標準ページサイズからカスタムページサイズまで：QPageSizeクラスの使い方

QPageSizeクラスは、Qt GUIライブラリにおいて、標準的なページサイズやカスタムページサイズの情報を定義し、操作するための機能を提供します。印刷やPDF生成などの場面で、適切なページサイズを設定する際に役立ちます。

主な機能

• ページサイズ情報の変換
  • ページサイズの寸法を異なる単位に変換
  • ページサイズ名を標準ページサイズIDに変換
• ページサイズ情報の比較
  • 異なるページサイズの寸法を比較
  • 2つのページサイズが等しいかどうかを判定
• カスタムページサイズの作成
  • 任意の寸法（幅、高さ）と単位を指定して、カスタムページサイズを作成
  • ページサイズ名を設定
• 標準ページサイズの定義と取得
  • A4、Letter、Executive、Legalなどの標準ページサイズを定義
  • 各ページサイズの寸法（幅、高さ）をミリメートル、ポイント、インチなどの単位で取得

使用方法

標準ページサイズの使用

QPageSize pageSize = QPageSize::A4; // A4ページサイズを作成

// ページサイズの寸法を取得
qreal width = pageSize.width();
qreal height = pageSize.height();

// ページサイズ名を標準ページサイズIDに変換
QPageSize::PageSizeId pageSizeId = pageSize.standardPageId();

カスタムページサイズの作成

QPageSize pageSize(210, 297, QPageSize::Millimeter); // カスタムページサイズを作成
pageSize.setName("MyPageSize"); // ページサイズ名を設定

// ページサイズの寸法を取得
qreal width = pageSize.width();
qreal height = pageSize.height();

// ページサイズ名を標準ページサイズIDに変換
QPageSize::PageSizeId pageSizeId = pageSize.standardPageId();

ページサイズ情報の比較

QPageSize pageSize1 = QPageSize::A4;
QPageSize pageSize2 = QPageSize(210, 297, QPageSize::Millimeter);

// 2つのページサイズの寸法を比較
bool isEqual = pageSize1 == pageSize2;

// 2つのページサイズが等しいかどうかを判定
if (isEqual) {
    // 2つのページサイズは等しい
} else {
    // 2つのページサイズは異なる
}

ページサイズ情報の変換

QPageSize pageSize = QPageSize::A4;

// ページサイズの寸法をインチに変換
qreal widthInInches = pageSize.width(QPageSize::Inch);
qreal heightInInches = pageSize.height(QPageSize::Inch);

// ページサイズ名を標準ページサイズIDに変換
QPageSize::PageSizeId pageSizeId = pageSize.standardPageId();

• QPageSizeクラスは、Qt GUIモジュールのQtGuiヘッダーファイルで定義されています。

例

以下は、QPageSizeクラスを使用して、A4ページサイズのPDFファイルを生成する例です。

#include <QPdfWriter>
#include <QPainter>

int main() {
    // A4ページサイズのPDFファイルを生成
    QPdfWriter pdfWriter("myfile.pdf");

    // ページサイズを設定
    pdfWriter.setPageSize(QPageSize::A4);

    // 新しいページを開始
    QPainter painter(&pdfWriter);

    // 描画処理
    painter.drawText(100, 100, "Hello, World!");

    // ページを終了
    painter.end();

    // PDFファイルを閉じる
    pdfWriter.close();

    return 0;
}

このコードは、"myfile.pdf"という名前のA4ページサイズのPDFファイルを生成します。PDFファイルには、"Hello, World!"というテキストが描画されます。

---

#include <QCoreApplication>
#include <QPageSize>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QCoreApplication app(argc, argv);

    // A4ページサイズを取得
    QPageSize pageSize = QPageSize::A4;

    // ページサイズの寸法を取得
    qreal width = pageSize.width();
    qreal height = pageSize.height();

    // ページサイズ名を標準ページサイズIDに変換
    QPageSize::PageSizeId pageSizeId = pageSize.standardPageId();

    // 結果を出力
    qDebug() << "ページサイズ名:" << pageSize.name();
    qDebug() << "幅:" << width << "mm";
    qDebug() << "高さ:" << height << "mm";
    qDebug() << "標準ページサイズID:" << pageSizeId;

    return 0;
}

このコードを実行すると、以下のような出力が得られます。

ページサイズ名: A4
幅: 210 mm
高さ: 297 mm
標準ページサイズID: QPageSize::A4

カスタムページサイズの作成

#include <QCoreApplication>
#include <QPageSize>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QCoreApplication app(argc, argv);

    // カスタムページサイズを作成 (215mm x 305mm)
    QPageSize pageSize(215, 305, QPageSize::Millimeter);
    pageSize.setName("MyPageSize");

    // ページサイズの寸法を取得
    qreal width = pageSize.width();
    qreal height = pageSize.height();

    // ページサイズ名を標準ページサイズIDに変換
    QPageSize::PageSizeId pageSizeId = pageSize.standardPageId();

    // 結果を出力
    qDebug() << "ページサイズ名:" << pageSize.name();
    qDebug() << "幅:" << width << "mm";
    qDebug() << "高さ:" << height << "mm";
    qDebug() << "標準ページサイズID:" << pageSizeId;

    return 0;
}

ページサイズ名: MyPageSize
幅: 215 mm
高さ: 305 mm
標準ページサイズID: QPageSize::Custom

ページサイズ情報の比較

#include <QCoreApplication>
#include <QPageSize>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QCoreApplication app(argc, argv);

    // A4ページサイズを取得
    QPageSize pageSize1 = QPageSize::A4;

    // カスタムページサイズを作成 (210mm x 297mm)
    QPageSize pageSize2(210, 297, QPageSize::Millimeter);

    // 2つのページサイズの寸法を比較
    bool isEqual = pageSize1 == pageSize2;

    // 結果を出力
    qDebug() << "A4ページサイズとカスタムページサイズは等しいか:" << isEqual;

    return 0;
}

A4ページサイズとカスタムページサイズは等しいか: true

ページサイズ情報の変換

#include <QCoreApplication>
#include <QPageSize>

int main(int argc, char *argv[]) {
    QCoreApplication app(argc, argv);

    // A4ページサイズを取得
    QPageSize pageSize = QPageSize::A4;

    // ページサイズの寸法をインチに変換
    qreal widthInInches = pageSize.width(QPageSize::Inch);
    qreal heightInInches = pageSize.height(QPageSize::Inch);

    // 結果を出力
    qDebug() << "A4ページサイズの幅 (インチ):" << widthInInches;
    qDebug() << "A4ページサイズの高さ (インチ):" << heightInInches;

    return 0;
}

A4ページサイズの幅 (インチ): 8.27
A4ページサイズの高さ (インチ): 11.69

#include <QPdfWriter>
#include <QPainter>

int main() {
    // A4ページサイズのPDFファイルを生成
    QPdfWriter pdfWriter("myfile.pdf");

    // ページ

---

代替方法

独自のページサイズ構造体を作成する

QPageSizeクラスの機能を必要最低限に絞り込んだ、独自のページサイズ構造体を作成することができます。例えば、以下のような構造体を定義できます。

struct MyPageSize {
    qreal width;
    qreal height;
    QPageSize::PageSizeUnit unit;
    QString name;
};

この構造体には、ページ幅、ページ高さ、単位、ページ名などの属性を定義することができます。これらの属性を操作することで、ページサイズの情報を管理することができます。

QPrinterクラスを使用する

QPrinterクラスは、印刷ジョブに関する情報を設定し、印刷を実行するための機能を提供します。QPrinterクラスには、ページサイズを設定するためのプロパティが用意されています。

QPrinter printer;
printer.setPageSize(QPrinter::A4); // A4ページサイズを設定

QPrinterクラスを使用する場合は、QPageSizeクラスよりも直接的な方法でページサイズを設定することができます。

PDFライブラリを使用する

PDFライブラリを使用する場合は、PDFファイルのページサイズを直接設定することができます。例えば、Popplerライブラリを使用すると、以下のようにページサイズを設定できます。

#include <Poppler/Poppler.h>

Poppler::Document doc("myfile.pdf");
Poppler::Page* page = doc.page(0); // 1つ目のページを取得
page->setPageSize(Poppler::PageSize(210, 297, Poppler::Millimeter)); // ページサイズを設定

PDFライブラリを使用する場合は、QPageSizeクラスよりも詳細なページサイズ設定が可能になります。

プラットフォーム固有のAPIを使用する

WindowsやmacOSなどのプラットフォーム固有のAPIを使用する場合は、そのプラットフォームで提供されているページサイズ設定機能を利用することができます。

選択の基準

QPageSizeクラスの代替方法を選択する際には、以下の点を考慮する必要があります。

• コードの簡潔性
  • コードがわかりやすく読みやすいことが重要か？
• パフォーマンス
  • 処理速度は重要か？
• 開発環境
  • 使用しているQtバージョンは何か？
  • 他のライブラリを使用できるか？
• 必要な機能
  • 標準ページサイズの使用のみが必要か、カスタムページサイズの作成も必要か？
  • ページサイズの比較や変換が必要か？