CUDAメモリデバッグの必殺技:PyTorch「torch.cuda.memory._snapshot()」関数と代替方法
torch.cuda.memory._snapshot()
関数は、PyTorch における CUDA メモリ使用量をデバッグするために使用されるツールです。この関数は、すべてのデバイスにおける CUDA メモリ割り当て器の状態のスナップショットを返します。スナップショットには、割り当てられたメモリ量、アクティブなメモリ量、および各メモリブロックの割り当て履歴に関する情報が含まれています。
構文
torch.cuda.memory._snapshot()
戻り値
この関数は、以下のキーを持つ辞書を返します。
snapshot
: スナップショットの作成に使用されたデバイスsegments
: セグメントのリスト。各セグメントは、以下のキーを持つ辞書です。address
: セグメントのアドレスtotal_size
: セグメントの合計サイズstream
: セグメントに関連付けられたストリームsegment_type
: セグメントの種類 (large
またはsmall
)allocated_size
: 使用中のメモリ量active_size
: 使用中またはアクティブな待機状態にあるメモリの量blocks
: ブロックのリスト。各ブロックは、以下のキーを持つ辞書です。size
: ブロックのサイズstate
: ブロックの状態 (active_allocated
,active_awaiting_free
, またはinactive
)history
: ブロックの割り当て履歴。各履歴は、以下のキーを持つ辞書です。addr
: ブロックのアドレスframes
: ブロックが最後に割り当てられたときのスタックトレース。各フレームは、以下のキーを持つ辞書です。filename
: フレームのファイル名line
: フレームの行番号name
: フレームの名前
例
import torch
torch.cuda.memory._record_memory_history(True) # メモリ割り当ての履歴を記録する
# メモリを割り当てる
x = torch.randn(1000, 1000).cuda()
# スナップショットを取得する
snapshot = torch.cuda.memory._snapshot()
# スナップショットの内容を印刷する
print(snapshot)
注意事項
- メモリ割り当ての履歴を記録するには、
torch.cuda.memory._record_memory_history()
関数を呼び出す必要があります。 - この関数は、デバッグ目的でのみ使用してください。パフォーマンスに影響を与える可能性があるため、通常のコードでは使用しないでください。
- この関数は、CUDA デバイス上でのみ使用できます。
torch.cuda.memory._snapshot()
関数は、PyTorch のメモリ使用量を理解し、CUDA メモリ関連の問題をデバッグするのに役立つ強力なツールです。ただし、この関数は複雑なため、使用前にドキュメントをよく読んで理解することが重要です。
メモリ割り当ての履歴を記録する
import torch
torch.cuda.memory._record_memory_history(True)
このコードは、torch.cuda.memory._snapshot()
関数がメモリ割り当ての履歴を記録するように設定します。これにより、スナップショットに各メモリブロックがいつ、どこで割り当てられたかが記録されます。
モデルをロードして実行する
import torch
import torchvision
model = torchvision.models.resnet18().cuda()
input = torch.randn(1, 3, 224, 224).cuda()
output = model(input)
このコードは、ResNet18 モデルをロードし、ランダムな入力データを使用してモデルを実行します。
スナップショットを取得する
snapshot = torch.cuda.memory._snapshot()
このコードは、現在の CUDA メモリ使用量のスナップショットを取得します。
スナップショットの内容を印刷する
print(snapshot)
このコードは、スナップショットの内容を印刷します。スナップショットには、以下の情報が含まれています。
- スナップショットの作成に使用されたデバイス
- セグメントのリスト: 各セグメントは、割り当てられたメモリ量、アクティブなメモリ量、および各メモリブロックの割り当て履歴に関する情報を含みます。
torch.cuda.memory._record_memory_history(False)
このコードは、メモリ割り当ての履歴の記録を停止します。
NVIDIA ツール
- nvDIA: NVIDIA Data Instrument Analytics は、視覚化ツールと API を備えた GUI アプリケーションです。CUDA メモリ使用量を含む、システム全体の詳細なパフォーマンスデータを提供します。
- nvidia-smi: このコマンドラインツールは、CUDA デバイスに関する包括的な情報を提供します。メモリ使用量だけでなく、デバイス使用率、温度、電力消費量なども確認できます。
PyTorch プロファイリングツール
軽量なメモリ使用量スナップショットツール
カスタムメトリクスとロギング
- モデルのパフォーマンスとメモリ使用量に関する情報をログに記録し、後で分析することができます。
- メモリ使用量に関するカスタムメトリクスをモデル内に実装し、TensorBoard などのツールで可視化することができます。
選択の指針
最適な代替方法は、具体的なニーズと要件によって異なります。
- 完全な制御と柔軟性を必要とする場合: カスタムメトリクスとロギングを実装するのがおすすめです。
- 軽量なメモリ使用量スナップショットツールが必要な場合:
memory_snapshot
がおすすめです。 - 詳細なプロファイリング機能が必要な場合:
torch.profiler
がおすすめです。 - シンプルで使いやすいツールが必要な場合:
nvidia-smi
やnvDIA
などの NVIDIA ツールがおすすめです。