Node.js 非同期処理：dns.resolveNs() と Promise/async/await の連携

2025-05-27

機能

具体的には、dns.resolveNs() を呼び出すと、DNS サーバーに対してクエリが送信され、指定されたホスト名の権威ネームサーバーのリストが返されます。これらのネームサーバーは、そのドメインに関する DNS 情報を管理しているサーバーです。

構文

dns.resolveNs(hostname, callback)

callback: 非同期処理の結果を受け取るためのコールバック関数です。このコールバック関数は、以下の2つの引数を受け取ります。
- err: エラーオブジェクト。エラーが発生しなかった場合は null になります。
- addresses: ホスト名に関連付けられたネームサーバーのホスト名の配列。各要素は文字列です（例: ['ns1.example.com', 'ns2.example.net']）。
hostname: 解決したいホスト名（例: 'example.com'）。文字列で指定します。

動作

dns.resolveNs() が呼び出されると、Node.js はバックグラウンドで DNS サーバーに対して、指定された hostname の NS レコードを問い合わせるリクエストを送信します。
DNS サーバーからの応答を受信すると、Node.js はその結果を callback 関数に渡します。
もし DNS の解決に成功した場合、err は null となり、addresses にはネームサーバーのホスト名の配列が格納されます。

使用例

const dns = require('node:dns');

const hostname = 'google.com';

dns.resolveNs(hostname, (err, addresses) => {
  if (err) {
    console.error(`NS レコードの解決に失敗しました: ${err}`);
    return;
  }
  console.log(`${hostname} のネームサーバー:`);
  addresses.forEach((address) => {
    console.log(`- ${address}`);
  });
});

console.log('NS レコードの解決をリクエストしました...');

この例では、google.com のネームサーバーを dns.resolveNs() を使って非同期的に解決し、その結果をコンソールに出力しています。コールバック関数は、DNS クエリが完了した後に実行されます。

Node.js の dns モジュールには、他の DNS レコードタイプ（A、MX、TXT など）を解決するための関数も用意されています。dns.resolveNs() は、特にネームサーバー情報を取得したい場合に利用します。
dns.resolveNs() は非同期処理であるため、呼び出し元のコードは DNS クエリの完了を待たずに次の処理に進みます。結果はコールバック関数を通じて通知されます。

一般的なエラー

- 原因
  指定された hostname が存在しないか、DNS サーバーが見つからない場合に発生します。ネットワーク接続の問題や、DNS サーバーの設定ミスなども考えられます。
- トラブルシューティング
  - 指定したホスト名が正しいかどうか再度確認してください。スペルミスやタイプミスがないか注意が必要です。
  - インターネット接続が正常に機能しているか確認してください。他のウェブサイトにアクセスできるか試してみましょう。
  - 使用している DNS サーバーが正しく設定されているか確認してください。ルーターの設定やネットワーク設定を確認する必要があります。
  - 一時的な DNS サーバーの問題である可能性もあります。しばらく時間をおいて再度試してみてください。
  - 他の DNS 解決ツール（例: ping <hostname>、nslookup <hostname> コマンドなど）を使って、同じホスト名が解決できるか確認してみるのも有効です。もし他のツールでも解決できない場合は、ホスト名自体に問題がある可能性が高いです。
Error: getaddrinfo EAI_NODATA <hostname> (または同様のエラー)
- 原因
  指定された hostname は存在するものの、NS レコードが存在しない場合に発生します。
- トラブルシューティング
  - ホスト名が正しいことを確認してください。
  - そのドメインが正しく登録されており、NS レコードが設定されているかを確認する必要があります。ドメイン登録業者や DNS ホスティングサービスの管理画面などを確認してください。
  - DNS 情報の伝播には時間がかかる場合があります。最近 NS レコードを変更した場合、しばらく待ってから再度試してみてください。
Error: Timeout (タイムアウト)
- 原因
  DNS サーバーへの接続がタイムアウトした場合に発生します。ネットワークの遅延、ファイアウォールの設定、DNS サーバーの応答遅延などが考えられます。
- トラブルシューティング
  - インターネット接続が安定しているか確認してください。
  - ファイアウォールが DNS (通常は UDP/TCP ポート 53) の通信をブロックしていないか確認してください。
  - 別の DNS サーバーを試してみるのも有効です。（例: Google Public DNS (8.8.8.8, 8.8.4.4) や Cloudflare DNS (1.1.1.1) など）Node.js の dns モジュールでは、サーバーを指定するオプションはありませんが、システム全体の DNS 設定を変更することで影響を与えられます。
  - ネットワーク環境に問題がないか（ルーターの再起動など）確認してください。
コールバック関数が呼ばれない
- 原因
  何らかの理由で dns.resolveNs() の処理が完了せず、コールバック関数が実行されない場合があります。ネットワークの不安定さや、Node.js の内部的なエラーなどが考えられます。
- トラブルシューティング
  - より堅牢なエラーハンドリングを追加し、予期せぬエラーが発生した場合にログを出力するようにしてください。
  - Node.js のバージョンを最新の安定版にアップデートしてみるのも有効かもしれません。
  - ネットワークの状態を監視し、不安定な状況がないか確認してください。

トラブルシューティングの一般的なヒント

ログ出力を活用する
エラーが発生した際に、関連する情報をログに出力するようにしておくと、問題の原因特定に役立ちます。
エラーハンドリングを実装する
try...catch ブロックや、コールバック関数の err 引数を適切に処理することで、エラー発生時の挙動を制御し、デバッグに役立つ情報を得ることができます。
シンプルなホスト名でテストする
まずは google.com のような、一般的に安定しているホスト名でテストし、問題が特定のホスト名に依存するのかどうかを確認します。
他の DNS ツールを試す
ping、nslookup、dig などのコマンドラインツールを使用して、DNS の解決状況を अलगに確認してみることで、問題の切り分けに役立ちます。
ネットワーク接続を確認する
DNS 解決はネットワークに依存するため、インターネット接続が正常であることを確認してください。
エラーメッセージをよく読む
エラーメッセージには、問題の原因に関する重要な情報が含まれています。

基本的な使用例

これは、指定されたホスト名のネームサーバーを取得し、コンソールに出力する基本的な例です。

const dns = require('node:dns');

const hostname = 'example.com';

dns.resolveNs(hostname, (err, addresses) => {
  if (err) {
    console.error(`[エラー] ${hostname} の NS レコード解決に失敗しました:`, err);
    return;
  }
  console.log(`${hostname} のネームサーバー:`);
  addresses.forEach((address) => {
    console.log(`- ${address}`);
  });
});

console.log(`${hostname} の NS レコード解決を試行中...`);

解説

require('node:dns'): dns モジュールをロードします。
hostname: 解決したいホスト名を文字列で定義します。
dns.resolveNs(hostname, (err, addresses) => { ... });: dns.resolveNs() 関数を呼び出し、ホスト名とコールバック関数を渡します。
コールバック関数:
- err: エラーが発生した場合、この引数にエラーオブジェクトが渡されます。エラーがない場合は null になります。
- addresses: DNS 解決に成功した場合、ネームサーバーのホスト名を含む配列がこの引数に渡されます。
エラーハンドリング (if (err) { ... }): エラーが発生した場合、エラーメッセージをコンソールに出力して処理を終了します。
成功時の処理 (addresses.forEach(...)): addresses 配列の各要素（ネームサーバーのホスト名）をコンソールに出力します。
console.log(...): 非同期処理が開始されたことを示すメッセージを最初に表示します。

複数のホスト名を処理する例

const dns = require('node:dns');

const hostnames = ['google.com', 'facebook.com', 'invalid-domain-example'];

hostnames.forEach((hostname) => {
  dns.resolveNs(hostname, (err, addresses) => {
    console.log(`\n${hostname} の NS レコード:`);
    if (err) {
      console.error(`  [エラー] 解決に失敗しました:`, err.message);
      return;
    }
    addresses.forEach((address) => {
      console.log(`  - ${address}`);
    });
  });
  console.log(`  ${hostname} の NS レコード解決を試行中...`);
});

解説

hostnames: 解決したいホスト名の配列を定義します。
hostnames.forEach(...): 配列内の各ホスト名に対して dns.resolveNs() を呼び出します。
各ホスト名ごとの処理結果を分かりやすくするために、ホスト名を出力しています。
エラーが発生した場合、エラーメッセージのみを出力します。

Promise を使用した例 (async/await)

dns.promises.resolveNs() を使用して、Promise ベースの非同期処理を行う例です。async/await を使うことで、非同期処理を同期的なコードのように記述できます。

const dns = require('node:dns').promises;

async function resolveNameServers(hostname) {
  try {
    const addresses = await dns.resolveNs(hostname);
    console.log(`${hostname} のネームサーバー:`);
    addresses.forEach((address) => {
      console.log(`- ${address}`);
    });
  } catch (err) {
    console.error(`[エラー] ${hostname} の NS レコード解決に失敗しました:`, err.message);
  }
}

const hostnames = ['twitter.com', 'youtube.com', 'another-invalid-domain'];

hostnames.forEach(async (hostname) => {
  console.log(`${hostname} の NS レコード解決を開始...`);
  await resolveNameServers(hostname);
});

const dns = require('node:dns').promises;: dns.promises API を使用します。これにより、Promise を返す resolveNs() が利用できます。
async function resolveNameServers(hostname) { ... }: 非同期関数を定義します。
try...catch: エラーハンドリングを行います。Promise が reject された場合、catch ブロック内の処理が実行されます。
await dns.resolveNs(hostname);: Promise が解決されるまで処理を一時停止し、結果を addresses に格納します。
hostnames.forEach(async (hostname) => { ... });: 配列内の各ホスト名に対して非同期関数 resolveNameServers を呼び出します。forEach 内で await を使用するため、コールバック関数を async として定義する必要があります。

dns.resolve() を使用して NS レコードを指定する

dns.resolve() 関数は、指定されたホスト名とレコードタイプに基づいて DNS クエリを実行できます。NS レコードを明示的に指定することで、dns.resolveNs() と同様の情報を取得できます。

const dns = require('node:dns');

const hostname = 'example.com';

dns.resolve(hostname, 'NS', (err, addresses) => {
  if (err) {
    console.error(`[エラー] ${hostname} の NS レコード解決に失敗しました:`, err);
    return;
  }
  console.log(`${hostname} のネームサーバー (dns.resolve):`);
  addresses.forEach((address) => {
    console.log(`- ${address}`);
  });
});

console.log(`${hostname} の NS レコード解決を試行中 (dns.resolve)...`);

解説

コールバック関数の addresses は、ネームサーバーのホスト名を含む配列として返されます。
dns.resolve(hostname, 'NS', callback) のように、第二引数に 'NS' を指定することで、NS レコードのクエリを実行できます。

利点

他のレコードタイプ（MX、TXT など）を取得する際にも同じ関数を使用できるため、一貫性があります。
標準モジュールのみで完結します。

欠点

dns.resolveNs() ほど意味が明確ではありません。

Promise ベースの dns.promises.resolve() を使用する

dns.promises.resolve() を使用すると、async/await 構文を利用してより簡潔に非同期処理を記述できます。

const dns = require('node:dns').promises;

async function resolveNameServersWithPromise(hostname) {
  try {
    const addresses = await dns.resolve(hostname, 'NS');
    console.log(`${hostname} のネームサーバー (Promise):`);
    addresses.forEach((address) => {
      console.log(`- ${address}`);
    });
  } catch (err) {
    console.error(`[エラー] ${hostname} の NS レコード解決に失敗しました (Promise):`, err.message);
  }
}

const hostname = 'google.com';
resolveNameServersWithPromise(hostname);

解説

await dns.resolve(hostname, 'NS') で、NS レコードの解決を非同期的に待ち、結果を addresses に格納します。

利点

エラーハンドリングが try...catch でより直感的に記述できます。
async/await による可読性の向上。

欠点

標準モジュールのみで完結しますが、Promise ベースの API を使用します。

第三者 DNS クライアントライブラリの使用

Node.js のエコシステムには、より高度な機能や柔軟性を提供するサードパーティの DNS クライアントライブラリが存在します。これらのライブラリは、標準の dns モジュールよりも詳細な制御や、異なる DNS プロトコル（例: DNS-over-HTTPS, DNS-over-TLS）のサポートを提供することがあります。

node-dig-dns
dig コマンドの機能をプログラムから利用できるライブラリです。
dns2
高機能な非同期 DNS クライアントライブラリで、様々な DNS レコードタイプやオプションをサポートしています。

以下は dns2 を使用して NS レコードを取得する例です。

const dns2 = require('dns2');
const { Resolver } = dns2;

const resolver = new Resolver();
const hostname = 'cloudflare.com';

async function resolveNameServersWithDns2(hostname) {
  try {
    const response = await resolver.resolve(hostname, 'NS');
    console.log(`${hostname} のネームサーバー (dns2):`);
    response.answers.forEach((answer) => {
      if (answer.type === dns2.Packet.TYPE.NS) {
        console.log(`- ${answer.data}`);
      }
    });
  } catch (err) {
    console.error(`[エラー] ${hostname} の NS レコード解決に失敗しました (dns2):`, err);
  }
}

resolveNameServersWithDns2(hostname);

解説

resolver.resolve(hostname, 'NS') は Promise を返します。
Resolver クラスを使用して DNS クエリを実行します。
dns2 ライブラリをインストールする必要があります (npm install dns2).

利点

高度な機能（タイムアウト設定、リトライなど）を利用できる場合があります。
異なる DNS プロトコルのサポート。
より詳細な DNS クエリの制御が可能。

欠点

標準モジュールよりも学習コストが高い可能性があります。
外部ライブラリへの依存が発生します。

外部 DNS 解決 API の利用

Node.js アプリケーションが直接 DNS クエリを実行するのではなく、HTTP 経由で DNS 解決サービスを提供する外部 API を利用する方法もあります。

Cloudflare DNS Resolver API
同様の API を提供しています。
Google Public DNS API
https://dns.google/resolve?name=<hostname>&type=NS のようなエンドポイントにリクエストを送信することで、JSON 形式で DNS レコードを取得できます。

以下は node-fetch を使用して Google Public DNS API から NS レコードを取得する例です。

const fetch = require('node-fetch');

async function resolveNameServersWithApi(hostname) {
  const apiUrl = `https://dns.google/resolve?name=${hostname}&type=NS`;
  try {
    const response = await fetch(apiUrl);
    const data = await response.json();
    if (data.Answer) {
      console.log(`${hostname} のネームサーバー (API):`);
      data.Answer.forEach((record) => {
        if (record.type === 2) { // NS レコードのタイプコードは 2
          console.log(`- ${record.data}`);
        }
      });
    } else {
      console.error(`[エラー] ${hostname} の NS レコードが見つかりませんでした (API):`, data);
    }
  } catch (err) {
    console.error(`[エラー] DNS API の呼び出しに失敗しました:`, err);
  }
}

const hostname = 'amazon.com';
resolveNameServersWithApi(hostname);

解説

Google Public DNS API のエンドポイントにホスト名とレコードタイプを指定して GET リクエストを送信します。
node-fetch ライブラリをインストールする必要があります (npm install node-fetch).

利点

異なるプログラミング言語や環境からも利用しやすい。
Node.js アプリケーションが直接 DNS サーバーにアクセスする必要がないため、ネットワーク構成によっては有効な場合があります。

API のレスポンス形式を理解し、適切に処理する必要があります。
API の利用制限やレイテンシを考慮する必要があります。
外部サービスへの依存が発生します。

Node.js dns.lookupService()とは？日本語解説とプログラミング例

callback (Function): 非同期処理が完了した後に呼び出されるコールバック関数です。このコールバック関数は3つの引数を受け取ります。 err (Error | null): エラーが発生した場合、エラーオブジェクトが渡されます。成功した場合は null が渡されます。 hostname (string): IPアドレスに対応するホスト名です。逆引きに失敗した場合や情報がない場合は、IPアドレスがそのまま返されることがあります。 service (string): ポート番号に対応するサービス名です。例えば、ポート 80 なら 'http'、ポート 443 なら 'https' のような文字列が返されます。サービス名が特定できない場合は、ポート番号が文字列として返されることがあります。