SQLiteのREGEXP関数:サンプルコード集


REGEXP 関数のしくみ

REGEXP 関数は、ユーザー定義関数として実装されます。具体的には、以下の手順で利用できます。

  1. ライブラリのロード
    SQLite には、正規表現エンジンを組み込んだライブラリが複数存在します。代表的なものとして、sqlean-regexpsqlite-regexp が挙げられます。これらのライブラリをロードすることで、REGEXP 関数を利用可能になります。
  2. 関数の定義
    以下の例のように、CREATE FUNCTION ステートメントを用いて REGEXP 関数を定義します。
CREATE FUNCTION regexp(pattern, input)
RETURNS INTEGER
AS
BEGIN
    -- ライブラリ固有の正規表現エンジンを利用する処理を記述
    -- 例: sqlean-regexp ライブラリの場合
    RETURN regexp_like(input, pattern);
END;
  1. 関数の利用
    定義済みの REGEXP 関数は、WHERE 句や SELECT 句の中で以下のように利用できます。
SELECT * FROM customers WHERE name REGEXP '^[A-Z][a-z]+$';

この例では、customers テーブルの name 列において、先頭が大文字で末尾が小文字の英字のみで構成されているレコードを抽出しています。

REGEXP 関数の詳細

REGEXP 関数は、2つの引数を受け取ります。

  • input
    正規表現と照合する対象となる文字列
  • pattern
    正規表現パターンを表す文字列

関数は、パターンと入力文字列が一致する場合に 1 を返し、一致しない場合は 0 を返します。


パターン入力文字列結果
'^[0-9]+$' \$'12345' \1 \
\'^[0-9]+''abc'
'.[aeiou].''Hello, world!'1
'.[aeiou].''Hll, wrld!'0

主な利用例

REGEXP 関数は、データ検索・操作において様々な用途で活用できます。以下に、代表的な利用例をいくつか紹介します。

  • 文字列の置換
    REGEXP 関数と組み合わせて、REPLACE 関数を利用することで、文字列中の特定のパターンを別の文字列に置換できます。
  • 部分文字列の一致
    正規表現の特殊記号を用いることで、部分文字列の一致条件を指定できます。例えば、'a.*b' というパターンは、"a" の後に任意の文字列が続き、その後に "b" が含まれる文字列に一致します。
  • 特定の文字列を含む/含まないレコードの抽出
    上記の例のように、WHERE 句で条件を指定することで、特定の文字列を含む/含まないレコードを効率的に抽出できます。

REGEXP 関数は、正規表現の高度な機能を活用することで、より複雑なデータ処理にも対応できます。

  • ポジティブルックアヘッド/ネガティブルックアヘッド
    正規表現のアサーション機能を用いることで、前後関係に基づいた条件を指定できます。例えば、'(?<=a)b' というパターンは、"a" の直後に "b" が存在するパターンにのみ一致します。
  • グループ化とバックリファレンス
    正規表現のグループ機能を用いることで、部分文字列を抽出し、その情報に基づいて処理を行うことができます。また、バックリファレンスを用いることで、抽出した部分文字列を別の箇所へ埋め込むことも可能です。


特定の文字列を含むレコードの抽出

以下のコードは、customers テーブルの name 列において、"e" が含まれる名前を持つ顧客のレコードをすべて抽出します。

SELECT * FROM customers WHERE name REGEXP 'e';

部分文字列の一致

以下のコードは、products テーブルの description 列において、"description" に "PC" が含まれる商品情報のみを抽出します。

SELECT * FROM products WHERE description REGEXP '.*PC.*';

文字列の置換

以下のコードは、articles テーブルの content 列において、すべての "@" を "[EMAIL PROTECTED]" に置換します。

UPDATE articles SET content = REPLACE(content, '@', '[EMAIL PROTECTED]');

グループ化とバックリファレンス

以下のコードは、phone_numbers テーブルの phone_number 列において、市外局番と電話番号をそれぞれ抽出します。

SELECT SUBSTR(phone_number, REGEXP_MATCH(phone_number, '(\d{3})-(\d{3}-\d{4})'), 4, 7) AS area_code,
       SUBSTR(phone_number, REGEXP_MATCH(phone_number, '(\d{3})-(\d{3}-\d{4})'), 12, 7) AS phone_number
FROM phone_numbers;

以下のコードは、addresses テーブルの address 列において、"CA" 州に存在する住所のみを抽出します。

SELECT * FROM addresses WHERE address REGEXP '^(?!.*NY).*CA.*$';
  • ライブラリによって、REGEXP関数の構文や機能が異なる場合があります。利用するライブラリのドキュメントを必ず参照してください。
  • SQLiteには、ネイティブで正規表現処理機能が備わっていないため、サードパーティ製のライブラリを導入する必要があります。
  • REGEXP関数は、データベースエンジンに負荷をかける可能性があります。複雑な正規表現パターンを使用する場合は、パフォーマンスへの影響を考慮する必要があります。


しかし、REGEXP 関数 にはいくつかの 注意点 があります。

  • ライブラリごとの差異
    ライブラリによって、REGEXP 関数の構文や機能が異なる場合があります。利用するライブラリのドキュメントを必ず確認する必要があります。
  • ライブラリの依存
    REGEXP 関数は、sqlean-regexpsqlite-regexp などのサードパーティ製ライブラリに依存しているため、利用前にライブラリの導入と設定が必要になります。
  • パフォーマンスへの影響
    複雑な正規表現パターンを使用すると、データベースエンジンに負荷がかかり、処理速度が遅くなる可能性があります。

上記の理由から、状況によっては REGEXP 関数 の代替方法を検討することも有効です。以下に、いくつかの代替方法を紹介します。

LIKE句とワイルドカード

LIKE 句とワイルドカードを用いることで、シンプルなパターンでの文字列検索・照合を行うことができます。


SELECT * FROM customers WHERE name LIKE '%Smith%';

この例は、customers テーブルの name 列において、"Smith" を含む名前を持つ顧客のレコードをすべて抽出します。

ワイルドカードとして、以下の記号を使用できます。

  • []: 指定した範囲内の文字列に一致
  • _: 1 文字に一致
  • %: 任意の文字列に一致

サブストリング関数

サブストリング関数を用いることで、部分文字列の一致や置換を行うことができます。


SELECT * FROM products WHERE description LIKE '%PC%';

CASE 式

CASE 式を用いることで、条件に応じて異なる値を返すことができます。


SELECT
    name,
    CASE
        WHEN name LIKE '%Smith%' THEN 'Smith 家'
        ELSE 'その他'
    END AS customer_group
FROM customers;

ユーザー定義関数

複雑な処理や、上記の代替方法では実現できない処理を行う場合は、ユーザー定義関数を作成することができます。


CREATE FUNCTION is_phone_number(input TEXT)
RETURNS INTEGER
AS
BEGIN
    -- 電話番号の形式チェックを行う処理を記述
    -- 例: 正規表現を用いたチェック
    RETURN 1; -- 一致する場合
           0; -- 不一致の場合
END;

この例は、is_phone_number というユーザー定義関数を作成し、引数として渡された文字列が電話番号かどうかを判定します。

データベース以外のツールと連携することで、より高度な処理を行うことができます。

  • データ分析ツールを用いて、複雑なパターン分析や可視化を行う
  • Python や R などのプログラミング言語で正規表現処理を行い、その結果を SQLite に反映する