「mysql.global_priv」テーブルでデータベースセキュリティを強化:サンプルコード付き解説
MariaDB 10.4では、ユーザー認証とグローバル特権を管理するテーブルが「mysql.user」から「mysql.global_priv」に変更されました。この変更により、ユーザー情報と特権の管理がより効率化され、セキュリティが強化されています。
「mysql.global_priv」テーブルの構成
「mysql.global_priv」テーブルは、以下の11個の列で構成されています。
- Create_access: ユーザーが新しいデータベースを作成できるかどうかを示すフラグ
- Delete_access: ユーザーがすべてのデータベースを削除できるかどうかを示すフラグ
- Update_access: ユーザーがすべてのデータベースを更新できるかどうかを示すフラグ
- Insert_access: ユーザーがすべてのデータベースに挿入できるかどうかを示すフラグ
- Read_access: ユーザーがすべてのデータベースを読み取れるかどうかを示すフラグ
- Password_hash: パスワードのハッシュ化された値
- Salt: パスワードハッシュ化に使用されるランダムな値
- Plugin: 認証プラグインの名前
- Password: ユーザーパスワード
- Host: ユーザーが接続できるホスト名
- User: ユーザー名
「mysql.global_priv」テーブルの利点
「mysql.global_priv」テーブルには、以下の利点があります。
- 管理性の向上: ユーザー情報と特権を一元管理することで、管理が容易になりました。
- 柔軟性の向上: ユーザーごとに異なる特権を付与することができ、きめ細かなアクセス制御が可能になりました。
- セキュリティ強化: パスワードハッシュ化方式が強化され、ブルートフォース攻撃などの攻撃に対する耐性が向上しています。
「mysql.global_priv」テーブルの操作方法
「mysql.global_priv」テーブルは、以下のSQLステートメントを使用して操作できます。
- DELETE: ユーザーを削除する
- UPDATE: ユーザー情報や特権を変更する
- INSERT: 新しいユーザーを追加する
- SELECT: ユーザー情報と特権を取得する
例
以下の例は、「mysql.global_priv」テーブルを使用して、新しいユーザーを追加する方法を示します。
INSERT INTO mysql.global_priv (User, Host, Password, Plugin)
VALUES ('new_user', '%', PASSWORD('password'), 'mysql_native_password');
この例では、new_user
という名前の新しいユーザーが作成され、すべてのホストからの接続が許可され、パスワードはpassword
に設定されます。
注意事項
「mysql.global_priv」テーブルを操作する際は、以下の点に注意する必要があります。
- 特権は、必要最小限のものに付与する必要があります。
- パスワードは、十分な強度を持つものを使用する必要があります。
- ユーザー名とホスト名は、半角英数字で指定する必要があります。
INSERT INTO mysql.global_priv (User, Host, Password, Plugin)
VALUES ('new_user', '%', PASSWORD('password'), 'mysql_native_password');
例2:ユーザーのパスワードを変更する
UPDATE mysql.global_priv
SET Password = PASSWORD('new_password')
WHERE User = 'new_user';
この例では、new_user
ユーザーのパスワードがnew_password
に変更されます。
例3:ユーザーの特権を付与する
UPDATE mysql.global_priv
SET Insert_access = 1, Update_access = 1
WHERE User = 'new_user';
この例では、new_user
ユーザーにすべてのデータベースへの挿入と更新の特権が付与されます。
例4:ユーザーを削除する
DELETE FROM mysql.global_priv
WHERE User = 'new_user';
この例では、new_user
ユーザーが削除されます。
注意事項
これらの例を実行する前に、MariaDBサーバーが起動していることを確認してください。また、rootユーザーとして実行する必要があります。
上記はあくまでも例であり、具体的な状況に合わせて変更する必要があります。
「mysql.global_priv」テーブルの制限
- パフォーマンスへの影響: 大規模なデータベースでは、テーブル操作がパフォーマンスに影響を与える可能性がある
- 柔軟性の不足: ユーザーごとに異なる特権を付与する場合、複雑なクエリが必要になる
- 複雑性: テーブル構造が複雑で、理解や管理が難しい
代替手段
「mysql.global_priv」テーブルの代替手段として、以下の方法が考えられます。
ロールベースアクセス制御 (RBAC)
RBACは、ユーザーにロールを割り当て、ロールに特権を付与することで、アクセス制御を行う方法です。RBACを使用すると、「mysql.global_priv」テーブルよりも柔軟かつ効率的なアクセス制御が可能になります。
RBACの利点
- 大規模なデータベースでもパフォーマンスに影響を与えにくい
- ユーザーごとに異なる特権を付与しやすい
- 複雑なアクセス制御ルールを簡単に実装できる
RBACの導入方法
RBACを導入するには、MariaDB 10.4の新しい機能である「roles_global_priv」テーブルを使用する必要があります。このテーブルには、ロール、ユーザー、および特権に関する情報が格納されます。
例
CREATE USER 'new_user'@'%';
GRANT USAGE ON * TO 'new_user'@'%';
CREATE ROLE 'dba';
GRANT ALL PRIVILEGES ON * TO 'dba';
GRANT 'dba' TO 'new_user'@'%';
この例では、new_user
という新しいユーザーが作成され、すべてのホストからの接続が許可されます。次に、dba
というロールが作成され、すべてのデータベースに対するすべての特権が付与されます。最後に、new_user
ユーザーにdba
ロールが付与されます。
サードパーティ製のツール
RBAC以外にも、ユーザー認証とアクセス制御を管理するためのサードパーティ製のツールがいくつかあります。これらのツールは、より高度な機能を提供したり、特定のニーズに合わせたカスタマイズが可能だったりする場合があります。
代表的なツール
- OpenLDAP: オープンソースの軽量ディレクトリアクセスプロトコル
- Active Directory: Windows環境で使用される認証サービス
- MySQL Enterprise Monitor: データベース監理、パフォーマンス分析、セキュリティ管理などの機能を提供するツール
- 導入と管理の容易さ: ツールが導入と管理が容易であることを確認する
- サポート: ベンダーによるサポートが提供されていることを確認する
- コスト: 商用ツールの場合は、ライセンス費用がかかります
- 機能要件: ツールが必要なすべての機能を備えていることを確認する