Qt GUIプログラミングの基礎固め！QExposeEvent::QExposeEvent()でイベント処理を理解

QExposeEvent::QExposeEvent() は、Qt GUIにおけるイベントクラスの一つで、ウィジェットの一部または全体が露出されたときに発生するイベントを処理するために使用されます。このイベントは、ウィジェットが最初に表示されたとき、ウィジェットの一部が隠れていた後に再度表示されたとき、またはウィジェットサイズが変更されたときに発生します。

コンストラクタ

QExposeEvent クラスには、以下のコンストラクタが用意されています。

• QExposeEvent(const QRegion &exposeRegion): 指定された exposeRegion によって露出された領域に関するイベントを作成します。exposeRegion は、ローカル座標で指定する必要があります。

メンバー関数

QExposeEvent クラスには、以下のメンバー関数が用意されています。

• setRegion(const QRegion &region): 露出された領域を設定します。
• region(): 露出された領域を取得します。

イベントハンドラ

QExposeEvent イベントを処理するには、QWindow::exposeEvent() メンバ関数をオーバーライドする必要があります。この関数は、露出された領域を再描画するために使用されます。

例

以下のコード例は、QExposeEvent イベントを処理するシンプルなウィジェットの例です。

class MyWidget : public QWidget {
public:
    MyWidget(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override;
    void exposeEvent(QExposeEvent *event) override;
};

MyWidget::MyWidget(QWidget *parent) : QWidget(parent) {
}

void MyWidget::paintEvent(QPaintEvent *event) {
    QPainter painter(this);
    painter.setBrush(Qt::red);
    painter.drawRect(0, 0, width(), height());
}

void MyWidget::exposeEvent(QExposeEvent *event) {
    QPainter painter(this);
    painter.setBrush(Qt::red);
    painter.drawRegion(event->region());
}

このコード例では、MyWidget クラスは赤い四角形を描画するシンプルなウィジェットです。paintEvent() メンバ関数は、ウィジェット全体を赤い四角形で塗りつぶします。exposeEvent() メンバ関数は、露出された領域のみを赤い四角形で塗りつぶします。

• QExposeEvent イベントは、ユーザーによってトリガーされるイベントではありません。このイベントは、ウィンドウシステムによって生成されます。
• QExposeEvent イベントは、ウィジェットが更新されたことを示すものではありません。このイベントは、露出された領域を再描画する必要があることを示すのみです。
• QExposeEvent イベントは、ウィジェット全体または一部が露出されたときにのみ発生します。ウィジェットが隠されている場合は、このイベントは発生しません。

---

class MyWidget : public QWidget {
public:
    MyWidget(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override;
    void exposeEvent(QExposeEvent *event) override;
};

MyWidget::MyWidget(QWidget *parent) : QWidget(parent) {
}

void MyWidget::paintEvent(QPaintEvent *event) {
    QPainter painter(this);
    painter.setBrush(Qt::red);
    painter.drawRect(0, 0, width(), height());
}

void MyWidget::exposeEvent(QExposeEvent *event) {
    QPainter painter(this);
    painter.setBrush(Qt::red);
    painter.drawRegion(event->region());
}

例2：カスタムペイント

この例では、QExposeEvent イベントを使用して、カスタムペイントを行うウィジェットのコードを示します。

class MyWidget : public QWidget {
public:
    MyWidget(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override;
    void exposeEvent(QExposeEvent *event) override;
};

MyWidget::MyWidget(QWidget *parent) : QWidget(parent) {
}

void MyWidget::paintEvent(QPaintEvent *event) {
    QPainter painter(this);

    // 円を描画する
    painter.setBrush(Qt::green);
    painter.drawEllipse(QPoint(width() / 2, height() / 2), 50, 50);

    // 線を描画する
    painter.setPen(Qt::blue);
    painter.drawLine(QPoint(0, 0), QPoint(width(), height()));
    painter.drawLine(QPoint(width(), 0), QPoint(0, height()));
}

void MyWidget::exposeEvent(QExposeEvent *event) {
    paintEvent(event->paintEvent()); // 露出された領域のみを再描画する
}

このコード例では、MyWidget クラスは円と線を描画するカスタムペイントを行うウィジェットです。paintEvent() メンバ関数は、円と線を描画します。exposeEvent() メンバ関数は、paintEvent() メンバ関数を呼び出して、露出された領域のみを再描画します。

例3：ウィジェットサイズの変更

この例では、QExposeEvent イベントを使用して、ウィジェットサイズの変更に追従するウィジェットのコードを示します。

class MyWidget : public QWidget {
public:
    MyWidget(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override;
    void resizeEvent(QResizeEvent *event) override;
    void exposeEvent(QExposeEvent *event) override;
};

MyWidget::MyWidget(QWidget *parent) : QWidget(parent) {
}

void MyWidget::paintEvent(QPaintEvent *event) {
    QPainter painter(this);

    // ウィジェットのサイズを取得する
    QSize size = this->size();

    // 円を描画する
    painter.setBrush(Qt::green);
    painter.drawEllipse(QPoint(size.width() / 2, size.height() / 2), size.width() / 3, size.height() / 3);
}

void MyWidget::resizeEvent(QResizeEvent *event) {
    update(); // ウィジェット全体を再描画する
}

void MyWidget::exposeEvent(QExposeEvent *event) {
    paintEvent(event->paintEvent()); // 露出された領域のみを再描画する
}

---

代替方法

以下に、QExposeEvent::QExposeEvent() の代替方法をいくつか紹介します。

• QStateMachine クラス
  状態遷移に基づいてウィジェットを再描画する必要がある場合は、QStateMachine クラスを使用できます。QStateMachine クラスは、状態遷移に基づいてイベントを処理し、そのイベントハンドラ内でウィジェットを再描画することができます。
• QTimer クラス
  定期的にウィジェットを再描画する必要がある場合は、QTimer クラスを使用できます。QTimer クラスは、一定間隔でタイマーイベントを発生させ、そのイベントハンドラ内でウィジェットを再描画することができます。
• repaint() メンバ関数
  ウィジェットの一部を再描画する必要がある場合は、repaint() メンバ関数を使用できます。この関数は、指定された領域の paintEvent() メンバ関数を呼び出し、その領域のみを再描画します。
• update() メンバ関数
  ウィジェット全体を再描画する必要がある場合は、update() メンバ関数を使用できます。この関数は、ウィジェットの paintEvent() メンバ関数を呼び出し、ウィジェット全体を再描画します。

各方法の比較

方法	説明	メリット	デメリット
update()	ウィジェット全体を再描画する	シンプルで使いやすい	すべての領域を再描画するため、パフォーマンスが低下する可能性がある
repaint()	ウィジェットの一部を再描画する	特定の領域のみを再描画できるため、パフォーマンスが向上する	複雑な形状の領域を再描画するには不向き
QTimer	定期的にウィジェットを再描画する	アニメーションなどに適している	イベントが発生していない間もタイマーが実行されるため、パフォーマンスが低下する可能性がある
QStateMachine	状態遷移に基づいてウィジェットを再描画する	複雑なロジックを処理できる	複雑な状態遷移を記述する必要がある

最適な方法の選択

最適な方法は、アプリケーションの要件によって異なります。

• 複雑なロジックを処理する必要がある場合は、QStateMachine クラスを使用します。
• アニメーションなどに適している場合は、QTimer クラスを使用します。
• 特定の領域のみを再描画する必要がある場合は、repaint() メンバ関数を使用します。
• シンプルなアプリケーションであれば、update() メンバ関数を使用するのが最善です。

例

以下のコード例は、update() メンバ関数を使用してウィジェット全体を再描画する例です。

class MyWidget : public QWidget {
public:
    MyWidget(QWidget *parent = nullptr);

protected:
    void paintEvent(QPaintEvent *event) override;
};

MyWidget::MyWidget(QWidget *parent) : QWidget(parent) {
}

void MyWidget::paintEvent(QPaintEvent *event) {
    QPainter painter(this);

    // 円を描画する
    painter.setBrush(Qt::green);
    painter.drawEllipse(QPoint(width() / 2, height() / 2), 50, 50);

    // 線を描画する
    painter.setPen(Qt::blue);
    painter.drawLine(QPoint(0, 0), QPoint(width(), height()));
    painter.drawLine(QPoint(width(), 0), QPoint(0, height()));
}

void MyWidget::mousePressEvent(QMouseEvent *event) {
    update(); // マウスボタンが押されたときにウィジェット全体を再描画する
}

このコード例では、MyWidget クラスは円と線を描画するウィジェットです。mousePressEvent() メンバ関数は、マウスボタンが押されたときに update() メンバ関数を呼び出し、ウィジェット全体を再描画します。

上記以外にも、QExposeEvent::QExposeEvent() の代替方法に関する情報は、以下のリソースで確認できます。

• チュートリアル: