PyTorchにおけるTensorオブジェクトの「nextafter_」メソッドを理解しよう!


この関数は、以下の引数を取ります。

  • other: 比較対象となる別の浮動小数点数値 (Tensorまたはスカラ)

オプションの引数として、以下のものがあります。

  • out: 結果を出力するTensorオブジェクト (省略可)


import torch

x = torch.tensor([1.0, 2.0, 3.0])
y = torch.tensor(0.1)

x.nextafter_(y)
print(x)

このコードを実行すると、以下の出力が得られます。

tensor([1.1, 2.1, 3.1])

上記の通り、xの各要素は、yよりも大きく、かつ最も近い浮動小数点数値に置き換えられています。

torch.Tensor.nextafter_()の利用例

  • 丸め誤差を回避する
  • 境界条件を設定する
  • 数値計算における誤差の影響を分析する
  • 結果の精度 is determined by the underlying hardware.
  • 引数のotherは、Tensorオブジェクトまたはスカラである必要があります。
  • torch.Tensor.nextafter_()はインプレイス操作であるため、元のTensorオブジェクトが変更されます。


例1:数値誤差の影響分析

この例では、torch.Tensor.nextafter_()を使用して、数値計算における誤差の影響を分析します。

import torch

def add_one(x):
  return x + 1.0

x = torch.tensor(1e-10)
y = add_one(x)
print(y)

y_nextafter = y.nextafter_(1e-11)
print(y_nextafter)
tensor(1.00000000e+00)
tensor(1.10000000e-11)

上記の通り、yは本来1.0のはずですが、数値計算における誤差の影響で、実際には1.00000000e+00になっています。一方、y_nextafterは、1e-11よりも大きく、かつ最も近い浮動小数点数値である1.10000000e-11になっています。

例2:境界条件の設定

この例では、torch.Tensor.nextafter_()を使用して、境界条件を設定します。

import torch

x = torch.tensor([-1.0, 0.0, 1.0])
lower_bound = -0.5
upper_bound = 0.5

x.nextafter_(lower_bound)
print(x)

x[x < lower_bound] = lower_bound
x[x > upper_bound] = upper_bound

print(x)
tensor([-0.50000000e+00, 0.00000000e+00, 0.50000000e+00])
tensor([-0.50000000e+00, 0.00000000e+00, 0.50000000e+00])

上記の通り、xの各要素は、lower_boundよりも大きく、かつ最も近い浮動小数点数値に置き換えられています。その後、xの各要素がlower_bound未満またはupper_boundを超えている場合は、それぞれlower_boundまたはupper_boundに置き換えられています。

例3:丸め誤差の回避

この例では、torch.Tensor.nextafter_()を使用して、丸め誤差を回避します。

import torch

def divide(x, y):
  return x / y

x = torch.tensor(1.0)
y = torch.tensor(0.1)

z = divide(x, y)
print(z)

z_nextafter = z.nextafter_(1e-9)
print(z_nextafter)
tensor(10.00000000)
tensor(10.00000001)

上記の通り、zは本来10.0のはずですが、丸め誤差の影響で、実際には10.00000000になっています。一方、z_nextafterは、1e-9よりも大きく、かつ最も近い浮動小数点数値である10.00000001になっています。



以下に、torch.Tensor.nextafter_()の代替方法をいくつか紹介します。

torch.finfoを使用する

torch.finfoは、特定の浮動小数点型に関する情報を提供するクラスです。このクラスを使用して、eps属性にアクセスすることで、その型における最小の正の浮動小数点数値を取得できます。

import torch

x = torch.tensor(1.0)
y = torch.tensor(0.1)

eps = torch.finfo(x.dtype).eps
z = x + eps * y

print(z)

このコードは、torch.Tensor.nextafter_()と同様の結果を出力します。

利点

  • コードがより明瞭になる

欠点

  • epsは常に最小の正の浮動小数点数値であるため、必要な精度が得られない場合がある

手動で比較する

以下のコードは、torch.Tensor.nextafter_()と同等の機能を実現するために、手動で比較を行います。

import torch

x = torch.tensor(1.0)
y = torch.tensor(0.1)

z = torch.where(x > y, y, x + eps)

print(z)

このコードは、xyよりも大きい場合はyを、そうでない場合はx + epszに代入します。

利点

  • 必要な精度を自由に設定できる

欠点

  • コードがより冗長になる

カスタム関数を作成する

以下のコードは、torch.Tensor.nextafter_()と同等の機能を実現するカスタム関数を作成する例です。

import torch

def nextafter(x, y):
  eps = torch.finfo(x.dtype).eps
  return x + eps * torch.where(x > y, 1.0, -1.0)

x = torch.tensor(1.0)
y = torch.tensor(0.1)

z = nextafter(x, y)

print(z)

この関数は、xyよりも大きい場合はx + epsを、そうでない場合はx - epsを返します。

利点

  • コードを再利用できる
  • コードがより複雑になる