QtプログラミングTips：QTabWidget::indexOf() を使いこなすためのヒント
2025-05-01
具体的には、以下のような役割を果たします。
- タブが存在しない場合の処理
もし指定したウィジェットがQTabWidget内のどのタブにも関連付けられていない場合、indexOf()は -1 を返します。 - ウィジェットからインデックスを取得
通常、タブの中身として追加したウィジェットへのポインタ（または参照）をindexOf()に渡します。すると、そのウィジェットが表示されているタブのインデックスが返ってきます。 - タブの位置を知る
QTabWidgetは複数のタブを管理していますが、indexOf()を使うと、特定のウィジェットが何番目のタブに表示されているかを知ることができます。インデックスは 0 から始まる整数で表されます。
関数のシグネチャ（C++）
int indexOf(QWidget *widget) const
- 戻り値 (
int): 指定されたwidgetが存在するタブのインデックス（0 以上の整数）。存在しない場合は -1。 const: この関数はQTabWidgetの状態を変更しないことを示します。QWidget *widget: 検索したいウィジェットへのポインタです。
簡単な使用例 (C++)
#include <QApplication>
#include <QTabWidget>
#include <QLabel>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QTabWidget tabWidget;
QLabel *label1 = new QLabel("最初のタブの内容");
QLabel *label2 = new QLabel("二番目のタブの内容");
QLabel *label3 = new QLabel("三番目のタブの内容");
tabWidget.addTab(label1, "タブ1");
tabWidget.addTab(label2, "タブ2");
tabWidget.addTab(label3, "タブ3");
// label2 がどのインデックスにあるか調べる
int index2 = tabWidget.indexOf(label2);
qDebug() << "label2 のインデックス:" << index2; // 出力: label2 のインデックス: 1
// 存在しないウィジェットのインデックスを調べる
QLabel *label4 = new QLabel("存在しない");
int index4 = tabWidget.indexOf(label4);
qDebug() << "label4 のインデックス:" << index4; // 出力: label4 のインデックス: -1
tabWidget.show();
return app.exec();
}
この例では、indexOf() を使って label2 が追加されたタブのインデックス（1）を取得しています。また、QTabWidget に追加されていない label4 のインデックスを調べると -1 が返ってくることがわかります。
存在しないウィジェットを渡した場合
- トラブルシューティング
indexOf()の戻り値が-1でないことを確認してから、そのインデックスを使った処理を行うようにしてください。- 渡すウィジェットが本当に
QTabWidgetに追加されているかを確認してください。ウィジェットがまだ追加されていない場合や、すでに削除されている場合は-1が返ります。
- エラー
関数はエラーを発生させませんが、戻り値として-1が返ってきます。この-1をタブのインデックスとしてそのまま使用しようとすると、範囲外アクセスなどの問題を引き起こす可能性があります。
ウィジェットのポインタが無効になっている場合
- トラブルシューティング
indexOf()に渡すウィジェットのポインタが有効であることを確認してください。- ウィジェットのライフサイクル管理を適切に行い、
indexOf()を呼び出す時点でウィジェットが生きていることを保証してください。
- エラー
無効なポインタ（nullptr や解放済みのメモリを指すポインタ）をindexOf()に渡すと、プログラムがクラッシュする可能性があります。
indexOf() の戻り値をタブの数と比較する際のオフバイワンエラー
- トラブルシューティング
indexOf()の戻り値が-1より大きいか等しい（>= 0）ことを確認して、ウィジェットが存在するかどうかを判定してください。- タブの数と比較する場合は、
indexOf()の戻り値がtabWidget->count() - 1以下であることを確認してください。
- エラー
indexOf()が 0 以上の値を返した場合、それは有効なインデックスです。タブの数を取得するcount()の戻り値と比較する際に、等しいかどうか（==）で判定してしまうと、最後のタブのインデックスとタブの数が一致するため誤った判定になることがあります。
型の不一致
- トラブルシューティング
indexOf()に渡す引数が、QTabWidgetに追加したウィジェットの正確な型（またはその親クラスであるQWidget）のポインタであることを確認してください。
- エラー
indexOf()はQWidget*型の引数を期待しています。異なる型のポインタ（例えば、カスタムウィジェットのスーパークラスではない関係のないクラスのポインタ）を渡すと、コンパイルエラーが発生するか、予期しない動作を引き起こす可能性があります。
indexOf() を呼び出すタイミング
- トラブルシューティング
indexOf()は、対象のウィジェットがaddTab()などを使ってQTabWidgetに追加された後に呼び出すようにしてください。
- エラー
ウィジェットがまだQTabWidgetに追加されていない段階でindexOf()を呼び出しても、当然-1が返ってきます。
- ドキュメントの確認
Qtの公式ドキュメントでQTabWidget::indexOf()の詳細な仕様や注意点を確認することも重要です。 - ログ出力
qDebug()などのQtのログ出力機能を使って、関連するウィジェットのポインタやindexOf()の戻り値を追跡するのも有効です。 - デバッガの使用
問題が発生した場合は、デバッガを使用してindexOf()に渡しているウィジェットのポインタの値や、戻り値を確認すると、原因の特定に役立ちます。
例1: 特定のウィジェットのインデックスを取得し、タブを切り替える
この例では、QTabWidget に追加された特定のラベルウィジェットのインデックスを取得し、そのタブをアクティブにします。
#include <QApplication>
#include <QTabWidget>
#include <QLabel>
#include <QDebug>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QTabWidget tabWidget;
QLabel *labelA = new QLabel("タブAの内容");
QLabel *labelB = new QLabel("タブBの内容");
QLabel *labelC = new QLabel("タブCの内容");
tabWidget.addTab(labelA, "タブA");
tabWidget.addTab(labelB, "タブB");
tabWidget.addTab(labelC, "タブC");
// ラベルBのインデックスを取得
int indexB = tabWidget.indexOf(labelB);
qDebug() << "ラベルBのインデックス:" << indexB; // 出力: ラベルBのインデックス: 1
// インデックスが有効な場合、そのタブをアクティブにする
if (indexB != -1) {
tabWidget.setCurrentIndex(indexB);
}
tabWidget.show();
return app.exec();
}
このコードでは、まず3つのラベル (labelA, labelB, labelC) を作成し、それぞれを異なる名前のタブとして tabWidget に追加しています。その後、tabWidget.indexOf(labelB) を呼び出すことで、labelB が表示されているタブのインデックス（この場合は 1）を取得しています。最後に、取得したインデックスが -1 でないことを確認してから tabWidget.setCurrentIndex() を呼び出し、そのインデックスのタブをアクティブにしています。
例2: 特定のウィジェットが存在するかどうかを確認する
この例では、indexOf() を使用して、特定のウィジェットが QTabWidget に追加されているかどうかを確認します。
#include <QApplication>
#include <QTabWidget>
#include <QLabel>
#include <QDebug>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QTabWidget tabWidget;
QLabel *label1 = new QLabel("最初のタブ");
tabWidget.addTab(label1, "タブ1");
QLabel *labelToCheck = new QLabel("確認するラベル");
// 確認するラベルのインデックスを取得
int indexToCheck = tabWidget.indexOf(labelToCheck);
if (indexToCheck != -1) {
qDebug() << "確認するラベルはタブ" << indexToCheck << "に存在します。";
} else {
qDebug() << "確認するラベルはタブウィジェットに存在しません。"; // こちらが出力される
}
tabWidget.show();
return app.exec();
}
ここでは、labelToCheck は tabWidget に追加されていません。そのため、tabWidget.indexOf(labelToCheck) は -1 を返し、"確認するラベルはタブウィジェットに存在しません。" というメッセージが出力されます。
例3: タブが選択されたときに、関連するウィジェットのインデックスを取得する
この例では、タブが切り替えられたときに、現在表示されているウィジェットのインデックスを取得します。
#include <QApplication>
#include <QTabWidget>
#include <QLabel>
#include <QDebug>
class MyTabWidget : public QTabWidget {
public:
MyTabWidget(QWidget *parent = nullptr) : QTabWidget(parent) {
QLabel *labelA = new QLabel("タブAの内容");
QLabel *labelB = new QLabel("タブBの内容");
QLabel *labelC = new QLabel("タブCの内容");
addTab(labelA, "タブA");
addTab(labelB, "タブB");
addTab(labelC, "タブC");
connect(this, &QTabWidget::currentChanged, this, &MyTabWidget::onTabChanged);
}
private slots:
void onTabChanged(int index) {
// 現在のインデックスからウィジェットを取得
QWidget *currentWidget = widget(index);
if (currentWidget) {
// そのウィジェットのインデックスを再度確認 (冗長ですが例として)
int currentIndex = indexOf(currentWidget);
qDebug() << "現在のタブのインデックス (currentChanged):" << index;
qDebug() << "現在のウィジェットのインデックス (indexOf):" << currentIndex;
}
}
};
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
MyTabWidget tabWidget;
tabWidget.show();
return app.exec();
}
この例では、MyTabWidget クラスで currentChanged シグナルにスロット onTabChanged を接続しています。タブが切り替えられると onTabChanged が呼ばれ、その際に渡される index が現在のタブのインデックスです。スロット内では、widget(index) を使って現在のウィジェットを取得し、さらに indexOf() を使ってそのウィジェットのインデックスを再度確認しています（この例では少し冗長ですが、indexOf() の使い方を示すためです）。
ウィジェットのポインタを直接管理する
- 例
- 欠点
- ウィジェットの追加・削除時に、管理用のデータ構造を適切に更新する必要があり、コードが複雑になる可能性があります。
- ウィジェットが
QTabWidget外で作成・管理されている場合に、連携が煩雑になることがあります。
- 利点
indexOf()の呼び出しが不要になり、わずかにパフォーマンスが向上する可能性があります（特に頻繁に呼び出す場合）。- ウィジェットに関連する他の情報（例えば、タブのタイトル、カスタムデータなど）も一緒に管理しやすい。
#include <QApplication>
#include <QTabWidget>
#include <QLabel>
#include <QDebug>
#include <QMap>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication app(argc, argv);
QTabWidget tabWidget;
QMap<QWidget*, int> widgetToIndex;
QLabel *labelA = new QLabel("タブA");
QLabel *labelB = new QLabel("タブB");
QLabel *labelC = new QLabel("タブC");
int index = 0;
tabWidget.addTab(labelA, "タブA");
widgetToIndex[labelA] = index++;
tabWidget.addTab(labelB, "タブB");
widgetToIndex[labelB] = index++;
tabWidget.addTab(labelC, "タブC");
widgetToIndex[labelC] = index++;
// ラベルBのインデックスを直接参照
int indexB = widgetToIndex.value(labelB, -1);
qDebug() << "ラベルBのインデックス (直接参照):" << indexB; // 出力: ラベルBのインデックス (直接参照): 1
tabWidget.show();
return app.exec();
}