CMakeLists.txtで"rcc"ツールを制御:"CMAKE_AUTORCC"変数の設定方法
CMAKE_AUTORCC
は、CMakeにおける重要な変数の一つであり、Qtプロジェクトのビルドプロセスにおいて、自動的に rcc
ツールを処理するかどうかを制御します。この変数は、プロジェクト全体の設定だけでなく、個々のターゲットレベルでも設定することができます。
役割
rcc
ツールは、Qtリソースファイルをバイナリ形式のコンパイル済みリソースファイルに変換するために使用されます。これらのリソースファイルには、画像、アイコン、言語ファイルなどが含まれます。CMAKE_AUTORCC
変数を有効にすると、CMakeはビルドプロセス中に自動的に rcc
ツールを呼び出し、必要なリソースファイルをコンパイルします。
設定方法
CMAKE_AUTORCC
変数は、以下の方法で設定できます。
- コマンドライン
cmake -DCMAKE_AUTORCC=ON .
- CMakeLists.txt ファイル
set(CMAKE_AUTORCC ON)
デフォルト値
CMAKE_AUTORCC
変数のデフォルト値は OFF
です。つまり、デフォルトでは、CMakeは rcc
ツールを自動的に呼び出しません。
利点
CMAKE_AUTORCC
変数を有効にすることで、以下の利点が得られます。
- 依存関係の自動管理
CMakeは、必要なリソースファイルとターゲット間の依存関係を自動的に管理します。 - 一貫性の確保
プロジェクト全体で一貫した方法でリソースファイルを処理することができます。 - ビルドプロセスの簡素化
手動でrcc
ツールを呼び出す必要がなくなり、ビルドプロセスが簡素化されます。
注意点
CMAKE_AUTORCC
変数を有効にする前に、以下の点に注意する必要があります。
- リソースファイルがプロジェクトディレクトリ構造内で適切な場所に配置されていることを確認してください。
- プロジェクトで使用している Qt のバージョンが
rcc
ツールをサポートしていることを確認してください。
cmake_minimum_required(VERSION 3.10)
project(myproject)
set(CMAKE_AUTORCC ON)
add_executable(myprogram main.cpp)
target_link_libraries(myprogram Qt::Core)
# リソースファイルを指定
set(QT_RESOURCES myresource.qrc)
# rcc ツールを使用してリソースファイルをコンパイル
qt_compile_resources(QT_RESOURCES RES_SOURCES ${QT_RESOURCES})
# ターゲットにコンパイル済みリソースファイルをリンク
target_link_resources(myprogram ${RES_SOURCES})
この例では、CMAKE_AUTORCC
変数を ON
に設定し、CMakeが自動的に rcc
ツールを使用して myresource.qrc
リソースファイルをコンパイルすることを指定しています。コンパイル済みリソースファイルは、myprogram
ターゲットにリンクされています。
例2:コマンドラインでの設定
cmake -DCMAKE_AUTORCC=ON .
このコマンドは、現在のディレクトリ (.
) で CMake を実行し、CMAKE_AUTORCC
変数を ON
に設定します。
qt_compile_resources
コマンドは、CMake 3.10 以降で使用できます。古いバージョンの CMake を使用している場合は、代わりにrcc
ツールを手動で呼び出す必要があります。- リソースファイルの拡張子は
.qrc
である必要はありませんが、一般的にはこの拡張子が使用されます。 - 上記の例は、Qt 5 以降を使用していることを前提としています。
代替方法
CMAKE_AUTORCC
変数の代替方法として、以下の方法が考えられます。
手動で rcc ツールを呼び出す
CMAKE_AUTORCC
変数を無効にして、rcc
ツールを手動で呼び出すことができます。これは、以下の方法で行うことができます。
コマンドライン
cmake . make rcc myresource.qrc -o myresource.rc make
# CMAKE_AUTORCC を無効にする set(CMAKE_AUTORCC OFF) # rcc ツールを手動で呼び出す add_custom_command( COMMAND ${RCC} ${QT_RESOURCES} -o ${RES_SOURCES} OUTPUT_FILE ${RES_SOURCES} ) # ターゲットにコンパイル済みリソースファイルをリンク target_link_resources(myprogram ${RES_SOURCES})
QMake を使用してプロジェクトをビルドする
QMake は、Qtプロジェクトをビルドするための別のツールです。QMake は rcc
ツールを自動的に呼び出すので、CMAKE_AUTORCC
変数を設定する必要はありません。
CMake GUI を使用する
CMake GUI は、CMake プロジェクトを視覚的に設定するためのツールです。CMake GUI を使用して、rcc
ツールをプロジェクトに追加し、必要な設定を指定することができます。
各方法の比較
方法 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
CMAKE_AUTORCC 変数を使用する | シンプルで使いやすい | 柔軟性に欠ける場合がある |
手動で rcc ツールを呼び出す | 柔軟性が高い | 複雑でエラーが発生しやすい場合がある |
QMake を使用する | シンプルで使いやすい | CMake 以外のツールを使用する必要がある |
CMake GUI を使用する | 視覚的に設定できる | 経験が必要 |