JavaScriptのObject.definePropertyでプロパティのゲッターとセッターを理解する


ゲッターとセッターの基礎

JavaScript オブジェクトのプロパティには、値を取得したり設定したりする際に実行される特別な関数、いわゆる「ゲッター」と「セッター」を関連付けることができます。これらは、プロパティのアクセスを制御し、追加のロジックや検証を実行するのに役立ちます。

ゲッターとセッターは、Object.defineProperty() メソッドを使用してプロパティに定義されます。このメソッドには、プロパティ名、値、およびオプションのプロパティ記述子オブジェクトを渡す必要があります。このオブジェクトには、getset プロパティがあり、それぞれゲッターとセッター関数を指定します。

const obj = {};

Object.defineProperty(obj, "name", {
  get: function() {
    console.log("Getting name");
    return this._name;
  },
  set: function(newName) {
    console.log("Setting name to:", newName);
    this._name = newName;
  }
});

obj.name = "John Doe"; // セッターが呼び出され、"Setting name to: John Doe" がコンソールに出力されます
console.log(obj.name); // ゲッターが呼び出され、"Getting name" がコンソールに出力され、"John Doe" が返されます

Object.__lookupSetter__ メソッドは、プロパティに定義された実際のセッター関数への直接アクセスを提供します。これは、ゲッター/セッターの定義を変更したり、プロパティのアクセスを監査したりするような高度な操作が必要な場合に役立ちます。

このメソッドは、オブジェクト名とプロパティ名の文字列を引数として取り、そのプロパティに関連付けられているセッター関数 (存在する場合) を返します。セッター関数が存在しない場合は undefined を返します。

const obj = {};
Object.defineProperty(obj, "name", { set: function(newName) { this._name = newName; } });

const setter = obj.__lookupSetter__("name");
console.log(setter); // obj.name のセッター関数が返されます
  • セキュリティ上の理由から、Object.__lookupSetter__Object.__lookupGetter__ メソッドは ECMAScript 6 で非推奨となり、将来のバージョンで削除される可能性があります。
  • このメソッドは、高度なユースケース向けに設計されており、通常のプロパティアクセスには推奨されていません。
  • Object.__lookupSetter__ は、プロトタイプチェーン全体を遡って検索します。つまり、オブジェクト自体にセッターが定義されていなくても、そのプロトタイプのオブジェクトで定義されている場合は、そのセッターが返されます。


  • セキュリティ上の問題: 悪意のあるコードが、このメソッドを使用してオブジェクトのプロパティを乗っ取る可能性があります。
  • 予期せぬ動作: プロトタイプチェーン全体を遡って検索するため、予期しないセッター関数が呼び出される可能性があります。
  • 複雑さを増す: このメソッドを使用すると、コードが読みづらくなり、保守が困難になります。

これらの理由から、Object.__lookupSetter__ は、通常のプロパティアクセスではなく、高度な操作が必要な場合にのみ使用することを強くお勧めします。

以下に、Object.__lookupSetter__ を使用する際の注意点の例を示します。

例 1: プロトタイプチェーンの悪用

次のコードは、Object.__lookupSetter__ を使用してプロトタイプチェーンを操作し、オブジェクトのプロパティの値を書き換えます。これは、悪意のあるコードがオブジェクトの状態を乗っ取るために使用される可能性があります。

function Person(name) {
  this.name = name;
}

Person.prototype.__defineSetter__("name", function(newName) {
  console.log("Person.prototype のセッターが呼び出されました。");
  this._name = newName;
});

const person = new Person("John Doe");

person.__lookupSetter__("name")(function(newName) {
  console.log("カスタムセッターが呼び出されました。");
  this._name = newName.toUpperCase();
});

person.name = "Jane Doe"; // "Person.prototype のセッターが呼び出されました。" がコンソールに出力されます
console.log(person.name); // "JANE DOE" がコンソールに出力されます

例 2: 予期せぬ動作

次のコードは、Object.__lookupSetter__ を使用して、オブジェクトのプロパティに予期せぬセッター関数を設定します。これは、コードの動作が予期せず、バグが発生する可能性があります。

const obj = {};

obj.__defineSetter__("prop", function(newValue) {
  console.log("予期せぬセッターが呼び出されました。");
  this.prop = newValue * 2;
});

obj.prop = 10; // "予期せぬセッターが呼び出されました。" がコンソールに出力され、obj.prop は 20 になります
console.log(obj.prop); // 20 がコンソールに出力されます

これらの例は、Object.__lookupSetter__ を使用する際の潜在的な危険性を示しています。このメソッドを使用する場合は、そのリスクを認識し、適切な保護手段を講じてください。

多くの場合、Object.__lookupSetter__ を使用する代わりに、以下の代替手段を検討することができます。

  • デコレータ: デコレータを使用して、プロパティのアクセッサを動的に追加または変更します。これは、より高度なユースケースに役立ちます。
  • アクセサープロパティ: アクセサープロパティを使用して、プロパティの読み取りと書き込みを制御します。これは、ゲッターとセッターをより簡潔に記述する方法です。
  • ゲッターとセッターの定義: Object.defineProperty() メソッドを使用して、プロパティにゲッターとセッターを直接定義します。これにより、プロパティのアクセスを完全に制御できます。

これらの代替手段は、Object.__lookupSetter__ よりも安全で、読みやすく、保守しやすいコードを作成するのに役立ちます。



代替手段として、以下の方法が考えられます。

ゲッターとセッターを定義する

最も一般的で推奨される方法は、Object.defineProperty() メソッドを使用して、プロパティにゲッターとセッターを直接定義することです。これにより、プロパティのアクセスを完全に制御できます。

const obj = {};

Object.defineProperty(obj, "name", {
  get: function() {
    console.log("Getting name");
    return this._name;
  },
  set: function(newName) {
    console.log("Setting name to:", newName);
    this._name = newName;
  }
});

obj.name = "John Doe"; // セッターが呼び出され、"Setting name to: John Doe" がコンソールに出力されます
console.log(obj.name); // ゲッターが呼び出され、"Getting name" がコンソールに出力され、"John Doe" が返されます

アクセサープロパティを使用する

アクセサープロパティは、ゲッターとセッターをより簡潔に記述する方法です。

const obj = {
  get name() {
    console.log("Getting name");
    return this._name;
  },
  set name(newName) {
    console.log("Setting name to:", newName);
    this._name = newName;
  }
};

obj.name = "Jane Doe"; // セッターが呼び出され、"Setting name to: Jane Doe" がコンソールに出力されます
console.log(obj.name); // ゲッターが呼び出され、"Getting name" がコンソールに出力され、"Jane Doe" が返されます

デコレータを使用する

デコレータは、プロパティのアクセッサを動的に追加または変更するのに役立ちます。これは、より高度なユースケースに役立ちます。

詳細は、以下のドキュメントを参照してください。

  • セキュリティ上の理由から、Object.__lookupSetter__Object.__lookupGetter__ メソッドは ECMAScript 6 で非推奨となり、将来のバージョンで削除される可能性があります。
  • このメソッドは、プロトタイプチェーン全体を遡って検索するため、予期しないセッター関数が呼び出される可能性があります。
  • Object.__lookupSetter__ は、高度なユースケース向けに設計されており、通常のプロパティアクセスには推奨されていません。