尖った確率密度関数を持つコーシー分布を生成:NumPyのrandom.Generator.standard_cauchy()


コーシー分布とは?

コーシー分布は、確率密度関数が次の式で表される確率分布です。

f(x) = 1 / (π * (1 + x^2))

この分布は、以下の特徴を持ちます。

  • 無分散: コーシー分布は分散を持たないため、標準偏差も定義されていません。
  • 厚い尾: 確率密度関数は、xが大きくなるにつれてゆっくりと減少しますが、0にはなりません。つまり、極端に大きな値が出現する可能性が他の分布よりも高くなります。
  • 尖った形状: 確率密度関数は、x=0付近で非常に尖っており、裾が広く広がっています。

random.Generator.standard_cauchy()関数の役割

random.Generator.standard_cauchy()関数は、上記のコーシー分布に従う乱数を生成します。引数として、生成する乱数の個数を指定するsizeオプションを受け取ることができます。sizeオプションが省略された場合は、1つの乱数を生成します。

生成された乱数は、NumPy配列として返されます。

import numpy as np

# 乱数生成器を初期化
rng = np.random.default_rng()

# コーシー分布に従う乱数を10個生成
cauchy_samples = rng.standard_cauchy(size=10)

# 乱数を表示
print(cauchy_samples)

このコードを実行すると、以下のような出力結果が表示されます。

[-0.79903121  0.88001044  0.47020497 -1.17470662 -0.20798313
 1.00490054  0.35010519 -0.55839745  0.72937087 -0.66231787]

random.Generator.standard_cauchy()関数は、NumPyライブラリにおいてコーシー分布に従う乱数を生成するための関数です。この関数は、確率密度関数が尖った形状を持ち、厚い尾を持つコーシー分布の特徴を反映した乱数を生成します。



import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt

# 乱数生成器を初期化
rng = np.random.default_rng()

# コーシー分布に従う乱数を1000個生成
cauchy_samples = rng.standard_cauchy(size=1000)

# ヒストグラムを作成
plt.hist(cauchy_samples, bins=100)
plt.xlabel("x")
plt.ylabel("度数")
plt.title("コーシー分布のヒストグラム")
plt.show()
  • コーシー分布を用いたシミュレーションを行うコード
  • コーシー分布と他の分布を比較するコード
  • 特定のパラメータを持つコーシー分布に従う乱数を生成するコード


逆変換法によるコーシー分布乱数の生成

コーシー分布に従う乱数は、逆変換法を用いて生成することができます。この方法は、以下の手順で行います。

  1. 標準一様乱数を生成します。
  2. 生成された乱数をf(x) = 1 / (π * (1 + x^2))の逆関数に適用します。

この方法では、コーシー分布の確率密度関数の逆関数を求める必要があるため、実装がやや複雑になります。

ガンマ分布と正規分布を用いたコーシー分布乱数の生成

コーシー分布は、ガンマ分布と正規分布を組み合わせることで生成することができます。この方法は、以下の手順で行います。

  1. ガンマ分布に従う乱数を2つ生成します。
  2. 1つ目の乱数を2乗します。
  3. 2つ目の乱数を平方根します。
  4. 2乗した乱数を平方根した乱数で割ります。

この方法は、比較的シンプルな実装でコーシー分布乱数を生成することができます。

ライブラリの利用

NumPy以外にも、コーシー分布乱数を生成するためのライブラリがいくつか存在します。例えば、SciPyライブラリのstats.cauchy関数や、TensorFlowライブラリのrandom.cauchy関数などが利用できます。

これらのライブラリは、NumPyよりも高機能な場合があり、状況によってはより使いやすい場合があります。

どの代替方法が適切かは、状況によって異なります。以下のような点を考慮して選択してください。

  • パフォーマンス: ライブラリの利用は、NumPyで実装するよりも高速な場合がありますが、ライブラリのインストールが必要となります。
  • 精度: 逆変換法による方法は最も精度が高いですが、他の方法は精度が劣る場合があります。
  • 実装の容易さ: 逆変換法による方法は実装がやや複雑ですが、他の方法は比較的簡単です。

random.Generator.standard_cauchy()関数には、いくつかの代替方法が存在します。適切な代替方法は、状況によって異なるため、上記の点を考慮して選択してください。