QGraphicsScene::addRect()のすべて：Qtプログラミングで矩形を自由自在に描画する

2025-04-07

以下に詳細を説明します。

QGraphicsScene::addRect() の役割

このアイテムは、シーン内で移動、変形、スタイル変更などが可能です。
addRect() は、このシーン上に矩形を描画し、QGraphicsRectItem というアイテムとして追加します。
QGraphicsScene は、グラフィカルアイテムを管理するキャンバスのようなものです。

関数の構文

QGraphicsRectItem *QGraphicsScene::addRect(const QRectF &rect, const QPen &pen = QPen(), const QBrush &brush = QBrush());

または

QGraphicsRectItem *QGraphicsScene::addRect(qreal x, qreal y, qreal w, qreal h, const QPen &pen = QPen(), const QBrush &brush = QBrush());

引数の説明

戻り値:
- 描画された矩形を表す QGraphicsRectItem オブジェクトへのポインタを返します。このポインタを使って、描画された矩形を後から操作できます。
brush:
- 矩形の内側を塗りつぶすスタイルを指定する QBrush オブジェクトです。塗りつぶしの色、パターンなどを設定できます。デフォルトでは、塗りつぶしなし（透明）になります。
pen:
- 矩形の輪郭線のスタイルを指定する QPen オブジェクトです。線の色、太さ、スタイルなどを設定できます。デフォルトでは、標準のペンが使用されます。
rect (または x, y, w, h):
- rect は QRectF オブジェクトで、矩形の座標とサイズを指定します。
- x, y, w, h はそれぞれ矩形の左上隅の x 座標、y 座標、幅、高さを qreal 型で指定します。

使用例

#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QRectF>
#include <QPen>
#include <QBrush>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QGraphicsScene scene;
  QGraphicsView view(&scene);

  // 矩形を描画
  QRectF rect(10, 10, 100, 50);
  QPen pen(Qt::red);
  QBrush brush(Qt::yellow);
  QGraphicsRectItem *rectItem = scene.addRect(rect, pen, brush);

  // 別の矩形を描画
  scene.addRect(150, 50, 80, 80, QPen(Qt::blue), QBrush(Qt::green));

  view.show();
  return app.exec();
}

この例では、QGraphicsScene 上に2つの矩形を描画しています。1つ目は赤色の輪郭線と黄色の塗りつぶしを持ち、2つ目は青色の輪郭線と緑色の塗りつぶしを持ちます。

描画された矩形はQGraphicsRectItemとしてシーンに追加されそのポインタが返ります。
QPen と QBrush を使って、矩形のスタイルを細かく制御できます。
QGraphicsScene::addRect() は、グラフィカルな矩形をシーンに追加するための便利な関数です。

矩形が表示されない、または期待通りに表示されない

トラブルシューティング
- 矩形の座標とサイズがシーンの範囲内にあることを確認します。
- ペンとブラシのスタイル（色、太さ、塗りつぶしパターンなど）が意図したとおりに設定されているか確認します。
- QGraphicsView::setScene() を呼び出して、シーンがビューに正しく設定されていることを確認します。
- QGraphicsView::show() を呼び出して、ビューが表示されていることを確認します。
- シーンの変更後、必要に応じてQGraphicsView::update()を呼び出してビューを更新します。
- デバッガを使用して、addRect() の引数が正しい値を持っているか確認します。
原因
- 矩形の座標やサイズがシーンの範囲外にある。
- ペンやブラシのスタイルが適切に設定されていない（例：透明なペンやブラシ）。
- QGraphicsView にシーンが正しく設定されていない、またはビューが表示されていない。
- QGraphicsSceneにアイテムを追加した後、ビューを更新していない。

座標やサイズに関するエラー

トラブルシューティング
- 座標とサイズが正の値であることを確認します。
- 浮動小数点数の比較を行う場合は、誤差を考慮して許容範囲を設定します。
- qDebug() を使用して、座標とサイズの値を出力し、確認します。
原因
- QRectF オブジェクトまたは x, y, w, h の値が不正（例：負の値）。
- 浮動小数点数の精度による誤差。

ペンとブラシに関するエラー

トラブルシューティング
- QPen と QBrush オブジェクトが正しく初期化されていることを確認します。
- ペンとブラシの色が背景色と異なることを確認します。
- ペンやブラシのスタイルを再確認して設定しなおします。
原因
- QPen または QBrush オブジェクトが正しく初期化されていない。
- ペンまたはブラシの色が背景色と同じである。
- ペンやブラシのスタイルが意図しないものになっている。

QGraphicsRectItem の操作に関するエラー

トラブルシューティング
- addRect() の戻り値が nullptr でないことを確認します。
- QGraphicsRectItem のメソッドを呼び出す前に、オブジェクトが有効であることを確認します。
原因
- addRect() の戻り値である QGraphicsRectItem ポインタが nullptr である（まれですが、メモリ不足などの場合に発生する可能性があります）。
- QGraphicsRectItem のメソッドを呼び出す際に、オブジェクトが有効でない。

シーンの更新に関するエラー

トラブルシューティング
- QGraphicsView::update() または QGraphicsScene::update() を呼び出して、ビューを更新します。
- シーンの更新頻度を適切に調整し、不要な更新を避けます。
- QGraphicsView::viewportUpdateMode を調整して、更新モードを最適化します。
原因
- シーンにアイテムを追加した後、ビューが更新されないため、変更が表示されない。
- シーンの更新が頻繁に行われ、パフォーマンスが低下する。

Qt のドキュメントやオンラインフォーラムを参照して、同様の問題に対する解決策を探します。
Qt Creator のデバッガを使用して、コードをステップ実行し、変数の値やプログラムの動作を監視します。
qDebug() を使用して、変数の値や関数の戻り値を出力し、問題の箇所を特定します。

例1：基本的な矩形の描画

#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QRectF>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  // シーンを作成
  QGraphicsScene scene;

  // ビューを作成し、シーンを設定
  QGraphicsView view(&scene);
  view.show();

  // 矩形を描画
  QRectF rect(50, 50, 100, 80); // x, y, width, height
  scene.addRect(rect);

  return app.exec();
}

説明

QApplication、QGraphicsScene、QGraphicsView、QRectF をインクルードします。
QGraphicsScene と QGraphicsView のインスタンスを作成します。
QGraphicsView::show() を呼び出して、ビューを表示します。
QRectF オブジェクトを作成し、矩形の座標とサイズを設定します。
scene.addRect(rect) を呼び出して、シーンに矩形を追加します。
app.exec() でイベントループを開始し、アプリケーションを実行します。

例2：ペンとブラシを使用したスタイルの変更

#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QRectF>
#include <QPen>
#include <QBrush>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QGraphicsScene scene;
  QGraphicsView view(&scene);
  view.show();

  QRectF rect(50, 50, 100, 80);

  // ペンとブラシを作成し、スタイルを設定
  QPen pen(Qt::red, 3); // 赤色、太さ3のペン
  QBrush brush(Qt::yellow); // 黄色のブラシ

  // スタイルを指定して矩形を描画
  scene.addRect(rect, pen, brush);

  return app.exec();
}

説明

QPen と QBrush をインクルードします。
QPen と QBrush のインスタンスを作成し、それぞれのスタイル（色、太さ、塗りつぶしパターンなど）を設定します。
scene.addRect(rect, pen, brush) を呼び出して、スタイルを指定して矩形を描画します。

例3：複数の矩形を描画し、それぞれ異なるスタイルを設定

#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QRectF>
#include <QPen>
#include <QBrush>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QGraphicsScene scene;
  QGraphicsView view(&scene);
  view.show();

  // 最初の矩形
  QRectF rect1(50, 50, 100, 80);
  QPen pen1(Qt::blue, 2);
  QBrush brush1(Qt::cyan);
  scene.addRect(rect1, pen1, brush1);

  // 2番目の矩形
  QRectF rect2(200, 100, 60, 120);
  QPen pen2(Qt::green, 4, Qt::DashLine); // 緑色、太さ4、破線
  QBrush brush2(Qt::NoBrush); // 塗りつぶしなし
  scene.addRect(rect2, pen2, brush2);

  return app.exec();
}

説明

複数の QRectF、QPen、QBrush オブジェクトを作成し、それぞれ異なるスタイルを設定します。
scene.addRect() を複数回呼び出して、それぞれの矩形を描画します。

例4：描画された矩形へのアクセスと操作

#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QRectF>
#include <QPen>
#include <QBrush>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QGraphicsScene scene;
  QGraphicsView view(&scene);
  view.show();

  QRectF rect(50, 50, 100, 80);
  QPen pen(Qt::red, 3);
  QBrush brush(Qt::yellow);

  // 描画された矩形へのポインタを取得
  QGraphicsRectItem *rectItem = scene.addRect(rect, pen, brush);

  // 矩形の位置を移動
  rectItem->setPos(200, 150);

  // 矩形のサイズを変更
  rectItem->setScale(1.5);

  return app.exec();
}

scene.addRect() の戻り値である QGraphicsRectItem ポインタを取得します。
QGraphicsRectItem のメソッド (setPos(), setScale() など) を使用して、描画された矩形を操作します。

QGraphicsPathItem を使用して矩形を描画する

QGraphicsPathItem は、任意のパスを描画できるアイテムです。矩形を描画するためにも使用できます。

#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QPainterPath>
#include <QPen>
#include <QBrush>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QGraphicsScene scene;
  QGraphicsView view(&scene);
  view.show();

  QPainterPath path;
  path.addRect(50, 50, 100, 80); // 矩形パスを作成

  QPen pen(Qt::blue, 2);
  QBrush brush(Qt::cyan);

  QGraphicsPathItem *pathItem = scene.addPath(path, pen, brush);

  return app.exec();
}

利点

QPainterPath を再利用して、複数のアイテムを描画できます。
より複雑な形状（例えば、角が丸い矩形）を描画できます。

QGraphicsPolygonItem を使用して矩形を描画する

QGraphicsPolygonItem は、多角形を描画できるアイテムです。矩形は4つの頂点を持つ多角形として表現できます。

#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QPolygonF>
#include <QPen>
#include <QBrush>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QGraphicsScene scene;
  QGraphicsView view(&scene);
  view.show();

  QPolygonF polygon;
  polygon << QPointF(50, 50) << QPointF(150, 50) << QPointF(150, 130) << QPointF(50, 130); // 矩形の頂点を指定

  QPen pen(Qt::green, 3);
  QBrush brush(Qt::yellow);

  QGraphicsPolygonItem *polygonItem = scene.addPolygon(polygon, pen, brush);

  return app.exec();
}

利点

頂点の座標を直接操作できます。
より複雑な多角形を描画できます。

カスタム QGraphicsItem を作成して矩形を描画する

QGraphicsItem を継承して、独自の描画ロジックを実装することで、完全にカスタマイズされた矩形を描画できます。

#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QGraphicsItem>
#include <QPainter>
#include <QRectF>

class MyRectItem : public QGraphicsItem {
public:
  QRectF boundingRect() const override {
    return QRectF(0, 0, 100, 80);
  }

  void paint(QPainter *painter, const QStyleOptionGraphicsItem *option, QWidget *widget) override {
    painter->setPen(QPen(Qt::red, 3));
    painter->setBrush(QBrush(Qt::yellow));
    painter->drawRect(boundingRect());
  }
};

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);

  QGraphicsScene scene;
  QGraphicsView view(&scene);
  view.show();

  MyRectItem *myRect = new MyRectItem();
  myRect->setPos(50, 50);
  scene.addItem(myRect);

  return app.exec();
}

利点

複雑なアニメーションやインタラクションを実装できます。
独自のプロパティや動作を追加できます。
完全にカスタマイズされた描画が可能です。

QPixmap (ピクセルマップ) を使用して矩形を描画する

QPixmap はピクセルデータを保持するクラスであり、QGraphicsPixmapItem を使ってQGraphicsSceneに表示できます。矩形をピクセルデータとして生成し、QPixmapに描画する方法です。

#include <QApplication>
#include <QGraphicsScene>
#include <QGraphicsView>
#include <QPixmap>
#include <QPainter>
#include <QGraphicsPixmapItem>

int main(int argc, char *argv[]) {
  QApplication app(argc, argv);
  QGraphicsScene scene;
  QGraphicsView view(&scene);
  view.show();
  QPixmap pixmap(100, 80);
  pixmap.fill(Qt::transparent);
  QPainter painter(&pixmap);
  painter.setPen(QPen(Qt::blue, 3));
  painter.setBrush(QBrush(Qt::cyan));
  painter.drawRect(pixmap.rect());
  painter.end();
  QGraphicsPixmapItem* pixmapItem = scene.addPixmap(pixmap);
  pixmapItem->setPos(50, 50);
  return app.exec();
}

画像データを直接操作できます。
複雑な描画や画像処理をピクセルレベルで行えます。

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