CMake の CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE をマスターしよう! 使い方と代替方法を詳しく解説
CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
は、CMake の AUTOMOC
ターゲットプロパティの動作を制御する変数です。この変数は、Qt のメタオブジェクトコンパイラ(MOC)である automoc
ツールの動作を決定します。
バージョン
この変数は CMake 3.15 で導入され、3.22 で廃止されました。
デフォルト値
デフォルトでは、AUTOMOC
はドキュメントに記載されているとおりに動作します。
使用方法
CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
を TRUE
に設定すると、automoc
はより寛容なモードで動作します。具体的には、以下のようになります。
- マクロの再定義を許可する
- 名前空間のエイリアスを許可する
- ヘッダーファイル内のコメントを解析する
これらの機能は、Qt コードの開発を容易にすることができますが、潜在的な問題を引き起こす可能性もあります。
例
cmake_minimum_required(VERSION 3.15)
project(myproject)
set(CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE TRUE)
add_executable(myprogram myprogram.cpp)
上記の例では、CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
を TRUE
に設定することで、automoc
がより寛容なモードで動作するようにしています。
廃止
CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
は CMake 3.22 で廃止されました。代わりに、AUTOMOC_FLAG_INCLUDE_DIRECTORIES
と AUTOMOC_FLAG_USE_NAMESPACE
などの新しい変数が導入されました。
AUTOMOC_FLAG_PREPROCESSOR_DEFINES
: マクロの再定義を許可するかどうかを制御します。AUTOMOC_FLAG_USE_NAMESPACE
: 名前空間のエイリアスを許可するかどうかを制御します。AUTOMOC_FLAG_INCLUDE_DIRECTORIES
: ヘッダーファイル内のコメントを解析するかどうかを制御します。
cmake_minimum_required(VERSION 3.15)
project(myproject)
set(CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE TRUE)
set(AUTOMOC_FLAG_INCLUDE_DIRECTORIES TRUE)
add_executable(myprogram myprogram.cpp)
この例では、CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
を TRUE
に設定し、AUTOMOC_FLAG_INCLUDE_DIRECTORIES
を TRUE
に設定することで、automoc
がヘッダーファイル内のコメントを解析するようにしています。
例 2: 名前空間のエイリアスを許可する
cmake_minimum_required(VERSION 3.15)
project(myproject)
set(CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE TRUE)
set(AUTOMOC_FLAG_USE_NAMESPACE TRUE)
add_executable(myprogram myprogram.cpp)
この例では、CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
を TRUE
に設定し、AUTOMOC_FLAG_USE_NAMESPACE
を TRUE
に設定することで、automoc
が名前空間のエイリアスを許可するようにしています。
例 3: マクロの再定義を許可する
cmake_minimum_required(VERSION 3.15)
project(myproject)
set(CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE TRUE)
set(AUTOMOC_FLAG_PREPROCESSOR_DEFINES TRUE)
add_executable(myprogram myprogram.cpp)
この例では、CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
を TRUE
に設定し、AUTOMOC_FLAG_PREPROCESSOR_DEFINES
を TRUE
に設定することで、automoc
がマクロの再定義を許可するようにしています。
個別のフラグを使用する
AUTOMOC_FLAG_PREPROCESSOR_DEFINES
: マクロの再定義を許可するかどうかを制御します。AUTOMOC_FLAG_USE_NAMESPACE
: 名前空間のエイリアスを許可するかどうかを制御します。AUTOMOC_FLAG_INCLUDE_DIRECTORIES
: ヘッダーファイル内のコメントを解析するかどうかを制御します。
これらのフラグを個別に設定することで、CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
と同等の機能を実現できます。
例
cmake_minimum_required(VERSION 3.15)
project(myproject)
set(AUTOMOC_FLAG_INCLUDE_DIRECTORIES TRUE)
set(AUTOMOC_FLAG_USE_NAMESPACE TRUE)
set(AUTOMOC_FLAG_PREPROCESSOR_DEFINES TRUE)
add_executable(myprogram myprogram.cpp)
CMakeLists.txt ファイルを直接編集する
CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
は、AUTOMOC
ターゲットプロパティに RELAXED_MODE
オプションを設定することで設定できます。このオプションは CMake 3.22 以降でも使用できます。
例
cmake_minimum_required(VERSION 3.15)
project(myproject)
add_executable(myprogram myprogram.cpp)
target_properties(myprogram PROPERTIES AUTOMOC_RELAXED_MODE TRUE)
Qt Creator を使用する
Qt Creator は、CMake プロジェクトを開発するための IDE です。Qt Creator では、AUTOMOC
ツールのオプションを GUI で設定できます。
手順
- Qt Creator で CMake プロジェクトを開きます。
- プロジェクトツリーで、
AUTOMOC
ターゲットを選択します。 - 右側のインスペクターパネルで、
AUTOMOC
カテゴリを選択します。 Include Preprocessor Directives
チェックボックスをオンにします。Use Namespaces
チェックボックスをオンにします。Allow Macro Redefinitions
チェックボックスをオンにします。
- 古いバージョンの CMake を使用している場合は、
CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
を使用する必要があります。 - 上記の方法は、
CMAKE_AUTOMOC_RELAXED_MODE
と同等の機能を提供しますが、互換性があるとは限りません。