Qt QGraphicsView: alignment徹底解説 - シーン配置の基本と応用
2025-05-27
QGraphicsView と QGraphicsScene の関係
まず、QGraphicsViewとQGraphicsSceneの関係を理解することが重要です。
- QGraphicsView: ビューは、
QGraphicsSceneの内容を表示するためのウィジェットです。ビューはシーンの一部を表示したり、ズームやパンなどの変換を適用したりすることができます。複数のビューが同じシーンを表示することも可能です。 - QGraphicsScene: シーンは、描画されるすべてのグラフィックアイテム（図形、テキスト、画像など）を保持する論理的なキャンバスです。アイテムの座標系はこのシーン上に存在します。
alignment プロパティの役割
QGraphicsView::alignment プロパティは、シーン全体がビュー内に完全に収まる場合に、そのシーンがビュー内でどのように配置されるかを決定します。つまり、スクロールバーが表示されていない状態（シーン全体がビューの可視領域に収まっている状態）でこの設定が効果を発揮します。
デフォルトでは Qt::AlignCenter に設定されており、シーンはビューの中央に配置されます。
設定できる値 (Qt::Alignment)
alignment プロパティには、Qt::Alignment 型の値を設定します。これは、以下のフラグの組み合わせで指定できます。
Qt::AlignCenter: シーンをビューの中央（水平方向と垂直方向の両方）に配置します。これはQt::AlignHCenter | Qt::AlignVCenterと同等です。Qt::AlignVCenter: シーンをビューの垂直方向の中央に配置します。Qt::AlignBottom: シーンをビューの下端に配置します。Qt::AlignTop: シーンをビューの上端に配置します。Qt::AlignHCenter: シーンをビューの水平方向の中央に配置します。Qt::AlignRight: シーンをビューの右端に配置します。Qt::AlignLeft: シーンをビューの左端に配置します。
使用例
例えば、シーンをビューの左上隅に配置したい場合は、次のように設定します。
#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QGraphicsRectItem> // 例として矩形アイテムを使用
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication a(argc, argv);
QGraphicsScene scene;
scene.setSceneRect(0, 0, 200, 150); // シーンのサイズを設定
QGraphicsRectItem* rect = scene.addRect(0, 0, 50, 50); // アイテムを追加
QGraphicsView view(&scene);
view.setWindowTitle("QGraphicsView Alignment Example");
// シーンをビューの左上隅に配置
view.setAlignment(Qt::AlignLeft | Qt::AlignTop);
view.show();
return a.exec();
}
centerOn()やensureVisible()との違い:centerOn()は、指定されたポイントやアイテムがビューの中央に来るようにビューをスクロールします。ensureVisible()は、指定された領域がビュー内に確実に見えるようにスクロールしますが、必ずしも中央に配置するわけではありません。alignmentは、シーン全体が表示されている場合に、余白部分でのシーンの位置を決定するものです。
- スクロールバーが有効な場合: シーンがビューに完全に収まっておらず、スクロールバーが表示されている場合、
alignmentプロパティは直接的な影響を与えません。この場合、ユーザーはスクロールバーを操作してシーンの表示位置を調整します。
QGraphicsView::alignment は、QGraphicsScene のコンテンツが QGraphicsView 内でどのように配置されるかを制御する重要なプロパティですが、その挙動には誤解が生じやすい点があります。
シーンがビューより大きい場合にアラインメントが効かない
エラー/誤解
QGraphicsView::alignment を設定しても、シーンのコンテンツが意図した位置に表示されない。特に、シーンがビューの可視領域よりも大きい場合にこの問題が発生しやすい。
原因
QGraphicsView::alignment は、シーン全体がビューの可視領域に完全に収まっている場合にのみ効果を発揮します。シーンがビューよりも大きい場合、ビューはスクロールバーを表示するか、または fitInView() のようなメソッドを使ってシーンの一部を拡大・縮小して表示します。この場合、アラインメントは適用されず、ビューのスクロール状態や表示倍率が優先されます。
トラブルシューティング
- centerOn() や setSceneRect() の影響
QGraphicsView::centerOn()を使用すると、指定したシーン上の座標がビューの中心に表示されます。これにより、アラインメントの設定が上書きされる可能性があります。QGraphicsScene::setSceneRect()を設定しない場合、シーンの有効な領域は、すべてのアイテムの外接矩形（itemsBoundingRect()）によって決定されます。この動的なサイズ変更がアラインメントの期待される挙動と異なる場合があります。常に明示的にsetSceneRect()を設定することをお勧めします。
- スクロールバーの挙動を確認する
スクロールバーが表示されている場合、アラインメントは意味をなしません。スクロールバーを無効にしたい場合は、setHorizontalScrollBarPolicy(Qt::ScrollBarAlwaysOff)やsetVerticalScrollBarPolicy(Qt::ScrollBarAlwaysOff)を使用します。ただし、これによりシーンの大部分が隠れてしまう可能性があることに注意してください。 - fitInView() を使う
シーン全体をビューに収めたい場合は、QGraphicsView::fitInView()を使用します。このメソッドを使うと、シーンがビューのサイズに合わせて拡大・縮小され、その際にalignmentの設定が有効になります。// 例: シーン全体をビューに収め、左上隅に配置 view->fitInView(scene->sceneRect(), Qt::KeepAspectRatio); // 必要であればアスペクト比を維持 view->setAlignment(Qt::AlignLeft | Qt::AlignTop); - シーンのサイズを確認する
まず、QGraphicsScene::sceneRect()を使ってシーンの実際のサイズを確認してください。また、QGraphicsView::viewport()のサイズとも比較し、シーンがビューに収まっているかどうかを判断します。
アラインメントが期待通りに機能しない (微妙なずれなど)
エラー/誤解
Qt::AlignLeft | Qt::AlignTop を設定したのに、わずかにパディングやオフセットがあるように見える。
原因
- QGraphicsScene::sceneRect() の設定ミス
setSceneRect()で設定した領域と、実際のアイテムの配置がずれている場合、アラインメントが期待通りに機能しないことがあります。 - QGraphicsView のフレームや余白
QGraphicsView自体にフレーム（ボーダー）やパディングがある場合、それがアラインメントの計算に影響を与える可能性があります。
トラブルシューティング
- QGraphicsView のサイズポリシー
QGraphicsViewのサイズポリシー（setSizePolicy()）が、親ウィジェットのレイアウトによってビューのサイズが動的に変更される際に、予期せぬアラインメントの変化を引き起こすことがあります。 - sceneRect() とアイテムの配置を再確認する
シーンのアイテムが、sceneRect()で定義された領域のどの位置に配置されているかを正確に把握することが重要です。特に、原点 (0,0) の位置に注意してください。 - ビューのフレーム設定を確認する
QGraphicsView::setFrameShape(QFrame::NoFrame)やsetLineWidth(0)、setMidLineWidth(0)などを使って、ビューのフレームを無効にしてみてください。
シーンに何も表示されない、またはアイテムの位置がずれている
エラー/誤解
アラインメントを設定する以前の問題として、そもそもシーン内のアイテムが正しく表示されない、または意図しない場所に表示される。
原因 (アラインメント直接の原因ではないが関連する可能性のある問題)
- ビューポートの更新不足
シーンやアイテムに変更を加えた後、ビューポートが更新されていない。 - Z値 (Z-Value) の問題
複数のアイテムが重なっている場合、Z値によって表示順序が決まります。 - QGraphicsItem::setPos() の誤解
アイテムのsetPos()はシーン座標系における位置であり、ビューの表示位置とは直接関係ありません。 - QGraphicsScene::sceneRect() の未設定または不正な設定
QGraphicsSceneの描画領域が正しく設定されていないため、アイテムが可視領域外に描画されている。
- QGraphicsView::update() または QGraphicsScene::update() を呼び出す
シーンやアイテムの変更が画面に反映されない場合、これらのメソッドを呼び出してビューポートを強制的に更新します。 - アイテムの座標とシーンの原点を確認する
アイテムがシーンのどこに配置されているかをデバッグ出力などで確認してください。通常、QGraphicsSceneの (0,0) はビューの左上に対応させることが多いですが、これはalignmentの設定によって変化します。 - QGraphicsScene::setSceneRect() を常に設定する
シーンの論理的な境界を明確に定義することで、ビューがシーンのどこを表示すべきかを理解しやすくなります。scene->setSceneRect(0, 0, width, height); // シーンの左上隅を(0,0)とし、サイズを指定
例1: シーンをビューの中央に配置 (デフォルトの挙動)
これは QGraphicsView のデフォルトの挙動ですが、明示的に設定することもできます。
#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QGraphicsRectItem> // 四角形を描画するために使用
#include <QLabel> // UIの確認用にラベルを追加
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication a(argc, argv);
// 1. QGraphicsScene を作成
QGraphicsScene scene;
// シーンの境界を設定 (重要: alignmentが機能するために)
scene.setSceneRect(0, 0, 300, 200); // 幅300, 高さ200のシーン
// シーンにアイテムを追加
// シーンの左上 (0,0) に50x50の赤い四角形
QGraphicsRectItem* rect = new QGraphicsRectItem(0, 0, 50, 50);
rect->setBrush(Qt::red);
scene.addItem(rect);
// シーンの中央付近にテキストを追加
QGraphicsTextItem* text = new QGraphicsTextItem("Hello, Qt!");
text->setPos(100, 80); // シーン座標系での位置
scene.addItem(text);
// 2. QGraphicsView を作成し、シーンを設定
QGraphicsView view(&scene);
view.setWindowTitle("Alignment Example: Center (Default)");
view.setFixedSize(400, 300); // ビューの固定サイズ (シーンより大きい)
// 3. alignment を設定 (Qt::AlignCenter はデフォルトですが明示的に)
view.setAlignment(Qt::AlignCenter);
// 背景色を変更して、シーンがビューの中でどのように配置されているかを見やすくする
view.setBackgroundBrush(Qt::lightGray);
view.show();
return a.exec();
}
解説
この例では、シーン (300x200) がビュー (400x300) よりも小さいため、シーンはビューの水平方向と垂直方向の中央に配置されます。赤い四角形とテキストはシーンの左上隅と中央付近に固定されているため、それらがビューの中央に表示されることが確認できます。
例2: シーンをビューの左上隅に配置
シーンをビューの左上隅に固定して表示します。
#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QGraphicsEllipseItem> // 円を描画するために使用
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication a(argc, argv);
QGraphicsScene scene;
scene.setSceneRect(0, 0, 300, 200);
// シーンの左上 (0,0) に50x50の青い円
QGraphicsEllipseItem* ellipse = new QGraphicsEllipseItem(0, 0, 50, 50);
ellipse->setBrush(Qt::blue);
scene.addItem(ellipse);
QGraphicsView view(&scene);
view.setWindowTitle("Alignment Example: TopLeft");
view.setFixedSize(400, 300);
// シーンをビューの左上隅に配置
view.setAlignment(Qt::AlignLeft | Qt::AlignTop); // 複数のフラグをOR結合
view.setBackgroundBrush(Qt::darkGray);
view.show();
return a.exec();
}
解説
Qt::AlignLeft と Qt::AlignTop を組み合わせて設定することで、シーンはビューの左上隅に「ぴったり」と配置されます。ビューの背景色を暗くすることで、シーンの配置がより明確になります。
例3: シーンをビューの右下隅に配置
#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QGraphicsPolygonItem> // 多角形を描画するために使用
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication a(argc, argv);
QGraphicsScene scene;
scene.setSceneRect(0, 0, 300, 200);
// シーンに多角形を追加 (シーンの左上付近)
QPolygonF triangle;
triangle << QPointF(0, 0) << QPointF(100, 0) << QPointF(50, 80);
QGraphicsPolygonItem* polygon = new QGraphicsPolygonItem(triangle);
polygon->setBrush(Qt::green);
scene.addItem(polygon);
QGraphicsView view(&scene);
view.setWindowTitle("Alignment Example: BottomRight");
view.setFixedSize(400, 300);
// シーンをビューの右下隅に配置
view.setAlignment(Qt::AlignRight | Qt::AlignBottom);
view.setBackgroundBrush(Qt::cyan);
view.show();
return a.exec();
}
解説
Qt::AlignRight と Qt::AlignBottom を組み合わせて設定することで、シーンはビューの右下隅に配置されます。
alignment が機能する条件（シーンがビューに収まっている場合）を示すための例です。
#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QGraphicsRectItem>
#include <QPushButton>
#include <QVBoxLayout>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication a(argc, argv);
QWidget window;
QVBoxLayout* layout = new QVBoxLayout(&window);
QGraphicsScene scene;
// シーンをビューより大きく設定 (例: ビューの2倍の幅と高さ)
scene.setSceneRect(0, 0, 800, 600);
// シーンに大きな四角形を追加
QGraphicsRectItem* largeRect = new QGraphicsRectItem(0, 0, 800, 600);
largeRect->setBrush(Qt::magenta);
scene.addItem(largeRect);
// シーンの左上隅に小さな赤い四角形を追加
QGraphicsRectItem* cornerRect = new QGraphicsRectItem(0, 0, 50, 50);
cornerRect->setBrush(Qt::red);
scene.addItem(cornerRect);
QGraphicsView* view = new QGraphicsView(&scene);
view->setWindowTitle("Alignment Example: Large Scene with fitInView");
view->setFixedSize(400, 300); // ビューはシーンより小さい
// 最初はアラインメントが適用されないことを確認
view->setAlignment(Qt::AlignCenter); // デフォルト
// スクロールバーが表示されるようにする (デフォルト)
view->setHorizontalScrollBarPolicy(Qt::ScrollBarAsNeeded);
view->setVerticalScrollBarPolicy(Qt::ScrollBarAsNeeded);
layout->addWidget(view);
QPushButton* fitButton = new QPushButton("Fit in View (Align TopLeft)");
QObject::connect(fitButton, &QPushButton::clicked, [&]() {
// シーン全体をビューに収める (アスペクト比を維持)
view->fitInView(scene.sceneRect(), Qt::KeepAspectRatio);
// fitInView() の後に alignment を設定することで、
// 収まったシーンがビュー内でどのように配置されるかを制御
view->setAlignment(Qt::AlignLeft | Qt::AlignTop);
view->viewport()->update(); // 必要に応じてビューポートを更新
});
layout->addWidget(fitButton);
window.setLayout(layout);
window.resize(450, 450); // ウィンドウのサイズ調整
window.show();
return a.exec();
}
解説
この例では、初期状態ではシーンがビューより大きいため、alignment の設定（Qt::AlignCenter）は効果を発揮せず、スクロールバーが表示されます。
「Fit in View (Align TopLeft)」ボタンをクリックすると、view->fitInView(scene.sceneRect(), Qt::KeepAspectRatio) によってシーン全体がビューの可視領域に収まるように拡大・縮小されます。
その直後に view->setAlignment(Qt::AlignLeft | Qt::AlignTop) を設定することで、収まったシーンがビューの左上隅に配置されるようになります。
以下に、QGraphicsView::alignment の代替となるプログラミング手法をいくつか説明します。
QGraphicsView::centerOn() を使用する
centerOn() は、特定のシーン上の点やアイテムをビューの中心に配置するために使用されます。これにより、alignment の設定が一時的に上書きされますが、シーンの特定の部分に焦点を合わせたい場合に非常に強力です。
- 欠点:
alignmentのように、ビューの余白にシーンを「整列」させる機能ではない。常に中心に配置しようとするため、余白の制御ができない。 - 利点: 非常に簡単で直感的。アイテムの移動やユーザー操作に応じて動的にビューの中心を調整できる。
- 用途: シーンの特定のアイテムや領域にズームインまたはパンしたい場合。
#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QGraphicsRectItem>
#include <QPushButton>
#include <QVBoxLayout>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication a(argc, argv);
QWidget window;
QVBoxLayout* layout = new QVBoxLayout(&window);
QGraphicsScene scene;
scene.setSceneRect(0, 0, 500, 400); // シーンのサイズ
QGraphicsRectItem* topLeftRect = new QGraphicsRectItem(0, 0, 50, 50);
topLeftRect->setBrush(Qt::red);
scene.addItem(topLeftRect);
QGraphicsRectItem* centerRect = new QGraphicsRectItem(225, 175, 50, 50);
centerRect->setBrush(Qt::blue);
scene.addItem(centerRect);
QGraphicsRectItem* bottomRightRect = new QGraphicsRectItem(450, 350, 50, 50);
bottomRightRect->setBrush(Qt::green);
scene.addItem(bottomRightRect);
QGraphicsView* view = new QGraphicsView(&scene);
view->setWindowTitle("Alternative: centerOn()");
view->setFixedSize(400, 300); // ビューのサイズ (シーンより小さい)
layout->addWidget(view);
QPushButton* centerTopLeftButton = new QPushButton("Center TopLeft Item");
QObject::connect(centerTopLeftButton, &QPushButton::clicked, [&]() {
view->centerOn(topLeftRect); // 赤い四角形をビューの中心に
});
layout->addWidget(centerTopLeftButton);
QPushButton* centerSceneButton = new QPushButton("Center Scene Origin (0,0)");
QObject::connect(centerSceneButton, &QPushButton::clicked, [&]() {
view->centerOn(0, 0); // シーンの原点 (0,0) をビューの中心に
});
layout->addWidget(centerSceneButton);
window.setLayout(layout);
window.show();
return a.exec();
}
QGraphicsView::ensureVisible() を使用する
ensureVisible() は、特定のシーン領域がビューの可視領域内に収まるようにビューをスクロールします。centerOn() と異なり、必ずしもその領域を中央に配置するわけではありません。
- 欠点:
alignmentのように、余白での位置を細かく制御するものではない。 - 利点: ユーザーの現在のスクロール位置を尊重しつつ、必要な領域を表示できる。
- 用途: シーンの特定のアイテムや領域がユーザーに見えるようにしたいが、中央に固定する必要はない場合。
#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QGraphicsTextItem>
#include <QPushButton>
#include <QVBoxLayout>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication a(argc, argv);
QWidget window;
QVBoxLayout* layout = new QVBoxLayout(&window);
QGraphicsScene scene;
scene.setSceneRect(0, 0, 1000, 800); // 非常に大きなシーン
// 離れた場所にテキストアイテムをいくつか追加
QGraphicsTextItem* item1 = new QGraphicsTextItem("Item 1 (Top-Left)");
item1->setPos(50, 50);
scene.addItem(item1);
QGraphicsTextItem* item2 = new QGraphicsTextItem("Item 2 (Center)");
item2->setPos(450, 350);
scene.addItem(item2);
QGraphicsTextItem* item3 = new QGraphicsTextItem("Item 3 (Bottom-Right)");
item3->setPos(900, 700);
scene.addItem(item3);
QGraphicsView* view = new QGraphicsView(&scene);
view->setWindowTitle("Alternative: ensureVisible()");
view->setFixedSize(400, 300); // ビューのサイズ
layout->addWidget(view);
QPushButton* ensureItem1Button = new QPushButton("Ensure Item 1 Visible");
QObject::connect(ensureItem1Button, &QPushButton::clicked, [&]() {
view->ensureVisible(item1, 50, 50); // Item 1 が表示されるように (50pxのマージン付き)
});
layout->addWidget(ensureItem1Button);
QPushButton* ensureItem3Button = new QPushButton("Ensure Item 3 Visible");
QObject::connect(ensureItem3Button, &QPushButton::clicked, [&]() {
view->ensureVisible(item3); // Item 3 が表示されるように
});
layout->addWidget(ensureItem3Button);
window.setLayout(layout);
window.show();
return a.exec();
}
QGraphicsView::fitInView() を使用する
fitInView() は、シーンの指定された領域がビューの可視領域に完全に収まるように、ビューの変換行列（ズームやパン）を調整します。これにより、シーン全体またはその一部をビューに「フィット」させることができます。
- 欠点:
alignmentと組み合わせて使うことで、フィット後の配置を制御できるが、単独では細かな余白の調整は難しい。 - 利点: シーンの内容をビューに自動的にフィットさせ、必要に応じて拡大・縮小してくれる。
Qt::AspectRatioModeを使ってアスペクト比を維持できる。 - 用途: シーン全体、または特定のアイテムの領域をビューに常に表示したい場合。ズーム機能の実装によく使われる。
#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QGraphicsEllipseItem>
#include <QPushButton>
#include <QVBoxLayout>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication a(argc, argv);
QWidget window;
QVBoxLayout* layout = new QVBoxLayout(&window);
QGraphicsScene scene;
scene.setSceneRect(0, 0, 1000, 1000); // 大きなシーン
// 中心に大きな円
QGraphicsEllipseItem* largeCircle = new QGraphicsEllipseItem(200, 200, 600, 600);
largeCircle->setBrush(Qt::yellow);
scene.addItem(largeCircle);
// 左上隅に小さな円
QGraphicsEllipseItem* smallCircle = new QGraphicsEllipseItem(0, 0, 100, 100);
smallCircle->setBrush(Qt::cyan);
scene.addItem(smallCircle);
QGraphicsView* view = new QGraphicsView(&scene);
view->setWindowTitle("Alternative: fitInView()");
view->setFixedSize(400, 300);
layout->addWidget(view);
QPushButton* fitAllButton = new QPushButton("Fit Full Scene");
QObject::connect(fitAllButton, &QPushButton::clicked, [&]() {
// シーン全体をビューに収める (アスペクト比維持)
view->fitInView(scene.sceneRect(), Qt::KeepAspectRatio);
view->setAlignment(Qt::AlignCenter); // フィット後に中央揃え (デフォルト)
});
layout->addWidget(fitAllButton);
QPushButton* fitSmallCircleButton = new QPushButton("Fit Small Circle");
QObject::connect(fitSmallCircleButton, &QPushButton::clicked, [&]() {
// 小さな円をビューに収める
view->fitInView(smallCircle, Qt::KeepAspectRatio);
view->setAlignment(Qt::AlignCenter); // フィット後に中央揃え
});
layout->addWidget(fitSmallCircleButton);
window.setLayout(layout);
window.show();
return a.exec();
}
QGraphicsView::setTransform() や translate() を手動で操作する
これは最も低レベルな方法であり、QGraphicsView の変換行列（QTransform）を直接操作することで、シーンのパン（移動）やズーム（拡大縮小）を完全に制御できます。
- 欠点: 複雑であり、座標変換の概念を深く理解する必要がある。一般的なアラインメントの用途にはオーバーキルになりがち。
- 利点: 最高の柔軟性を提供し、あらゆる種類のビュー操作を実装できる。
- 用途: 非常に細かいビューの制御が必要な場合や、カスタムのスクロール・ズームロジックを実装したい場合。
#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QGraphicsTextItem>
#include <QPushButton>
#include <QVBoxLayout>
#include <QTransform>
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication a(argc, argv);
QWidget window;
QVBoxLayout* layout = new QVBoxLayout(&window);
QGraphicsScene scene;
scene.setSceneRect(0, 0, 500, 400);
QGraphicsTextItem* item = new QGraphicsTextItem("Custom Position");
item->setPos(100, 100);
scene.addItem(item);
QGraphicsView* view = new QGraphicsView(&scene);
view->setWindowTitle("Alternative: Manual Transform");
view->setFixedSize(400, 300);
layout->addWidget(view);
QPushButton* moveRightButton = new QPushButton("Move Scene Right");
QObject::connect(moveRightButton, &QPushButton::clicked, [&]() {
// 現在の変換行列を取得し、水平方向に50px移動
QTransform currentTransform = view->transform();
view->setTransform(currentTransform.translate(-50, 0)); // ビューを右に動かすには、シーンを左に動かす
});
layout->addWidget(moveRightButton);
QPushButton* zoomInButton = new QPushButton("Zoom In");
QObject::connect(zoomInButton, &QPushButton::clicked, [&]() {
// 現在の変換行列を取得し、スケールを適用
view->scale(1.2, 1.2); // 1.2倍にズームイン
});
layout->addWidget(zoomInButton);
window.setLayout(layout);
window.show();
return a.exec();
}
これは QGraphicsView のアラインメントとは少し異なるアプローチですが、シーン内の複数の QGraphicsItem を整列させたい場合に非常に有効です。QGraphicsWidget は QGraphicsItem を継承していますが、QWidget のようにレイアウト（QGraphicsLinearLayout, QGraphicsGridLayout, QGraphicsAnchorLayout）を持つことができます。
- 欠点:
QGraphicsView自体のアラインメントとは直接関係なく、シーン内のアイテムの配置に焦点を当てる。 - 利点: 複雑なアイテムの配置を簡素化できる。ビューのサイズ変更にも自動的に対応しやすい。
- 用途: シーン内の複数のアイテムを、互いの相対位置に基づいて自動的に配置したい場合。
#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QGraphicsRectItem>
#include <QGraphicsTextItem>
#include <QGraphicsWidget>
#include <QGraphicsLinearLayout> // QGraphicsWidget用のレイアウト
int main(int argc, char *argv[]) {
QApplication a(argc, argv);
QGraphicsScene scene;
scene.setSceneRect(0, 0, 600, 400); // シーンのサイズ
QGraphicsView view(&scene);
view.setWindowTitle("Alternative: QGraphicsLinearLayout");
view.setFixedSize(600, 400); // ビューをシーンと同じサイズに
// 1. QGraphicsWidget を作成
QGraphicsWidget* container = new QGraphicsWidget();
scene.addItem(container);
// 2. レイアウトマネージャーを作成 (例: 垂直方向)
QGraphicsLinearLayout* layout = new QGraphicsLinearLayout(Qt::Vertical);
container->setLayout(layout);
// 3. レイアウトにアイテムを追加
QGraphicsTextItem* item1 = new QGraphicsTextItem("Item A");
item1->setFlags(QGraphicsItem::ItemSendsGeometryChanges);
QGraphicsRectItem* rect1 = new QGraphicsRectItem(0, 0, 100, 50);
rect1->setBrush(Qt::red);
item1->setParentItem(rect1); // テキストを四角形の子にする
layout->addItem(rect1); // レイアウトに四角形を追加
QGraphicsTextItem* item2 = new QGraphicsTextItem("Item B (Longer)");
item2->setFlags(QGraphicsItem::ItemSendsGeometryChanges);
QGraphicsRectItem* rect2 = new QGraphicsRectItem(0, 0, 150, 70);
rect2->setBrush(Qt::green);
item2->setParentItem(rect2);
layout->addItem(rect2);
QGraphicsTextItem* item3 = new QGraphicsTextItem("Item C");
item3->setFlags(QGraphicsItem::ItemSendsGeometryChanges);
QGraphicsRectItem* rect3 = new QGraphicsRectItem(0, 0, 80, 40);
rect3->setBrush(Qt::blue);
item3->setParentItem(rect3);
layout->addItem(rect3);
// レイアウト内のアイテムのアラインメントを設定 (レイアウト内で)
layout->setAlignment(rect1, Qt::AlignLeft | Qt::AlignVCenter);
layout->setAlignment(rect2, Qt::AlignCenter);
layout->setAlignment(rect3, Qt::AlignRight | Qt::AlignVCenter);
// コンテナの位置を設定 (シーンのどこにレイアウト全体を置くか)
container->setPos(100, 50);
view.show();
return a.exec();
}
QGraphicsView::alignment は、シンプルな整列には最適ですが、より複雑なシナリオでは上記の代替方法を検討する必要があります。
- シーン内のアイテムの相対的なレイアウト:
QGraphicsWidgetとQGraphicsLayout - 完全にカスタムなビューの制御:
QGraphicsView::setTransform(),translate(),scale()などを使った手動操作 - 特定の領域やアイテムへの移動/ズーム:
QGraphicsView::centerOn(),QGraphicsView::ensureVisible(),QGraphicsView::fitInView() - 簡単なビュー内のコンテンツの整列（シーンがビューに収まる場合）:
QGraphicsView::alignment