Pythonで並行処理を極める:subprocess.STARTUPINFOを超えた方法
Python で並行処理を実行する場合、subprocess
モジュールが一般的に使用されます。このモジュールには、Popen
クラスがあり、新しいプロセスでプログラムを実行するための機能を提供します。Popen
オブジェクトを作成するには、subprocess.STARTUPINFO
オブジェクトを渡すことができます。このオブジェクトは、新しいプロセスの開始方法を制御するためのオプションを設定するために使用されます。
subprocess.STARTUPINFO の役割
subprocess.STARTUPINFO
オブジェクトは、以下の設定を制御するために使用されます。
- 作成されるプロセスの属性
新しいプロセスの作成方法を制御する属性を設定します。例えば、dwFlags
属性を使用して、新しいプロセスをデバッガにアタッチしたり、新しいコンソール ウィンドウを作成したりすることができます。 - 標準入力、標準出力、標準エラーのハンドル
新しいプロセスの標準入出力ストリームを既存のファイルやパイプにリダイレクトします。 - プロセスのカレント ディレクトリ
新しいプロセスが開始されるときにカレント ディレクトリを設定します。
Concurrent Execution における subprocess.STARTUPINFO の活用
subprocess.STARTUPINFO
は、以下の方法で並行処理を容易にするために使用できます。
- プログラムの実行方法を制御する
複数のプログラムをデバッガでデバッグする必要がある場合、または新しいコンソール ウィンドウで実行する必要がある場合、STARTUPINFO
オブジェクトのdwFlags
属性を使用して、各プログラムの実行方法を制御することができます。 - プログラムの入出力を制御する
複数のプログラムの入出力をパイプを使用して接続する必要がある場合、STARTUPINFO
オブジェクトのstdin
,stdout
,stderr
属性を使用して、各プログラムの入出力ストリームを適切なパイプにリダイレクトすることができます。 - 異なるカレント ディレクトリでプログラムを実行する
複数のプログラムをそれぞれ異なるカレント ディレクトリで実行する必要がある場合、STARTUPINFO
オブジェクトのcwd
属性を使用して各プログラムのカレント ディレクトリを設定することができます。
例
以下のコード例では、subprocess.STARTUPINFO
を使用して、2 つのプログラムを並行して実行する方法を示します。最初のプログラムは calc.exe
であり、2 番目のプログラムは notepad.exe
です。calc.exe
の出力は notepad.exe
の入力にリダイレクトされます。
import subprocess
# Create STARTUPINFO objects for each process
startupinfo1 = subprocess.STARTUPINFO()
startupinfo2 = subprocess.STARTUPINFO()
# Set STDIN for notepad.exe to the STDOUT of calc.exe
startupinfo2.dwFlags |= subprocess.STARTUPINFO_USESTDIN
startupinfo2.hStdInput = startupinfo1.hStdOutput
# Create the processes
process1 = subprocess.Popen(["calc.exe"], stdout=subprocess.PIPE, startupinfo=startupinfo1)
process2 = subprocess.Popen(["notepad.exe"], stdin=process1.stdout, startupinfo=startupinfo2)
# Wait for both processes to finish
process1.wait()
process2.wait()
import subprocess
# Create STARTUPINFO objects for each process
startupinfo1 = subprocess.STARTUPINFO()
startupinfo2 = subprocess.STARTUPINFO()
# Set STDIN for notepad.exe to the STDOUT of calc.exe
startupinfo2.dwFlags |= subprocess.STARTUPINFO_USESTDIN
startupinfo2.hStdInput = startupinfo1.hStdOutput
# Create the processes
process1 = subprocess.Popen(["calc.exe"], stdout=subprocess.PIPE, startupinfo=startupinfo1)
process2 = subprocess.Popen(["notepad.exe"], stdin=process1.stdout, startupinfo=startupinfo2)
# Wait for both processes to finish
process1.wait()
process2.wait()
説明
このコードは以下の処理を実行します。
subprocess.STARTUPINFO
オブジェクトを 2 つ作成します。1 つはcalc.exe
用、もう 1 つはnotepad.exe
用です。notepad.exe
のSTDIN
をcalc.exe
のSTDOUT
に設定します。これにより、calc.exe
の出力はnotepad.exe
の入力として送信されます。calc.exe
とnotepad.exe
をそれぞれ新しいプロセスとして作成します。calc.exe
プロセスとnotepad.exe
プロセスの完了を待ちます。
このコード例は、subprocess.STARTUPINFO
を使用してプログラムの入出力を制御し、並行処理を実行する方法を示しています。
- 複数のプログラムを並行実行するには、このコード例をループ内で使用することができます。
- このコード例は、Windows でのみ動作します。
シェルコマンドを使用する
シェルコマンドを使用して新しいプロセスを作成すると、subprocess.STARTUPINFO
で提供される多くの機能と同じ機能にアクセスできます。さらに、シェルコマンドはより移植性が高く、Windows 以外のオペレーティング システムでも使用できます。
import subprocess
# シェルコマンドを使用して calc.exe を実行
subprocess.Popen(["calc.exe"], shell=True)
# シェルコマンドを使用して notepad.exe を実行し、calc.exe の出力を入力として渡す
subprocess.Popen(["notepad.exe"], stdin=subprocess.PIPE, input=calc_output, shell=True)
os.spawn系の関数を使用する
os.spawn
関数ファミリは、subprocess.Popen
と同様の機能を提供しますが、subprocess.STARTUPINFO
をサポートしていません。ただし、これらの関数はより軽量で、単純なユースケースに適している場合があります。
import os
# os.spawnを使用して calc.exe を実行
os.spawn(["calc.exe"])
# os.spawnを使用して notepad.exe を実行し、calc.exe の出力を入力として渡す
calc_output = os.popen("calc.exe").read()
os.popen(["notepad.exe"], stdin=subprocess.PIPE, input=calc_output)
カスタム C 関数を呼び出す
高度な制御が必要な場合は、CreateProcess
などの Win32 API 関数を直接呼び出すカスタム C 関数を作成することができます。これは複雑な方法ですが、subprocess.STARTUPINFO
で利用できないオプションを提供します。
サードパーティ製ライブラリを使用する
multiprocessing
や concurrent.futures
などのサードパーティ製ライブラリは、より高度な並行処理機能を提供します。これらのライブラリは、subprocess.STARTUPINFO
を必要とせず、より複雑なワークフローを処理することができます。
最適な代替方法の選択
使用する代替方法は、特定のニーズと要件によって異なります。
- 複雑なワークフローを処理する必要がある場合
サードパーティ製ライブラリを使用します。 - 高度な制御が必要な場合
カスタム C 関数を作成します。 - 軽量なソリューションが必要な場合
os.spawn
関数を使用します。 - シンプルで移植性の高いソリューションが必要な場合
シェルコマンドを使用します。
代替手段 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
シェルコマンド | 移植性が高い、シンプル | 詳細な制御が制限される |
os.spawn関数 | 軽量、シンプル | 詳細な制御が制限される、Windowsのみ |
カスタム C 関数 | 高度な制御が可能 | 複雑、習得に時間がかかる |
サードパーティ製ライブラリ | 複雑なワークフローに適している、高度な機能を提供 | セットアップと学習が必要 |