CMakeでWindowsランタイムコンポーネントを構築: VS_WINRT_COMPONENTの代替手段を比較検討
このプロパティの主な役割は次のとおりです
- _WINRT_DLL マクロの定義
共有ライブラリとモジュール ライブラリの場合、VS_WINRT_COMPONENT プロパティは_WINRT_DLL
プリプロセッサ マクロも定義します。これは、ライブラリが Windows ランタイム コンポーネントであることを示すために使用されます。 - C++/CX 言語拡張機能の使用
このプロパティが設定されている場合、CMake はターゲットのコンパイル時に C++/CX 言語拡張機能を有効にします。これは、Windows ランタイム開発に特化した機能を提供します。 - Windows ランタイム コンポーネントとしてのターゲットの識別
VS_WINRT_COMPONENT プロパティを設定することで、CMake はターゲットが Windows ランタイム コンポーネントであることを認識し、それに応じて必要な設定を適用します。
VS_WINRT_COMPONENT プロパティの使用例
target_sources(mytarget PRIVATE "mytarget.cpp")
target_link_libraries(mytarget winrt)
set_property(TARGET mytarget PROPERTY VS_WINRT_COMPONENT TRUE)
上記の例では、mytarget
という名前のターゲットが定義され、mytarget.cpp
ファイルがソース ファイルとして設定されています。さらに、winrt
ライブラリへのリンクも設定されています。最後に、set_property
コマンドを使用して、VS_WINRT_COMPONENT
プロパティを mytarget
ターゲットに TRUE
に設定しています。これにより、CMake は mytarget
ターゲットを Windows ランタイム コンポーネントとして認識し、それに応じて必要な設定を適用します。
注意事項
- 共有ライブラリとモジュール ライブラリの場合、
_WINRT_DLL
マクロは既に定義されている可能性があります。この場合、VS_WINRT_COMPONENT プロパティを設定してもマクロの値は変更されません。 - C++/CX 言語拡張機能を使用するには、Visual Studio 2012 以降が必要です。
- VS_WINRT_COMPONENT プロパティは、Visual Studio ジェネレータのみでサポートされています。他のジェネレータを使用している場合は、このプロパティを使用しても効果がありません。
VS_WINRT_COMPONENT プロパティは、CMake で Windows ランタイム コンポーネントを開発する際に役立つ便利なツールです。このプロパティを使用することで、ターゲットを Windows ランタイム コンポーネントとして正しく識別し、必要な設定を適用することができます。
cmake_minimum_required(VERSION 3.1)
project(myproject VERSION 1.0)
set(CMAKE_CXX_STANDARD 17)
target_sources(mylib PRIVATE "mylib.cpp")
target_link_libraries(mylib winrt)
set_property(TARGET mylib PROPERTY VS_WINRT_COMPONENT TRUE)
target_include_directories(mylib PRIVATE "include")
target_properties(mylib PROPERTIES CXX_STANDARD 17 CXX_STANDARD_REQUIRED ON)
install(TARGETS mylib DESTINATION lib)
このコードの説明
cmake_minimum_required
コマンドは、CMake の最低バージョンを 3.1 に設定します。project
コマンドは、プロジェクトの名前とバージョンを設定します。set(CMAKE_CXX_STANDARD 17)
コマンドは、プロジェクト全体の C++ 標準を C++17 に設定します。target_sources
コマンドは、mylib
という名前のターゲットのソース ファイルをmylib.cpp
に設定します。target_link_libraries
コマンドは、mylib
ターゲットがwinrt
ライブラリにリンクされるように設定します。set_property
コマンドは、mylib
ターゲットのVS_WINRT_COMPONENT
プロパティをTRUE
に設定します。これにより、CMake はmylib
ターゲットを Windows ランタイム コンポーネントとして認識します。target_include_directories
コマンドは、mylib
ターゲットのインクルード ディレクトリをinclude
ディレクトリに設定します。target_properties
コマンドは、mylib
ターゲットの C++ 標準を C++17 に設定し、この設定が必須であることを示します。install
コマンドは、mylib
ターゲットをlib
ディレクトリにインストールします。
- 複数のライブラリにリンクするには、
target_link_libraries
コマンドに複数のライブラリ名を指定する必要があります。 - 複数のソース ファイルを含むターゲットをビルドするには、
target_sources
コマンドに複数のファイル名を指定する必要があります。 - 静的ライブラリをビルドするには、
target_type
プロパティをSTATIC_LIBRARY
に設定する必要があります。 - モジュール ライブラリをビルドするには、
target_type
プロパティをMODULE
に設定する必要があります。
代替方法の選択肢
- Visual Studio プロジェクト ファイル
Visual Studio で直接プロジェクト ファイルを作成し、C++/CX 言語拡張機能を有効にして、ターゲットを Windows ランタイム コンポーネントとして設定することができます。この方法は、CMake を使用しない場合や、より詳細な制御が必要な場合に適しています。 - 他の CMake ジェネレータ
Ninja や Makefile などの他の CMake ジェネレータを使用する場合、"VS_WINRT_COMPONENT" プロパティはサポートされない可能性があります。これらのジェネレータを使用する場合は、ターゲットを Windows ランタイム コンポーネントとして設定するために、適切なジェネレータ固有の設定を使用する必要があります。 - 手動設定
"VS_WINRT_COMPONENT" プロパティを使用しない場合は、以下の設定を自分で手動で設定する必要があります。- C++/CX 言語拡張機能を有効にする
_WINRT_DLL
マクロを定義する (共有ライブラリとモジュール ライブラリの場合)
それぞれの代替方法の利点と欠点
Visual Studio プロジェクト ファイル
利点
- CMake を使用しない場合に適している
- より詳細な制御が可能
欠点
- 手動で設定する必要がある
- CMake の利点 (自動化、クロスプラットフォームなど) が得られない
他の CMake ジェネレータ
利点
- CMake の利点を活用できる
欠点
- ジェネレータ固有の設定を理解する必要がある
- "VS_WINRT_COMPONENT" プロパティがサポートされない可能性がある
手動設定
利点
- どのジェネレータでも使用可能
- 詳細な制御が可能
- 設定を忘れる可能性がある
- 複雑でエラーが発生しやすい