NumPy C-API: `NPY_ARRAY_ELEMENTSTRIDES` の詳細な解説


NPY_ARRAY_ELEMENTSTRIDES は、NumPy C-API において、多次元配列の各要素間のバイト数間隔を表現する重要な属性です。これは、配列のメモリレイアウトと要素へのアクセス方法を理解する上で不可欠な情報となります。

詳細

NPY_ARRAY_ELEMENTSTRIDES は、npy_intp 型の配列であり、その長さは配列の次元数に等しいです。各要素は、対応する次元における要素間のバイト数間隔を表します。

2次元配列 arr を例に説明します。

npy_intp ndims = 2;
npy_intp strides[ndims];

// 各次元における要素間のバイト数間隔を取得
strides[0] = NPY_STRIDES(arr, 0);
strides[1] = NPY_STRIDES(arr, 1);

この場合、strides[0] は、1行分の要素間のバイト数間隔を表し、strides[1] は、1列分の要素間のバイト数間隔を表します。

応用例

NPY_ARRAY_ELEMENTSTRIDES は、以下のような様々な場面で役立ちます。

  • メモリレイアウトの変換
    行優先レイアウトから列優先レイアウトへ変換する場合、NPY_ARRAY_ELEMENTSTRIDES を用いて適切な新しいストライド値を計算する必要があります。
  • 連続メモリ領域の確認
    連続メモリ領域に格納されているかどうかを確認するために、NPY_ARRAY_ELEMENTSTRIDES を用いて各次元の要素間のバイト数間隔がすべて等しいかどうかを確認できます。
  • 配列要素への直接アクセス
    メモリポインタを用いて配列要素に直接アクセスする場合、NPY_ARRAY_ELEMENTSTRIDES を用いて適切なオフセットを計算する必要があります。
  • NPY_ARRAY_ELEMENTSTRIDES は、配列のスライスやコピー操作によって変更される可能性があります。
  • NPY_ARRAY_ELEMENTSTRIDES は、配列の flags 属性 NPY_ARRAY_C_CONTIGUOUS または NPY_ARRAY_F_CONTIGUOUS が設定されている場合、常に予測可能な値となります。


#include <numpy/ndarray.h>

int main() {
  // 2次元配列の作成
  npy_intp ndims = 2;
  npy_intp shape[ndims] = {5, 3};
  PyObject *arr = PyArray_SimpleNew(ndims, shape, NPY_DOUBLE);

  // 各次元における要素間のバイト数間隔を取得
  npy_intp strides[ndims];
  NPY_ARRAY_GET_STRIDES(arr, strides);

  // メモリポインタを用いて要素に直接アクセス
  double *data = (double *)PyArray_DATA(arr);
  for (int i = 0; i < shape[0]; i++) {
    for (int j = 0; j < shape[1]; j++) {
      // 要素へのアクセス
      double value = data[i * strides[0] + j * strides[1]];
      printf("arr[%d, %d] = %f\n", i, j, value);
    }
  }

  // 配列の解放
  Py_DECREF(arr);

  return 0;
}

このコードは以下の動作をします。

  1. 2次元配列 arr を作成します。
  2. 各次元における要素間のバイト数間隔を strides 配列に取得します。
  3. メモリポインタ data を用いて arr の要素に直接アクセスします。
  4. 各要素の値を出力します。
  5. 配列 arr を解放します。
  • メモリポインタを用いて配列要素に直接アクセスする際は、配列の境界範囲を超えないように注意する必要があります。
  • このコードはあくまでも例であり、実際の用途に合わせて変更する必要があります。


代替方法

    • 特定の次元における要素間のバイト数間隔を取得できます。
    • コード例:
    npy_intp stride = PyArray_GetStride(arr, dim);
    
  1. PyArray_IterNew() 関数

    • 配列の各要素を順番にイテレーションする際に、現在の要素へのポインタを取得できます。
    • コード例:
    PyArrayIter *iter = PyArray_IterNew(arr);
    while (PyArray_IterNext(iter)) {
      double *data = (double *)PyArray_Iter_DATA(iter);
      // 要素へのアクセス
      double value = *data;
      printf("value = %f\n", value);
    }
    PyArray_Iter_Dealloc(iter);
    
  2. PyArray_Broadcast() 関数

    • 異なる形状の配列をブロードキャストする場合、ブロードキャスト後の配列の NPY_ARRAY_ELEMENTSTRIDES を計算できます。
    • コード例:
    PyObject *arr1 = PyArray_SimpleNew(1, shape1, NPY_DOUBLE);
    PyObject *arr2 = PyArray_SimpleNew(1, shape2, NPY_DOUBLE);
    PyObject *broadcasted_arr = PyArray_Broadcast(arr1, arr2);
    
    npy_intp strides[PyArray_NDIM(broadcasted_arr)];
    NPY_ARRAY_GET_STRIDES(broadcasted_arr, strides);
    
    // ブロードキャスト後の配列の要素間のバイト数間隔が `strides` に格納されます
    

注意事項

  • 異なる形状の配列をブロードキャストする必要がある場合は、PyArray_Broadcast() 関数と併用して NPY_ARRAY_ELEMENTSTRIDES を計算する必要があります。
  • 配列の各要素を順番にイテレーションする必要がある場合は、PyArray_IterNew() 関数が最も自然な方法です。
  • 特定の次元における要素間のバイト数間隔のみが必要な場合は、PyArray_GetStride() 関数が最も効率的な方法です。
  • 上記の代替方法は、状況によっては NPY_ARRAY_ELEMENTSTRIDES よりも効率が劣る場合があります。