std::basic_string::capacityを使いこなして、C++のパフォーマンスを向上させよう!


std::basic_string::capacity の役割

  • メモリ再確保 の必要性を判断する
  • 文字列の効率的な操作に役立てる
  • 文字列が格納できる最大容量を知る

std::basic_string::capacity の使い方

#include <iostream>
#include <string>

int main() {
  std::string str = "Hello, World!";

  // 文字列の長さを取得
  std::size_t length = str.size();
  std::cout << "文字列の長さ: " << length << std::endl;

  // 文字列の容量を取得
  std::size_t capacity = str.capacity();
  std::cout << "文字列の容量: " << capacity << std::endl;

  return 0;
}

このプログラムを実行すると、以下の出力が得られます。

文字列の長さ: 13
文字列の容量: 15

std::basic_string::capacity と std::basic_string::size() の違い

  • std::basic_string::capacity(): 文字列が格納できる最大文字数を返す
  • std::basic_string::size(): 実際に格納されている文字数を返す
  • メモリ使用量を最適化する
  • 文字列操作のパフォーマンスを向上させる
  • 文字列に要素を追加する前に、十分な容量が確保されているか確認する
  • 文字列を操作すると、容量が変化する可能性があります。
  • 返される値は、std::basic_string::max_size() で取得できる最大容量よりも小さい場合があります。
  • std::basic_string::capacity() は、定数時間 で実行されます。


文字列に要素を追加する前に、十分な容量が確保されているか確認する

#include <iostream>
#include <string>

int main() {
  std::string str = "Hello";

  // 文字列に要素を追加する前に、十分な容量を確保する
  str.reserve(20);

  str += ", World!";

  std::cout << str << std::endl;

  return 0;
}

このプログラムでは、std::basic_string::reserve() メンバ関数を使用して、文字列が格納できる最大容量を 20 に設定します。その後、str += ", World!" 演算子を使用して文字列に " World!" を追加します。std::basic_string::reserve() を使用することで、文字列操作中にメモリ再確保が発生するのを防ぎ、パフォーマンスを向上させることができます。

文字列操作のパフォーマンスを向上させる

#include <iostream>
#include <string>
#include <algorithm>

int main() {
  std::string str = "Lorem ipsum dolor sit amet, consectetur adipiscing elit.";

  // 文字列をすべて小文字に変換する
  std::transform(str.begin(), str.end(), str.begin(), ::tolower);

  std::cout << str << std::endl;

  return 0;
}

このプログラムでは、std::transform アルゴリズムを使用して、文字列内のすべての文字を小文字に変換します。std::basic_string::capacity() を使用して、変換処理に必要な十分な容量を確保しておくと、パフォーマンスを向上させることができます。

メモリ使用量を最適化する

#include <iostream>
#include <string>
#include <vector>

int main() {
  std::vector<std::string> strs;

  // 100 個の文字列を生成してベクタに追加する
  for (int i = 0; i < 100; ++i) {
    strs.push_back(std::string("Hello, World!") + std::to_string(i));
  }

  // ベクタ内の各文字列の容量を 15 に設定する
  for (std::string& str : strs) {
    str.reserve(15);
  }

  // ...

  return 0;
}

このプログラムでは、100 個の "Hello, World!" 文字列を生成してベクタ strs に追加します。その後、ベクタ内の各文字列の容量を 15 に設定します。これにより、メモリ使用量を削減することができます。

  • 実際のプログラムでは、エラー処理や適切なメモリ管理を忘れずに実装する必要があります。
  • 上記のコードは、コンパイラと標準ライブラリのバージョンによって動作が異なる場合があります。


std::basic_string::size() と std::push_back() の組み合わせ

  • 欠点: メモリ再確保が発生する可能性がある
  • 利点: シンプルでわかりやすい
std::string str;

// 文字列を要素でループし、push_back() で追加していく
for (char c : "Hello, World!") {
  str.push_back(c);
}

// 文字列の容量を取得
std::size_t capacity = str.size();

この方法では、std::basic_string::size() を使用して現在の文字列長を取得し、std::push_back() を使用して要素を 1 つずつ追加していきます。この方法はシンプルでわかりやすいですが、要素を追加するたびにメモリ再確保が発生する可能性があるという欠点があります。

std::vector<char> を使用する

  • 欠点: 文字列操作に特化した機能が制限される
  • 利点: メモリ再確保を最小限に抑えられる
std::vector<char> vec(15); // 最初から十分な容量を確保

// 文字列を要素でループし、vec[] でアクセスして代入していく
for (int i = 0; i < "Hello, World!".size(); ++i) {
  vec[i] = "Hello, World!"[i];
}

// 文字列を生成
std::string str(vec.begin(), vec.end());

この方法では、std::vector<char> を使用して、最初から十分な容量を確保した文字列表現を作成します。その後、要素を 1 つずつループして代入していきます。この方法はメモリ再確保を最小限に抑えることができますが、std::basic_string に特化した機能 (例: std::string::find(), std::string::substr()) を使用できないという欠点があります。

手動でメモリ管理を行う

  • 欠点: 複雑でエラーが発生しやすい
  • 利点: 完全な制御が可能
char* buffer = new char[15]; // メモリを確保

// 文字列を要素でループし、buffer[] でアクセスして代入していく
for (int i = 0; i < "Hello, World!".size(); ++i) {
  buffer[i] = "Hello, World!"[i];
}

// 文字列を生成 (NUL文字を手動で追加)
std::string str(buffer, 13);

// メモリ解放
delete[] buffer;

この方法では、手動でメモリを確保し、文字列を要素ごとに代入していきます。この方法は完全な制御が可能ですが、メモリ管理が複雑で、エラーが発生しやすいという欠点があります。

サードパーティ製のライブラリを使用する

  • 欠点: ライブラリの習得と導入が必要
  • 利点: 独自の機能やパフォーマンス向上が期待できる

Boost.String や libc++ などのサードパーティ製ライブラリには、std::basic_string を補完する機能が含まれている場合があります。これらのライブラリの中には、std::basic_string::capacity の代替となるような、メモリ効率の高い文字列操作機能を提供するものもあります。

最適な代替方法の選択

どの代替方法が最適かは、状況によって異なります。メモリ再確保を避けることが重要であれば、std::vector<char> を使用するのが良いでしょう。一方、完全な制御が必要であれば、手動でメモリ管理を行う方法が適しています。また、パフォーマンスが重要な場合は、サードパーティ製のライブラリを検討するのも良いでしょう。

  • コードの読みやすさと保守性
  • プログラムのパフォーマンス要件
  • 使用しているコンパイラと標準ライブラリのバージョン