NumPyでイテレータを操る:NumPy C-API「void PyArray_ITER_RESET()」のしくみと使い方
この関数の詳細な説明は以下の通りです。
関数名
PyArray_ITER_RESET()
引数
iter
: リセットする必要があるイテレータ。これは、PyArray_IterNew()
関数によって返されるポインタである必要があります。
戻り値
なし
詳細
PyArray_ITER_RESET()
関数は、スレッドセーフではありません。複数のスレッドから同じイテレータにアクセスする場合は、適切な同期メカニズムを使用する必要があります。- この関数は、イテレーション中にエラーが発生した場合、またはイテレータが別の配列に再割り当てされた場合に呼び出す必要があります。
PyArray_ITER_RESET()
関数は、イテレータの状態を初期化し、次のPyArray_IterNext()
呼び出しで処理される要素を最初の要素に設定します。
例
PyArrayIter *iter;
npy_intp NPY_ITER_PASS_ORDER order = NPY_ITER_CORDER;
iter = PyArray_IterNew(array, order);
if (iter == NULL) {
PyErr_SetString(PyExc_MemoryError, "Failed to allocate iterator.");
return NULL;
}
// イテレーションを実行する
PyArray_ITER_RESET(iter);
while (PyArray_IterNext(iter)) {
// 現在の要素を処理する
}
PyArray_IterFree(iter);
この例では、PyArray_IterNew()
関数を使用して配列 array
のイテレータを作成し、PyArray_ITER_RESET()
関数を使用してイテレータをリセットします。次に、PyArray_IterNext()
関数を使用してイテレーションを実行し、現在の要素を処理します。最後に、PyArray_IterFree()
関数を使用してイテレータを解放します。
#include <numpy/arrayobject.h>
int main() {
PyArrayIter *iter;
npy_intp NPY_ITER_PASS_ORDER order = NPY_ITER_CORDER;
int i;
// 2次元の NumPy 配列を作成する
npy_intp dims[] = {2, 3};
PyArray *array = PyArray_SimpleNew(2, dims, NPY_INT32);
if (array == NULL) {
PyErr_SetString(PyExc_MemoryError, "Failed to allocate array.");
return 1;
}
// 配列の要素に値を設定する
for (i = 0; i < 6; i++) {
((int *)PyArray_BYTES(array))[i] = i + 1;
}
// イテレータを作成する
iter = PyArray_IterNew(array, order);
if (iter == NULL) {
PyErr_SetString(PyExc_MemoryError, "Failed to allocate iterator.");
Py_DECREF(array);
return 1;
}
// イテレーションを実行する
printf("イテレーション開始:\n");
while (PyArray_IterNext(iter)) {
printf("%d ", *((int *)PyArray_ITER_DATA(iter)));
}
printf("\n");
// イテレータをリセットする
PyArray_ITER_RESET(iter);
// 再度イテレーションを実行する
printf("リセット後のイテレーション:\n");
while (PyArray_IterNext(iter)) {
printf("%d ", *((int *)PyArray_ITER_DATA(iter)));
}
printf("\n");
// イテレータを解放する
PyArray_IterFree(iter);
// 配列を解放する
Py_DECREF(array);
return 0;
}
このコードは以下の動作を行います。
- 2次元の NumPy 配列
array
を作成します。 - 配列の要素に値を設定します。
- イテレータを作成し、イテレーションを実行します。
- イテレータをリセットします。
- 再度イテレーションを実行します。
- イテレータを解放します。
- 配列を解放します。
- スレッドセーフではありません。複数のスレッドから同じイテレータにアクセスする場合は、適切な同期メカニズムを使用する必要があります。
これらの欠点を回避するために、PyArray_ITER_RESET()
関数の代替方法を使用することができます。
代替方法 1: PyArray_IterSeek()
関数を使用する
PyArray_IterSeek()
関数は、イテレータの位置を指定したインデックスに設定するために使用されます。この関数は、イテレータの状態を完全に初期化せずに、イテレータをリセットするために使用することができます。
PyArrayIter *iter;
npy_intp NPY_ITER_PASS_ORDER order = NPY_ITER_CORDER;
npy_intp index = 0;
iter = PyArray_IterNew(array, order);
if (iter == NULL) {
PyErr_SetString(PyExc_MemoryError, "Failed to allocate iterator.");
return NULL;
}
// イテレーションを実行する
PyArray_IterSeek(iter, index);
while (PyArray_IterNext(iter)) {
// 現在の要素を処理する
}
PyArray_IterFree(iter);
この例では、PyArray_IterSeek()
関数を使用して、イテレータの位置を最初の要素に設定します。その後、PyArray_IterNext()
関数を使用してイテレーションを実行します。
代替方法 2: 新しいイテレータを作成する
新しいイテレータを作成することは、PyArray_ITER_RESET()
関数の最も単純な代替方法です。この方法は、イテレータの状態を完全に初期化します。
PyArrayIter *iter1, *iter2;
npy_intp NPY_ITER_PASS_ORDER order = NPY_ITER_CORDER;
iter1 = PyArray_IterNew(array, order);
if (iter1 == NULL) {
PyErr_SetString(PyExc_MemoryError, "Failed to allocate iterator.");
return NULL;
}
// イテレーションを実行する
// ...
PyArray_IterFree(iter1);
iter2 = PyArray_IterNew(array, order);
if (iter2 == NULL) {
PyErr_SetString(PyExc_MemoryError, "Failed to allocate iterator.");
return NULL;
}
// 再度イテレーションを実行する
// ...
PyArray_IterFree(iter2);
この例では、2 つのイテレータを作成します。最初のイテレータを使用してイテレーションを実行し、2 番目のイテレータを使用して再度イテレーションを実行します。
PyArray_ITER_RESET()
関数の代替方法はいくつかあります。それぞれの方法には長所と短所があるため、状況に応じて適切な方法を選択する必要があります。
- 最も単純な方法が必要な場合は、新しいイテレータを作成します。