OpenTypeフォントの言語システムを自在に操る:font-language-overrideの活用術


font-language-override は、CSSで使用されるプロパティであり、特定の言語におけるフォントの表示形式を制御します。これは、OpenTypeフォントにのみ適用され、Webフォントを介して配信される場合に特に役立ちます。

目的

このプロパティの主な目的は以下の通りです。

  • OpenTypeフォントの言語システムをオーバーライドする
    • OpenTypeフォントは、様々な言語に対応するために言語システムを搭載しています。しかし、場合によっては、このシステムが誤った字形を選択してしまうことがあります。font-language-overrideプロパティを使用することで、このシステムを無効化し、手動で言語を指定することができます。
  • 言語固有の字形の使用を制御する
    • 特定の言語で適切な字形がレンダリングされない場合に、代替フォントを指定することができます。

構文

font-language-override: normal | 3文字のOpenType言語タグ;
  • normal:OpenTypeフォントの言語システムを使用します。これがデフォルト値です。

注意点

  • 言語タグは、大文字と小文字を区別する必要があります。
  • このプロパティは、OpenTypeフォントにのみ適用されます。TrueTypeフォントには影響しません。
  • font-language-overrideプロパティは、すべてのブラウザでサポートされているわけではありません。サポート状況については、各ブラウザのドキュメントを参照してください。
p {
  font-family: "Noto Sans JP";
  font-language-override: JPN;
}


p {
  font-family: "Noto Sans JP";
  font-language-override: JPN;
}
span.japanese {
  font-family: "Noto Sans JP";
  font-language-override: JPN;
}

例3:OpenTypeフォントの言語システムをオーバーライドする

h1 {
  font-family: "OpenType Font";
  font-language-override: ENG;
}

この例では、h1要素に対してOpenTypeフォントが適用されますが、font-language-overrideプロパティによって、このフォントの言語システムが無効化され、すべてのテキストが英語としてレンダリングされます。

例4:疑似要素に対してフォント言語をオーバーライドする

::first-letter {
  font-family: "Noto Serif";
  font-language-override: JPN;
}

例5:メディアクエリを使用してデバイスごとにフォント言語を指定する

@media (print) {
  p {
    font-family: "Arial";
    font-language-override: EN;
  }
}

この例では、印刷時にのみp要素に対してフォント「Arial」が適用され、すべてのテキストが英語としてレンダリングされます。

これらの例は、font-language-overrideプロパティを様々な状況で使用する方法を示すほんの一例です。このプロパティを正しく使用することで、Webフォントのレンダリングをよりきめ細かく制御することができます。



以下に、いくつかの代替方法をご紹介します。

lang属性を使用する

<p lang="ja">日本語のテキスト</p>

@font-face規則を使用する

@font-face規則を使用して、特定の言語に合わせたフォントを定義することができます。この方法は、よりきめ細かい制御が可能ですが、複雑さも増します。

@font-face {
  font-family: "Noto Sans JP";
  src: url("NotoSansJP-Regular.woff2") format("woff2"),
       url("NotoSansJP-Regular.woff") format("woff");
  font-language-override: JPN;
}

p {
  font-family: "Noto Sans JP";
}

JavaScriptを使用する

JavaScriptを使用して、ブラウザのフォントレンダリングを動的に制御することができます。この方法は、最も柔軟性がありますが、難易度も高くなります。

const element = document.getElementById("myElement");
element.style.fontFamily = "Noto Sans JP";

if (navigator.language === "ja") {
  element.style.fontLanguageOverride = "JPN";
}

別のフォントを使用する

問題が発生しているフォントの代わりに、別のフォントを使用することができます。これは、最も簡単な解決策ですが、必ずしも最適な解決策とは限りません。

ブラウザのアップデートを待つ

font-language-overrideプロパティは比較的新しいプロパティであり、まだすべてのブラウザでサポートされているわけではありません。ブラウザのアップデートを待つことで、このプロパティがサポートされるようになる可能性があります。

どの代替方法を選択するかは、状況によって異なります。シンプルで汎用性の高い方法としては、lang属性を使用する方法がおすすめです。

よりきめ細かい制御が必要な場合は、@font-face規則やJavaScriptを使用する方法を検討することができます。