CSS「image.paint」でできること:画像切り取り、合成、フィルター、変形、ブレンド、マスク…


CSSの「image.paint」は、CSSペイントAPIの一部であり、画像をペイントツールのように柔軟に扱い、様々な加工や装飾を施すための機能です。従来の背景画像設定では実現できなかった高度な表現が可能になり、Webデザインの自由度を飛躍的に向上させてくれます。

具体的な機能

  • マスク
    画像の一部をマスクして、別の画像や色を表示することができます。
  • ブレンド
    複数の画像を様々なモードでブレンドすることができます。
  • 変形
    画像を回転、拡大縮小、歪曲することができます。
  • フィルター処理
    ぼかし、ぼかし、ドロップシャドウ、カラーフィルターなどのフィルターを適用できます。
  • 画像の切り取り・合成
    画像の一部を切り取ったり、複数の画像を重ね合わせたりすることができます。

動作メカニズム

「image.paint」は、JavaScriptのPaint Workletと呼ばれる特別なモジュールを使用して動作します。Paint Workletは、画像処理に関する複雑なタスクを非同期で実行し、パフォーマンスを維持しながら高度なエフェクトを実現します。

利点

  • パフォーマンスの向上
    Paint Workletによる非同期処理により、パフォーマンスを維持しながら複雑なエフェクトを実現できます。
  • コードの簡素化
    従来の画像処理技術と比べて、コードをより簡潔に記述できます。
  • 表現力の向上
    画像をより自由롭に操作することで、複雑で魅力的なデザインを作成できます。

注意点

  • 複雑性
    高度な機能を使用するには、JavaScriptとPaint Workletに関する知識が必要です。
  • ブラウザサポート
    「image.paint」は比較的新しい機能であり、すべてのブラウザでサポートされているわけではありません。現時点では、主要なブラウザの大半でサポートされていますが、古いブラウザでは動作しない可能性があります。
  • インタラクティブな要素
    ホバー時に画像を変化させたり、アニメーションを取り入れたりして、インタラクティブな要素を作成できます。
  • 製品画像の装飾
    画像にウォーターマークを追加したり、特定の部分に注目させるために強調表示したりすることができます。
  • ヒーローセクションの背景
    画像をぼかしたり、ドロップシャドウを付けたりして、奥行きのあるヒーローセクションを作成できます。


/* 親要素 */
.container {
  width: 500px;
  height: 300px;
}

/* 画像1 */
.image1 {
  width: 100%;
  height: 100%;
  object-fit: cover;
}

/* 画像2 */
.image2 {
  width: 100%;
  height: 100%;
  object-fit: cover;
  position: absolute;
  top: 0;
  left: 0;
  mix-blend-mode: multiply;
}

/* ペイント処理 */
.container::paint {
  image-paint(url('image1.jpg'), 0, 0, 0.5, 0.5);
  image-paint(url('image2.jpg'), 0.5, 0.5, 0.5, 0.5);
}

解説

  1. 親要素 (.container) にスタイルを定義します。幅と高さを設定し、画像を収まるように object-fit: cover を指定します。
  2. 画像1 (.image1) と画像2 (.image2) にスタイルを定義します。それぞれに widthheight を設定し、object-fit: cover を指定して親要素全体に表示します。
  3. .image2position: absolutetop: 0left: 0 を設定して、画像1の上に重ねます。
  4. mix-blend-mode: multiply を設定して、画像1 と画像2 を掛け合わせて合成します。
  5. .container::paint でペイント処理を定義します。
    • image-paint(url('image1.jpg'), 0, 0, 0.5, 0.5): 画像1 を左上に配置し、幅と高さを親要素の半分に設定します。
    • image-paint(url('image2.jpg'), 0.5, 0.5, 0.5, 0.5): 画像2 を右下に配置し、幅と高さを親要素の半分に設定します。

バリエーション

上記のコードはあくまでも一例であり、「image.paint」を使用して様々な加工や装飾を実現できます。

  • マスク
    mask プロパティを使用して、画像の一部をマスクして、別の画像や色を表示することができます。
  • ブレンド
    mix-blend-mode プロパティを使用して、複数の画像を様々なモードでブレンドすることができます。
  • 変形
    transform プロパティを使用して、画像を回転、拡大縮小、歪曲することができます。
  • フィルター処理
    filter プロパティを使用して、ぼかし、ぼかし、ドロップシャドウ、カラーフィルターなどのフィルターを適用できます。
  • 画像の切り取り
    image-paint 関数の引数で xy を調整することで、画像の一部を切り取ることができます。

これらの機能を組み合わせることで、より複雑で魅力的なデザインを作成することができます。

  • 古いブラウザでは動作しない可能性があります。必要に応じて、フォールバックソリューションを用意する必要があります。
  • 複雑な処理を行う場合は、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。パフォーマンスを考慮したコーディングが重要です。


以下に、「image.paint」の代替方法としていくつか挙げます。

SVG

SVGは、ベクターグラフィックを扱うためのフォーマットです。画像の一部を切り取ったり、合成したり、フィルター処理を施したりするなど、「image.paint」と同様の機能を備えています。また、ブラウザでのサポート状況も良好です。

利点

  • コードが比較的シンプル
  • 軽量で、パフォーマンスが良い
  • レスポンシブデザインに適している

欠点

  • 「image.paint」ほど多くの機能がサポートされていない
  • 複雑な画像を表現するには、SVGの方が難しい場合がある


.container {
  width: 500px;
  height: 300px;
}

.image {
  width: 100%;
  height: 100%;
}

.image1 {
  fill: url('image1.jpg');
}

.image2 {
  fill: url('image2.jpg');
  mix-blend-mode: multiply;
}

Canvas

Canvasは、JavaScriptを使用して動的に画像を描画する機能です。「image.paint」よりも多くの機能を備えており、より複雑なエフェクトを実現することができます。

利点

  • 「image.paint」では実現できないエフェクトも作成できる
  • 非常に柔軟性が高い

欠点

  • パフォーマンスが低下する可能性がある
  • コードが複雑になる


const canvas = document.getElementById('canvas');
const ctx = canvas.getContext('2d');

canvas.width = 500;
canvas.height = 300;

const image1 = new Image();
image1.onload = () => {
  ctx.drawImage(image1, 0, 0);
};
image1.src = 'image1.jpg';

const image2 = new Image();
image2.onload = () => {
  ctx.globalCompositeOperation = 'multiply';
  ctx.drawImage(image2, 0, 0);
};
image2.src = 'image2.jpg';

ライブラリ

「image.paint」の機能を代替するライブラリがいくつか開発されています。これらのライブラリは、より使いやすく、パフォーマンスも向上している場合があります。


画像処理サービス

画像処理サービスを利用して、画像の一部を切り取ったり、合成したり、フィルター処理を施したりすることができます。これらのサービスは、ブラウザのサポート状況を気にせずに利用することができます。