Pythonで並行処理を実現!「Concurrent Execution」と「subprocess.CREATE_NEW_PROCESS_GROUP」を徹底解説
「subprocess.CREATE_NEW_PROCESS_GROUP」は、subprocess
モジュールで提供されるフラグであり、新しいプロセスグループを作成することを指示します。このフラグを使用すると、作成されたプロセスは親プロセスから独立して動作し、シグナルを個別に処理することができます。
詳細
「subprocess.CREATE_NEW_PROCESS_GROUP」フラグは、主に以下の2つの用途で使用されます。
子プロセスをシグナルから保護する
親プロセスに送信されたシグナルは、通常、子プロセスにも伝達されます。しかし、「subprocess.CREATE_NEW_PROCESS_GROUP」フラグを使用すると、親プロセスに送信されたシグナルは子プロセスに伝達されません。これは、子プロセスを誤動作や予期せぬ終了から保護するのに役立ちます。
例
以下のコード例は、「subprocess.CREATE_NEW_PROCESS_GROUP」フラグを使用して、新しいプロセスグループを作成し、そのプロセスグループにシグナルを送信する方法を示しています。
import os
import subprocess
def main():
# 新しいプロセスグループを作成して、`ping`コマンドを実行します
process = subprocess.Popen(['ping', '-c', '4', 'google.com'], stdout=subprocess.PIPE, stderr=subprocess.PIPE, creationflags=subprocess.CREATE_NEW_PROCESS_GROUP)
# 子プロセスから標準出力と標準エラー出力を取得します
stdout, stderr = process.communicate()
# プロセスグループに SIGINT シグナルを送信します (Ctrl+C 相当)
os.killpg(process.pid, os.SIGINT)
# 子プロセスの終了ステータスを確認します
if process.returncode != 0:
print(f"Error: ping failed with exit code {process.returncode}")
else:
print("Ping completed successfully")
if __name__ == "__main__":
main()
このコード例では、ping
コマンドを実行する新しいプロセスグループが作成されます。その後、os.killpg()
関数を使用して、SIGINTシグナル (Ctrl+C 相当) がプロセスグループに送信されます。最後に、子プロセスの終了ステータスを確認します。
「subprocess.CREATE_NEW_PROCESS_GROUP」フラグを使用する場合は、以下の点に注意する必要があります。
- このフラグを使用すると、子プロセスを終了することが難しくなる場合があります。
- このフラグを使用すると、子プロセスをデバッグするのが難しくなる場合があります。
- プラットフォームによっては、このフラグがサポートされていない場合があります。
import os
import subprocess
def main():
# 3つの異なるコマンドを実行するリストを作成します
commands = [
['ping', '-c', '4', 'google.com'],
['ls', '/usr/local'],
['df', '-h'],
]
# 各コマンドを新しいプロセスグループで実行します
for command in commands:
process = subprocess.Popen(command, stdout=subprocess.PIPE, stderr=subprocess.PIPE, creationflags=subprocess.CREATE_NEW_PROCESS_GROUP)
# 子プロセスから標準出力と標準エラー出力を取得します
stdout, stderr = process.communicate()
# 出力を表示します
print(f"Command: {command}")
print(f"Stdout: {stdout.decode('utf-8')}")
print(f"Stderr: {stderr.decode('utf-8')}")
print("-" * 20)
if __name__ == "__main__":
main()
このコード例では、まず3つの異なるコマンドを実行するリストが作成されます。次に、各コマンドが新しいプロセスグループで実行されます。最後に、各プロセスの標準出力と標準エラー出力が表示されます。
このコード例を拡張して、以下のタスクを実行することができます。
- エラーが発生した場合は、ジョブを再実行する
- 各プロセスのリソース使用量を監視する
- 各プロセスの完了時間を追跡する
threadingモジュール
threading
モジュールは、スレッドを使用してタスクを並行して実行する方法を提供します。スレッドは、軽量のプロセスであり、ネイティブオペレーティングシステムスレッドと共用されます。
import threading
def worker(num):
print(f"Worker {num} is running")
# シミュレートされたタスクを実行
time.sleep(2)
print(f"Worker {num} is finished")
if __name__ == "__main__":
# 3つのワーカースレッドを作成して実行
for i in range(3):
thread = threading.Thread(target=worker, args=(i,))
thread.start()
# メインスレッドが終了するのを待つ
for thread in threading.enumerate():
if thread != threading.main_thread():
thread.join()
multiprocessingモジュール
multiprocessing
モジュールは、マルチプロセスを使用してタスクを並行して実行する方法を提供します。マルチプロセスは、スレッドよりも重いですが、それぞれが独立したメモリ空間を持つ個別のプロセスとして実行されます。
import multiprocessing
def worker(num):
print(f"Worker {num} is running")
# シミュレートされたタスクを実行
time.sleep(2)
print(f"Worker {num} is finished")
if __name__ == "__main__":
# 3つのワーカープロセスを作成して実行
pool = multiprocessing.Pool(processes=3)
results = pool.map(worker, range(3))
# メインプロセスがすべてのワーカープロセスが完了するのを待つ
pool.close()
pool.join()
非同期ライブラリ
asyncio
やtrio
などの非同期ライブラリは、イベントループを使用してタスクを並行して実行する方法を提供します。これらのライブラリは、ネットワーク I/O や他の非同期操作に適しています。
import asyncio
async def worker(num):
print(f"Worker {num} is running")
# シミュレートされた非同期タスクを実行
await asyncio.sleep(2)
print(f"Worker {num} is finished")
async def main():
# 3つのワーカースコープを作成して実行
workers = [worker(i) for i in range(3)]
await asyncio.gather(*workers)
if __name__ == "__main__":
asyncio.run(main())
使用する方法は、要件によって異なります。
- ネットワーク I/O または非同期操作
非同期ライブラリが適しています。 - CPU バウンド型タスク
multiprocessing
モジュールが適しています。 - シンプルで軽量なタスク
threading
モジュールが適しています。
「subprocess.CREATE_NEW_PROCESS_GROUP」フラグは、以下のいずれかの代替方法で置き換えることができます。
- 非同期ライブラリを使用して、ネットワーク I/O または非同期操作を並行して実行します。
- スレッドまたはプロセスを使用して、個別にコマンドを実行します。
どの方法を選択する場合でも、コードが読みやすく、デバッグしやすいことを確認することが重要です。
- [Python チュートリアル - マルチプロセッシング](https://docs.python.org/ja/3/tutorial/ multiprocessing.html)