CMake: CMAKE_CFG_INTDIR 変数で構成ファイルを管理する
CMake 変数 CMAKE_CFG_INTDIR
は、ビルドされた実行可能ファイルやライブラリの構成ファイルのデフォルトの出力ディレクトリを指定するために使用されます。 この変数は、CMakeLists.txt
ファイル内の configure_file()
コマンドによって設定されます。
使い方
CMAKE_CFG_INTDIR
変数を設定するには、以下の形式で CMakeLists.txt
ファイル内に configure_file()
コマンドを使用します。
configure_file("${CMAKE_SOURCE_DIR}/path/to/config.txt"
"${CMAKE_CFG_INTDIR}/config.txt"
COPYONLY)
この例では、path/to/config.txt
ファイルが CMAKE_CFG_INTDIR
ディレクトリ内の config.txt
ファイルにコピーされます。 COPYONLY
オプションは、CMake がファイルの内容を変更しないように指示します。
デフォルト値
CMAKE_CFG_INTDIR
変数のデフォルト値は、プラットフォームによって異なります。 一般的なデフォルト値は以下の通りです。
- macOS:
/Library/Preferences/\<PROJECT_NAME>\
- Linux:
/etc/\<PROJECT_NAME>\
- Windows:
C:\ProgramData\<PROJECT_NAME>\
応用例
CMAKE_CFG_INTDIR
変数は、以下の状況で使用できます。
- ユーザー設定を保存したい場合。
- 複数の構成ファイルを設定したい場合。
- 構成ファイルの場所をカスタマイズしたい場合。
例
以下の例は、CMAKE_CFG_INTDIR
変数を使用して、config.txt
ファイルと user.cfg
ファイルを構成ディレクトリにコピーする方法を示しています。
set(CMAKE_CFG_INTDIR "/usr/local/etc/${PROJECT_NAME}")
configure_file("${CMAKE_SOURCE_DIR}/config.txt"
"${CMAKE_CFG_INTDIR}/config.txt"
COPYONLY)
configure_file("${CMAKE_SOURCE_DIR}/user.cfg.example"
"${CMAKE_CFG_INTDIR}/user.cfg"
COPYONLY)
この例では、config.txt
ファイルは /usr/local/etc/${PROJECT_NAME}/config.txt
にコピーされ、user.cfg.example
ファイルは /usr/local/etc/${PROJECT_NAME}/user.cfg
にコピーされます。 ユーザーは、user.cfg
ファイルを編集して、独自の構成設定を追加できます。
- 構成ファイルの場所をカスタマイズする場合は、適切なアクセス許可を設定する必要があります。
- この変数は、CMake の
install
ターゲットによって使用されません。 CMAKE_CFG_INTDIR
変数は、configure_file()
コマンドによってのみ設定できます。
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(myproject)
set(CMAKE_CFG_INTDIR "/usr/local/etc/${PROJECT_NAME}")
configure_file("${CMAKE_SOURCE_DIR}/config.txt"
"${CMAKE_CFG_INTDIR}/config.txt"
COPYONLY)
configure_file("${CMAKE_SOURCE_DIR}/user.cfg.example"
"${CMAKE_CFG_INTDIR}/user.cfg"
COPYONLY)
add_executable(myprogram main.cpp)
このコードは以下の動作を行います。
- CMake の最小バージョンを 3.10 に設定します。
- プロジェクトの名前を
myproject
に設定します。 CMAKE_CFG_INTDIR
変数を/usr/local/etc/${PROJECT_NAME}
に設定します。config.txt
ファイルを/usr/local/etc/${PROJECT_NAME}/config.txt
にコピーします。user.cfg.example
ファイルを/usr/local/etc/${PROJECT_NAME}/user.cfg
にコピーします。main.cpp
ファイルを使用してmyprogram
という名前の実行可能ファイルを作成します。
説明
add_executable()
コマンドは、実行可能ファイルを作成します。 この例では、main.cpp
ファイルを使用してmyprogram
という名前の実行可能ファイルが作成されます。configure_file()
コマンドは、ファイルを構成ディレクトリにコピーします。 この例では、config.txt
ファイルとuser.cfg.example
ファイルが/usr/local/etc/${PROJECT_NAME}
ディレクトリにコピーされます。set()
コマンドは、CMake 変数の値を設定します。 この例では、CMAKE_CFG_INTDIR
変数の値を/usr/local/etc/${PROJECT_NAME}
に設定します。project()
コマンドは、プロジェクトの名前を指定します。 この名前は、構成ファイルのパスや他の CMake 変数で使用されます。cmake_minimum_required()
コマンドは、CMake の最小バージョンを指定します。 このコードは、CMake 3.10 以降で実行されるように設計されています。
実行方法
このコードを実行するには、以下のコマンドを実行します。
mkdir build
cd build
cmake ..
make
このコマンドは、以下の操作を実行します。
build
ディレクトリを作成します。build
ディレクトリに移動します。- CMake を使用してプロジェクトを構成します。
- Make を使用してプロジェクトをビルドします。
ビルドが完了したら、以下のコマンドを実行して myprogram
プログラムを実行できます。
./myprogram
カスタマイズ
このコードは、ニーズに合わせてカスタマイズできます。
add_executable()
コマンドを使用して、作成する実行可能ファイルを追加できます。configure_file()
コマンドを使用して、コピーするファイルをさらに追加できます。CMAKE_CFG_INTDIR
変数の値を変更して、構成ファイルの場所を変更できます。
しかし、CMAKE_CFG_INTDIR
変数を使用する代わりに、以下の代替方法も検討できます。
各構成ファイルの出力ディレクトリを個別に設定する
configure_file()
コマンドの OUTPUT_PATH
オプションを使用して、各構成ファイルの出力ディレクトリを個別に設定できます。
configure_file("${CMAKE_SOURCE_DIR}/config.txt"
"${CMAKE_BINARY_DIR}/etc/config.txt"
COPYONLY)
configure_file("${CMAKE_SOURCE_DIR}/user.cfg.example"
"${CMAKE_INSTALL_PREFIX}/etc/user.cfg"
COPYONLY)
この例では、config.txt
ファイルは CMAKE_BINARY_DIR/etc/config.txt
にコピーされ、user.cfg.example
ファイルは CMAKE_INSTALL_PREFIX/etc/user.cfg
にコピーされます。
カスタムインストールディレクトリを使用する
CMAKE_INSTALL_PREFIX
変数を使用して、カスタムインストールディレクトリを指定できます。 このディレクトリは、構成ファイルを含むすべてのインストールファイルのデフォルトの場所になります。
set(CMAKE_INSTALL_PREFIX "/usr/local/myproject")
install(TARGETS myprogram DESTINATION "${CMAKE_INSTALL_PREFIX}")
install(FILES "${CMAKE_SOURCE_DIR}/config.txt"
"${CMAKE_INSTALL_PREFIX}/etc/config.txt")
install(FILES "${CMAKE_SOURCE_DIR}/user.cfg.example"
"${CMAKE_INSTALL_PREFIX}/etc/user.cfg")
この例では、myprogram
実行可能ファイルは /usr/local/myproject
にインストールされ、config.txt
ファイルと user.cfg.example
ファイルは /usr/local/myproject/etc
ディレクトリにインストールされます。
プロジェクト固有の変数を使用する
プロジェクト固有の変数を作成して、構成ファイルの場所を指定できます。
set(MYPROJECT_CONFIG_DIR "/usr/local/etc/${PROJECT_NAME}")
configure_file("${CMAKE_SOURCE_DIR}/config.txt"
"${MYPROJECT_CONFIG_DIR}/config.txt"
COPYONLY)
configure_file("${CMAKE_SOURCE_DIR}/user.cfg.example"
"${MYPROJECT_CONFIG_DIR}/user.cfg"
COPYONLY)
この例では、MYPROJECT_CONFIG_DIR
変数が /usr/local/etc/${PROJECT_NAME}
に設定され、config.txt
ファイルと user.cfg.example
ファイルが MYPROJECT_CONFIG_DIR
ディレクトリにコピーされます。
環境変数を使用する
環境変数を使用して、構成ファイルの場所を指定できます。
configure_file("${CMAKE_SOURCE_DIR}/config.txt"
"$MYPROJECT_CONFIG_DIR/config.txt"
COPYONLY)
configure_file("${CMAKE_SOURCE_DIR}/user.cfg.example"
"$MYPROJECT_CONFIG_DIR/user.cfg"
COPYONLY)
この例では、MYPROJECT_CONFIG_DIR
環境変数が設定されている場合、config.txt
ファイルと user.cfg.example
ファイルが MYPROJECT_CONFIG_DIR
ディレクトリにコピーされます。
利点と欠点
各方法には、それぞれ利点と欠点があります。
方法 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
configure_file() の OUTPUT_PATH オプション | 各構成ファイルの場所を個別に制御できる | 冗長になる可能性がある |
カスタムインストールディレクトリ | すべてのインストールファイルの場所を統一できる | インストールディレクトリを変更するのが難しい |
プロジェクト固有の変数 | プロジェクト固有の構成を容易に設定できる | コードが煩雑になる可能性がある |
環境変数 | 設定が簡単 | 環境変数を使用していない他のプログラムとの互換性がなくなる可能性がある |