CMake で CUDA 拡張機能を有効にする: CMAKE_CUDA_EXTENSIONS と target_properties の比較
CMAKE_CUDA_EXTENSIONS
は、CMake におけるターゲットプロパティ CUDA_EXTENSIONS
のデフォルト値を設定する変数です。この変数は、CMake 3.8 以降で導入されました。
機能
CMAKE_CUDA_EXTENSIONS
は、ターゲットのコンパイル時に使用される CUDA 拡張機能を指定するために使用されます。具体的には、以下の機能を提供します。
- 複数の CUDA 拡張機能をカンマ区切りで指定する。
- 個々のターゲットに対して、個別の CUDA 拡張機能を設定する。
- すべてのターゲットに対して、デフォルトの CUDA 拡張機能を設定する。
設定方法
CMAKE_CUDA_EXTENSIONS
は、CMake の設定ファイル (CMakeLists.txt) で以下のいずれかの方法で設定できます。
- CMake コマンドを使用する
set(CMAKE_CUDA_EXTENSIONS "EXTENSION1;EXTENSION2")
target_properties
コマンドを使用する
target_properties(mytarget PROPERTIES CUDA_EXTENSIONS "EXTENSION1;EXTENSION2")
例
以下の例では、すべてのターゲットに対して EXTENSION1
と EXTENSION2
という CUDA 拡張機能をデフォルトとして設定します。
set(CMAKE_CUDA_EXTENSIONS "EXTENSION1;EXTENSION2")
以下の例では、mytarget
というターゲットに対して EXTENSION3
という CUDA 拡張機能を設定します。
target_properties(mytarget PROPERTIES CUDA_EXTENSIONS "EXTENSION3")
- 複数の CUDA 拡張機能を指定する場合は、カンマ区切りで記述する必要があります。
- 使用する CUDA 拡張機能は、CUDA コンパイラによってサポートされている必要があります。
CMAKE_CUDA_EXTENSIONS
は、CMake 3.8 以降でのみ使用できます。
- CUDA 拡張機能の詳細については、CUDA ドキュメントを参照してください。
CMAKE_CUDA_EXTENSIONS
は、CUDA 拡張機能を有効にするための便利な方法ですが、個々のターゲットに対して個別に設定する必要がある場合や、複雑な構成が必要な場合は、target_properties
コマンドを使用する方が適切な場合があります。
サンプル 1: すべてのターゲットに対してデフォルトの CUDA 拡張機能を設定する
cmake_minimum_required(VERSION 3.8)
project(myproject)
set(CMAKE_CUDA_EXTENSIONS "EXTENSION1;EXTENSION2")
add_executable(myprogram myprogram.cpp)
- CMake の最小バージョンを 3.8 に設定します。
myproject
という名前のプロジェクトを作成します。CMAKE_CUDA_EXTENSIONS
変数にEXTENSION1
とEXTENSION2
という CUDA 拡張機能を設定します。myprogram.cpp
というソースファイルからmyprogram
という名前の実行可能ファイルを作成します。
このコードを実行すると、myprogram
という実行可能ファイルが作成されます。この実行可能ファイルは、EXTENSION1
と EXTENSION2
という CUDA 拡張機能を使用してコンパイルされます。
サンプル 2: 個々のターゲットに対して個別の CUDA 拡張機能を設定する
cmake_minimum_required(VERSION 3.8)
project(myproject)
set(CMAKE_CUDA_EXTENSIONS_MYTARGET "EXTENSION3")
add_executable(myprogram1 myprogram1.cpp)
add_executable(myprogram2 myprogram2.cpp)
target_properties(myprogram2 PROPERTIES CUDA_EXTENSIONS "EXTENSION4")
このコードは、以下の動作を行います。
- CMake の最小バージョンを 3.8 に設定します。
myproject
という名前のプロジェクトを作成します。CMAKE_CUDA_EXTENSIONS_MYTARGET
変数にEXTENSION3
という CUDA 拡張機能を設定します。myprogram1.cpp
というソースファイルからmyprogram1
という名前の実行可能ファイルを作成します。myprogram2.cpp
というソースファイルからmyprogram2
という名前の実行可能ファイルを作成します。myprogram2
ターゲットに対してEXTENSION4
という CUDA 拡張機能を設定します。
このコードを実行すると、myprogram1
と myprogram2
という 2 つの実行可能ファイルが作成されます。myprogram1
は EXTENSION3
という CUDA 拡張機能を使用してコンパイルされ、myprogram2
は EXTENSION4
という CUDA 拡張機能を使用してコンパイルされます。
cmake_minimum_required(VERSION 3.8)
project(myproject)
set(CMAKE_CUDA_EXTENSIONS "EXTENSION1;EXTENSION2;EXTENSION3")
add_executable(myprogram myprogram.cpp)
- CMake の最小バージョンを 3.8 に設定します。
myproject
という名前のプロジェクトを作成します。CMAKE_CUDA_EXTENSIONS
変数にEXTENSION1
、EXTENSION2
、EXTENSION3
という CUDA 拡張機能を設定します。myprogram.cpp
というソースファイルからmyprogram
という名前の実行可能ファイルを作成します。
このコードを実行すると、myprogram
という実行可能ファイルが作成されます。この実行可能ファイルは、EXTENSION1
、EXTENSION2
、EXTENSION3
という CUDA 拡張機能を使用してコンパイルされます。
- CUDA 拡張機能の詳細については、CUDA ドキュメントを参照してください。
CMAKE_CUDA_EXTENSIONS
は、CUDA 拡張機能を有効にするための便利な方法ですが、個々のターゲットに対して個別に設定する必要がある場合や、複雑な構成が必要な場合は、target_properties
コマンドを使用する方が適切な場合があります。
CMAKE_CUDA_EXTENSIONS
の代替方法としては、以下の方法が挙げられます。
target_properties コマンドを使用する
target_properties
コマンドは、個々のターゲットに対して CUDA 拡張機能を設定するために使用できます。これは、CMAKE_CUDA_EXTENSIONS
を使用するよりも柔軟性が高く、個々のターゲットに対して個別の設定が必要な場合や、複雑な構成が必要な場合に適しています。
target_properties(mytarget PROPERTIES CUDA_EXTENSIONS "EXTENSION1;EXTENSION2")
この例では、mytarget
というターゲットに対して EXTENSION1
と EXTENSION2
という CUDA 拡張機能を設定します。
CUDA_NVCC_FLAGS 変数を使用する
CUDA_NVCC_FLAGS
変数は、NVCC コンパイラに渡されるフラグを設定するために使用できます。この変数を使用して、CUDA 拡張機能を有効にするフラグを追加することができます。
set(CUDA_NVCC_FLAGS "${CUDA_NVCC_FLAGS} -Xcompiler -Wno-unused-cuda-features")
この例では、-Wno-unused-cuda-features
というフラグを NVCC コンパイラに渡します。このフラグは、使用されていない CUDA 拡張機能に関する警告を抑制します。
手動で CUDA 拡張機能をソースコードに含める
CUDA 拡張機能をソースコードに直接含めることもできます。これは、シンプルな場合や、特定の状況でのみ CUDA 拡張機能が必要な場合に適しています。
#include <cuda_runtime.h>
extern "C" {
__global__ void myKernel() {
// EXTENSION1 と EXTENSION2 を使用するコード
}
}
この例では、EXTENSION1
と EXTENSION2
を使用する myKernel
というカーネル関数を定義しています。
方法 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
target_properties コマンド | 個々のターゲットに対して個別に設定できる | 複雑な構成になる場合がある |
CUDA_NVCC_FLAGS 変数 | シンプル | 特定の状況でのみ有効 |
手動で CUDA 拡張機能をソースコードに含める | シンプル | 複雑な CUDA 拡張機能を使用できない |
CMAKE_CUDA_EXTENSIONS
は、CUDA 拡張機能を有効にするための便利な方法ですが、個々のターゲットに対して個別に設定する必要がある場合や、複雑な構成が必要な場合は、target_properties
コマンドを使用する方が適切な場合があります。また、CUDA_NVCC_FLAGS
変数や手動で CUDA 拡張機能をソースコードに含める方法も状況に応じて検討することができます。
- CUDA 拡張機能の詳細については、CUDA ドキュメントを参照してください。
- 上記の代替方法はあくまでも例であり、実際の用途に合わせて変更する必要があります。
- 複数の CUDA 拡張機能を指定する場合は、カンマ区切りで記述する必要があります。
- 使用する CUDA 拡張機能は、CUDA コンパイラによってサポートされている必要があります。
CMAKE_CUDA_EXTENSIONS
は、CMake 3.8 以降でのみ使用できます。