PyTorch「Miscellaneous」の新機能「torch.compiler」でコードを高速化:詳細解説とサンプルコード


torch.compiler の主な利点は以下の通りです。

  • 使いやすさ: コード変更を最小限に抑えながら、パフォーマンスを向上させることができます。
  • 柔軟性: 非 PyTorch 関数呼び出しを含む複雑なコードを処理することができます。
  • 高速化: JIT コンパイルにより、PyTorch コードを最適化されたカーネルに変換し、パフォーマンスを大幅に向上させることができます。

torch.compiler を使用する基本的な手順は以下の通りです。

  1. @torch.jit.compile デコレータでコンパイルしたいコードブロックをマークします。
  2. コードを実行します。
  3. コンパイルされたコードはキャッシュされ、次回同じコードが実行されるときに再利用されます。

torch.compiler の詳細については、以下のリソースを参照してください。

import torch

@torch.jit.compile
def my_function(x):
    return x + 1

x = torch.tensor(5)
y = my_function(x)
print(y)

この例では、my_function 関数は @torch.jit.compile デコレータでマークされているため、JIT コンパイルされます。この関数は x + 1 を計算し、結果を返します。

torch.compiler は、PyTorch コードのパフォーマンスを向上させるための強力なツールです。コード変更を最小限に抑えながら、パフォーマンスを向上させたい場合は、torch.compiler の使用を検討してください。

  • torch.compiler を使用する前に、公式ドキュメントをよく読んでください。
  • torch.compiler はまだ発展途上にあり、すべての機能がすべてのプラットフォームで利用できるわけではありません。


単純な関数

import torch

@torch.jit.compile
def add_one(x):
  return x + 1

x = torch.tensor(5)
y = add_one(x)
print(y)

この例では、add_one 関数は x + 1 を計算し、結果を返します。この関数は @torch.jit.compile デコレータでマークされているため、JIT コンパイルされます。

ループ

import torch

@torch.jit.compile
def loop_add(x):
  for i in range(10):
    x = x + 1
  return x

x = torch.tensor(5)
y = loop_add(x)
print(y)

この例では、loop_add 関数は x に 10 を加算します。この関数は @torch.jit.compile デコレータでマークされているため、JIT コンパイルされます。

条件分岐

import torch

@torch.jit.compile
def cond_add(x):
  if x < 0:
    x = -x
  return x + 1

x = torch.tensor(-5)
y = cond_add(x)
print(y)

この例では、cond_add 関数は x が 0 より小さい場合は符号を反転させ、1 を加算します。この関数は @torch.jit.compile デコレータでマークされているため、JIT コンパイルされます。

非 PyTorch 関数

import torch
import numpy as np

@torch.jit.compile
def my_np_function(x):
  return torch.from_numpy(np.sin(x.numpy()))

x = torch.tensor(np.pi)
y = my_np_function(x)
print(y)

この例では、my_np_function 関数は NumPy の sin 関数を使用して x の正弦波を計算し、結果を PyTorch テンソルに変換します。この関数は @torch.jit.compile デコレータでマークされているため、JIT コンパイルされます。

import torch

class MyModule(torch.nn.Module):
  def __init__(self):
    super().__init__()
    self.linear = torch.nn.Linear(1, 1)

  @torch.jit.compile
  def forward(self, x):
    return self.linear(x)

x = torch.tensor([5])
model = MyModule()
y = model(x)
print(y)


TorchScript

TorchScript は、PyTorch モデルを静的に分析し、最適化されたバイトコードに変換するツールです。 torch.compiler と同様に、TorchScript はモデルのパフォーマンスを向上させることができますが、torch.compiler ほど柔軟ではありません。 TorchScript は、Python コードと非 Python コードを処理できないためです。

ONNX

ONNX (Open Neural Network Exchange) は、機械学習モデルを表現するためのオープンフォーマットです。 ONNX を使用すると、PyTorch モデルを他のフレームワーク (TensorFlow、MXNet など) にエクスポートして実行できます。 ONNX は、torch.compiler や TorchScript ほどパフォーマンスが高くない場合がありますが、より多くのプラットフォームとフレームワークで移植性を提供します。

手動の最適化

  • NVIDIA Apex: NVIDIA Apex は、NVIDIA GPU 上で PyTorch モデルのパフォーマンスを向上させるために設計されたライブラリです。
  • AutoML: AutoML ライブラリは、モデルアーキテクチャとハイパーパラメータを自動的にチューニングすることで、モデルのパフォーマンスを向上させることができます。

最適な代替方法を選択するには、特定のニーズと要件を考慮する必要があります。

オプション利点欠点
torch.compiler高いパフォーマンス、柔軟性まだ発展途上
TorchScript安定性、移植性柔軟性に欠ける
ONNX移植性パフォーマンスが低い場合がある
手動の最適化高いパフォーマンス時間と労力が必要
AutoML簡単さモデルアーキテクチャの制御が制限される
NVIDIA Apex高いパフォーマンス (NVIDIA GPU 上)NVIDIA GPU にのみ対応