今すぐ使える!MariaDBのmysql.eventテーブルでデータベースを自動化するサンプルコード
MariaDBのmysql.event
テーブルは、データベース内でスケジュールされたイベントに関する情報を格納する重要なシステムテーブルです。イベントとは、特定の時間に自動的に実行されるSQLステートメントの集合です。データベースのバックアップ、データのクリーンアップ、統計情報の更新など、様々なタスクを自動化するために利用できます。
テーブル構造
mysql.event
テーブルは次のカラムで構成されています。
- COMMENT: イベントに関するコメント
- SQL_MODE: イベントの実行時に使用するSQLモード
- CREATED: イベント作成日時
- NEXT_EXECUTION: イベントの次回の実行予定日時
- LAST_EXECUTION: イベントの前回の実行日時
- STATUS: イベントの状態(例:ENABLED、DISABLED、SLAVE)
- END_EVENT: イベントの終了日時
- START_EVENT: イベントの開始日時
- EVENT_TYPE: イベントの種類(例:RECURRING、ONCE)
- EVENT_BODY: イベントによって実行されるSQLステートメント
- TIME_ZONE: イベントの実行に使用するタイムゾーン
- DEFINER: イベントを作成したユーザー
- EVENT_NAME: イベントの一意の名前
- EVENT_SCHEMA: イベントが属するスキーマの名前
- EVENT_CATALOG: イベントが属するカタログの名前
プログラミングでの活用
mysql.event
テーブルは、以下の操作を通じてプログラムから操作できます。
- イベントの削除:
DROP EVENT
ステートメントを使用して、既存のイベントを削除できます。 - イベントの変更:
ALTER EVENT
ステートメントを使用して、既存のイベントを変更できます。 - イベントの表示:
SHOW EVENTS
ステートメントを使用して、既存のイベントを表示できます。 - イベントの作成:
CREATE EVENT
ステートメントを使用して、新しいイベントを作成できます。
例
以下の例は、myevent
という名前のイベントを作成し、1時間ごとに現在の時刻をmydatabase
.mytable
テーブルのmytimestamp
カラムに挿入するものです。
CREATE EVENT myevent
ON SCHEDULE EVERY 1 HOUR
DO
INSERT INTO mydatabase.mytable (mytimestamp)
VALUES (CURRENT_TIMESTAMP);
- イベントの実行は、イベントスケジューラが有効になっている必要があります。
- イベントを作成するには、
CREATE EVENT
権限が必要です。 mysql.event
テーブルはシステムテーブルであり、直接変更することは避けてください。
CREATE EVENT every_minute_log
ON SCHEDULE EVERY 1 MINUTE
DO
BEGIN
INSERT INTO log_table (event_time)
VALUES (CURRENT_TIMESTAMP);
SET @message = CONCAT('Event executed at: ', CURRENT_TIMESTAMP);
CALL log_message(@message);
END;
説明
このイベントは、1分ごとに実行され、以下の処理を行います。
log_table
テーブルに現在の時刻を挿入します。log_message
プロシージャを呼び出し、イベント実行時刻をログメッセージとして記録します。
例2:毎週月曜日の午前9時にバックアップを実行するイベント
CREATE EVENT weekly_backup
ON SCHEDULE
START INTERVAL 1 WEEK DAY 1 AT '09:00:00'
DO
BEGIN
BACKUP DATABASE mydatabase TO '/path/to/backup/file.sql';
SET @message = CONCAT('Backup completed at: ', CURRENT_TIMESTAMP);
CALL log_message(@message);
END;
説明
このイベントは、毎週月曜日の午前9時に実行され、以下の処理を行います。
mydbase
データベースを/path/to/backup/file.sql
ファイルにバックアップします。log_message
プロシージャを呼び出し、バックアップ完了時刻をログメッセージとして記録します。
例3:特定の条件が満たされた場合にメールを送信するイベント
CREATE EVENT send_alert_on_error
ON SCHEDULE
AFTER INSERT
ON TABLE mytable
DO
BEGIN
IF (NEW.error_flag = 1) THEN
SET @message = CONCAT('Error occurred in table ', TABLE_NAME, ': ', NEW.error_message);
CALL send_email(@message, '[email protected]');
END IF;
END;
説明
このイベントは、mytable
テーブルに新しいレコードが挿入されるたびに実行され、以下の処理を行います。
- 新しいレコードの
error_flag
カラムが1であるかどうかをチェックします。 error_flag
が1の場合、send_email
プロシージャを呼び出し、エラーメッセージを[email protected]
に送信します。
- 複雑なイベントを作成する場合は、事前に十分なテストを行ってください。
- イベントを作成する前に、
mysql.event
テーブルの構造と各カラムの意味を理解していることを確認してください。
MariaDB 10.2以降では、mysql.event
テーブルの代わりに、イベントスケジュール機能が導入されました。この機能は、従来のmysql.event
テーブルよりも、より柔軟で使いやすく、安全な方法でスケジュールされたイベントを作成および管理することができます。
主な違い
機能 | mysql.event テーブル | イベントスケジュール |
---|---|---|
格納場所 | システムテーブル | スキーマオブジェクト |
作成方法 | CREATE EVENT ステートメント | CREATE EVENT ステートメント |
表示方法 | SHOW EVENTS ステートメント | SHOW EVENTS ステートメント |
変更方法 | ALTER EVENT ステートメント | ALTER EVENT ステートメント |
削除方法 | DROP EVENT ステートメント | DROP EVENT ステートメント |
メリット | シンプル | 柔軟性、使いやすさ、安全性 |
デメリット | 複雑 | 新しい機能 |
イベントスケジュールの利点
- 安全性
従来のmysql.event
テーブルよりも、セキュリティが強化されています。 - 使いやすさ
GUIツールを使用してイベントを簡単に作成、編集、削除できます。 - 柔軟性
イベントの開始日時、終了日時、間隔をより細かく設定できます。
移行方法
既存のmysql.event
テーブルをイベントスケジュールに移行するには、以下の手順に従います。
- 既存のイベントをすべて
SHOW EVENTS
ステートメントを使用して表示します。 - 各イベントのSQLステートメントと設定を書き留めます。
- 新しいイベントをイベントスケジュールを使用して作成します。
- 既存のイベントを削除します。
MariaDB 10.2以降では、イベントスケジュール機能がmysql.event
テーブルの推奨される代替手段となります。従来のmysql.event
テーブルよりも、多くの利点があるため、可能な限り新しい機能に移行することをお勧めします。
- 既存の
mysql.event
テーブルを引き続き使用することはできますが、新しい機能の開発は停止されています。 - イベントスケジュールは、従来の
mysql.event
テーブルと互換性があります。