QList::remove()だけじゃない！Qtでリスト要素を安全・効率的に削除する代替テクニック
2025-06-06
主な使用方法としては、以下の2つがあります。
-
インデックスを指定して削除する 特定のインデックス（位置）にある要素を削除する場合に使用します。
void QList::remove(int i);i: 削除したい要素のインデックス（0から始まる）。- 指定されたインデックス
iにある要素を削除します。 - 削除された要素の後ろにある要素は、前にシフトされます。
- もし
iが有効なインデックス範囲外（0未満またはsize()以上）の場合、プログラムはクラッシュする可能性があります（Qtのバージョンや設定による）。そのため、インデックスの範囲チェックを行うことが重要です。
QList<QString> list; list << "Apple" << "Banana" << "Cherry"; list.remove(1); // インデックス1（"Banana"）を削除 // listは {"Apple", "Cherry"} になる -
値（要素）を指定して削除する 特定の値を持つ要素を削除する場合に使用します。このオーバーロードは、
QListが格納している型がoperator==を定義している必要があります。int QList::remove(const T &value);value: 削除したい要素の値。- リスト内で最初に見つかった
valueと等しい要素を削除します。 - 削除された要素の後ろにある要素は、前にシフトされます。
- 削除された要素の数を返します。見つからなかった場合は0を返します（
removeOneではないので、厳密にはこのオーバーロードは単一の要素を削除し、返り値は常に1か0になります。複数の同じ値を削除したい場合はremoveAllを使用します）。
例
QList<int> numbers; numbers << 10 << 20 << 30 << 20 << 40; int removedCount = numbers.remove(20); // 最初に見つかった20を削除 // numbersは {10, 30, 20, 40} になる // removedCount は 1 になる
remove()の注意点：
- パフォーマンス:
QListは内部的に配列として実装されているため、リストの途中の要素を削除すると、その後のすべての要素がメモリ上で移動することになります。リストが大きい場合や頻繁に途中の要素を削除する場合は、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。このような場合は、QLinkedListやQVectorの利用も検討すると良いでしょう。 - イテレータの無効化:
remove()を呼び出すと、削除された要素以降のイテレータは無効になる可能性があります。ループ内で要素を削除する場合は、イテレータを適切に処理するか、逆順にループするなどの工夫が必要です。 - 単一の要素を削除:
remove(const T &value)は、リスト内で最初に見つかったマッチする要素のみを削除します。リスト内に同じ値が複数存在する場合、1つしか削除されません。複数の同じ値を削除したい場合は、removeAll(const T &value)を使用する必要があります。
QList::takeLast(): リストの最後の要素を削除し、その要素のコピーを返します。QList::takeFirst(): リストの最初の要素を削除し、その要素のコピーを返します。QList::takeAt(int i): 指定されたインデックスの要素を削除し、その要素のコピーを返します。QList::removeAll(const T &value): 指定された値と一致するすべての要素を削除します。QList::removeOne(const T &value):remove(const T &value)と同じです。QList::removeAt(int i):remove(int i)と同じです。
インデックス指定でのエラー (remove(int i))
範囲外のインデックス（Out-of-Bounds Index）
これは最も一般的なエラーです。存在しないインデックスを指定すると、未定義動作を引き起こし、多くの場合プログラムがクラッシュします。
エラーの例
QList<QString> list;
list << "A" << "B" << "C";
list.remove(3); // サイズは3なので、有効なインデックスは0, 1, 2。インデックス3は範囲外。
トラブルシューティング
- ループ処理中のインデックス管理に注意
ループで複数の要素を削除する場合、削除によってリストのサイズが変わり、インデックスがずれることに注意が必要です。- 逆順にループする
最も安全な方法です。後ろから削除していくため、前のインデックスがずれる心配がありません。
for (int i = list.size() - 1; i >= 0; --i) { if (list.at(i) == "RemoveMe") { list.removeAt(i); } }- イテレータを使用する
イテレータの安全な削除方法を使用します（後述）。
- 逆順にループする
- QList::size()またはQList::isEmpty()で範囲チェックを行う
remove()を呼び出す前に、インデックスが0からlist.size() - 1の範囲内にあることを確認します。if (index >= 0 && index < list.size()) { list.remove(index); } else { qDebug() << "Error: Index out of bounds!"; }
存在しないリストからの削除
リストが初期化されていない、またはヌルポインタである場合。
エラーの例
QList<QString>* listPtr = nullptr;
// ...
listPtr->remove(0); // ヌルポインタにアクセスしようとしている
トラブルシューティング
- Qtでは通常、スタックやヒープに直接オブジェクトを作成し、ポインタをあまり使用しない設計が推奨されます。 ポインタを使用する場合は、そのライフサイクルと有効性をしっかり管理してください。
- ポインタが有効であることを確認する
if (listPtr) { listPtr->remove(0); } else { qDebug() << "Error: List pointer is null!"; }
値指定でのエラー (remove(const T &value))
意図しない要素の削除
remove(const T &value)は、最初に見つかったマッチする要素のみを削除します。同じ値が複数存在する場合、意図せず1つだけ削除してしまうことがあります。
エラーの例
QList<int> numbers;
numbers << 10 << 20 << 30 << 20 << 40;
numbers.remove(20); // 最初の20だけが削除される。もう一つの20は残る。
// numbersは {10, 30, 20, 40} になる
トラブルシューティング
- 特定の1つだけを削除したい場合
remove(const T &value)で正しいです。 - すべてのマッチする要素を削除したい場合
removeAll(const T &value)を使用します。numbers.removeAll(20); // すべての20が削除される // numbersは {10, 30, 40} になる
カスタム型での比較エラー
remove(const T &value)を使用する場合、QListが格納しているカスタム型Tがoperator==（等価比較演算子）を適切にオーバーロードしている必要があります。オーバーロードされていない、または誤って実装されている場合、要素が正しく比較されず、削除できない、または意図しない要素が削除される可能性があります。
エラーの例
// MyClassにはoperator==が定義されていない、または不適切に定義されている
class MyClass {
public:
int id;
QString name;
// ...
};
QList<MyClass> myList;
MyClass obj1; obj1.id = 1; obj1.name = "Test";
MyClass obj2; obj2.id = 2; obj2.name = "Another";
myList << obj1 << obj2;
MyClass searchObj; searchObj.id = 1; searchObj.name = "Test";
myList.remove(searchObj); // 削除されない、または予期せぬ動作
トラブルシューティング
- カスタム型にoperator==を適切に定義する
比較したいすべてのメンバ変数を考慮して、論理的に正しい等価比較演算子を実装します。class MyClass { public: int id; QString name; bool operator==(const MyClass& other) const { return id == other.id && name == other.name; } };
イテレータの無効化（Iterator Invalidation）
QList::remove()（およびQList::removeAt()、QList::removeOne()など）を呼び出すと、削除された要素以降のイテレータが無効になる可能性があります。これは、要素がメモリ上で移動するためです。無効なイテレータを使用すると、クラッシュや不正なデータアクセスにつながります。
エラーの例
QList<int> numbers;
numbers << 10 << 20 << 30 << 40;
QList<int>::iterator it = numbers.begin();
while (it != numbers.end()) {
if (*it == 20) {
numbers.removeOne(20); // ここでイテレータ'it'が無効になる可能性がある
// 'it'をインクリメントすると、無効なメモリにアクセスするかも
}
++it; // 無効なイテレータをインクリメントしようとする
}
トラブルシューティング
- 削除後にループを中断する
単一の要素を削除して終了する場合、ループを中断できます。QList<int>::iterator it = numbers.begin(); while (it != numbers.end()) { if (*it == 20) { numbers.removeOne(20); break; // 削除したらループを終了 } ++it; } - 逆順にループする (インデックスの場合)
前述の通り、インデックスベースで削除する場合は逆順ループが安全です。 - 削除後にイテレータを更新する
QList::erase()メソッドは、削除後の次の有効なイテレータを返します。これを使用するのが最も安全です。QList<int> numbers; numbers << 10 << 20 << 30 << 20 << 40; QList<int>::iterator it = numbers.begin(); while (it != numbers.end()) { if (*it == 20) { it = numbers.erase(it); // erase()は次の有効なイテレータを返す } else { ++it; // 削除しなかった場合は通常通りインクリメント } } // numbersは {10, 30, 40}
QList::remove()は、削除する要素の数やリストのサイズに応じてパフォーマンスが低下する可能性があります。
問題の例
非常に大きなQList（例：数万、数十万以上の要素）の途中の要素を頻繁に削除する場合。QListは内部的に配列ベースで実装されているため、要素の削除（特に先頭や途中）は、その後のすべての要素をメモリ上でシフトさせるコストが発生します。
- 一括削除の検討
複数の要素を削除する場合、個別にremove()を呼び出すのではなく、一度にclear()して再構築するか、不要な要素を除外して新しいリストを作成する方が効率的な場合があります。// 特定の条件を満たす要素のみを残す（効率的なフィルタリング） QList<MyObject> originalList; QList<MyObject> filteredList; for (const MyObject& obj : originalList) { if (obj.shouldKeep()) { filteredList.append(obj); } } originalList = filteredList; // または filteredListを代わりに使う - コレクションの選択を再検討する
- QLinkedList
リストの途中からの要素の追加・削除が定数時間（O(1)）で行えます。ただし、インデックスによるアクセスは遅くなります（O(n)）。頻繁に途中から追加・削除を行うが、インデックスアクセスはあまりしない場合に適しています。 - QVector
QListと同様に配列ベースですが、よりメモリ効率が良い場合があります。ただし、途中削除のパフォーマンス特性は似ています。 - QMapまたはQHash
キーと値のペアでデータを管理し、キーによる高速な検索と削除が必要な場合に適しています。要素の順序が重要でない場合。
- QLinkedList
インデックスを指定して要素を削除する (QList::remove(int i) または QList::removeAt(int i))
特定のインデックスにある要素を削除します。removeAt() は remove(int) のエイリアスです。
例 1: 基本的なインデックス削除
#include <QCoreApplication>
#include <QList>
#include <QString>
#include <QDebug>
int main(int argc, char *argv[])
{
QCoreApplication a(argc, argv);
QList<QString> fruits;
fruits << "Apple" << "Banana" << "Cherry" << "Date" << "Elderberry";
qDebug() << "Initial list:" << fruits; // 初期リスト: ("Apple", "Banana", "Cherry", "Date", "Elderberry")
// インデックス2の要素 ("Cherry") を削除
if (2 < fruits.size()) { // 範囲チェックが重要
fruits.removeAt(2);
qDebug() << "After removing at index 2:" << fruits; // ("Apple", "Banana", "Date", "Elderberry")
} else {
qDebug() << "Index 2 is out of bounds.";
}
// インデックス0の要素 ("Apple") を削除
if (0 < fruits.size()) {
fruits.removeAt(0);
qDebug() << "After removing at index 0:" << fruits; // ("Banana", "Date", "Elderberry")
} else {
qDebug() << "Index 0 is out of bounds.";
}
// 存在しないインデックスを試す (エラー/クラッシュの可能性)
// このコードは実行しないでください！
// fruits.removeAt(100); // プログラムがクラッシュする可能性が高い
return a.exec();
}
出力例
Initial list: ("Apple", "Banana", "Cherry", "Date", "Elderberry")
After removing at index 2: ("Apple", "Banana", "Date", "Elderberry")
After removing at index 0: ("Banana", "Date", "Elderberry")
値を指定して要素を削除する (QList::remove(const T &value) または QList::removeOne(const T &value))
リスト内で最初に見つかった、指定された値と等しい要素を削除します。removeOne() は remove(const T&) のエイリアスです。
例 2: 特定の値の要素を削除
#include <QCoreApplication>
#include <QList>
#include <QDebug>
int main(int argc, char *argv[])
{
QCoreApplication a(argc, argv);
QList<int> numbers;
numbers << 10 << 20 << 30 << 20 << 40 << 50 << 20;
qDebug() << "Initial list:" << numbers; // 初期リスト: (10, 20, 30, 20, 40, 50, 20)
// 値が20の最初の出現を削除
int removedCount = numbers.removeOne(20);
qDebug() << "After removing first 20 (removed:" << removedCount << "):" << numbers; // (10, 30, 20, 40, 50, 20)
// 値が10の要素を削除
removedCount = numbers.removeOne(10);
qDebug() << "After removing 10 (removed:" << removedCount << "):" << numbers; // (30, 20, 40, 50, 20)
// 存在しない値を削除しようと試みる
removedCount = numbers.removeOne(99);
qDebug() << "After attempting to remove 99 (removed:" << removedCount << "):" << numbers; // (30, 20, 40, 50, 20)
return a.exec();
}
出力例
Initial list: (10, 20, 30, 20, 40, 50, 20)
After removing first 20 (removed: 1): (10, 30, 20, 40, 50, 20)
After removing 10 (removed: 1): (30, 20, 40, 50, 20)
After attempting to remove 99 (removed: 0): (30, 20, 40, 50, 20)
マッチするすべての要素を削除する (QList::removeAll(const T &value))
指定された値と等しいすべての要素を削除します。
例 3: すべての値を削除
#include <QCoreApplication>
#include <QList>
#include <QDebug>
int main(int argc, char *argv[])
{
QCoreApplication a(argc, argv);
QList<int> numbers;
numbers << 10 << 20 << 30 << 20 << 40 << 50 << 20;
qDebug() << "Initial list:" << numbers; // 初期リスト: (10, 20, 30, 20, 40, 50, 20)
// 値が20のすべての出現を削除
int removedCount = numbers.removeAll(20);
qDebug() << "After removing all 20s (removed:" << removedCount << "):" << numbers; // (10, 30, 40, 50)
// 存在しない値を削除しようと試みる
removedCount = numbers.removeAll(99);
qDebug() << "After attempting to remove all 99s (removed:" << removedCount << "):" << numbers; // (10, 30, 40, 50)
return a.exec();
}
出力例
Initial list: (10, 20, 30, 20, 40, 50, 20)
After removing all 20s (removed: 3): (10, 30, 40, 50)
After attempting to remove all 99s (removed: 0): (10, 30, 40, 50)
ループ内で安全に要素を削除する
ループ中に QList::remove() を使用すると、イテレータが無効になる問題が発生する可能性があります。これを安全に行う方法はいくつかあります。
逆順にループする (インデックスベース)
これは、インデックスを使用して削除する場合に最も簡単で安全な方法です。
例 4: 逆順ループでの削除
#include <QCoreApplication>
#include <QList>
#include <QDebug>
int main(int argc, char *argv[])
{
QCoreApplication a(argc, argv);
QList<QString> items;
items << "A" << "REMOVE" << "B" << "REMOVE" << "C" << "REMOVE";
qDebug() << "Initial list:" << items; // 初期リスト: ("A", "REMOVE", "B", "REMOVE", "C", "REMOVE")
// 逆順にループして "REMOVE" を削除
for (int i = items.size() - 1; i >= 0; --i) {
if (items.at(i) == "REMOVE") {
items.removeAt(i);
}
}
qDebug() << "After removing 'REMOVE' using reverse loop:" << items; // ("A", "B", "C")
return a.exec();
}
出力例
Initial list: ("A", "REMOVE", "B", "REMOVE", "C", "REMOVE")
After removing 'REMOVE' using reverse loop: ("A", "B", "C")
QList::erase() を使用する (イテレータベース)
QList::erase() は、削除された要素の次の有効なイテレータを返します。これにより、ループ中にイテレータを安全に進めることができます。
例 5: erase() を使用した削除
#include <QCoreApplication>
#include <QList>
#include <QDebug>
int main(int argc, char *argv[])
{
QCoreApplication a(argc, argv);
QList<int> numbers;
numbers << 10 << 20 << 30 << 20 << 40 << 50 << 20;
qDebug() << "Initial list:" << numbers; // 初期リスト: (10, 20, 30, 20, 40, 50, 20)
QList<int>::iterator it = numbers.begin();
while (it != numbers.end()) {
if (*it == 20) {
it = numbers.erase(it); // 要素を削除し、次の有効なイテレータを取得
} else {
++it; // 削除しなかった場合は通常通りイテレータを進める
}
}
qDebug() << "After removing all 20s using erase():" << numbers; // (10, 30, 40, 50)
return a.exec();
}
出力例
Initial list: (10, 20, 30, 20, 40, 50, 20)
After removing all 20s using erase(): (10, 30, 40, 50)
これらのメソッドは、要素を削除するだけでなく、削除された要素のコピーを返します。
例 6: takeAt(), takeFirst(), takeLast() の使用
#include <QCoreApplication>
#include <QList>
#include <QString>
#include <QDebug>
int main(int argc, char *argv[])
{
QCoreApplication a(argc, argv);
QList<QString> colors;
colors << "Red" << "Green" << "Blue" << "Yellow" << "Purple";
qDebug() << "Initial list:" << colors; // ("Red", "Green", "Blue", "Yellow", "Purple")
// 最初の要素を削除して取得
if (!colors.isEmpty()) {
QString firstColor = colors.takeFirst();
qDebug() << "Taken first color:" << firstColor; // Taken first color: Red
qDebug() << "List after takeFirst():" << colors; // ("Green", "Blue", "Yellow", "Purple")
}
// 特定のインデックスの要素を削除して取得
if (2 < colors.size()) {
QString thirdColor = colors.takeAt(2); // 元のリストではインデックス2は"Yellow"
qDebug() << "Taken color at index 2:" << thirdColor; // Taken color at index 2: Yellow
qDebug() << "List after takeAt(2):" << colors; // ("Green", "Blue", "Purple")
}
// 最後の要素を削除して取得
if (!colors.isEmpty()) {
QString lastColor = colors.takeLast();
qDebug() << "Taken last color:" << lastColor; // Taken last color: Purple
qDebug() << "List after takeLast():" << colors; // ("Green", "Blue")
}
qDebug() << "Final list:" << colors; // ("Green", "Blue")
return a.exec();
}
Initial list: ("Red", "Green", "Blue", "Yellow", "Purple")
Taken first color: "Red"
List after takeFirst(): ("Green", "Blue", "Yellow", "Purple")
Taken color at index 2: "Yellow"
List after takeAt(2): ("Green", "Blue", "Purple")
Taken last color: "Purple"
List after takeLast(): ("Green", "Blue")
Final list: ("Green", "Blue")
QList::remove() は非常に一般的でよく使われるメソッドですが、特定のシナリオでは他のアプローチがより効率的であったり、コードが簡潔になったりすることがあります。
QMutableListIterator を使用する
QMutableListIterator は、リストを前方または後方に反復処理し、同時に要素の追加、削除、置換を安全に行うことができる特別なイテレータです。これは、ループ処理中に複数の要素を条件に基づいて削除する場合に非常に強力な方法です。
特徴
remove()メソッドは現在指している要素を削除し、イテレータを自動的に更新する。- イテレータの無効化を気にすることなく、ループ内で安全に要素を削除できる。
使用例
リスト内のすべての偶数を削除する。
#include <QCoreApplication>
#include <QList>
#include <QMutableListIterator>
#include <QDebug>
int main(int argc, char *argv[])
{
QCoreApplication a(argc, argv);
QList<int> numbers;
numbers << 1 << 2 << 3 << 4 << 5 << 6 << 7 << 8 << 9 << 10;
qDebug() << "Initial list:" << numbers; // 初期リスト: (1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10)
QMutableListIterator<int> i(numbers);
while (i.hasNext()) {
if (i.next() % 2 == 0) { // 偶数を見つけたら
i.remove(); // 削除
}
}
qDebug() << "After removing even numbers with QMutableListIterator:" << numbers; // (1, 3, 5, 7, 9)
return a.exec();
}
利点
- コードが簡潔で読みやすい。
- ループ処理中に安全に要素を削除できる。
注意点
foreachループ内でQListを変更しようとすると、コピーが作成されるため意図した結果にならない場合があります。QMutableListIteratorはコンテナのコピーを作成しないため、変更が直接反映されます。
std::remove_if および QList::erase() を組み合わせる (STL スタイル)
C++標準ライブラリのアルゴリズムを活用する方法です。これは、特定の条件を満たす要素を「論理的に」リストの末尾に移動させ、その後 erase() で実際に削除するという2段階のアプローチを取ります。
特徴
- 複雑な条件に基づいて削除を行う場合に柔軟性が高い。
- C++標準ライブラリの知識がある場合、馴染みやすいパターン。
使用例
リストから特定の値（例: 20）をすべて削除する。
#include <QCoreApplication>
#include <QList>
#include <QDebug>
#include <algorithm> // for std::remove_if
int main(int argc, char *argv[])
{
QCoreApplication a(argc, argv);
QList<int> numbers;
numbers << 10 << 20 << 30 << 20 << 40 << 50 << 20;
qDebug() << "Initial list:" << numbers; // 初期リスト: (10, 20, 30, 20, 40, 50, 20)
// std::remove_if は条件を満たす要素をリストの末尾に移動させ、
// "新しい論理的な終端" を指すイテレータを返す。
// 実際に要素を削除しているわけではない。
auto newEnd = std::remove_if(numbers.begin(), numbers.end(),
[](int val) { return val == 20; });
// erase() を呼び出して、新しい論理的な終端からリストの物理的な終端までの要素を削除する。
numbers.erase(newEnd, numbers.end());
qDebug() << "After removing all 20s with std::remove_if and erase():" << numbers; // (10, 30, 40, 50)
return a.exec();
}
利点
- 多くの要素を条件に基づいて削除する場合に効率的である可能性がある（一度の移動と一度の削除）。
- 関数オブジェクト（ラムダ式など）を使用して、削除条件を柔軟に定義できる。
注意点
QListの場合はremoveAll()が同様の機能を提供するので、よりシンプルに済む場合も多い。- 2段階の操作が必要で、直感的でない場合がある。
新しいリストを作成して置き換える (フィルタリング)
既存のリストから削除したい要素を除外し、新しいリストを作成し、元のリストをその新しいリストで置き換える方法です。
特徴
- 特定の条件を満たす要素だけを残したい場合にコードが読みやすい。
- 元のリストを変更しないため、イテレータ無効化の問題を完全に回避できる。
使用例
リストから奇数をフィルタリングして偶数だけを残す。
#include <QCoreApplication>
#include <QList>
#include <QDebug>
int main(int argc, char *argv[])
{
QCoreApplication a(argc, argv);
QList<int> originalNumbers;
originalNumbers << 1 << 2 << 3 << 4 << 5 << 6 << 7 << 8 << 9 << 10;
qDebug() << "Initial list:" << originalNumbers; // 初期リスト: (1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10)
QList<int> filteredNumbers;
for (int num : originalNumbers) {
if (num % 2 == 0) { // 偶数だけを新しいリストに追加
filteredNumbers.append(num);
}
}
originalNumbers = filteredNumbers; // 元のリストをフィルタリングされたリストで置き換える
qDebug() << "After filtering to keep only even numbers:" << originalNumbers; // (2, 4, 6, 8, 10)
return a.exec();
}
利点
- 元のリストのコピーが必要な場合（非同期処理など）に有用。
- 読みやすいコードで、条件を明確に記述できる。
- 非常に安全で、イテレータの無効化を気にする必要がない。
注意点
- リストのコピーが作成されるため、非常に大きなリストの場合、メモリとパフォーマンスのオーバーヘッドが発生する可能性がある。
QList::takeAt(), takeFirst(), takeLast() を使用する
これらのメソッドは要素を削除するだけでなく、削除された要素のコピーを返します。削除された要素をさらに処理する必要がある場合に便利です。
特徴
remove()と同様に、インデックスの範囲チェックが必要。- 削除と同時に要素を取得できる。
使用例
リストの先頭から要素を順に処理し、リストから削除していく。
#include <QCoreApplication>
#include <QList>
#include <QString>
#include <QDebug>
int main(int argc, char *argv[])
{
QCoreApplication a(argc, argv);
QList<QString> tasks;
tasks << "Task A" << "Task B" << "Task C" << "Task D";
qDebug() << "Initial tasks:" << tasks; // 初期タスク: ("Task A", "Task B", "Task C", "Task D")
while (!tasks.isEmpty()) {
QString currentTask = tasks.takeFirst(); // 最初のタスクを削除して取得
qDebug() << "Processing task:" << currentTask;
// ここで currentTask を処理するロジック
}
qDebug() << "Remaining tasks:" << tasks; // 処理後: () (空になる)
return a.exec();
}
利点
- リストの先頭または末尾からの削除は効率が良い（定数時間）。
- 要素を削除するだけでなく、その要素を直接利用できる。
注意点
- リストの途中から
takeAt()を使うと、remove()と同様に要素のシフトが発生し、パフォーマンスに影響を与える可能性がある。
状況によって最適な方法は異なります。
- 元のリストを破壊せずに、条件を満たす要素だけからなる新しいリストが必要: フィルタリングして新しいリストを作成する。
- 削除された要素をさらに処理する必要がある:
QList::takeAt(),takeFirst(),takeLast()。 - ループ内で条件に基づいて複数の要素を削除:
- 最も推奨:
QMutableListIteratorを使用する。 - 次点: 逆順ループ (インデックスベース) または
std::remove_ifとerase()の組み合わせ。
- 最も推奨:
- 特定の値をすべて削除:
QList::removeAll()が最もシンプルで推奨されます。 - 単一の要素をインデックスで削除:
QList::removeAt()またはQList::remove()。 - 単一の要素を値で削除:
QList::removeOne()またはQList::remove()。