JavaScriptエラー処理のベストプラクティス：Error.fileNameプロパティの代替方法を含む

Error.fileNameプロパティは、JavaScriptでエラーが発生したファイルのパスを示すプロパティです。これは、エラーオブジェクトの一部であり、ブラウザやエンジンによって標準化されていない非標準プロパティです。そのため、すべての環境で使用できるとは限りません。

詳細

Error.fileNameプロパティは、エラーが発生したJavaScriptファイルの完全なパスを含む文字列値を返します。例えば、ある関数がsomefile.jsで定義されていて、その関数内でエラーが発生した場合、Error.fileNameプロパティは"somefile.js"を返します。

このプロパティは、デバッグ時にエラーの発生場所を特定するのに役立ちます。特に、複数のスクリプトファイルが相互に依存している複雑なアプリケーションにおいて有用です。

例

以下の例では、Error.fileNameプロパティを使用して、エラーが発生したファイル名を出力する方法を示します。

try {
  // 意図的にエラーを発生させるコード
  someFunctionThatDoesNotExist();
} catch (error) {
  console.error(`エラーが発生しました: ${error.fileName}`);
  console.error(error.message);
}

このコードを実行すると、以下の出力がコンソールに出力されます。

エラーが発生しました: somefile.js
ReferenceError: someFunctionThatDoesNotExist is not defined

注意点

Error.fileNameプロパティは非標準プロパティであるため、すべての環境で使用できるとは限りません。また、ブラウザやエンジンによって返される値の形式が異なる場合があります。

そのため、本番環境でこのプロパティに依存することは避けるべきです。デバッグ目的でのみ使用し、必要に応じて適切なライブラリやツールを使用してエラー処理を行うようにしてください。

Error.fileNameプロパティ以外にも、エラーオブジェクトには以下のプロパティが含まれています。

• columnNumber: エラーが発生した列番号を示す数値
• lineNumber: エラーが発生した行番号を示す数値
• stack: エラーが発生したまでのコールスタックを示す文字列値
• message: エラーの詳細な説明を示す文字列値
• name: エラーの名前を示す文字列値

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例1：エラー発生ファイル名の取得

try {
  // 意図的にエラーを発生させるコード
  someFunctionThatDoesNotExist();
} catch (error) {
  console.error(`エラーが発生しました: ${error.fileName}`);
  console.error(error.message);
}

エラーが発生しました: somefile.js
ReferenceError: someFunctionThatDoesNotExist is not defined

例2：複数のエラーオブジェクトの処理

この例では、Error.fileNameプロパティを使用して、複数のエラーオブジェクトからファイル名とメッセージを出力する方法を示します。

const errors = [
  new Error('エラー1が発生しました: somefile1.js'),
  new Error('エラー2が発生しました: somefile2.js'),
  new Error('エラー3が発生しました: somefile3.js'),
];

for (const error of errors) {
  console.error(`ファイル: ${error.fileName}`);
  console.error(`メッセージ: ${error.message}`);
}

ファイル: somefile1.js
メッセージ: エラー1が発生しました: somefile1.js
ファイル: somefile2.js
メッセージ: エラー2が発生しました: somefile2.js
ファイル: somefile3.js
メッセージ: エラー3が発生しました: somefile3.js

例3：カスタムエラーの作成

この例では、Error.fileNameプロパティをカスタムエラークラスに設定する方法を示します。

class MyError extends Error {
  constructor(message, fileName) {
    super(message);
    this.fileName = fileName;
  }
}

try {
  // 意図的にエラーを発生させるコード
  throw new MyError('カスタムエラーが発生しました', 'somefile.js');
} catch (error) {
  console.error(`エラーが発生しました: ${error.fileName}`);
  console.error(error.message);
}

エラーが発生しました: somefile.js
カスタムエラーが発生しました

これらの例は、Error.fileNameプロパティをさまざまな状況で使用する方法を示しています。

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JavaScriptのError.fileNameプロパティは、エラーが発生したファイルのパスを示すプロパティですが、非標準プロパティであり、すべての環境で使用できるとは限りません。そのため、本番環境でError.fileNameプロパティに依存することは避けるべきです。

以下では、Error.fileNameプロパティの代替方法として、以下の3つの方法をご紹介します。

stackプロパティの使用

Error.stackプロパティは、エラーが発生したまでのコールスタックを示す文字列値を返します。このプロパティには、各フレームの情報が含まれており、その情報からエラーが発生したファイル名と行番号を特定することができます。

以下の例では、Error.stackプロパティを使用して、エラーが発生したファイル名と行番号を出力する方法を示します。

try {
  // 意図的にエラーを発生させるコード
  someFunctionThatDoesNotExist();
} catch (error) {
  const match = /\/([^/]+):(\d+):(\d+)/.exec(error.stack);
  if (match) {
    const fileName = match[1];
    const lineNumber = match[2];
    const columnNumber = match[3];
    console.error(`エラーが発生しました: ${fileName} (${lineNumber}:${columnNumber})`);
    console.error(error.message);
  } else {
    console.error('エラー情報の解析に失敗しました');
  }
}

エラーが発生しました: somefile.js (10:5)
ReferenceError: someFunctionThatDoesNotExist is not defined

@babel/source-mapライブラリの使用

@babel/source-mapライブラリは、ソースマップを使用して、エラーが発生した元のソースコードファイルと行番号を特定することができます。

以下の例では、@babel/source-mapライブラリを使用して、エラーが発生した元のソースコードファイルと行番号を出力する方法を示します。

const { SourceMapConsumer } = require('@babel/source-map');

try {
  // 意図的にエラーを発生させるコード
  someFunctionThatDoesNotExist();
} catch (error) {
  if (error.stack) {
    const stack = error.stack.split('\n');
    const firstFrame = stack[0];
    const match = /@(.*):(\d+):(\d+)/.exec(firstFrame);
    if (match) {
      const fileName = match[1];
      const lineNumber = parseInt(match[2], 10) - 1; // ソースマップは1オリジンベースなので、-1する
      const columnNumber = parseInt(match[3], 10);

      // ソースマップファイルを読み込む
      const sourceMap = await fetch(`${fileName}.map`).then(response => response.json());

      // ソースマップコンシューマーを作成する
      const consumer = new SourceMapConsumer(sourceMap);

      // オリジナルのソースコードファイルと行番号を取得する
      const originalPosition = consumer.originalPositionFor({
        line: lineNumber,
        column: columnNumber,
      });

      if (originalPosition) {
        console.error(`エラーが発生しました: ${originalPosition.sourceUrl} (${originalPosition.line + 1}:${originalPosition.column + 1})`);
        console.error(error.message);
      } else {
        console.error('エラー情報の解析に失敗しました');
      }
    } else {
      console.error('エラー情報の解析に失敗しました');
    }
  } else {
    console.error('エラー情報がありません');
  }
}

このコードは、より複雑ですが、Error.fileNameプロパティよりも正確な情報を提供することができます。

カスタムエラーの作成

カスタムエラークラスを作成し、そのクラス内にエラー発生ファイル名の情報を持つプロパティを定義することができます。

以下の例では、カスタムエラークラスを使用して、エラー発生ファイル名の情報を持つプロパティを定義する方法を示します。

class MyError extends Error {
  constructor(message, fileName) {
    super(message);
    this.fileName = fileName;
  }
}

try {
  // 意図的にエラーを発生させるコード
  throw new MyError('カスタムエラーが発生しました', 'somefile.js');
} catch (error) {
  console.error(`エラーが発生しました: ${error.fileName}`);
  console.error(error.message);
}