Python スレッドの ID を取得してログ出力や同期に役立てる：`thread.get_ident()` 関数の活用法

thread.get_ident() の役割

この識別子は、スレッドを識別したり、スレッド間でデータを共有したりする際に役立ちます。
thread.get_ident() は、現在のスレッドの識別子を整数として返します。
各スレッドは、オペレーティングシステムによって割り当てられた固有の識別子を持ちます。

thread.get_ident() の使い方

import threading

def thread_function():
    thread_id = thread.get_ident()
    print("Thread ID:", thread_id)

thread1 = threading.Thread(target=thread_function)
thread1.start()
thread1.join()

このコードでは、thread_function 関数は thread.get_ident() を使用して、現在のスレッドの識別子をコンソールに出力します。

thread.get_ident() の戻り値は、実装によって異なる場合があります。そのため、移植性の高いコードを書く場合は、thread.get_ident() の代わりに threading.current_thread().ident を使用する方がよい場合があります。
thread.get_ident() は、現在のスレッドの識別子しか取得できません。他のスレッドの識別子を取得するには、そのスレッドオブジェクトにアクセスする必要があります。

例 1: スレッド ID をコンソールに出力する

import threading

def thread_function(name):
  thread_id = thread.get_ident()
  print(f"Thread {name} ID: {thread_id}")

# スレッドの作成と開始
thread1 = threading.Thread(target=thread_function, args=("Alice",))
thread2 = threading.Thread(target=thread_function, args=("Bob",))

thread1.start()
thread2.start()

# スレッドの完了を待つ
thread1.join()
thread2.join()

この例では、thread_function 関数は thread.get_ident() を使用して、現在のスレッドの ID をコンソールに出力します。各スレッドが開始されると、その ID がコンソールに表示されます。

例 2: スレッド ID を使用してログファイルを区別する

import threading
import logging

def thread_function(name, logfile):
  logger = logging.getLogger(logfile)
  thread_id = thread.get_ident()

  # ログメッセージにスレッド ID を追加
  logger.info(f"Thread {name} ID: {thread_id} - Starting")

  # スレッド固有の処理を実行
  # ...

  logger.info(f"Thread {name} ID: {thread_id} - Finishing")

# ログファイルの設定
logging.basicConfig(format="%(asctime)s:%(levelname)s:%(threadName)s:%(message)s",
                    level=logging.INFO)

# スレッドの作成と開始
thread1 = threading.Thread(target=thread_function, args=("Alice", "thread1.log"))
thread2 = threading.Thread(target=thread_function, args=("Bob", "thread2.log"))

thread1.start()
thread2.start()

# スレッドの完了を待つ
thread1.join()
thread2.join()

この例では、thread_function 関数は thread.get_ident() を使用して、ログメッセージにスレッド ID を追加します。これにより、ログファイルを分析するときに、どのスレッドがどのメッセージを生成したのかを簡単に識別できます。

import threading
import time

mutex = threading.Lock()

def thread_function():
  thread_id = thread.get_ident()

  # 共有リソースにロックを取得
  mutex.acquire()
  try:
    # 共有リソースにアクセス
    data = shared_resource
    print(f"Thread {thread_id} - Data: {data}")

    # データを更新
    time.sleep(1)
    data += 1
    shared_resource = data

  finally:
    # ロックを解放
    mutex.release()

# 共有リソースの初期化
shared_resource = 0

# スレッドの作成と開始
thread1 = threading.Thread(target=thread_function)
thread2 = threading.Thread(target=thread_function)

thread1.start()
thread2.start()

# スレッドの完了を待つ
thread1.join()
thread2.join()

# 共有リソースの最終値を表示
print(f"Shared resource: {shared_resource}")

この例では、thread_function 関数は thread.get_ident() を使用して、ログメッセージにスレッド ID を追加します。また、mutex ロックを使用して、複数のスレッドが同時に共有リソースにアクセスするのを防ぎます。これにより、データ競合を防ぎ、データの整合性を保つことができます。

threading.current_thread().ident

また、threading モジュールを使用していることを明示的に示すことができます。
これは thread.get_ident() と同じ機能を提供しますが、より明確で、コードの可読性が向上します。
Python 3.10 以降では、threading.current_thread().ident を使用することをお勧めします。

import threading

def thread_function():
  thread_id = threading.current_thread().ident
  print("Thread ID:", thread_id)

thread1 = threading.Thread(target=thread_function)
thread1.start()
thread1.join()

id(thread_object)

異なる Python 実装間でスレッド ID の形式が異なる場合があるためです。
これは thread.get_ident() と同じ値を返しますが、移植性の面で問題があります。
スレッドオブジェクトの ID を取得するには、id(thread_object) 関数を使用できます。

import threading

def thread_function():
  thread_id = id(threading.current_thread())
  print("Thread ID:", thread_id)

thread1 = threading.Thread(target=thread_function)
thread1.start()
thread1.join()

ただし、この方法は移植性が低いため、プラットフォームに依存しない方法を使用することをお勧めします。
例えば、Windows では GetThreadId() 関数を使用できます。
一部のプラットフォームでは、スレッドの識別子を取得するための独自 API を提供しています。

プラットフォーム固有の API は、最後の手段としてのみ使用してください。
移植性の面で問題がない場合は、id(thread_object) を使用することもできます。
Python 3.10 以降では、threading.current_thread().ident を使用するのが最良の方法です。

スレッド ID は、オペレーティングシステムによって再利用される可能性があることに注意してください。スレッドが終了した後も、同じ ID が別のスレッドに割り当てられる場合があります。
同期には、threading.Lock や threading.Semaphore などの同期オブジェクトを使用する必要があります。
スレッド ID は、デバッグやログ記録などの目的で使用されることが多いですが、スレッド間の同期メカニズムとして使用することは避けてください。