NumPy C-APIでiter_flagsを使いこなす:サンプルコード集
フラグビットの詳細
npy_uint32 iter_flags
は、以下のビットフラグで構成されています。
**ビット | フラグ名 | 説明** |
---|---|---|
0 | NPY_ITER_READONLY | イテレーション中に配列要素を変更しないことを示します。 |
1 | NPY_ITER_CONTIGUOUS | イテレーション順序が連続であることを示します。 |
2 | NPY_ITER_SIMPLED | イテレーション順序が単純であることを示します。 |
3 | NPY_ITER_NATIVE | ネイティブバイトオーダーを使用することを示します。 |
4 | NPY_ITER_NCONTIGUOUS | イテレーション順序が部分的に連続であることを示します。 |
5 | NPY_ITER_ALLOC | イテレーション中に必要なメモリを割り当てることを示します。 |
6 | NPY_ITER_COPY | イテレーション中に配列要素をコピーすることを示します。 |
7 | NPY_ITER_COORDS | イテレーション中に各要素の座標を提供することを示します。 |
8 | NPY_ITER_INDEX | イテレーション中に各要素のインデックスを提供することを示します。 |
9 | NPY_ITER_OVERLAP | イテレーション中に重複する要素が存在することを許可することを示します。 |
10 | NPY_ITER_SERIAL | イテレーションをシリアルモードで実行することを示します。 |
11 | NPY_ITER_FORTRAN | Fortran スタイルの順序でイテレーションすることを示します。 |
12 | NPY_ITER_REVERSE | イテレーション順序を逆にすることを示します。 |
13 | NPY_ITER_CONSERVE | 読み取り/書き込み操作を可能な限り保存することを示します。 |
14 | NPY_ITER_FILL | イテレーション中に未定義の要素を埋めることを示します。 |
15 | NPY_ITER_FIX_INDEXES | インデックスを固定することを示します。 |
これらのフラグビットは、ビット論理和 (OR) 演算子を使用して組み合わせることができます。
以下の例は、npy_uint32 iter_flags
を使用して nditer
イテレータオブジェクトの動作を制御する方法を示しています。
#include <numpy/ndarray.h>
int main() {
// 1D 整数配列を作成
npy_intp dims[] = {10};
npy_dtype *dtype = NPY_INT32;
ndarray *arr = PyArray_SimpleNewFromData(NDIM(dims), dims, dtype, NULL);
// イテレーションフラグを設定
npy_uint32 iter_flags = NPY_ITER_CONTIGUOUS | NPY_ITER_READONLY;
// nditer イテレータを作成
nditer_init(arr, NDIM(dims), iter_flags, NULL, NULL);
// イテレーションを実行
while (nditer_iternext(nditer)) {
npy_int32 *value = (npy_int32 *)nditer_dataptr(nditer);
printf("%d ", *value);
}
// イテレータを解放
nditer_cleanup(nditer);
// 配列を解放
Py_DECREF(arr);
return 0;
}
この例では、NPY_ITER_CONTIGUOUS
フラグを使用して、配列要素を連続的な順序でイテレーションします。また、NPY_ITER_READONLY
フラグを使用して、イテレーション中に配列要素を変更しないことを示します。
連続的な順序で読み取り専用イテレーション
#include <numpy/ndarray.h>
int main() {
// 1D 整数配列を作成
npy_intp dims[] = {10};
npy_dtype *dtype = NPY_INT32;
ndarray *arr = PyArray_SimpleNewFromData(NDIM(dims), dims, dtype, NULL);
// イテレーションフラグを設定
npy_uint32 iter_flags = NPY_ITER_CONTIGUOUS | NPY_ITER_READONLY;
// nditer イテレータを作成
nditer_init(arr, NDIM(dims), iter_flags, NULL, NULL);
// イテレーションを実行
while (nditer_iternext(nditer)) {
npy_int32 *value = (npy_int32 *)nditer_dataptr(nditer);
printf("%d ", *value);
}
// イテレータを解放
nditer_cleanup(nditer);
// 配列を解放
Py_DECREF(arr);
return 0;
}
このコードは、NPY_ITER_CONTIGUOUS
フラグと NPY_ITER_READONLY
フラグを使用して、1D 整数配列の要素を連続的な順序で読み取ります。
Fortran スタイル順序で書き込みイテレーション
#include <numpy/ndarray.h>
int main() {
// 2D 浮動小数点配列を作成
npy_intp dims[] = {2, 5};
npy_dtype *dtype = NPY_FLOAT64;
ndarray *arr = PyArray_SimpleNewFromData(NDIM(dims), dims, dtype, NULL);
// イテレーションフラグを設定
npy_uint32 iter_flags = NPY_ITER_FORTRAN | NPY_ITER_WRITEONLY;
// nditer イテレータを作成
nditer_init(arr, NDIM(dims), iter_flags, NULL, NULL);
// イテレーションを実行
while (nditer_iternext(nditer)) {
npy_float64 *value = (npy_float64 *)nditer_dataptr(nditer);
*value = *value * 2.0;
}
// イテレータを解放
nditer_cleanup(nditer);
// 配列を解放
Py_DECREF(arr);
return 0;
}
このコードは、NPY_ITER_FORTRAN
フラグと NPY_ITER_WRITEONLY
フラグを使用して、2D 浮動小数点配列の要素を Fortran スタイル順序で書き込みます。
#include <numpy/ndarray.h>
int main() {
// 3D 整数配列を作成
npy_intp dims[] = {3, 4, 5};
npy_dtype *dtype = NPY_INT32;
ndarray *arr = PyArray_SimpleNewFromData(NDIM(dims), dims, dtype, NULL);
// イテレーションフラグを設定
npy_uint32 iter_flags = NPY_ITER_COORDS | NPY_ITER_INDEX;
// nditer イテレータを作成
nditer_init(arr, NDIM(dims), iter_flags, NULL, NULL);
// イテレーションを実行
while (nditer_iternext(nditer)) {
npy_int32 *value = (npy_int32 *)nditer_dataptr(nditer);
npy_intp *coords = nditer_coordptr(nditer);
npy_intp *indices = nditer_indexptr(nditer);
printf("座標: (%d, %d, %d), インデックス: (%d, %d, %d), 値: %d\n",
coords[0], coords[1], coords[2],
indices[0], indices[1], indices[2],
*value);
}
//
しかし、状況によっては npy_uint32 iter_flags
を使用せずに、同等の処理を行う代替方法が存在します。以下では、いくつかの代替方法と、それぞれの特徴について説明します。
nditer_flags 関数
nditer_flags
関数は、npy_uint32 iter_flags
に相当するフラグビットマスクを生成する関数です。この関数を使用することで、個々のフラグを明示的に設定することができます。
#include <numpy/ndarray.h>
int main() {
// ... (配列の作成)
// イテレーションフラグを設定
npy_uint32 iter_flags = nditer_flags(NPY_ITER_CONTIGUOUS | NPY_ITER_READONLY);
// nditer イテレータを作成
nditer_init(arr, NDIM(dims), iter_flags, NULL, NULL);
// ... (イテレーション)
// ... (後処理)
return 0;
}
この例では、nditer_flags
関数を使用して、NPY_ITER_CONTIGUOUS
フラグと NPY_ITER_READONLY
フラグを組み合わせたフラグビットマスクを生成しています。
nditer_set_flags 関数
nditer_set_flags
関数は、既存の nditer
イテレータオブジェクトにフラグを設定する関数です。この関数を使用することで、イテレーションの開始後にフラグを変更することができます。
#include <numpy/ndarray.h>
int main() {
// ... (配列の作成)
// nditer イテレータを作成
nditer_init(arr, NDIM(dims), NPY_ITER_NONE, NULL, NULL);
// イテレーションフラグを設定
nditer_set_flags(nditer, NPY_ITER_CONTIGUOUS | NPY_ITER_READONLY);
// ... (イテレーション)
// ... (後処理)
return 0;
}
この例では、nditer_set_flags
関数を使用して、nditer
イテレータオブジェクトに NPY_ITER_CONTIGUOUS
フラグと NPY_ITER_READONLY
フラグを設定しています。
PyArray_IterNew
関数は、NumPy 配列をイテレートするための別の方法を提供する関数です。この関数は、npy_uint32 iter_flags
を直接使用せず、イテレーションに関する様々なオプションを設定することができます。
#include <numpy/ndarray.h>
int main() {
// ... (配列の作成)
// イテレータを作成
PyArrayIter *iter = PyArray_IterNew(arr, NPY_ITER_ORDER_C | NPY_ITER_READONLY);
// イテレーションを実行
while (PyArray_IterNext(iter)) {
npy_int32 *value = (npy_int32 *)PyArray_IterGetPtr(iter);
printf("%d ", *value);
}
// イテレータを解放
PyArray_IterFree(iter);
// ... (後処理)
return 0;
}
この例では、PyArray_IterNew
関数を使用して、NPY_ITER_ORDER_C
オプション (連続順序) と NPY_ITER_READONLY
オプション (読み取り専用) を設定したイテレータを作成しています。
上記以外にも、状況に応じて様々な代替方法が存在します。例えば、特定の順序でイテレーションを行う場合は、for
ループや while
ループを使用して直接インデックスを操作する方法も考えられます。
npy_uint32 iter_flags
は、nditer
イテレータオブジェクトの動作を制御する強力なツールですが、状況によってはより柔軟性のある代替方法が適している場合があります。