_USER_MODEL 設定を変更する前に、必ずマイグレーションを実行する必要があります。
  • AUTH_USER_MODEL には、ドット区切りで指定したモデルのパスを記述する必要があります。

get_user_model() 関数との違い

settings.AUTH_USER_MODEL と同様に、Djangoには get_user_model() 関数も用意されています。この関数は、現在のプロジェクトで設定されているユーザーモデルを取得するために使用されます。

from django.contrib.auth import get_user_model

User = get_user_model()

上記の例では、User 変数に現在のユーザーモデルが代入されています。

settings.AUTH_USER_MODELget_user_model() 関数の主な違いは以下の通りです。

  • settings.AUTH_USER_MODEL は、主にカスタムユーザーモデルを使用する場合に使用されます。一方、get_user_model() 関数は、汎用的な場面で使用されます。
  • settings.AUTH_USER_MODEL は設定ファイルで定義される静的な値であるのに対し、get_user_model() 関数は実行時に動的にユーザーモデルを取得します。
  • 複数のアプリケーションで異なるユーザーモデルを使用する場合は、各アプリケーションの設定ファイルで適切な AUTH_USER_MODEL 設定を記述する必要があります。
  • カスタムユーザーモデルを作成する場合は、認証システムに必要なすべての属性とメソッドを定義する必要があります。
  • settings.AUTH_USER_MODEL を設定する際には、モデル名のスペルミスなどに注意する必要があります。


カスタムユーザーモデルの作成

# myapp/models.py

from django.db import models
from django.contrib.auth import base_user
from django.contrib.auth.models import AbstractBaseUser, PermissionsMixin

class MyUser(AbstractBaseUser, PermissionsMixin):
    username = models.CharField(max_length=30, unique=True)
    email = models.EmailField(max_length=255, unique=True)
    first_name = models.CharField(max_length=30)
    last_name = models.CharField(max_length=30)
    is_active = models.BooleanField(default=True)
    is_staff = models.BooleanField(default=False)
    is_superuser = models.BooleanField(default=False)

    USERNAME_FIELD = 'username'
    REQUIRED_FIELDS = ['email', 'first_name', 'last_name']

    objects = models.Manager()

    def __str__(self):
        return self.email

このコードでは、MyUser モデルが AbstractBaseUserPermissionsMixin を継承して定義されています。これにより、MyUser モデルは認証システムに必要なすべての属性とメソッドを備えることになります。

設定ファイルの変更

# settings.py

AUTH_USER_MODEL = 'myapp.MyUser'

このコードは、settings.py ファイルに記述します。この設定により、Djangoは認証システムにおいて myapp.MyUser モデルを使用するようになります。

マイグレーションの実行

python manage.py makemigrations
python manage.py migrate

上記のマイグレーションコマンドを実行することで、MyUser モデルに対応するデータベーステーブルが作成されます。

例2:複数のアプリケーションで異なるユーザーモデルを使用

この例では、2つのアプリケーションでそれぞれ異なるユーザーモデルを使用する方法を示します。

各アプリケーションのモデル定義

# app1/models.py

from django.db import models
from django.contrib.auth import base_user
from django.contrib.auth.models import AbstractBaseUser, PermissionsMixin

class App1User(AbstractBaseUser, PermissionsMixin):
    # ... (App1Userモデルの属性とメソッド)

# app2/models.py

from django.db import models
from django.contrib.auth import base_user
from django.contrib.auth.models import AbstractBaseUser, PermissionsMixin

class App2User(AbstractBaseUser, PermissionsMixin):
    # ... (App2Userモデルの属性とメソッド)

設定ファイルの変更

# settings.py

AUTH_USER_MODEL = 'app1.App1User'  # または 'app2.App2User'

この設定は、使用するアプリケーションに応じて変更する必要があります。

python manage.py makemigrations
python manage.py migrate
  • 複数のアプリケーションで異なるユーザーモデルを使用する場合は、適切な認証ロジックを実装する必要があります。
  • カスタムユーザーモデルを作成する際には、セキュリティ上の考慮事項にも注意する必要があります。
  • 上記の例はあくまで基本的な例であり、実際の状況に合わせて調整する必要があります。


get_user_model()関数を使用する

get_user_model()関数は、現在のプロジェクトで設定されているユーザーモデルを取得するために使用されます。この関数は、settings.AUTH_USER_MODEL設定にアクセスするよりも柔軟性が高く、より汎用的な方法として推奨されています。

from django.contrib.auth import get_user_model

User = get_user_model()

カスタム認証バックエンドを使用する

カスタム認証バックエンドを使用すると、認証システムの動作を完全に制御することができます。この方法では、settings.AUTH_USER_MODEL設定を使用する必要はありません。

カスタム認証バックエンドを作成するには、以下の手順を実行する必要があります。

  1. 認証バックエンドクラスを作成する。
  2. authenticate()get_user()メソッドを実装する。
  3. settings.AUTHENTICATION_BACKENDS設定にカスタム認証バックエンドクラスを追加する。

具体的な実装方法は、以下のドキュメントを参照してください。

どちらの方法を選択すべきか

どちらの方法を選択するかは、状況によって異なります。

  • 認証システムの動作を完全に制御したい場合は、カスタム認証バックエンドを使用する必要があります。
  • シンプルで汎用的な方法を求めている場合は、get_user_model()関数を使用するのがおすすめです。
  • 複数のアプリケーションで異なるユーザーモデルを使用する場合は、各アプリケーションの設定ファイルで適切なAUTH_USER_MODEL設定を記述する必要があります。
  • カスタムユーザーモデルを作成する場合は、認証システムに必要なすべての属性とメソッドを定義する必要があります。
  • settings.AUTH_USER_MODEL設定を使用する場合は、モデル名のスペルミスなどに注意する必要があります。