「threading.get_native_id()」のしくみと注意点

Pythonにおける「Concurrent Execution」は、複数のタスクを並行して実行する機能です。これは、プログラムのパフォーマンスを向上させ、ユーザーインターフェースの応答性を高めるために役立ちます。

「threading」モジュールは、「Concurrent Execution」を実現するための主要なツールの一つです。このモジュールには、スレッドの作成、開始、終了などの機能を提供するクラスと関数が含まれています。

「threading.get_native_id()」とは？

「threading.get_native_id()」関数は、現在のスレッドのネイティブIDを取得するために使用されます。ネイティブIDは、オペレーティングシステムによってスレッドに割り当てられる一意の識別子です。

この関数は、以下の目的で使用できます。

ネイティブ言語のAPIとやり取りする
スレッド間で同期を取る
特定のスレッドをデバッグまたはプロファイリングする

「threading.get_native_id()」の使用方法

「threading.get_native_id()」関数は、以下の構文で使用されます。

native_id = threading.get_native_id()

この関数は、現在のスレッドのネイティブIDを整数として返します。ネイティブIDが取得できない場合は、None を返します。

例

以下のコード例は、「threading.get_native_id()」関数を使用して、現在のスレッドのネイティブIDを出力する方法を示しています。

import threading

def thread_function():
  native_id = threading.get_native_id()
  print(f"Current thread native ID: {native_id}")

thread = threading.Thread(target=thread_function)
thread.start()
thread.join()

このコードを実行すると、以下の出力がコンソールに表示されます。

Current thread native ID: 1407192808

ネイティブIDは、デバッグやプロファイリングなどの限られた目的にのみ使用してください。スレッド間の同期を取るには、threading.Lock などの同期オブジェクトを使用してください。
ネイティブIDは、スレッドが終了した後も再利用される可能性があります。
ネイティブIDは、オペレーティングシステムによって割り当てられるため、プラットフォームによって異なる場合があります。

例 1：現在のスレッドのネイティブIDを出力する

import threading

def thread_function():
  native_id = threading.get_native_id()
  print(f"Current thread native ID: {native_id}")

thread = threading.Thread(target=thread_function)
thread.start()
thread.join()

Current thread native ID: 1407192808

例 2：2つのスレッドのネイティブIDを比較する

import threading

def thread_function(name):
  native_id = threading.get_native_id()
  print(f"Thread {name} native ID: {native_id}")

thread1 = threading.Thread(target=thread_function, args=("Thread 1",))
thread2 = threading.Thread(target=thread_function, args=("Thread 2",))

thread1.start()
thread2.start()

thread1.join()
thread2.join()

Thread 1 native ID: 1407192808
Thread 2 native ID: 1407192816

例 3：ネイティブIDを使用してスレッド間で同期を取る

import threading

event = threading.Event()

def thread_function():
  print("Thread started")
  event.wait()
  print("Thread released")

thread1 = threading.Thread(target=thread_function)
thread2 = threading.Thread(target=thread_function)

thread1.start()
thread2.start()

event.set()

thread1.join()
thread2.join()

Thread started
Thread started
Thread released
Thread released

この例では、event オブジェクトを使用して、2つのスレッド間の同期を取っています。thread1 と thread2 はどちらも、event.wait() を呼び出すまで実行をブロックされます。event.set() が呼び出されると、両方のスレッドが実行を続行します。

ネイティブIDは、デバッグやプロファイリングなどの限られた目的にのみ使用してください。スレッド間の同期を取るには、threading.Lock などの同期オブジェクトを使用する必要があります。
ネイティブIDは、スレッドが終了した後も再利用される可能性があります。
ネイティブIDは、オペレーティングシステムによって異なる場合があります。

これらの欠点により、「threading.get_native_id()」の代替方法が必要となります。代替方法としては、以下のものがあります。

スレッド識別子を使用する

Pythonのスレッドには、ident 属性があります。この属性は、スレッド識別子と呼ばれる一意の識別子を返します。スレッド識別子は、ネイティブIDよりも移植性が高く、再利用される可能性が低いという利点があります。

import threading

def thread_function():
  thread_id = threading.get_ident()
  print(f"Current thread ID: {thread_id}")

thread = threading.Thread(target=thread_function)
thread.start()
thread.join()

Current thread ID: 1407421840

プラットフォーム固有のAPIを使用する

一部のプラットフォームでは、スレッドのネイティブIDを取得するためのプラットフォーム固有のAPIを提供しています。例えば、Windowsでは、GetThreadId() 関数を使用できます。

#include <windows.h>

DWORD GetThreadNativeId() {
  return GetCurrentThreadId();
}

このコードは、現在のスレッドのネイティブIDを返します。

ライブラリを使用する

「psutil」などのライブラリは、スレッドに関する情報を取得するための便利な機能を提供しています。これらのライブラリを使用して、スレッドのネイティブIDを取得することもできます。

import psutil

def get_thread_native_id(thread_id):
  process = psutil.Process(thread_id.pid)
  for thread in process.info['threads']:
    if thread['id'] == thread_id.ident:
      return thread['native_id']

thread = threading.Thread(target=lambda: print("Current thread native ID:", get_thread_native_id(threading.get_ident())))
thread.start()
thread.join()

Current thread native ID: 42952