【初心者向け】Node.js getDefaultResultOrder() を使ったDNSプログラミング入門
dnsPromises.getDefaultResultOrder() は、Node.jsの dns.promises API に含まれるメソッドの一つです。このメソッドは、名前解決（DNSルックアップ）の結果が返される際のデフォルトの順序を文字列で返します。
具体的には、このメソッドが返す文字列は以下のいずれかの値を持ちます。
'verbatim'：DNSサーバーから返された順序そのままの結果が返されることを示します。'ipv4first'：IPv4アドレスがIPv6アドレスよりも先に結果として返されることを示します。
このメソッドの役割と重要性
通常、Node.jsがホスト名をIPアドレスに解決する際、どのIPアドレスを優先的に使用するかは、オペレーティングシステムの設定やネットワーク環境によって影響を受けます。dnsPromises.getDefaultResultOrder() を使用することで、Node.jsのデフォルト設定がどちらになっているのかをプログラムから確認できます。
使用例
const dns = require('node:dns').promises;
async function checkDefaultOrder() {
const defaultOrder = await dns.getDefaultResultOrder();
console.log(`デフォルトの結果順序: ${defaultOrder}`);
}
checkDefaultOrder();
このコードを実行すると、現在のNode.js環境におけるデフォルトのDNSルックアップ結果の順序（'ipv4first' または 'verbatim'）がコンソールに出力されます。
- デフォルトの順序は、ネットワークの構成やアプリケーションの要件に応じて重要になる場合があります。例えば、特定のネットワーク環境ではIPv4を優先したい場合や、DNSラウンドロビンによる負荷分散の効果を最大限に活かしたい場合に、この設定が考慮されることがあります。
dnsPromises.setDefaultResultOrder(order)メソッドを使用すると、プログラム内でこのデフォルトの順序を'ipv4first'または'verbatim'に変更できます。ただし、この変更は現在のNode.jsプロセス内でのみ有効です。
dnsPromises.getDefaultResultOrder() 自体は、設定を取得するだけのメソッドなので、直接的なエラーが発生することはほとんどありません。しかし、このメソッドの結果を誤って解釈したり、関連するDNS設定やネットワーク環境に問題があった場合に、意図しない動作やトラブルに繋がる可能性があります。
以下に、関連する可能性のある一般的な状況とトラブルシューティングの考え方を説明します。
メソッドの呼び出し間違い
- トラブルシューティング
ドキュメントを確認し、正しいメソッド名 (dns.promises.getDefaultResultOrder()) を使用しているか確認してください。 - 状況
Node.jsのバージョンによっては、コールバックベースのdns.getDefaultResultOrderが存在しますが、PromiseベースのAPIを使用する場合はdns.promises経由で呼び出す必要があります。 - エラー
dns.promises.getDefaultResultOrderをdns.getDefaultResultOrderのように、promisesプロパティなしで呼び出してしまう。
結果の誤解釈
- トラブルシューティング
返り値の意味を正確に理解するために、Node.jsのドキュメントを再度確認してください。 - 状況
例えば、'ipv4first'が返ってきた場合に、IPv4アドレスしか返ってこないと誤解してしまうなど。実際には、IPv4アドレスが優先的に返されるだけで、IPv6アドレスも結果に含まれる可能性があります。 - エラー
返り値である文字列'ipv4first'や'verbatim'の意味を正しく理解していない。
dnsPromises.setDefaultResultOrder() との関連での問題
- トラブルシューティング
setDefaultResultOrder()の呼び出しタイミングと、DNSルックアップ処理の実行順序を確認してください。設定変更後にルックアップを実行する必要があります。- 複数の場所で設定を変更していないか確認し、意図した設定になっているかログ出力などで確認してください。
- オペレーティングシステムやネットワーク固有のDNS設定について調査してみてください（通常はNode.jsの設定が優先されますが、特殊な環境では影響を受ける可能性があります）。
- 状況
- 設定の変更が、その後のDNSルックアップ処理に反映されていない。
- 複数の箇所で
setDefaultResultOrder()を呼び出しており、意図しない順序になっている。 - オペレーティングシステムやネットワーク環境の設定が優先され、Node.jsの設定が影響を与えない場合がある（稀なケース）。
- エラー
dnsPromises.setDefaultResultOrder()で設定を変更したにもかかわらず、期待通りの結果が得られない。
- トラブルシューティング
pingコマンドなどでネットワーク接続を確認してください。- 別のDNSサーバーを使用してみる（例: Google Public DNS の
8.8.8.8や Cloudflare DNS の1.1.1.1など）。 - ファイアウォールの設定を確認してください。
nslookupやdigなどのDNS診断ツールを使用して、DNSサーバーの応答を確認してください。
- 状況
- DNSサーバーが応答しない、または不正な応答を返す。
- ネットワーク接続に問題がある。
- ファイアウォールがDNSクエリをブロックしている。
- エラー
dnsPromises.lookup()や他のDNS関連APIの呼び出しでエラーが発生し、getDefaultResultOrder()の結果とは直接関係がない。
例1: デフォルトの結果順序を確認する
これは最も基本的な例です。プログラムの起動時に現在のデフォルトの結果順序を出力します。
const dns = require('node:dns').promises;
async function checkDefaultOrder() {
try {
const defaultOrder = await dns.getDefaultResultOrder();
console.log(`現在のデフォルトの結果順序: ${defaultOrder}`);
} catch (err) {
console.error('デフォルトの結果順序の取得に失敗しました:', err);
}
}
checkDefaultOrder();
このコードを実行すると、コンソールに 'ipv4first' または 'verbatim' のいずれかが表示されます。
例2: デフォルトの結果順序に基づいて処理を分岐する
デフォルトの順序が 'ipv4first' か 'verbatim' かによって、後続の処理を切り替える例です。
const dns = require('node:dns').promises;
async function handleDnsResolution() {
try {
const defaultOrder = await dns.getDefaultResultOrder();
console.log(`現在のデフォルトの結果順序: ${defaultOrder}`);
if (defaultOrder === 'ipv4first') {
console.log('IPv4アドレスが優先されます。');
// IPv4を優先する処理
} else if (defaultOrder === 'verbatim') {
console.log('DNSサーバーからの応答順序がそのまま使用されます。');
// 応答順序をそのまま利用する処理
}
} catch (err) {
console.error('DNS処理中にエラーが発生しました:', err);
}
}
handleDnsResolution();
この例では、デフォルトの順序に応じて異なるメッセージを表示しています。実際には、この情報に基づいてネットワーク接続の試行順序などを制御する可能性があります。
例3: デフォルトの結果順序を変更し、確認する
dnsPromises.setDefaultResultOrder() を使用してデフォルトの順序を変更し、その結果を getDefaultResultOrder() で確認する例です。
const dns = require('node:dns').promises;
async function changeAndCheckOrder() {
try {
console.log('--- 初期状態 ---');
let currentOrder = await dns.getDefaultResultOrder();
console.log(`デフォルトの結果順序: ${currentOrder}`);
console.log('\n--- \'verbatim\' に変更 ---');
dns.setDefaultResultOrder('verbatim');
currentOrder = await dns.getDefaultResultOrder();
console.log(`デフォルトの結果順序: ${currentOrder}`);
console.log('\n--- \'ipv4first\' に戻す ---');
dns.setDefaultResultOrder('ipv4first');
currentOrder = await dns.getDefaultResultOrder();
console.log(`デフォルトの結果順序: ${currentOrder}`);
} catch (err) {
console.error('DNS処理中にエラーが発生しました:', err);
}
}
changeAndCheckOrder();
このコードを実行すると、デフォルトの順序が変更され、その変更が getDefaultResultOrder() で確認できることがわかります。ただし、setDefaultResultOrder() の変更はそのNode.jsプロセス内でのみ有効であることに注意してください。
例4: lookup() での結果順序への影響を確認する (間接的な例)
getDefaultResultOrder() は直接DNSルックアップの結果を制御するわけではありませんが、デフォルトの順序設定は dnsPromises.lookup() などの挙動に影響を与える可能性があります。以下の例は、設定を変更した後に lookup() を実行し、返ってくるアドレスの順序を観察する試みです（必ずしも明確な違いが現れるとは限りません）。
const dns = require('node:dns').promises;
async function observeLookupOrder(hostname) {
try {
console.log(`--- ホスト名: ${hostname} ---`);
console.log('\n--- デフォルト設定 ---');
let defaultOrder = await dns.getDefaultResultOrder();
console.log(`デフォルトの結果順序: ${defaultOrder}`);
let result = await dns.lookup(hostname, { all: true });
console.log(`lookup 結果: ${JSON.stringify(result)}`);
console.log('\n--- \'verbatim\' に設定 ---');
dns.setDefaultResultOrder('verbatim');
defaultOrder = await dns.getDefaultResultOrder();
console.log(`デフォルトの結果順序: ${defaultOrder}`);
result = await dns.lookup(hostname, { all: true });
console.log(`lookup 結果: ${JSON.stringify(result)}`);
console.log('\n--- \'ipv4first\' に設定 ---');
dns.setDefaultResultOrder('ipv4first');
defaultOrder = await dns.getDefaultResultOrder();
console.log(`デフォルトの結果順序: ${defaultOrder}`);
result = await dns.lookup(hostname, { all: true });
console.log(`lookup 結果: ${JSON.stringify(result)}`);
} catch (err) {
console.error(`ホスト名 ${hostname} のルックアップ中にエラーが発生しました:`, err);
}
}
observeLookupOrder('www.google.com'); // テストするホスト名を指定
この例では、デフォルトの順序を変更するたびに dns.lookup() を実行し、返ってくるIPアドレスの順序を観察しようとしています。ただし、DNSサーバーの応答やネットワーク環境によって、必ずしも設定が結果に明確に反映されるとは限りません。'ipv4first' は IPv4 アドレスが存在する場合に優先的に返すヒントであり、'verbatim' はサーバーからの応答順序を尊重する指示です。
dnsPromises.getDefaultResultOrder() は、あくまで現在のNode.jsプロセスのデフォルト設定を確認するためのものです。アプリケーションの要件によっては、デフォルト設定に頼らず、より明示的にIPアドレスの選択や順序を制御したい場合があります。以下にいくつかの代替的なアプローチを紹介します。
dnsPromises.lookup(hostname, options) の family オプションを使用する
特定のIPプロトコル（IPv4またはIPv6）のアドレスのみを取得したい場合、dnsPromises.lookup() の options オブジェクトにある family プロパティを使用できます。
family: 6: IPv6アドレスのみを取得します。family: 4: IPv4アドレスのみを取得します。
これにより、デフォルトの順序に関わらず、必要なプロトコルのアドレスだけを取得できます。
const dns = require('node:dns').promises;
async function lookupSpecificFamily(hostname) {
try {
const ipv4Result = await dns.lookup(hostname, { family: 4, all: true });
console.log(`IPv4 アドレス: ${JSON.stringify(ipv4Result)}`);
const ipv6Result = await dns.lookup(hostname, { family: 6, all: true });
console.log(`IPv6 アドレス: ${JSON.stringify(ipv6Result)}`);
} catch (err) {
console.error(`ホスト名 ${hostname} のルックアップ中にエラーが発生しました:`, err);
}
}
lookupSpecificFamily('www.google.com');
dnsPromises.resolve(hostname, rrtype) を使用する
より詳細なDNSレコードを取得したい場合や、複数のIPアドレスを明示的に取得して自分で順序を制御したい場合は、dnsPromises.resolve() を使用できます。
rrtype: 'AAAA': IPv6アドレスのレコードを取得します。rrtype: 'A': IPv4アドレスのレコードを取得します。
これにより、すべてのIPv4アドレスとIPv6アドレスを別々に取得し、アプリケーションのロジックに基づいて接続を試行する順序を決定できます。
const dns = require('node:dns').promises;
async function resolveAndControlOrder(hostname) {
try {
const ipv4Addresses = await dns.resolve(hostname, 'A');
console.log(`IPv4 アドレス一覧: ${JSON.stringify(ipv4Addresses)}`);
const ipv6Addresses = await dns.resolve(hostname, 'AAAA');
console.log(`IPv6 アドレス一覧: ${JSON.stringify(ipv6Addresses)}`);
// ここで、取得したアドレスのリストを元に、独自の順序で接続を試行するなどの処理を実装できます。
// 例: IPv6を優先的に試行し、失敗したらIPv4を試すなど。
} catch (err) {
console.error(`ホスト名 ${hostname} の解決中にエラーが発生しました:`, err);
}
}
resolveAndControlOrder('www.google.com');
外部のライブラリやサービスを利用する
より複雑なDNSルックアップや制御が必要な場合は、Node.jsの標準APIだけでなく、外部のDNS関連ライブラリやサービスを利用することも検討できます。これらのライブラリは、より柔軟な設定や、特定のニーズに合わせた機能を提供している場合があります。
設定ファイルや環境変数による制御
アプリケーションの設定ファイルや環境変数を通じて、優先するIPプロトコルや接続順序を設定し、プログラム内でそれを読み込んで処理を分岐させる方法もあります。これにより、コードを変更せずにアプリケーションの振る舞いを調整できます。
getDefaultResultOrder() の役割
dnsPromises.getDefaultResultOrder() は、Node.jsのデフォルトの動作を確認するのに役立ちますが、アプリケーションが特定のIPアドレスの選択戦略を持つ必要がある場合は、上記のような代替的な方法を検討することで、より細かく制御することが可能です。特に、IPv6を優先したい場合や、特定のネットワーク環境での挙動を最適化したい場合に有効です。